2013年3月30日土曜日

3月の投資状況


 

3月は2月の雇用統計もよかったので、S&P500All-Time-Highを更新し、我が資産もさらに増加しました。

思えば、ドル円が90円でも、76円ぐらいでもドル円の「フェアバリュー」は90~95円程度だろうと信じてナンピン買い?を続けていましたが、イザ95円付近まで来ますと、ある程度暗算していましたが、ものすごい資産額の増加が短期間に巻き起こって、正直びっくりしています。

 
アベノミクスでインフレ率2%が継続的に発生すると、理論上ドル円はドルにペッグされるのかなあと思ったりします(実際にはFRB2.5%と言っているので、0.5%円高バイアスが残る)。

私もブランド物の腕時計ぐらい買いたいなあ、と思いつつも(今は5年前にヤマダ電機でセールだったリクルート向けの1万円のセイコーウオッチ。携帯電話があれば不要かなあと思ったりするが、オメガとかロレックスとか憧れるなあ)、くたびれたカバン、財布と定期入れを新調した程度(アベノミクスの有無とは関係のない単なる必需品の買換え)で、資産効果を満喫する様な出費とはあまり縁が無く、ここまでは来ています(したがって、アベノミクスの目論見が私に対しては現時点では、まだ当たっていない)。

これまでザッと、50万円をドルに両替すると6,000ドル前後になったものが、5,000ドル程度に「しか」両替できないという点が困った点です(都合のよい意見ですけど)。

世界経済はアメリカから悪くなって、アメリカから改善していますので、やっぱりまだまだアメリカが世界経済の中心にいるのかなあ、と思います。もちろん、アメリカでは合理性・効率性が他の諸国よりも高いので、需給バランスを比較的短期間に調整してしまうことが出来る点も見逃せないと思います。

自動車産業が好例でしょう。確かにGMやクライスラーは政府資金で救援されましたが、相当ぜい肉をそぎ落として再出発していますので、今や増産・増員ラッシュに沸いています。GM8ブランドが4ブランドになりましたね。

一方、ヨーロッパ諸国はこれから減産体制に入るのですが、労使交渉や労働者寄りの政府の干渉などアメリカほどバッサリそぎ落とすのはあのゴーンさんですら、難航しているようです。

我が持ち株のフォードも2015年ぐらいまで欧州は赤字だと言っていますので、困っているところです。

日本でも、相変わらず完成車メーカーは同じ顔ぶれですし、テレビ事業を完全撤退する家電メーカーはついに現れなかった。大型リストラをやると悪魔の様にマスコミに書き建てられるので、イメージダウンを恐れて経営者もなかなか踏み切れない。

目先の失業や混乱あるいは過去の自らの失敗(中には時代の変化で仕方ないものもあるけど)を認めることを恐れて、長期的・持続的な国家の経済成長・企業の成長に必要な手が打てない点も日本の弱みでしょう(「日銀理論」やモラトリアム法案で中小企業支援というのもこの一つかも。有名な経済評論家には成長をあきらめろというトンデモ理論を振りかざす人すらいる)。


今月の売買

買い:なし

売り:プレミア投資法人(一部)。(REITは)買値の3倍で売るという目標価格を突破。なかなか分配金の底入れ兆しが見えないので、目標価格を突破したこともあり、一部利益確定。

買ったときは(2009年の冬)分配金が16,000/1回もあったんですよ。いまや1万円をキープするのに四苦八苦。オフィス物件は元々B級物件ばかりだったので、震災対策等の今風のニーズに合っていない可能性がある。NTT都市開発がドーンと秋葉の物件を入れてくれたけど、投資家には寄与してくれていない。

同じ配当利回りで買える株式を物色することにした。親会社のNTT辺りは重要候補。
REIT相場は日銀の買い入れ期待で膨らんでいる。
(2009年には日本経済新聞に、某REITが民事再生を申し立てたこともあり、REITは借金で不動産を買って、借金を返さずに、蓄積した利益を配当にすべて回すため、欠陥商品という趣旨の三流記事が載ってましたね。懐かしい)


