2014年4月26日土曜日

Johnson & Johnson 52年連続増配


「鉄板銘柄」の一角、JohnsonJohnsonJNJ)は四半期配当を+6.1%引き上げると発表しました。

これで、52年連続増配となります。

JNJは医薬品、ヘルスケア商品(バンドエイド、ベビーパウダー他)、医療機器と広範囲にわたってヘルスケア製品を提供する、ヘルスケアコングロマリットです。
しかし、各セグメントでは世界1位、2位の事業の集合体であり、競争力は抜群です。

私がJNJに投資したのは、2010年の6月頃です。かれこれ約4年になりますね。
買った時に書いたブログ記事です。
(詳しい分析はこっちでお願いします)
160ドル未満で買っています。当時のドル円レートは88円前後でした。
したがって、投資としては今のところ成功しています(約2倍ですね)。
但し、当時マイクロソフトでもウォルマートでも、アメリカのブルーチップ銘柄なら、かなりの確率で投資が成功したと思いますが…。

当時の投資理由に、医薬品の後期パイプラインが充実していて、数年で開花するだろう、と予想していましたが、事実その通りになっています。
医薬品メーカーの多くは「Patent Cliff」(先発薬の特許切れによる収益減少)に悩まされていますが、JNJはその特許切れによる売り上げ減少を補って余りある、新薬の販売に成功しており、売上高が順調に伸びています。

医薬品は、売れると、売上高原価率が低くなり、全体の利益率を引き上げる効果もあります。したがって、業績は堅調に推移する傾向にあります。

しかし、投資した当時は、OTCのリコール問題など品質問題やその対応が問題視されたこともあった。さらに、世界的不況で、特に整形外科関連の医療機器(人工関節とか)の売上高はあまり伸びていません。
よって買いに向かうのには、思案しました。
しかし、「腐っても鯛」でした。

また、JNJは投資家がヘルスケアセクターをポートフォリオに所望する場合、選ばれやすい銘柄であるといえましょう。
投資家はセクター横断的に銘柄を分散したいと思います。ヘルスケアセクターで何を買ってよいかわからない(あるいは、投資家への出資者;年金基金等 が安心できる投資先)場合、チョイスしておけば面倒な問題が起こりにくい、そういった銘柄なんじゃないかと思います。

ピーター・リンチですら、マゼランファンドの出資者の顔色をうかがうために「永遠の不発弾」と形容したIBMを保有していましたよね。
したがって、割高に評価されやすく、持っいて安心できる美人投票的な銘柄のような気がします。

+6.1%の増配は、正直寂しいです。しかし、配当性向等を考えると(50%ちょっと)、仕方ないかなあ、という気もします。
隙があれば、積極的に買いに向かいますが、現状の株価では、ゆっくりホールドして配当を楽しんでいます。よほどのことがない限り、売ることはないでしょう。持っているだけで確実に資産を増やしてくれる銘柄の一つです。


そういった経緯もありますので、ここ数年の業績の成長率は芳しくありませんが、今後もSolidな成長をしてくれるものと期待しています。




JNJの業績推移と日本企業との比較表です。
EPSGAAPベースです。
Non-GAAPベースでも、年率4%程度の実績だと思います。今後は58%程度かなあ。
経営陣は、余剰資金の活用について、増配をめざし、余ったら自社株買いやM&Aだといっています。しかし、M&AJNJのお家芸のようなところがありますので、多少のM&Aは必要な投資と割り切った方がよいでしょう。

M&Aは上手だと思います。適正価格で適正規模のポートフォリオの充実を図っています。昨年スイスの医療機器メーカーを買収しました。買収総額が2兆円を超えていましたが、この規模がJNJ史上最大のM&Aだといっていましたので、ニッチなテクノロジーをもった企業を買収していくのがメインです。

なぜなら、JNJをはじめ、欧米のメガファーマの最大の武器がMRと病院のRelationだからです。
優れたニッチな技術を彼らの持つネットワークで拡販することで、莫大な利益を得ることが最も投資効率が良いからです。

JNJは共同研究やM&Aで、医薬品、医療機器とも確実にパイプラインを増やしています。
ただ、図体がデカくなりすぎた可能性があり、成長スピードの鈍化は避けられませんが、それを経営していく能力には長けているので、安心です。
有名なものに「クレド」という経営理念書があり、各事業、各子会社は原則自由に経営してもよいがクレドの教えに従うこと、という「連邦制経営」が特徴です。

