2012年9月30日日曜日

9月の投資状況




QE3は9月に実施しない」と大見栄切ったものの、見事に外してしまいました。

おかげ?で、9月も総資産残高は続伸しました。

株価がもう一回り上昇するには、明確な経済及び企業業績のファンダメンタルズの改善又は上昇が必要だと思いますが、容易ではないような気がしています。


総資産 年初来 +13.8
予想受取配当金増加率 年初来+15.0% 指数152.2
Yield       3.73% 
Yield on Cost 5.12

 

今月の売買
売り;なし
買い;沖縄セルラー電話(買い増し)

 NTTを買い増しすることをずっと狙っていたんですけど、どうしても3,500円台で買うことにこだわったおかげで、自社株買い発表後の反発上昇についていけませんでした。おかげで配当期日前に買い増しはできませんでした。株数にして3%程度の自社株買いを発表しただけで8%ぐらい株価が上昇し、割に合わん。しかし、11月の決算発表までには腹をくくる必要性がある。

 



今月の増配発表
Philip Morris International +10.3
増配率は概ね期待通りでした。PMYield on Cost7.9%になり、「金のなる木」化してきました。

 予想受取配当金増加率
指数:152.2  配当金の増加率+15.0
円高プレッシャーに晒されますね(一応、年初来では1.4%の円安ですけど)。

10月は第三四半期の決算発表(日本は中間決算ですね)があります。FEDEXCaterpillarを始め、リーディングカンパニーで業績下方修正を出した企業があります。

 スポーツシューズ大手のNIKEの決算で、中国の個人消費の行方もやや怪しいものがありそうです。

日本企業も業績下方修正を出すところが出てきました。S&P500の過去12か月の実績ベースPER16.8倍、予想ベース(予想が正しければ)で13.9倍となっています(WSJより)。

いくら決算が予想を上回っても、利益の絶対値が伸び悩んでいるにもかかわらず、株価が上昇してしまうと、手を出しにくいですねえ。
 
 
応援よろしくお願いします!

2012年9月24日月曜日

ルネサステクノロジーに見る日本産業界の限界


日本経済新聞のこの記事


 
(電子会員登録が必要になるかもしれません)

(断っておきますが、記事の批判ではありません。いつもはそうですが…。)

赤字続きで誰も救済できなくなったルネサステクノロジー。そこに目を付けたのが、アメリカの投資ファンドKKR
KKRといえば、かつて米レイノルズタバコの海外部門を、日本たばこ産業に当時のM&A最高額(約1兆円)で売却し、日本たばこ産業はその後グローバル企業として再出発を果たすきっかけを作りました(今、JTがキャメル、ウインストンを販売しているのは、このM&Aのおかげ)。

 投資ファンドのEXITは時折、こういったゲームチェンジを引き起こすことがあります。JTの例は日本にとって(結果として)良かったことですが、それを覚えている人は、今や少ない。

 そこに、この記事の様に大手自動車メーカーをはじめとする取引先となんと、またまた経済産業省がちょっかいを出すかもしれないという構図。

 

記事を読んで、「ダメだこりゃ」 と思ったのは、

  1. 外資ファンドが支配すれば、(大胆なリストラなどが発生し)自分たちに半導体の供給が支障をきたす可能性がある
  2. 半導体の値上げを要求される

 こういった供給不安を、「マイコンを外資に渡せば、国内製造業の競争力が落ちる」という大義名分???で支援するらしい(経産省は誰のために何を支援するのか、ボタンを掛け違えている)。

 
要するに、日本の製造業(いわゆる完成品メーカー、セットメーカーは下請け企業を「生かさず殺さず」としか見ていない、という暗黙の了解が、公然と世にさらされたということだろう。

 
他社にはまねできない製造技術を持つオンリーワン企業」 であり、「今の数倍の価格で売れるはず」のポテンシャルを持つ企業が、相次ぐ赤字で、お荷物企業でいること自体が、異常な状態である。

 
そして、トヨタやパナソニック(こういった企業が連合を組んで、100%子会社化するのなら話は理解できるが)、あるいは経済産業省は、今の状況以上を望まない、という姿勢である。

 
ルネサスは、いろいろあったが、既成事実として上場企業である。

 
一般投資家は、トヨタやパナソニックのコストを背負わされ続けるのだろうか? こういった企業のために税金が投入され、ルネサスは「技術は一流だけど黒字赤字スレスレの企業」という下請け企業として甘んじるのだろうか?

