2012年9月9日日曜日

米雇用統計について


私はエコノミストではないので、こういった人々が何を根拠に予想されているのか存じませんが、先月がよかったら、今月もその勢いが続くのではないか、とうモメンタムを期待してしまうことは否定できません。
しかし、データで振り返ってみましょう。



上記は楽天証券の米雇用統計のデータを拝借しました。各月の非農業部門雇用者の増加数は発表月の速報値だと思います(単位は万人)。

冬は異常な暖冬だったので、雇用が増加したが、春になってノーマル気温になったので、雇用増加数が減少した(先食い)、と言われています。

しかし、前年同月の記憶を振り返ると、昨年の6月、7月8月はそれぞれ1.811.70(万人)に対し、今年はそれぞれ8.016.39.6といずれの月も増加しています。

昨年はベライゾンワイヤレスで約5万人がストライキを実施した影響で6月、7月はそれぞれ5万人が減少、増加といったイレギュラーがありました。そこから考えると、結構改善しているようにも見えます。

また、リーマンショック後のリストラが特に激しかったのは、2008年の10月ごろから2009年の4月にかけての半年間です。毎月50万人以上の人が職を失いました。

景気回復期に入って、雇用統計の増加数がよかったのも、この辺の月に多いように思います。たとえば、2011年の2月~4月までと201112月~2012年の2月までなどは平均すると月20万人以上の増加を記録しています(2006年~2007年でさえその傾向がありますね)。


一方、比較的リーマンショックの波を受けにくかった7月、8月は、回復期の雇用増加数も緩慢な実績になっているように思われます。

発表値は季節変動を調整しているといっていますが、少し疑問に思うところもあります。


では、絶対数で見てみましょう。

これは、棒グラフは非農業雇用者数(千人単位、128月は133百万人)、折れ線グラフは非農業部門雇用者数の対前年同月比の増減率を示しています。

大統領選挙前で、企業は投資に二の足を踏んでいるといわれていますので(それでもシスコの電話会議では米国はやや受注が戻ってきたという発言もあった)、景気が加速すると期待するのは、やや楽観すぎると思われます。選挙が終わると「財政の崖」議論もありますので、今年いっぱい増減率は昨年の10月以降の実績値でもある1.3%~1.5%のレンジを意識して考えたほうがよいのかもしれません。

住宅関連指数も上向きで、自動車販売台数も戻ってきています。しかし、オバマ大統領の先日の演説でも、雇用と景気の回復はさらに時間がかかるといっていますので個人的にはQE3は否定的ですけど…。

確かにピーク時の約1.38億人の雇用者数からまだ5百万人も少ない雇用者ですが、金融市場がわあ~っと盛り上がったから、一気に穴埋めできる、とも思えない(事実2010年の11月から2012年6月にかけてQE2の時期の雇用者増加数と2011年11月から2012年6月にかけての増加数は騒がれるほど大差がないと思います。つまり、金融緩和と雇用者の増加はそれほど結果に結びついていないと思いますが、いかがでしょうか???)。


ということは当面、1ドル80円前後の為替ということになりますね。あ~あ。
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