2014年11月14日金曜日

NISA口座での配当目的でのアメリカ株投資について






ちょっと前、知人とNISA口座の件で話をしました(後日内容をご紹介できるかもしれませんが)。

その人から、「NISAで外国株投資をすると、配当金課税のうち、海外で課税される分は非課税が効かなくなる。」とアドバイスを受けました。


私は、NISA口座については基礎的な知識しかなかったので、そんな事とはつゆ知らず、普通に米国株を買ってしまいました。枠は7月でスッカラカンです(おかげで為替差益がすごいです)。


したがって、「配当目的で外国株を使うのは、効率がよくないのでは?」 という話になりました。

その時は、『そんな、日米租税条約でお互い免除しましょう、と言っているものが、NISA如きの低レベルの取り決めが優越するのは、法律の立てつけとしておかしいのではないか?』と思いました。


気になって、調べてみると、残念ながら、マネックス証券のサイトに確かに記載されていました。




:以下抜粋

外国証券投資による利子や配当金は、まず外国で課税されさらに日本国内でも課税されることから二重に課税されることになります。この二重課税を排除するため、外国で課された税額を日本の所得税や住民税から控除する規定が設けられており、この規定を「外国税額控除」といいます。
外国税額控除の適用は、確定申告をして総合課税または申告分離課税を選択した場合に限られます。
ただし、非課税取引(NISA)については確定申告をすることができず外国税額控除の適用を受けることができません

抜粋終わり:


え~っ、なんでやねん、って感じがしましたが、知らないこっちが悪かった。

しかし、どれぐらいのインパクトがあるのだろう、としつこく食い下がって、具体的に分析してみました。




上の図は、NISA1年分を想定して、日米株の税制を考えながら比較したものです。米国株に投資すると、両替手数料がかかるじゃないか、というご意見がありますが、そこは今回割愛させていただきます。数字は単なるシミュレーションですので、細かいことは税理士にご確認ください。

現状

100万円の元本で、ともに配当利回り3%で投資できたとします。すると、米国株は、税前配当金のうち、まず米国所得税率10%が控除され、その後日本の税率20.315%が控除され、結局税引き後の配当金は21,515円と計算されます。

3000円は外国税額控除として確定申告で取り返します(還付後は24,515円)。


日本株は、そのまま23,906円と計算されました。

(これだと確定申告すれば、米国株のほうが有利になってしまうのだが、合っているのかな?ここまで深く考えて投資していませんでした)


NISA-1

NISAでこれを運用した場合の結果を示しています。この場合、外国株の3000円は確定申告できない、ということになってしまい、日本株のほうが3000円取分は多いことになります。


しかし、配当利回りが同じ前提で物事を比較する(比較するなら当然条件をそろえる必要性があるので、考え方としては正しい)必要性は実務上、なさそうな気がします。アメリカ企業のほうが、昔から配当性向は日本企業より上です。


NISA-

ここでは、もっと具体的に、では日米いくらの配当利回り差だと、外国税額控除がなくとも、条件がイーブンになるのだろうか? と思い、比較してみました。日本株の配当利回りが3%だと米国株は3.35%でほぼイーブンになります。


NISA-

日米の代表的なインデックスで比較してみました。S&P500のほうが配当利回りは0.35%ほど高いので、仮にインデックスに投資した場合(実際のインデックスファンドの配当には詳しくないので、単なる指数の比較にとどめます)、S&P500のほうが受取配当金は上と出ました。


NISA-

具体的な銘柄比較に落とし込みました。AT&TNTTなら、結構お似合いの比較になるでしょう(いずれも私の保有銘柄ですが)。AT&Tの配当利回りは、ここ数年ずっと5%を上回っています。J-REIT以上の利回りです。

NTTは最近株主還元に積極的になりつつありますが、それでも2.73%程度しかありません。


圧倒的にAT&Tに軍配が上がります。


また、5年という時間軸で、どちらの配当成長率が高いのか、とか、事業の成長率が高いのか、なども比較検討になるでしょう。


為替については、中立的な解説になっていますが、投資元本は円高になれば、どちらもダメージを確実に受けるでしょう。日経平均が「ドル円為替連動型」である点を考慮すべきでしょう。


ドル建ての配当金については、円高になると、価値が下がってしまいます。ただし、再投資を考えている場合、そこに気を取られる必要性を、個人的には感じません。


私見では、まあ、気にする必要性はあまりないなあ、という結論になりました。よっぽど候補銘柄の事業性や将来性が類似していて、配当利回りや配当成長性も似ていれば、日本株にするかもしれませんが、そこはやはり株主コミットメント意識の強い米国株が一枚上手なのだろうなあ、というのがありますね。

結局は、制度の数字よりも、どんな銘柄をどんな目的で買うか、その銘柄がどれだけ信頼できそうかって観点のほうが上位に来るなあ、という分析結果となりました。ホッとしましたね(笑)。


たぶんアメリカ株に慣れていれば、直感的に、アメリカ株の配当性向>日本株の配当性向って図式がピンときますし(PERもアメリカ株が低い傾向があるので、全体の配当利回りはアメリカ株が高くなりがち)、中にはアメリカ株のほうが業績のトラックレコードも含め信頼性がる、という人もいますし、要は全体感として(あくまで全体ですよ)アメリカ株のほうが投資対象として魅力的なのですよ、それに行きつきましたね。






他社日米配当利回り比較


P&G 2.9% キンバリー・クラーク3.0%、ジョンソンエンドジョンソン2.6%
花王 1.5% ユニ・チャーム 0.61%、アステラス製薬 1.65%


コカコーラ 2.9%  ケロッグ3.1%     キャンベルスープ.2.9%
 
キリンHD  2.6%  日清食品HD 1.24% キッコーマン 0.7%


ユニオンパシフィック 1.6% CSX 1.7%  →ともに鉄道会社
JR東日本 1.34%    阪急阪神HD 0.9%


CFが安定していそうな業界の代表的企業の配当利回りの日米比較を簡単にしてみました。
(連続増配するかしないかは、ちょっと無視しましたけど)




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10 件のコメント:

  1. そうなんですよね。だから私は配当無しの米国株でNISA枠を費やしました。
    BRK.BなんかがNISAにはちょうどいいのかなと思っています。

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    1. ロン株さん、コメントありがとうございます
      BRK.Bなどは値上がり益を目いっぱい狙うには、よい銘柄ですね。
      まあ、私はマイペースで連続増配株ばかり買っていきます。

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  2. 魅力的な企業ならという前提で、株式配当非課税の英国企業という手もあるかと思います。

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    1. FDG金星人さん
      私は来年の枠に、HSBCを考えています。
      ディアッジオなども良いかもしれませんね。
      英国株でも十分対象になると思います。

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  3. 所得の状況等によりますが、外国税額控除では源泉された米国所得税の一部しか還付されないことがほとんどだと思いますよ。

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    1. ライエさん
      そうなんですか。私は毎年パソコン入力で確定申告していますが、だいたい控除してもらっていますのですが、やり方がおかしいのかな。

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    2. いえいえ、そのあたりは条件によりますので。
      源泉された米国所得税を上限に、所得が高いほど、そして国外所得の割合が大きい人ほど還付が多くなる仕組みです。

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    3. いえいえ
      ただし、年金受給者などになった場合、おっしゃる可能性は否定できませんので、留意しなければならない、と悟りました。
      ありがとうございます。

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  4. http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-2629.html

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    1. 記事を読みましたが、当たり前のように思えるのですが?
      私の上の簡易シミュレーションとの違いがよくわかりません。

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