 
本当に上場企業としてのルネサスを再生させるのなら、インテルとまではいかないが、技術にふさわしい企業として、認知されるべきで、国家としては、正しいものが正しく評価される仕組みを支援すべきでないだろうか?

 
ウィルバー・ロスというアメリカの投資家がいますが、彼は自動車部品メーカーを世界中で買収して、下請けと元請の関係を逆転させようともくろんでいます。ウィルバー・ロスは、かつて、米国他で破たんしそうになった鉄鋼メーカーを買収して、大きくして、最後に、インド人実業家ミタル氏に売却し、ミタルはその後アルセロールを買収して、アルセロール・ミタルが誕生しました。

アルセロール・ミタルが誕生してから、日本の鉄鋼メーカーは受け身のままです。

いつまでもこんなことをやっていて、またガラパゴス化して世界の潮流に取り残されるようなことがないように、してほしいものです。官さんは余計な口を挟まないでほしい(もう、インサイダー疑惑や不倫事件を忘れたわけではありません)。
 
 
最後はルネサスの経営陣の判断になりますが、自分の運命なので自分で決めてほしいと思います(再生したら自分で自分の運命を決められるような仕組みを目指してほしいと思いますが)。仮に今後も国内メーカーの下請けでよい、というなら非公開化してください。
 

株式投資において長期投資の投資対象企業として、「自分で自分の運命を決めることができる企業」というルールがあります。他人に運命をゆだねている企業が日本には多いような気がします。こういったガラパゴスな要因もPBR等の指標に表れているのだと思います。 

応援よろしくお願いします!

2012年9月22日土曜日

ポートフォリオ概況 第3位 Altria Group (MO)


現在第3位のAltria Group です。同社の元祖はフィリップモリス社です。フィリップモリスがクラフトフーズ、ミラービールと買収を重ね、タバコ以外の事業のポートフォリオが大きくなったことや、タバコのイメージを薄めるために改名して持ち株会社になりました。その後、米国内のタバコ事業以外の事業はすべて売却・分社し、USSTという無煙タバコ会社を買収して今日に至っています。元世界第一位の食品メーカーでした。

ピーター・リンチさんが絶賛していた会社のひとつです。シーゲル教授の「株式投資の未来」でトータルリターン第一位に輝いた銘柄でもあります。これが「過去の栄光」で終わっていないのが素晴らしい。

項目
コメント
会社名(ティッカー)
Altria Group (MO
本社所在地
米 バージニア州
何をやっている会社?
  米国内におけるフィリップモリス製タバコの販売(マルボロ、バージニアスリム、フィリップモリス等)。
  やはり米国内における無煙タバコの販売(スコール、コペンハーゲンブランドで全米の約50%のシェアがある。
  小規模ながら葉巻やワイン事業もある。
  世界第2位のビールメーカーであるSABMiller社(英)の株式を約28%保有する筆頭株主でもある。
投資時期、平均購入価格
20091~6月、および2011年初頭 約18ドル
現在の株価、バリュエーション
以下、Yahoo! Finance USAより
通貨は米ドルベースです()はドル=80円とした場合