予想配当金増加率

プレミア投資法人を一部売却したので、さらに減少。



今月の増配

3社ありましたが、うち、2社は変則的

ピジョン これまでの年88円⇒122円(来年度)+38.6% 今期期末を増配することになっていますが計算に入れていません。あくまで向こう1年間ベース。

セブン銀行 6.5円→6.75円で+3.85% もともと6.2円から6.5円に増配を予想していたので、昨年比だと+8.9%になると思われます。

HSBC これまで、1ADS=$2.05の配当計算(1Q~3Q$0.454Q$0.7)⇒$2.401Q~3Q$0.54Q $0.9)で+17%。第4Q2012年度の数値で、ピジョンとは計算基準が違うことになるが、2013年度の4Qの配当は来年のこの時期に発表するとのことなので、これしか計算が出来ない。

4月に向けて

Sell in May が今年も到来するのかわかりませんが、あまり急がず、行きたいです。

決算期が変わると、雰囲気ががらっと変わることもしばしありますので、3月までと流が一新される可能性も残っています。
3月に発表された主要企業の決算も強弱バラバラだったので(特にオラクルが悪かった)、決算シーズンに波乱があるかもしれません。
アメリカの国債金利が、FRBの緩和継続発言もあったせいか、また1.85%と下がっています。

ただし、4月は比較的上げ基調な相場環境だった記憶があります。
個人的には自動車税・固定資産税等の出費がかさむ月です。



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2013年3月25日月曜日

日本株雑感

アメリカでは雇用統計がこのまま毎月20万人前後の非農業部門雇用者数の純増が継続し、失業率が順調に下がれば、又はインフレ率が上昇すればという条件付きで、金融緩和の出口戦略を模索する段階に入っていきそうです。それが4月からか、7月からか、10月からかはわかりませんけど(債務上限問題とかまだ火種が残っていることも忘れちゃいけないが、既に織り込んでいるように個人的には思う)。

何気に、アメリカ経済が良くなればなるほど、株価に硬直圧力がかかって、イマイチ成長だと金融緩和が継続されるので、かえって株価にポジティブな矛盾したイメージを持ってしまいます。

一方、日本ではこれからアベノミクス第1段が実行に移されようとしているので、株価下支え要因となると思われています(アメリカが金融引き締め、日本が緩和だと、たとえ財務大臣が、「学者はダメだ。なぜなら学者だから」とか、あさっての方向を向いた発言をしても、簡単には円高にならないだろう。円安要因ですね)。

アメリカで緩和策をやめるのは国内景気の回復が軌道に乗るからで、世界景気にはよいこと。

ということで、世界景気回復途上である、という見方に変わりない。

一方の日本株は、株価が上昇するとPERであーだ・こーだと議論されるが、株価が低いとPBRであーだ・こーだと議論される。ダブルスタンダードか何かわからないが、相変わらず単純な評価軸で考えにくい存在であることは確かだ。
ちなみに現在、日経平均は予想PER22倍、PBR1.27倍である。もう「PBRで見たら全然割安だ」という様な人は見かけないけど。

自分はアメリカ株と同じ尺度で考えることが出来そうな日本銘柄にしか投資しないことにしているので、こういった議論はあまり気にしないが、それでも花王3,000円超え(予想PER22倍)、ピジョンは6,500円超え(予想PER27倍)など、自分では高所恐怖症に陥るような高さにまで到達してしまっている。
ビジネスモデルや事業実態が順調にいっている会社なので、売り基準には程遠いが、ちょっと考えてしまう。哺乳瓶を売る会社に、ちょっとした成長株なみの評価がついている(確かに成長ストーリーが分かりやすいというのはあるが、老舗メーカーですよ)。

マスコミなどの外野は極端なことを吹聴して煽るのが一種の(彼ら自身の)仕事ではあるが、それに連れられているのかわからないが、株価もピンポン玉のように上下運動するので、やっぱり(比較感ですが)じっくり長期で構えにくい投資対象と言わざるを得ない。

そのボラティリティを「利用」するのが投資ってもんですが、アメリカ企業の様に業績やファンダメンタルズはしっかりしていても、株価だけ暴落するのと、株価のみならず業績等も暴落し易い日本企業では、同じ株価ボラティリティでも中味が違う。

