2012年4月28日土曜日

4月の投資状況

ニューヨークは30日も開いていますが、集計してからそれに気づいたので、27日で閉めました。


この1ヶ月間でドル円は3.1%円高ドル安になり、総資産は-2.8%となりました。ただし、TOPIX-5.9%だったようです。S&P500はほぼフラットでした。
年初来では、TOPIX+円安分ぐらいの総資産の伸びとなっています(15.2%はざっくりTOPIXの上昇分10.4%にドル高分の4.3%を加えたのと大差が無い)。

銘柄の多くは米国大企業なのですが、実態は為替レート変動型TOPIX投資のようですね。

アメリカ経済は4月に入って、雇用は伸び悩みの様相を呈しています。やっぱり単なる暖冬による先食いだったのかな? GDP成長率は一時速報2.2%でしたが、元々1.5%とか言っていたので、よかったのでは? 第二四半期はもう少し減速するのかなあ? 感覚的に1.5%から2.2%ぐらい。ニューノーマルですから。その後大統領選挙で、ぐあ~と行って、来年が正念場???

長期金利はまた2%を切っていますね。

今月も売買無しで、投資は開店休業状態です。色々出費があったり、ローンの返済を優先したり、投資にまでお金が回ってこない。


予想受取配当金増加率は先月比で+2.2%となりました。主力株が続々と増配発表を行う半面、多少の円高もあった。年初来では+11.7%増加。
今月の増配銘柄。多分今月がピークだろう。



なお、D.G.R.とはDividend Growth Rate(増配率)のことです。Expectedとは、年初に自分で勝手に予想した増配率のことです。
IBMP&Gは少し期待外れの半面、Chevronや花王は予想以上、Dow Chemicalは予想外に良かった。

JTは前回、123月期の下期配当を引き上げただけで、今回は通年で予想を引き上げたので、2回掲載しています(株式分割後を記載)。
沖縄セルラーやJTは株式分割を発表しています。結構、追い付くのに忙しい月です。

配当利回りは3.74%、Yield on Cost5.14%(円ベース、税前)となっています。AAAのJ&J株は4%超の簿価配当利回り、AAの米国債は2%を切っています。

決算が予想以外に良かった、と言うことになっていますが、アナリストさんも気を使って、予想をかなり引き下げたんだろうな。伸び率で言えば、確か除くAppleでは横ばいないしはマイナスだったはず。Appleのインパクトが非常に大きい。

5月以降は
  • 5月:毎年恒例?の欧州債務危機の 「強化月間」 ???
  • 6月:ツイストオペが期限切れ。QE26月で切れたがその後相場は下落
  • 7月~8月:米国ドライブシーズンもピークアウト。原油相場に注目。
  • 8月:またバーナンキさんに講演で金融緩和の継続を催促???
  • 大統領選挙で、みんなお金を使うから、景気回復????
ドル円80円台は風前の灯ですね。日銀は 「精一杯やった」 ことになっているので、今度は財務省にまた「おねだり」 するのかな?IMFの次は世界銀行へ拠出するためとか言い訳して。

昨年はこれに米国債の格下げ発表や米議会の債務上限問題などが絡んで波乱となりました。

中国の経済も実態に大きな影響があるとは思わないですが、相場に一旦織り込んだ方が後々楽ですね。

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2012年4月26日木曜日

マイケル・ウッドフォード氏、「解任」を読んで 二重人格国家・日本


オリンパス事件では思うところが色々あったが、このブログでは株式の話題を優先してあまり取り上げませんでした。多分、これが最初で最後だと思います。

元オリンパスCEOが書いた自らの解任劇。小説の様な描写で引き込まれるように一気読みしました。

オリンパス事件は世間では、バブル時代の財テクの失敗した損失の飛ばし、いかがわしいケイマンファンドを活用した粉飾決算、証券会社の悪知恵、外国人経営者が独断専行して日本の文化に合わない、そういった報道のされ方だったように思います。

