現在第4位のDOW です。1位以下はフィリップモリス、IBM、アルトリアとシーゲル系統の銘柄でしたが、まったく違います。ケミカル銀行(現JMモルガンチェース銀行)はかつて分社したそうです。
石油化学では独BASFに次ぐ規模を持っています。ダウ工業30種のデュポン(DD)は、もっと機能性化学に強く、DOWはベーシックな基礎化学のイメージが強いです。
なぜ、こんな銘柄が4位かと言えば、2008年春ごろ、DOWはローム&ハース(R&H)という半導体・電子部品系の化学溶液に強い競合の買収を決め、独禁法当局の許認可を経て、12月ごろ合併許可が下りたことから端を発しています。
買収資金は確か1兆数千億円を要するため、資金調達として、借入金と優先株の発行(バークシャーも引き受け)、さらにダウの強い基礎化学部門を売却することでねん出するということを考えていました。この基礎化学部門の買収相手はカタール投資庁でした(SWFですね)。
カタール政府と折半で作るJVに資産を売却し(基礎化学部門の持ち分半分を売却)、その売却代金を株式買収資金に充当する、という算段でした。
そこで、まさかのリーマンショックが2008年秋に発生します。金融市場は崩壊し、皆臆病になりました。しかし、R&Hの株主は、リーマンショック前のTOB株価で、キチンと決済しろ、と、DOW経営陣に迫りました。
さらに、泣きっ面に蜂で、カタール投資庁は議会での予算承認を否決されてしまい、JVの契約を一方的に破棄して、DOWは急きょ2008年の12月に追加の借入金を必要とする羽目になってしまいました(これは2012年に国際司法裁判所でDOWが勝訴し、違約金約2000億円相当の勝訴になる模様です)。
株式市場は一斉にDOW株を売り浴びせました(個別材料がなくても株価はどん底でした)。
しかし、(当時は)コモディティ中心の基礎化学から、電子部品系化学への「変身戦略」は理に適っていたこと、調達金利はべらぼうに高かったが(FRBがゼロ金利を打ち出しているのに、7%ぐらいの金利だったと思う)、資金繰りはいけるというCFOのコメントがあったこと、R&Hから買収した部門は台湾・中国のファウンドリに強く、将来性があったこと、などより、売られすぎだ、と私は判断しました。
そこで、必死に買い下がって、残高を積み上げるうちに、2009年3月、ついにM&Aの資金決済が出来たこと、リストラの効果が出始めたこと、景気が底打ち反転の様相を見せ始めたこと、株式相場も反転し始めたこと、などから株価が急騰し、私の持ち株価値も一気に倍増して、今に至っています(それからはパッとしませんけど)。
今ではあまり買おうとは思いませんが、当時は優良企業のターンアラウンドも投資テーマにしていました(しかし、ヒューレット・パッカードには注目している)。
項目
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コメント
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会社名(ティッカー)
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Dow Chemical (DOW)
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本社所在地
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米 ミシガン州
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何をやっている会社?
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① プラスティック、ビニル等の基礎化学製品
② ポリエチレンと関連材料
③ トウモロコシをはじめとする遺伝子組み換え種子や農薬
④ リチウムイオン等の電極材料
⑤ 各種機能性化学材料
⑥ 電子部品、建築、自動車等へのコーティング材料
などを製造しています。かなり幅広い取扱製品です
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投資時期、平均購入価格
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2009年1月~6月、14ドル
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現在の株価、バリュエーション
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以下、Yahoo! Finance USAより
通貨は米ドルベースです()はドル=80円とした場合
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株価
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28.08
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2011年EPS
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2.05
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2012年予想EPS
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1.92
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予想EPS成長率
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ちょっと予測不能
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時価総額
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336億ドル 約2兆6000億円
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実績PER
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13.7
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予想PER
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14.5x
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DPS
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1.28 (リーマンショック前は1.68)
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配当利回り
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4.50%
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増配率
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2011年66%、2012年28%
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EV/EBITDA
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7.54x
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年初来暴落率
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▲2.36%
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投資ストーリーは何か?
