2014年11月7日金曜日

GPIF運用論争 郵貯運用、インフレ率、円高円安、消費税増税など つらつらと


ちょっと議論には遅すぎますが。

ずいぶん前から、GPIFの資金を「積極的に活用する」という議論がありました。

たぶん、小泉・竹中政権時代からも話があったように記憶しています。当時のGPIFの専務理事は「上場企業にROE8%」を掲げていたりしていたかと思います(その方は厚労省のいわゆる天下り役員だったと思いますが、志は潔し と思ったりしていました。しかし、その方が退任されてからは元の木阿弥)。

 

つまり、国内債券比率を60%から引き下げる、というものです(引き下げが先日発表された)。

この国内債券への投資には矛盾した議論が噴出していると思います。

 

GPIFとなると、目くじらを立てて、「安全第一」を叫ぶ声が多い(年金資金を株なんかで運用して、年金財政が破たんしたらどうするんだ、というものがもっとも多いような気がします。中には金融機関に対するフィーのばらまきだというよくわからない説もある)。

 

しかし、一方では郵貯の資金を国内債券(日本国債のこと)中心で運用すると、「国債が暴落したら、郵貯が破たんするから危ないので分散投資するべきだ」、という議論が多かった。

 

どっちやねん。一人で同じことを言っている人は、マスコミだけか???

 

GPIFの運用目的は年金。郵貯で預けている人の多くは、現役世代の生活資金や余剰資金あるいは年金を受け取った後の余剰資金あるいは生活資金ではないのか?

しかし、郵貯のほうはかなり大雑把に言って、運用原資は定期貯金がメインなので生活資金の余剰資金と言ってもよいと思う。

余剰資金と言えば、老後のため、家を買うため、学費のためなどが使用目的として考えられる。

 

つまり、GPIFも郵貯も運用目的の性格は基本的に同じだと思う(郵貯は任意の人の金融機関だけれどその存在は国民的と言っていいと思う)。しかし、片方では「国債に投資しないとヤバい」とあおり、もう片方では「国債に投資しているとヤバい」と煽る。

 

日本国債が暴落するのかしないのか、ということは私にはわかりません。たぶんしないと思う。財務省は「万が一暴落したら」、というワーストケースを(恣意的に)言っていると理解している。

 

ここで金融政策のブレがないことが重要ではないか、と経済学者でもない私が言うと笑い話かもしれませんが。

 

デフレ脱却を目指すのが、「安倍政権」なのか「日本全体」なのか。黒田さんの次の日銀総裁が先祖がえりのようなデフレ政策を採用する可能性がないのか(日銀法の改正)、財政再建が先かデフレ脱却が先か、、、。

総理大臣が「デフレ脱却が第一」、と言っているそばから副総理(財務大臣のあの方)は「増税第一」(消費税増税)、と言っていますから、聞いているほうは(私個人は)どこまで「本気」なのかわかりません(副総理のほうが総理より態度が傲慢で、そっちが本音だろ、と勘繰っているだけですが)。

 

デフレ脱却が第一なら、消費税増税を延期(できれば中止)すべきだと思います。そう宣言すれば、日銀緩和第二弾は不要だったと思う。みな安心して消費するでしょう。

 

インフレと関わりますが、仮に為替(ドル円レート)を安定化させたいのなら、米国インフレ率に連動したインフレ率を目指さないと、理論上は無理です(もっとも短期的には、円高になったり円安になったりしますが)。

金利もしたがってある程度上昇を受け入れなければなりません。

そうなれば、おのずと国債の比率をどうすべきか、という議論もスムースにできると思います。

円高も円安も嫌で、インフレもデフレも嫌で、金利は低金利がいい、要するに今のままがいい→そりゃ無理です。副作用なくして難病を治す薬をくれと言っているようなもの。

 

本気でインフレ率2%を目指すのなら、GPIFのポートフォリオ入れ替えは正しい判断だと思います。デフレでいいのなら、従来のままでいいと思います(GPIFはもう変更を発表しちゃったけど)。