しかし、社内の首謀者?たる元代表取締役や取締役および監査役は逮捕されました。にもかかわらず、臨時株主総会は株主の意向?によって、茶番劇の様にあっさり終わってしまいました。

本では一連のM&Aおよび不透明なキャッシュの支払と反社会勢力の関係が示唆されています。内部告発者や「FACTA」の記事もそれをウッドフォード氏に上げていたようです。

もし仮に、バブルの飛ばしだけの話なら、オリンパスを立て直すのにはウッドフォード氏と債権者が協力するのが最もいいと考えるのですが、最大債権者たる「メインバンク」が(著者の認識では)ウッドフォード氏を嫌っていたそうです。

日本人得意の玉虫色決着で終わった本件、なぜ・誰が玉虫色の決着でメリットを得るのか、と考えて行くと、やはりまだ痛い腹を探られたくないグループが存在し、腹を探りまくっていたガイジン経営者を排除したかった、と考えるとスムーズにオリンパス事件全体が流れるような気がしました。

このメインバンクの旧大阪方はバブル期に「向こう傷を恐れるな」と大号令をかけて、大阪の繊維商社を舞台に、反社会的勢力等とも絡み、大きな向こう傷を負っていますね。

この本では、メインバンク、持ち合いの日本株主などの「もたれあい、事なかれ主義、秘密主義」の日本人と「民主的で、高潔で、やさしさと思いやりにあふれた世界に属する」日本人が登場します。残念ながら前者の力が大きかったようでした。

この構図は東日本大震災・福島原発においても見られたように思います。

『二重人格国家・日本』(と私が勝手に呼んでいます)がここにあり、本件は日本人の二重人格性が如実に表れていると思います。

同じ過ちを繰り返さないために、一個人が出来ることは何でしょう?「清き一票」を投じるほかありませんが、「民主的で、高潔で、やさしさと思いやりにあふれた世界に属する」日本人が「もたれあい、事なかれ主義、秘密主義」の日本人をリーダーに選出してしまっている、という事実も頭が痛いものです。

曖昧にせず、徹底的に物事を議論する、そんなところから初めていかなければ、いつまでたっても事なかれ主義は続きそうです。

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2012年4月22日日曜日

株の売り時(損切り)


非常にしばしば議論されるネタですね。損切りが出来ないとダメだとか、買値から▲X%下がったら自動的にロスカットしろとか、言いますね。

まず考えるべきはなぜ株を売るのか?(株を売る理由) 
私は信用取引をしていませんので、ロングの場合ですと

  1. 十分なリターンを確保した時
  2. これから株が値下がりそうだから
  3. 投資した時点のストーリーと「株価」が違った方向に向いたから
  4. 投資した時点と「業績見通し」が(主として)悪化したから
  5. 不祥事等が発生して経営陣が信頼できなくなったから

などなど

が考えられます。

やはり、各人の投資目的、投資方針等によって、売り時は変わってきますが、以下は主として損切り(上記の例ですと、3~5が該当するのではないかと思います)について考えたい(1とか2とかは満足した「EXIT」なので議論になりにくい)。

「長く」(注:長期取引とは限らない。デイトレでもスイングでもいいので、株式市場で5年から10年以上は継続して取り引きするような投資家をイメージ)勝負を行っていくためには、常に良いコンディションで相場に対峙したいと思うのではないでしょうか?

いつまでも過去の誤った判断や誤った投資を引きずっていては、精神衛生上よくないと思います。仕事の失敗でいつまでもくよくよしていても仕方ないですよね。

どこかでケジメを付けて、フレッシュな気分で臨みたいものです。

損切りとはそういった「精神衛生の維持高揚のため」に行われるべきものだ、と個人的には考えます。これが結論です。

自分が「長く」株式市場で取引を行っていくための精神衛生を保持していくには、どういった時に株を売るのがいいのかを考えればいいのではないでしょうか?

