2017年1月11日水曜日

銀行だけではない「大きすぎてつぶせない」 東芝の件




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「大きすぎてつぶせない」
リーマンショック後に、世界の金融市場を機能させるためには、金融市場の中心プレーヤーである大手銀行等(一部投資銀行を含む)に公的資金が積極的に注入された。
日本ではすでにバブル崩壊後の2000年前後にこうした取り組みが行われた。

リーマンショック後の欧米金融市場では主に「カウンターパーティーリスク」(取引相手方が「市場」という見えない存在であるにもかかわらず、参加当事者が取引の履行義務を果たせない場合、また、果たせないのではないかと参加者が疑心暗鬼になってしまうようなパニックを想定)による市場不安定感を是正するために、現在、世界であらかじめ決められた大手の金融機関には、「しっかりリスク管理やろうね」という国際基準が検討されています(まだ正確に自己資本比率とか決まっていなかったと思う)。

バブル崩壊後の日本では、もっと身近で、「汗水たらして真面目に生活している人の預金の取り付け騒ぎ」や融資が途絶えると死活問題になる企業取引への影響、といった大義名分が理由で、「悪いことして金もうけしていた銀行を血税で救う」(世論をまとめるとこんな感じかな:「悪い奴だけど、つぶれると困るのは我々だ」という感覚)ということが行われていました。

東芝への追加融資のロジックも「東芝に万が一のことがあったら、困るのは銀行」という認識が第一にある。

「不適切会計」だか、「粉飾決算」だかわからないけど、要するにウソの決算で資金調達をしていたわけで、銀行の株主・債権者(預金者他)から見れば、「見抜けなかったのか!」「しっかり監視していなかったのか!」そして「そんなところになぜさらに融資するのか!」という罵声が飛んできそうなもの。


まず、
1.多額の貸倒損失
2.関連企業・協力企業(下請け先とか)への悪影響
そして
3.「銀行ってやっぱり雨降ったら傘貸してくれないのか」というレピュテーションリスク
である。

結局、上記の理由を考えると、今は東芝を救うことが株主・債権者様の長期的な利益につながります。社会的にも不要な失業や混乱が回避できる。という結論が銀行側にあるはずだ(経産省や政治家が銀行経営に「口先介入」していることもあるだろう)。

一方、資本主義なんだから栄枯盛衰で「ダメなものはダメ」となったほうがかえって長期的な日本経済に資する、という意見もある。

「大きすぎてつぶせない、といって銀行だけ救うのはズルい」、と言ってもその銀行も大手取引先は大きすぎてつぶせないので、この問題は企業が成長すればするほど問題も大きくなる矛盾を抱えていそうです。

取引先が成長すればするほど銀行も成長しないと相手にされません。銀行が成長するとイロイロ規制が大きくなります。銀行株のPERが低い理由がこんなところにもあるのでしょうね。

救う原資は、対象が銀行の場合は「血税」(と言っても、「血税」と騒いでいる人ほど納税額は少ないと思いますけど)、対象が東芝のような一般企業の場合は「預金者」(大口預金者はそれなりに納税もあってあまり意見を言わない富裕層と想定される)の違いはありますが、「大きすぎてつぶせない」を支える本質的な出資者は伝統的で資産運用と言えば、銀行預金しかないような富裕層ってことになりますね。日本の場合は。


「大きすぎてつぶせない」問題をふと思い出してしまいました。


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