これも日銀がしっかり金融政策を実行すれば、だいぶマシにはなる可能性があるけど(円高対策)、利益率の低さ等(例えば、日本では営業利益率が10%あれば「優良」に入るがアメリカでは、業種にもよるが「当然」に近い感覚)は企業自身が克服しなければならない問題だと思います。

現時点では、私の様なスタイルの者には日本株投資は身動きがとりづらい状態になってしまったと思っています。

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2013年3月18日月曜日

中国経済のバブルは崩壊するのか? 持ち株をどうするか






やっぱりバブルだよなあ、と思うこのごろ。偶然見つけたアメリカの有名番組60minuteを見てください。
(これ、カナダの不動産高騰がバブルだって関連で探したら、なぜか中国だったというもの)
日本でも同じようなものやっていた可能性もあるが、普段あまりテレビ見ないので…。

英語なんてわからなくても、何が起こっているのかはわかるはず。日本語が理解できる範囲で理解できる、それが語学力ってものでしょう。バブル先輩、日本人なら。

Nobody Comes ぐらい先に頭に入れていれば十分だろう。うわさや雑誌の記事程度で読んだことを目で確認できます。
中国人デベロッパー社長のインタビューだと英語もわかるでしょう。張本人?がバブルと明言。

日経新聞では平均年収の50倍の価格の不動産と掲載されていたと記憶しましたが、47倍まで下がりましたね!! あと40倍?

持ち株をどうするか
原則、バイアンドホールドで心中する覚悟。
元々そのつもりで買っているから。
税金がもったいないから。
持ち株は強力な競争力を保持していると信じており、バブル崩壊後もやっていけると思うから。
(実際、日本でもバブル崩壊後の業績と株価の落ち込みはアンマッチではなかったか)
一方、少しでも売って、バブル崩壊後に、バーゲンハンティングしたい、との衝動にも駆られる。
しかし、バブル崩壊相場が来ないときは、アホ見たい。
投資スタンスは維持する予定(あくまで予定)。
さらに迷うことに、アメリカの経済が少しずつ、改善傾向がみられることです。アメリカ経済はアメリカ国内需要で賄われるシェアがかなり高い(80%以上あるはず)。
しかし、アメリカ企業がアメリカ国内での売上高はS&P500の金融を除いた平均で50%を切っているはずだ(注:但し利益では50%を超えていると思う)。
サブプライムの時は、「アメリカ経済がダメだから、アメリカ株は売りだ」と言っている人に、「フィリップモリスやコカコーラはほとんど米国外の売上だぜ」と白目で見ながら、アメリカ株を買い集めていましたが、「アメリカ経済は内需型だから、心配ない」とわれても、GM、マクドナルドやYum! BrandsにNIKE等はかなり中国依存度が高いはず。 AT&Tやアルトリアグループを買えばいいんですけどね。
NTTKDDIの通信量が落ちるとも思えないし、ピジョンは既に売ってしまったし、デンと構えて、配当他のキャッシュが貯まるのを待つ、ということで臨むつもり。
なんとなく、数回こういう騒ぎがあって(アメリカ経済は強いけど、中国経済は弱いというネタに相場が振り回される)、その都度取り越し苦労で収まって、狼少年化したときに、本当に中国バブルが崩壊するという虚を突かれて、ひどい目に合う、というシナリオが最悪。
バブルが崩壊したら、現政権に反対する住民が蜂起して、その反乱分子を取りまとめる英雄が出たりすると、政権転覆という中国4000年の歴史がまた始まってしまうのか、というワーストシナリオまで想像してしまう。
(サウジアラビアでは、「アラブの春」が起こった時に、軍人の給与を30%以上アップして、軍事クーデターを未然に防いだらしい。おかげで原油が高値で張り付いているという噂)
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2013年3月16日土曜日

アメリカ株(外国株)投資は難しいのか?