したがって、「良い精神コンディション」を保持できるのであれば、手段である売り時は各人によって様々であるべきだと思います。

(もちろん、相場そのものが下落局面にあるときに、よい精神コンディションを維持するのは簡単ではありません。長く取引していくためには忍耐や規律といった我慢系の心構えも同じぐらい必要だと思います。ザックリとしたイメージですが、我慢の時間帯が8割で残り1割から2割程度の時間帯で、一気に株価がアップする、そんなような感じがしています)

ちなみに私の場合は、投資銘柄に個別に簡単な投資ストーリーがあって、それを年ごとあるいは四半期決算ごとにロールアップしていき、根本の見通しが崩れたら売るようにしています(今だと配当の成長率が思ったほどでもないとか感じた時。配当の成長を測定するには業績を測定しなければならず、業績を予想するとなれば業界動向やマクロ動向も勘案せざるを得ませんが、この辺は大雑把)。

また、経営陣による不祥事など発生すれば、当然売りになると思います。

更に、なんとなくホールドするのが気持ち悪くなってきた場合も売ります(言いかえれば独断と偏見、しかし、この第六感も否定はしていません)。

まあ、こうやって損得を繰り返しながら、形が出来上がっていくように思いますが、最低12年はホールドして、4回から8回の決算発表時にシナリオチェックをしていくことを重要視しています。

しかしながら、例えば、10%下がったら即売れというアドバイスは、言っている本人は何らかの経験上それで納得しているのだとは思いますが、聞いている方はそれで納得しているのかなあとお節介に思ってしまいます。

こういう定量的なロスカットルールの人は、売却代金はどうするのでしょうかね。それについてのアドバイスがないので、片手落ちかもしれません。

売却代金で定期預金か個人国債でも買え、とアドバイスするのなら、それはそれで理解できますが、そのお金はまた株式市場に戻すのでしょう?

損切りしたお金で、次の投資が成功する確率、次に買った株がまたまた▲10%下落する確率、実は売った株を持ち続けていると+10%超上昇する確率、どれも理論的には同じはずです(これを統計できる学者は多分いないはずだ)。

10%ですぐ売らなければならない程度の分析能力で、次に買った株が+10%超稼げる、と考える前提も、都合が良すぎるように思いますが、まあ、当人がご満足されているのなら、それで良いと思いますが、それが勝ち残るのに当然だ、と言っている人の意見がクローズアップされることに違和感を覚えます。

なお、利益確定ルールとセットで指導されている方は、一応筋が通っているので納得感があります(手数料を入れるとどういったリターンになるのか一度聞いてみたい気がするが)。

要は自分なりの答えに行きつくまで、試行錯誤がやっぱり必要なのではないでしょうか?投資の模範回答は一つではないと思います。私は未だ試行錯誤期間中にありますが。


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2012年4月18日水曜日

東芝テックのIBM流通業向け情報端末事業の買収について


ロイターの記事を読む限り、双方にWin-WinM&Aに見えます。
東芝はIBMの持つ世界シェア1位の流通業向け端末事業を買収し、IBMはソフトウエア、ITアウトソーシングビジネスに専念できます。

円高を利用して、日本のグローバル企業が世界のIBMの資産を手に入れた、となれば華やかな記事なのでしょうね。

しかし、POSレジはもう一昔前のもので、コモディティ化しつつあります。

IBMのホルダーである私が言うとバイアスがかかってしまいますが、このディールで、また「世界市場で活躍する日本企業よ、いいぞ」な~んて思っていると、片手落ちだと思います。

IBMは自らの事業目標を追及するために、あえて世界シェア1位のハード事業から撤退したのです。「組織は戦略に従う」という経営戦略の教科書どおりに着実に手を打っているのです。

(日本だと、「組織は人に従う」にどうしてもなってしまいませんか??? 組織を変更するとき、主要役員の数だけ本部が先に出来てしまいがちのはず)