インフレ率2%、名目GDP3%から4%とした場合、長期金利は確か学者さんは4%前後が理論上妥当と言っていましたので、今の低金利の国債の保有継続では、貨幣価値の維持ができなくなるので、結局年金財政の毀損を招きます。

 (郵貯銀に「積極運用」を進めているわけではない)

インフレになると、「日本は財政が最悪なので、国債が暴落すれば、国家予算が破たんする」。

イタリアやギリシアの国債金利がどうなったのかを見ても、どこまで悲観するのか、って気もしますけど。

PIGSの国債なんて、それこそヘッジファンドの空売り天国だったんじゃなかったのかな。

ハイパーインフレが発生する要因は、過去を見てみると、需要側ではなく供給側にあった。つまり、戦争で生産設備が破壊され、その後物資の供給が追い付かず、インフレになったというもの。第一次大戦後のドイツや第二次大戦後の日本が先進国では発生しています。需要側の要因ではなく供給側の要因だった。

 

ギリシアですら発生していないのに、日本で発生するとは思えない。ましてや消費税を2%上げなかったら国債金利がハイパーに暴騰するという結論には無理があると思います。

また、過去の日本の経済成長を見ても、バブル期の一時期を除き、インフレ率がプラスの時にGDPは確実に成長していました。賃金の上昇が遅れてやってくるので、何となく損した気分になるのでしょうが、一方では失業率も低く抑えられ、政治で最も大事な雇用は守られていました(雇用への価値観も当時は終身雇用だったということもありますけど)。生活保護者も少なかった。

 

日本の国の経済が成長できれば、税収が自然に上昇するので、消費税を増税して、景気悪化を招いて税収の増収を抑えるのとどちらが「国民フレンドリー」な政策なのかって気がします(当然私見は前者です)。

 

いろんなケースを比較せずに、単に消費税増税が真の財政再建だといっている時点で財務省とその族議員(自民税調)やその「ポチ」メディアのポジショントークって見え見えですよ。大体自民税調の野田氏ってのは、かつて小沢一郎とつるんでた人で、自民党を任意で一度出て行った人ですよ(その後自民にカムバックして、なんであんな重要ポストにいるのかは不明)。

 

財源をどのように確保するのかって足し算引き算の問題で、どこから財源を持ってきても、財政改革への効果は同じのはずなんですよ。GDP60%を占める個人消費に打撃を与える政策を進んで行う意図は、国民生活を考えた場合、おかしいと思う。

(消費税を増税すれば税収が安定するという説はあるが、益税(所得税・法人税など)が減るので、結局全体の税収はあまり変わらないか減少が見込まれている)

 

結局、日本経済を持続的な成長路線に回帰させるためには、デフレではなく、2%程度のマイルドなインフレで推進することが財政も考えた場合、最大公約数的に良い、ということであれば(だと個人的には思う)、多少の円安、多少のインフレ、多少の金利上昇は受け入れるべきかと。それを前提に国家経済運営を進めるのであれば、国が関与するGPIFはそれに従うべきかな、と。

自分たちの年金運用ならば余計にですね(もっともGPIFが運用している資金の多くは、今すぐ給付が必要とされていない余剰金ですが)。

 

もちろん金利や為替は市場で決まるので、その時々の激変時期は許容しなければならないと思う。

 

と言っている私もポジショントークかもしれません。結局みなさんが自分の立場でしゃべるので、安倍さんは早く成果を出したいでしょうね。しかし、賃金上昇は遅れてやってくる(はず)。

 

15年デフレをやったんだから、この10年ぐらい、インフレを試してみてもいいんじゃない?その結果を検証してみると面白そう。

 

一つだけ追加、安倍さんデフレ脱却、日本経済再生と言いながら、なぜ移民の積極受け入れは悲観的なのか、これが理解できない。移民に消費税、年金、医療保険(介護保険もついでに)を払ってもらえばいいのに。

財政負担をする人の一人当たり負担を増やすことばかりではなく、負担者の増加(人口の増加)も考えてほしいなあ。

売上高は、客数 × 客単価 で求められる。客単価ばかり議論しているのが今の日本。

 

つらつらとお付き合いいただきありがとうございました。

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