外国株は難しい、ということをしばし耳にします。もちろん外国株といっても中国株もベトナム株もロシア株も南アフリカ株も外国株なので、ひとくくりに言えない部分があります。

私も経験上、少しの英国株、カナダ株以外はアメリカ株で、英国・カナダも基本、アングロサクソンなので、アメリカ株しか経験が無い、と言ってもよいかも知れません(中国株は2社ほど投資したことがあるが、イマイチだったので撤退して、それ以降はない)。

したがって、メインではアメリカ株が難しいのか? という点に絞って私見を言わせていただきたいと思います。
 

結論は、長期投資を考えた場合、多分、少なくとも日本株よりは易しいと思います。現在のバリュエーションなら、IBMやマクドナルド株を10年持てば、損する確率は極めて小さいのではないか、と思います。(個人的には7年で株価が倍ぐらいを期待しています。年率計算すれば10%程度)

なぜならば、

1.     国の経済運営が株価をかなり意識していること

2.     経営者も株価を引き上げること(株主還元を含む)に執着していること。短期的な利益と長期的な企業価値をバランスよく考えているように思う(勿論全社ではない)。

3.     企業の経営戦略もシンプルで分かりやすいし、経営者の変化への対応も早い。

4.     世界(先進国)で一番とは言いませんが、株式市場は効率的に運営されていること(私見では英国が一番ではないか)。

5.     投資家の層が厚いこと(効率的と裏腹になりますが)。バフェットを始めカリスマ投資家の存在。日本だとケイレツ系の投信会社とかが主流では?

6.     そして何より、長期投資Buy & Holdに適した企業がゴロゴロしていること(リーマンショックを経て、バリュエーション的に少なくとも10年程度は保有しても大丈夫だと思う)。

7.     したがって、株価は右肩上がりになりやすい素地がある上に、事実、現地通貨ベースでは、(10年~15年程度の踊り場があるとはいえ)株価は歴史的に右肩上がりです。ご存じの通りダウ平均は史上最高値で推移していますね。

8.     こういった下地があり、株式情報が非常に発達している(情報の質はまだらですけどね)こと。

アメリカでもバブルがあったし、株価崩壊もあったじゃないか?という意見。確かに。しかし、あの国は歴史から学ぶ面は日本より多いと思います。金融政策は過去失敗を繰り返していますが、都度軌道修正をして、今日に至っていますので、日本の官僚組織の無誤謬などはあまりなく、日本よりはずっと信頼できると思う。

そして何より、個別のアメリカ企業の経営状態は相対的に健全で、持続的な成長(注:一株利益を指す)をずっと遂げています。これが根本的に株価の上昇要因となっていることを是非理解してください。良い企業、良い市場、良い金融政策、これがアメリカ株投資は難しくない、という根っこにあります(注:「良い」という言葉は比較感、相対的なものです)。


日本株より難しい、あるいは不利な点

1.     ある程度英語力が必要(なくても出来るが、あった方が良いに決まっている)

2.     相場の時間が日本と真逆であること(夜にトレードしなければならない)

3.     手数料が高いこと(マネックス証券辺りだとかなり安い)

4.     為替リスクがあること

でしょうか。

ネガティブな要素のうち、英語力は、多分、日本の大学を卒業されていれば、基本は問題が無いはずだと思います。語彙力は都度ビルドアップしていけばいいと思う。ヒアリングは出来るに越したことはないが、リーディングで十分カバーできる。しゃべる必要性は皆無と言っていいと思う。

大企業なら、日本法人のHPでは、日本語で決算の和訳がアップされているケースが多い。

大半の人は、(いまさら)英語で株をやる、というめんどうくささがもっともアメリカ株を避ける要因のように思います。

夜のトレードである点は、長期を前提とすれば、指値した後は寝るだけだと思いますので、あまり問題ないのかな、と思います。文字通り、寝ている間に資産が増えます(当然減ることもある)。

為替リスクは日本企業に投資しても同じことでしょう、結局。私は今回、米株の上昇率の方が円高の進行率よりも高かったので、全体ではプラスで推移していました。一方、TOPIXや日経平均は沈みっぱなしでしたね。急激な円高になって、企業財務に与える影響にニュートラルになるまで2~3年はかかるので、日本株の方が被害は大きそうですね。


ポジティブ、ネガティブ以上に、何のために株式投資をしているのか、という根っこのところを考えたうえで、こんな人にはアメリカ株の方が有利と思う点を。






1.     持続的に成長する企業に長期でどっしり投資したいDow30種やS&P500の上位企業等ブルーチップ)

2.     財務が完璧に近い企業(つまりいい会社)に投資したい(やはりブルーチップ)

3.     やっぱり勝ち馬に乗りたい(これはグーグルやアップルといったテクノロジー系も含まれる)