おそらくIBMの利益率は多少改善するでしょう。それ以上に、新CEOが投資家に、ソフトウエア路線を再アピールできた点が彼らのメリットではないかとおもいます。きわめて合理的な行動に思えます。

私もIBMの選択は、ホルダーであるがゆえに、正しいと思います。

事業を売却するときは、まだ「売れ時」に行うのがよいのです。赤字でダメ事業になってからでは遅いのです。結婚と同じで婚期を逃してはいけません。

日本企業はとにかくいろんなものを抱えて、結局大赤字で躓いてしまいます。売りもM&Aなのです。株と同じですね(株も経営も投資判断という点では似ている)。

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2012年4月15日日曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 その4 パイプライン会社





日本でも国際石油開発帝石社が国内でパイプライン運営を行っているそうですが、私はほとんど興味がありません(大株主が経済産業省の会社に株主目線があるとは思えない)。

北米のパイプライン会社では、多くの場合、資産と運営を別会社化しています。資産はMLP(マスターリミテッドパートナーシップ)というビークルで保有し、そのビークルに投資家の資金を招き、投資家はLPLimited Partner:有限責任の投資家)として資産を保有することになります。ビークルを上場させて、LPの持分は株式の様に売買出来るようになっています。
運営会社がゼネラルパートナー(GP:無限責任社員。開発、建設、運営管理を行う)としてその運営に当たります。

ざっくり簡単に言えば、REIT(不動産投資信託)に似たような仕組みです。

アメリカでは、MLPに石油・天然ガス関連の収入が90%以上あれば、法人税を課されず、投資家は2重課税を免れるため(投資家は配当収入に所得課税されるのみ)、インカムゲイン対象としてのMLP形式の上場が目立っています。

パイプライン会社の収入は、基本的にはパイプラインの通行料(運賃)とタンクの利用料(家賃;タンクが顧客の在庫代わりになる場合)そして、中にはパイプライン会社が製油加工するケースもあります(売買)。最後の売買以外はフィーベースの取引ですので、原油相場に直接左右されません。

また、巨額の設備投資を先に行うので、投資する側も事前に需要家と長期の契約(または見込み)を締結してから投資に着手するので(Take or Pay:需要家が資源を購入すると決めたら、契約期間中必ずそれに見合った代金を支払わなければならない拘束性のある長期契約を結ぶ)、運び屋たるパイプライン会社には設備投資のリスクは低いことになります(しかし、時々パイプラインが事故を起こして原油をアラスカの森林にまき散らした、とかいうことが話題になりますので、そういうリスクはあります。また多少レバレッジを利かせるので、金利上昇局面ではコスト高になることも想定される)。

また、パイプラインの運賃もアメリカ国内のInter Stateベースの場合は当局によって上限が決まっており(物価により改訂がある)、個別にはボリュームディスカウントやスポット価格など、利用者との契約が定められます。つまり、パイプライン会社の収益の中心は、相場に左右されにくいフィーベースで長期契約の中に立っている点に特徴があります

これまで何度も述べてきたとおり、今、北米でエネルギー投資が盛んで、新しくできたシェールガスやシェール石油の油田地帯では運送手段が追い付いていません。
トラック輸送を強いられているケースもあります。一つの油田、ガス田の存続は何十年もあるため、当然パイプラインの敷設を考えます。

さらにシェールガスブームで天然ガスの相場が暴落してしまいましたが、暴落すると発電資源や化学産業の原材料などにも需要が高まり、パイプラインを通行する天然ガス量は実は増加傾向にある、と業界では言われています。

したがって、パイプライン会社はパイプラインまたはタンクの資産額が増えるほど収益が伸びる体質にあります。パイプライン会社は増資や借入金で今、盛んに投資を行っています。

また、REITと似たようなスキーム、と言ってもREITと決定的に違う点は、MLPGPの報酬は、LPからの配当収入で賄われる設計になっている点です。

J-REITの場合、資産残高に応じてフィーが支払われる仕組みになっていますが、MLPの場合は運営会社であるGPの報酬はLPの配当収入から賄われるため、LPの投資家とGPのインセンティブが同じになり易い点が投資家にはGood Newsだと思います。