日本のカルビーの松本会長は、カルビーに移る前はJNJの日本法人の社長をやっていましたが、そこでクレドに出会って、経営者として成長出来た、とおっしゃっています。

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2014年4月19日土曜日

Philip Morris International(PM) 自社株買い

Philip Morris International logo
PMはマールボロを主力とするたばこ会社です。

タバコの販売本数は、中国と米国を除き、世界1位のシェアを持っています。

その利益率の高さは目を見張るものがあり、また、製造コスト等も低く、ブランドロイヤリティ、嗜好品であるため、キャッシュフローは非常に分厚く安定しています。

したがって、経営者の仕事は、持続的なスピードで事業を成長させ、余った資金は株主還元することにあります。

 

過去5年間の業績を振り返ります。

Morningstar社から一部修正)


表示は百万ドル単位です。百の位が1億ドル(約100億円)と考えるとわかりやすいと思います。

2009年度から2013年度までの5年間です。

私がPMの株を最初に買った時期が2009年の2月~3月(ちょうどS&P500が底値付近で140ドル台だったと思う)頃だった。5年以上保有している。


その間、売上高は年率換算で5.7%(タバコ税 税引き後)、営業利益は7.7%、EPS12.2%成長したことになります。EPSの成長には、年間約4.5%の勢いで買っていった自社株買いの存在は見逃せません。


その強力な自社株買いを支えているのは、強力なCFです。最近は電子タバコなど少し設備投資をしていますが、100億ドル近い営業CFがありながら、投資CF10億ドル前後で推移していました。営業利益率が40%を超えるハイマージンでありながら、維持コストがかからない。


嗜好品、ブランドロイヤリティ、高い参入障壁(いまさら各国政府の規制に沿った販売を行うノウハウは新規業者では無理)、これらがもたらすPricing Power(値上げ能力)などが強みです。


残りは財務CF、自社株買いと配当の支払いに充てています。

過去5年間で約2.8兆円を自社株買いに充てています! 時価総額5,000億円といったら日清食品HD並みの会社を毎年買収できることになりますし、2.8兆円と言えば、キリンHDとアサヒGH(アサヒビール)を足した時価総額より大きくなります。

年間の配当金も5,000億円以上ありますね。

自社株買いが大きく、株主資本の部はマイナスになっています。しかし、だれも気にしません。したがってROEは異常値になりますね。


この間、Net Debtがほぼ倍増し、EBITDA/Net Debt(ネットデッドカバレッジレシオ)が大きくなりましたが、依然1.7倍です。


但し、この2年ほど米国経済の持ち直しとFRBの金融緩和政策の見直しなどによるドル高が影響していることと、新興国経済が停滞気味、そしてアベノミクスによる円安などで業績は足踏み状態となっています(日本での営業利益が連結に占める割合は68%ぐらいあると思う)。


2012年~2013年は減収減益になってしまいました。2014年も昨年より減益が見込まれています。理由は上記と同じで、特に日本を含めたアジア地域におけるドル高がまだまだ響くようです。

また、EUではユーロ危機で経済が停滞し、失業率も高止まりとなっていて、愛煙家は価格に敏感になっています。電子タバコの影響を受ける国も出てきました。

新興国でも、これまで快進撃をしていたインドネシアで伸び悩んでいます。

ロシアでは、JTと共同で流通業者の株を買いましたが、その後にウクライナ情勢が悪化したりしています。

 

これらの要因で株価は伸び悩んでいます。


 

しかしながら、ドル高は今年で一段落すると思われ(新興国経済が崩壊すれば、わからないが)、各国のたばこ増税も一段落し、2015年以降は徐々に5%程度の売上高成長、7%程度の営業利益の成長、10%前後のEPSの成長路線を取り戻すと個人的には思っています。

 

やっぱり成長要因はアジア諸国(インドネシア、フィリピン、ベトナム、パキスタン)やエジプト、モロッコをはじめとする北アフリカ(この地域は有望!イスラム系はタバコ吸う人多い)、トルコ、今話題のウクライナなど東欧といった新興国群だと思います。

アメリカと中国(中国は昔の日本の様にタバコは鎖国されている。開国されれば、莫大な市場になる)を除く、大半の地域で販売しているので、世界人口の増加とともに、まだ成長余地はあると思います。日本やEUの下落を補ってくれると考えています。

 

引き続きLong-Termで保有していくつもりです。


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