4.     これから世界を制覇しそうな企業への成長株投資(かつてのマイクロソフトや現在のFaceBookのイメージ)

5.     グローバルな目線で考える習慣を身につけたい(注:アングロサクソンが世界経済を牛耳っているという事実)

6.     株に投資する以上、経営者は株主の方を向いてくれなきゃいやという人(配偶者からは常にアイラブユーを言ってほしいと思っているような人。この感覚、非常に重要だと思います。)

こんなことを思って株式投資をしたい人は、そこにはターゲットとする会社がゴロゴロしています。


電機や自動車の部品・部材を作る企業は優秀な会社が多いのが日本の特徴だが、アップルの営業利益率は30%もあるのに、その下請けで何か作って、営業利益率5%前後に終わって、「日本の技術が無ければiPhoneは作れないんだぞ」と言ってみてもやっぱりさびしい。


株式投資の中心地がアメリカであり、投資マネーを動かすファンドマネージャーの数と運用資産総額は圧倒的に英米人が牛耳っていると思いますので、その論理で株式投資をやった方が楽でしょう。


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2013年3月9日土曜日

どんな投資本を読むのか お勧め書籍 その2 千年投資の公理 (売られすぎの優良企業を買う)


千年投資の公理(パット・ドーシー著 パンローリング)

 

千年投資の公理
千年投資の公理
著者:パット・ド-シ-
価格:2,100円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

この本をお勧めする人は少数だったと思います。

これは元モーニングスター社(米国本社)のディレクター、パット・ドーシー氏が同社在籍時代に書いた本です。同社は投資信託のランク付け会社として有名ですが、一方で、個別銘柄の調査・分析も行っています。ドーシー氏はモーニングスター社の個別銘柄のリサーチ部門の責任者でした。
 
同社の個別銘柄の分析法に、Economic Moat(経済的濠)が広いのか、狭いのか、という項目があります。これはウォ―レン・バフェットが好んで用いる投資尺度の一つです。
 
この本では、どのような業種、企業にEconomic Moatがあり、深いか浅いのかということを様々な企業を例に出して、分析、解説してくれます。Economic Moatの要件を分類し、投資決定のプロセスを提案してくれています

経済的濠というのは、一言でいえば競争優位性(Competitive Advantage)を指します。競争優位性があるのかないのか、ある場合、どれぐらい維持できそうなのか、という点を格付けの評価ポイントとしています。

ざっと言えば、この本をマスターすれば「バフェット目線」で個別銘柄をチェックすることが出来るようになる、というのが理想形です。従いまして、優良企業を末永く保有することで、資産を積み上げたい長期投資家向けの個別銘柄選択の基準の解説本としては有用だと思います。


みなさん日常生活でご存じのこの企業のモーニングスター社における評価例を見てみましょう。

NTTドコモ
 
星が5つということは非常に強気で見ているということになります。NTTNTTドコモはニューヨーク証券取引所にも上場しているので、あちらのアナリストもこうやって分析対象としています。

Economic Moat は 「Narrow」になっていますね(しかし、狭くともあるだけよい方)。
 
Economic Moatの概要

1.     インタンジブル資産:特許、許認可、ブランドなどバランスシートに計上しない資産

2.     スイッチングコスト:いったん利用してしまうと、なかなか他社のサービスに乗り換えが容易ではないようなサービス(や商品)

3.     ネットワーク効果:当該企業のサービスの利用者が増えれば増えるほど、そのサービスの付加価値が高まるようなビジネスモデルを保有する

4.     コストアドバンテージ:常に競合他社より割安のコストでサービスが提供できる企業

5.     規模の経済:但し、競合他社に圧倒的な差をつけたシェアを確保している場合に限る

 

インタンジブル資産については、あまり書くことはないでしょう。日本の電力・ガス会社も強力な許認可に(現時点では)守られています。

バフェットの好みはブランド力ですね。チャーリー・マンガーが、リグレーのチューインガムを称賛する場合に、「ガムを買う場合、誰がたった10セントを惜しんで、他社のガムを買うだろうか。そのガムはほかならぬ自分の口に入るのですよ」と言ったのは有名。