株価
34.06
2011EPS
1.66(但し、Adjustedベースは2.07
2012年予想EPS
2.22
予想EPS成長率
79% (Adjusted ベース)
時価総額
690億ドル 約55000億円
実績PER
16.6x
予想PER
14.5x
DPS
1.76
配当利回り
5.30%
増配率
2010年 7% 201115 20127.3
EV/EBITDA
10.7x
年初来暴落率
+14.7
投資ストーリーは何か?
徹底した配当収入狙いです。御覧の通り、Yield on Cost1.76÷189.8ともはやスペイン国債より高利回りで、低リスクな「擬似債券」となっています。
経営陣のコミットメント
   特段のコミットメントはないが、投資家はEPS成長率7~9%を期待していると思います。DPSEPS成長率並みを期待
今後何を期待するのか?
同上です。金の卵を産むガチョウです。
強みは何か?
     言うまでもないが、キラー商品マルボロを擁し、全米のタバコシェア約50%前後を持つ。マルボロの全米シェアは約42%!! 圧倒的効率。
     無煙タバコにおいても約50%のシェアを保有。
弱みはあるのか?
   アメリカの消費不況。トレードダウン(安い商品への買換え)で、Lorillard社のマーヴエリックというブランドに押され気味。また、同社のメンソールタバコでニューポートというブランドにも苦戦している。
リスクは?
     タバコがFDA(厚生省のようなところ)の管轄となり、規制が厳しくなる傾向ある。たとえばタバコのパッケージにドギツイ絵(汚い胃の写真を掲載する等)を挿入しようと躍起になっている。
     たばこ訴訟。全米約47の州は包括的な司法取引により、90年代末に訴訟はいったん解決したものの、この取引に加わらなかったフロリダ州などでは訴訟が頻繁にある。但し、原告側は、タバコによる健康被害を「具体的・合理的に」見積もる必要性があるため、なかなか勝訴できていない。
     喫煙率の長期的な低下。
成長機会
     無煙タバコの市場成長。通常のタバコはアメリカでも年率▲3~4%の縮小とのことであるが、無煙タバコは逆に+5~7%の成長を遂げている。MOではタバコから無煙タバコにスイッチしてもらうような販促も展開している。なお、利益率は無煙タバコ>通常たばことなっているため、タバコ会社には都合がいいトレンド。
     ワイン事業の可能性。アメリカでも一人当たりビール消費量は減少傾向にあるそうです。一方、ワインのそれは増加傾向にあり、市場全体も年率5%程度拡大しているようです。個人的にはひそかにこの分野で大きく成長を、と願っているがタバコの利益率には勝てないのが残念(したがってOrganic Growth以外に期待できそうにない)。
競合先
     レイノルズタバコ(JTがかつて買収したのは、同社の海外事業部門です。当時の取り決めで、JTはアメリカ国内での事業はできません)。けど万年2位です。キャメル、ウィンストン(これマズイ)が有名。
     ロリラード。ニューポート、マーべリックのシェアが少しずつ伸張し、上位2社の地位を脅かしつつある不気味な存在。
     ブリティッシュ・アメリカン・タバコ。かつてはシェア1位だったようですが、最近米国内ではパッとしません。ラッキーストライク、ケントなど。
売るとすればどんな時?
    全米でタバコが撲滅するまで心中します。これまでも散々危機がありましたが、1株利益は成長を続けています。
その他
     株価はちょっと高めかもしれません。
     FDAによるパッケージ規制ですが、MOとしては積極的に反対していません。かつてのWSJによると、シェアがすでに50%前後もあるので、パッケージが変わったところでシェアも変わらないと腹をくくっていること、FDAがいったん規制を打ち出せば、それはインパクトが大きいものの、「お墨付き」を得ることにもなり、たばこ訴訟では有利に展開するのでは、という読みがあるようです。腹黒い。



株価チャート


業績推移



2008年にPhillip Morris やクラフトフーズと分社しましたが、過去の業績はそれを含んでいるため、200912期以降での推移が重要となります。
上記はMorningStar USAのデータ(GAAPベースだと思います)による業績推移です。
配当性向8085%を約束していたと思います。
設備投資(Cap Spending)がほとんど必要ないため(理由:米国内の喫煙率の減少による設備縮小)、Free Cash Flowはやはり、純利益(Net Income)潤沢です。

EPSはあまり成長していないように見えますが、今期(1212期)は$2.25辺りがコンセンサスとなっています(昨年はレバレッジドリースによる一時的な損失が大きい)。
SABMiller社の持ち分法収益はOperating Income1/5程度にも上ります。



応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