2015年11月14日土曜日

バイオシミラーとの闘い アッビイABBVIE(ABBV) 43年連続増配 #19 S&P Dividend Aristocrats その1

アッビイ(ABBV)は私の持ち株の一つです。元々Abbott Laboratories(ABT)を持っていたのですが、2013年の1月にABTABBVに分社してしまい、そのままABBVを保有しているという感じになっています。

ちなみにABTは医療機器、栄養補助食品(薬店や医者が処方するもの)、ブランドジェネリック(特許切れの医薬品を先発薬のライセンス許可を経て製造販売するもの)などの商品を扱う会社で、当社は自ら研究開発した薬を売るという役割になっています。

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連続増配年数はABT時代から通算しており、S&Pからも配当貴族のお墨付きを得ています。ABBV経営陣も、ABT時代同様に配当には力を入れるといっています。というよりむしろ分社前は、ABTEPS2ケタ成長を目指す成長カンパニーでABBVはそんなに成長しないけど、配当利回り3%~4%を安定的に出す成熟企業って触れ込みだったんですけど、ふたを開ければ逆転してしまったような印象があります。

当社は今はすっかりバイオファーマ化しつつあります。当社の看板商品はヒュミラ(Humira;ヒュミーラとスペイン語チックにミにアクセントがつくらしい)で、この売上高はこちらの記事でも紹介している通り、単品で12,902百万ドル(約1.5兆円)を稼ぐお化け商品となっています。
このヒュミラが武器でもあり、弱点でもあるところが当社の投資に対する悩ましい点です。


まずは財務分析から

201312日だったか、当社の独立企業としてのスタート日でそれ以前の数値はいわゆるPro-Formaベースとなっています。
したがって、上記のフォーマットが完全に埋まりません。

売上高は、看板商品であるヒュミラが毎年2桁成長で伸びていくので、この間いくつもの低分子薬の特許切れがあったり、最近ではドル高があったりしましたが、非常に堅調に推移しています。

2014年に利益額がガクッと減っているのは、いわゆる一時費用です(ちょっとカッコ悪い費用も入っていますが)。それらをAnnual Reportを読んで自分なりにまとめてみました。

シャイアーというのは、アイルランドの製薬会社です。ABBV2014年にこれに敵対的買収を仕掛け、3度目か4度目の正直で相手を説得して合意にこぎつけましたが、このM&Aが「税金逃れ」になるのではないか(本社をアイルランドに移転して、あっちの確か18%ぐらいの法人税率を活用して、株主利益を増やそうと企んでいた)、ということになり米政府から、「もしアメリカから出ていきたければ、そういう会社の製品はアメリカで認めません」(だったと思ったが)と肘鉄を食らって、あっけなく買収を取り下げました。
その時に、シャイアー側に支払った、ブレイクアップフィー(違約金)です。17億ドルにも上ります!

手付金12は社外の製薬企業と新薬の共同開発を行う旨を締結した際に支払うマイルストーンです。
2社ともベンチャーで、創薬のタネは持っているのですが、研究開発を行うお金がない状況で、そういった費用を当社が面倒を見る、という感じです。その代わり上市できれば、例えば独占販売権を入手できる、などの契約を結んでいます。
ベンチャー企業は通常、上市後に販売金額の10%前後の特許使用料などを受け取ることになると思います。

こういった社外の企業と共同研究することを「オープンイノベーション」といって、特に製薬の分野では盛んに行われています(GoogleJohnson & Johnsonのロボティクスもこの類ですね)。

それにしてもアップフロントで750百万ドルは大きいですね。

話が長くなりましたが、ここまでは、これらを調整すれば売上高、利益ともおおむね順調に来ている、と言っていいと思います。

しかし、株価は予想PER13倍程度と今一つですね。これには理由があります。
看板商品のヒュミラが201612月にアメリカで20184月にEUで特許が切れるといわれています。
その後バイオㇱミラーが発売されると、当社の売上高・利益が落ちるのではないか、という懸念があるからです。
ヒュミラの売上高は約130億ドル、当社の売上高は約200億ドルですから、売上高の65%がヒュミラです(利益だと8割ぐらいあるのではないか)。
これをどう評価するかです。

その2に続く。
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