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ターンアラウンド狙いで買いました。財務的にターンアラウンドしていますが、目標株価$50!!
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経営陣のコミットメント
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①
EPS$3.5~$5.5を2年ほど前にコミットしたので、そこまでくれば、目標株価は達成できると思う。
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今後何を期待するのか?
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目標株価を期待しています。
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強みは何か?
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①
バランスとれた事業ポートフォリオというべきか。リーマンショック直後でも、農薬、種子部門は良い成績を収めていた。
②
CEOのリーダーシップか。R&Hとの経営統合はかなり強引とも思えたが、すぐにシナジーを出してその剛腕ぶりを発揮。
③
ダウ・シリコーン社などJV等の資本提携などでも優秀な結果を残す。買収、資本提携など自由自在の経営戦略。三井物産とのブラジルでの合弁も楽しみですね。
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弱みはあるのか?
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① 石油化学系は従来弱みになると思われたが、「シェールガス革命」で強みに転嫁しつつある。
② 業界そのものが景気循環性が高いので、景気が底の時にいかに利益を残すかといった点
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リスクは?
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①
コモディティ系なので、コモディティの価格(石油)に左右されやすい業績
②
財務的にはR&H買収資金もかなり返済が進んだ。
③
中国景気減速と欧州景気減速。結構欧州向けのエクスポージャーが大きい。
④
インドでは2000年ごろに買収した石油化学会社(ユニオン・カーバイド)の公害をかどで裁判を起こされている。しかし、ユニオン・カーバイドはすでにインド工場をダウ買収前に売却しているので、ダウ側は損害賠償責任はないとしている。
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成長機会
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①
買収したR&Hで電子系の顧客窓口が広がった。特に東アジア。
②
シェールガス革命で天然ガスが安価に。従来石油化学で作られていた成分が、天然ガスから抽出できるようになる。したがって原材料コストが大幅に改善される機会が増えた。欧州や東アジアの化学産業より競争力が出てくる。
③
サウジアラビアでアラムコと合弁で作るエチレンプラントなど。
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競合先
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①
BASF、デュポン等の化学メーカー。
②
精油関係だと、エクソン(世界最大の製油会社)。
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売るとすればどんな時?
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①
株価が$50になるか、次の世界景気拡大期でしょうか。この銘柄はEXITを前提としています。
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その他
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①
株価は割安だと思う。
②
最初に投資した資金のうち、1/3は売却して、P&Gに投資しています。
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株価チャート
平均買収価格が約$14ですので、ちょうど09年のV字回復の前後で買っていたことになります。この時初めて、ジム・クレイマーの言う、「メガ・ボトム」なるものを経験しました。
3月上旬ごろ、売りが集中して、日中の売買がストップしたのです。翌日から、急騰して、どうしていいかわからなかったのですが、とりあえず、最後の買いを入れました。
あとで分かったのですが、空売り主犯者は、サブプライムで大もうけした、ジョン・ポールソンだったようです。
2010年から2011年にかけては高値$42から安値$25ぐらいまで一気に下落したので、めげそうになりました。シクリカル銘柄は、コリゴリです。
業績推移
業績のほうは、05-06年のころの最高潮に及びません。原油価格の急騰や世界景気後退などから未だ脱し切れていません。
R&H買収に伴う増資により株数も増えていますので、自社株買い、さらなる利益機械の追及が待たれます。
辛抱強くホールドしていきたいと思いますが、4位はウエイトがやや高いので、何とかもう少し、ウエイトを減らしたいなあと思っています。ただし、購入価格の割に、配当がいいので(Yield On Cost 9.1%)、そのままホールドしても配当マシーンであることには変わりありません。両にらみでもイケそうですね。
応援よろしくお願いします!
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