2017年2月26日日曜日

持ち株の第4四半期決算に関する雑感 7 たばこ銘柄 JT、フィリップモリス、アルトリア 電子タバコは成長分野か

私のポートフォリオ中、第1位のフィリップモリスインターナショナル(PM)、2位のアルトリアグループ(MO)そして5位の日本たばこ産業:JTに関する雑感。

(参考記事)


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一言でいえば、ついに電子タバコ(たばこベイパー、タバコの葉を熱して香りを愉しむ)がたばこ会社の業績を左右しかねない局面に入った、ということだろう。

ただし、アメリカはFDAの審査が必要であり、2017年にPM/MO連合は申請を行い、米国デビューに備える計画になっている(承認には時間がかかる模様)。

PMIQOS/Heatstickが日本をはじめとする先進国20か国で期待以上に売れていて、生産が追い付かない状況とのことで、増産のための設備投資が必要と言っている(今年中に体制が整う模様)。

2009年からたばこ会社の株に投資しているが、フリーキャッシュフローの使い道に自社株買いより設備投資を優先して使います、って経営者が言ったのは初耳だIQOS/Heatsticksに手ごたえを感じているのだろう。

既存の紙巻きたばこからHeastickに切り替える人もいるが、全然OKだ。あくまで日本国内の話だが、既存タバコの利益率が40%ちょっと、電子タバコなら60%台になるからだ(アナリストの試算)。

ただし、IQOSだけを取ると赤字らしい。IQOSとHeatstickの関係は複写機とトナーの関係に似ているような気がする。

今年は、2016年に進出した20か国の更なる浸透と新規で15か国の展開を考えている。

一方、JTの方はPMIQOSで頑張っている間に、ナチュラルアメリカンスピリッツに6000億円近く投じてしまい、日本国内のたばこ全体のシェアをIQOSに奪われかねない、ということになってしまって、株価は低迷気味だ。

ただし、2017年にPloom TechというIQOSの対抗版を発売することにより、PMを追撃する姿勢を見せている。一応、Ploomの方が使い勝手がよいようである。

電子タバコでも、アメリカ的発想と日本的発想がみられる。つまり、PM(本社はスイスですが)はとにかくIQOSを先行販売して、その後性能を改善していけばよいというスタンスで発売している。今後、マイナーチェンジが2度ほど行われる予定だ。

一方、JTは非常にしっかりしたつくりになっているようで、品質もPMよりよさそうだ。
しかし、(あくまで現時点では)先にシェアと利益を奪ったPMに軍配が上がっている。ベンチャーが繰り出すスマホアプリのような感じ。

タバコという嗜好品のスイッチングコストを従来のタバコ同様高いと考えるか、電子タバコのスイッチングコストは低いと考えるか、難しいところだ。

なおかつ、フィリップ・コトラ―さん(だったと思う)のマーケティング/競争戦略論だと、ふつうこういった新商品はチャレンジャーたるシェア下位者が仕掛けて、リーダーたるPM辺りがあと攻めで追いかける、というのがロジックだったが、電子タバコはリーダーたるPMが仕掛けて(と言っても本当はブリティッシュアメリカンタバコの方が仕掛けは早かったと思ったけど)、JTが後攻めするという悪さ。

東日本大震災で、JTの工場が被災して出荷できなかった時に、PMはインドネシアとかの工場で3交代制など必死に努力した結果、JTが出荷できない間に大した在庫不足にもならずにJTから劇的にシェアを奪ったことがあった。
 
JTのHP


しかし、JTで生産が再開された結果、JTがシェアを奪い返した、ということがあった(しかし震災前ほどではなくなった)。

ただし、電子タバコの海外展開では圧倒的にPMが優位に立っており、JTは巻き返し策が期待される。

PMCEOは(抄訳)「紙巻きたばこが利益とFCFの基礎だが、電子タバコが今後の成長ドライバーになるだろう」と言っていましたし、こんな記事がYahoo!辺りで配信されていて、話題となっていましたね。


最後にMOに関してだが、米国内でPMと提携してIQOSを販売するに当たり、今年FDAに申請する計画(日本は申請不要)。ネガティブキャンペーンを含め、様々な反応があるだろう。FDAのジャッジメント次第では、海外での加熱式のIQOS/Heatstickに対する評価も変わるかもしれない。

むしろ、MOに関しては、PMとの再統合があるか否か、という点に尽きる。

ライバルである、ブリティッシュアメリカンタバコ社がレイノルズ社を再統合してしまったからだ。

ただし、MOPMの統合でシナジーがあり得るのは電子タバコぐらいで、PMの株主がまたまた訴訟リスクにさらされる(もっとも訴訟リスクが従来ほど低いと判断されそうなので統合するかもって話題になっているが)というマイナス面もある。

さらに、昨今のトレンドはむしろ分社による得意分野だけの成長、という風になっていると思う(ダウ/デュポンのように統合後、分社という離れ業もある)。

個人的には為替リスク対策もあるので、今のままがいい(ドル高になるとMOに分があり、PMが逆風となるが、ドル安になるとPMに追い風)。

PMMOは引き続きホールド。JTは今のうちに買い増しも検討している。
PMに関しては、すでに今年のEPSの成長を織り込んでしまったような株価になっている。

JTの配当利回りがこんなに高くなったのも初めてかもしれない。

3社とも非常に貴重な配当源です。

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5 件のコメント:

  1. 秀逸なる分析有難うございます。JTは500株保有しており、頑張ってほしいところです。電子たばこでの巻き返しに期待しています。ちなみにたばこは吸いません。

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    1. 国内では挽回可能ですが、海外でPMについていきたいですね。

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  2. いつも記事楽しみにしています。
    ところで、わかっているとは思いますが、多くのマスコミ(除く日経新聞)は、IQOSなどの加熱式タバコを「電子タバコ」と間違って読んでいます。私は医師ですが、この二つは明快に明確に区別されていて、医師はIQOSを決して「電子タバコ」とは言いません。あなたはオピニオン・リーダーですので、表記について一考をいただけると幸いです。

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  3. KAPPA様、コメントありがとうございます。
    マスコミ表記では加熱式たばこ、ということで統一されているようですね。
    今後、加熱式たばこ というように意識してみます。

    ご指摘ありがとうございます。

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