スイッチングコストについては、銀行口座を例に引きだしています。いったん利用すると他の銀行に乗り換えるのは、手続きとして非常にめんどくさいものです。原油・天然ガスのパイプラインもこの範疇に入ります。

ネットワーク効果は、あまり広く言われていませんが、バフェット銘柄でいえば、アメリカン・エキスプレス・カードのようなものです。多くの人がアメックスのクレジットカードを使えば使うほど、そのサービスに価値が出てきて、その価値がまた別の客を呼び込む好循環を生み出しています。

コストアドバンテージは例えば、電炉のヌーコアのような企業を挙げています。日本では高炉=鉄鋼業というイメージが定着していますが、皮肉にもそのことが電炉業界に技術革新をもたらし、現在電炉で出来る鋼材の種類が広がりつつあります。他社よりも常に低コストでサービスを提供できることは重要な経済的な濠と言えます。バフェット銘柄でいえば、ウォルマートでしょう。
 
規模の経済は、単純にデカければいいというわけではなく、2番手以下に圧倒的な差をつけている場合は、その規模や基盤のゆえに他社を圧倒できる収益力を生み出せる、というケースです。ニッチ業界で圧倒的な規模を持つ、池の中のクジラのような企業を示唆しています。私は一時期、アイチコーポレーション(高所作業車で国内シェア60%超)を保有していた時期がありました。
 
但し、いったん作った濠が永遠に不滅ではないため、常にモニタリングしていかなければならない、と説いています。コダックもかつては市場を席巻していましたが、技術革新により破たんしてしまいました。

誤解されている濠

経営者の素質や製品の良さは短期的には業績を良くするが、それが長期的な競争優位性を確保するものではないので注意しろ、と警告を発しています。騎手に賭けるのではなく、馬に賭けろと言っています。これもバフェットが、良い経営者だからと言って、沈みかけた企業を立て直せるわけではない、と自らの体験で口を酸っぱく言っていますね(バークシャーは元々繊維の会社でしたが、時代の波に勝てずに、繊維事業を廃業してしまったことを指しています)。

素晴らしい製品、大きなマーケットシャア、無駄のない業務執行、優れた経営陣は、それ自体で濠を形成するものではなく、持続性の有無がカギになります。いくら素晴らしい経営者が存在しても、その経営者の次世代が会社を傾ける例は、身近にありますね(悲しいかな、ソニー、パナソニックは大経営者によって、発展してきたが、今は…。)
 
定量的にはROE15%以上を継続的に出せているのなら、何らかの濠があると考えて良い、と示唆しています(注:アメリカ株の場合)。
 
他にもありますが、長くなるのでこの辺で。

これを日本株に応用することも可能です。例えば、「ネットワーク効果」について。私の頭には、中古車オークション運営会社であるUSS4732、子供供名義で保有するプラネット【2391、などが思い浮かびました(というより、この本を読んでプラネットを発掘して買った)。

 しかし、株価はいずれも「売られすぎ」から、かなり戻しましたね。

著者パット・ドーシー氏について

パット・ドーシー氏は、現在はモーニングスター社を離れて、独立した投資アドバイザーのような仕事をしていますが、いまでもモーニングスター社に出演して解説してくれます。

当然ブルームバーグや他のTV局からも引っ張りだこで、コメントを提供しています。

 
ちょっと早口ですけど、こんな感じの人。


 
 私は彼から、Kinder MorganStrong Buyである、と聞いて、調査を開始して、買うに至りました(他にもいろんな人が推薦していましたが、彼が推薦したことが調査・分析を開始する決定打となりました)。彼が推薦する銘柄は、(決して鵜呑みにしませんが)新規候補銘柄として、重要視しています。基本的にEconomic Moatのある企業を長期投資で推薦しています。

(ビデオではKinder Morgan 以外にAbbott laboも推奨していますね。アボットはモーニングスター社のお気に入りのようです)

MLPは税金問題が煩雑で、どうしたらパイプライン業界に参入できるのかわからず、TransCanadaを買ったのですが、彼がKinder Morgan Inc.MLPではなく普通株投資を通じてMLP投資に類似したリターンが得られると言っているのを聞いて、「まさに探していた要件に当てはまる」と思い、調査して買いました。

日本株でも外国株でも、個別銘柄を長期で構えて、投資したい人にはフィットする本だと思います。


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