そして、GPには分配金のインセンティブ制度が通常あります(いくら以上儲けたら、いくらのインセンティブ配当を行うというルールをLPと締結しています)ので、益々目線が投資家よりになっています。 

日本のJ-REITも運営会社は分配金で賄われるべきだと思いますね!そうすれば、ばかげたディスカウントPOなんて発想はなくなるでしょう。




ただし、J-REITは税引き前利益の90%以上かつ会計上の分配可能額が分配金の範囲だったと思いますが、MLPは基本的に分配可能なCFのほぼすべてを分配する契約を締結している点が違うところです。増加運転資金や成長・維持に必要な設備投資を行った後のFCFをすべて分配するような感じです。

この辺ややこしいのですが、税引き前利益を超える分配を行う可能性があると言うことです。初めに大きな投資を行えば、後は減価償却費の範囲内での更新投資ですので、FCFが利益を超えることは十分ありえます。

したがって、多くのMLPは毎年増配(配当と呼ばずに分配と呼んでいますが)を行っていてDividend Growth Stockとなっています。

20121月ごろのことで少し古いのですが、MLPの平均的な配当利回りは56%で年平均増配率も57となっておりました。

ただし、MLPからの分配金には、①:株式の配当と同じ性質のものと、②:元本の償還と看做される部分(株で言えば資本準備金の払い戻しに当たる部分)があります。これは上述の利益を超えた配当部分が該当することになります。

前者は税制上源泉徴収で完結しますが(米国の場合)、後者はMLPを売却する場合に取得原価から減額されるようです。期中の分配金受領時は分配金の全額が①とみなされ、確定申告時に①と②の内訳が通知されるようです。確定申告で②に課税された税金の還付を受けるようです。

また、MLPを売却する場合、
(売却単価-取得単価-元本償還部分)×数量 が売却差益となるようです。
毎年増配と言うことになれば、売却時にキャピタルゲイン課税される売却益が多くなる可能性が大きいことを意味します。つまり、元本の償還部分は課税が繰り延べられる、と言えると思います。
したがって、早期に元本回収を行って、次の投資で更に稼ぎたい、という人にはいいかもしれません(税務については各人で再調査してください)。


私は、初めMLPになんとか投資しようと色々調べましたが、10年保有を前提とした場合、ガイジンである私にはとても税金計算に自信が持てない(アメリカに確定申告する必要性があるとのこと)ため、MLPGive upしてしまいました(MLPETFもあるようですが税務は同じです。ETNというのもありますが、今度は組成している金融機関リスクがありで、あきらめました。ETNを発行する金融機関が破綻すればETNもパアになるらしい)。

MLP以外にパイプライン会社への投資を行うにはどうすればいいのか? と散々探して、LP投資をするのではなく、一般法人としてパイプラインを運営している会社と先程のGPに投資する、ということに行き着きました。

調整局面で投資を考えているのが、Kinder Morgan Inc.KMIというKinder Morgan Partners(KMP)というMLPの持ち株会社とカナダのEnbridge Inc.ENBも投資を考えています。TransCanadaTRP)はさらに買い増しを考えています。

この分野にはBullishなのですが、長くなりそうなので、また次回といたします。

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2012年4月8日日曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 その3 投資対象の選択

まず始めに申し上げるべきことは、投資は各人各様の投資目的があるはずであり、各自の目的に沿った投資対象を選択すべきだと私は考えています。従いまして、以下の記述はone of themに過ぎないことを申しておきます。

エネルギー・資源セクターは先進国インデックスでは10%前後を占める巨大セクターで、新興国企業を考えた場合でも、国営石油会社など外せないセクターであると思います。一方、日本は元来資源輸入国で、こういったセクターへの魅力ある投資対象は少なくなっていると思います。

日本にはない業態である点と、日本の弱点である資源インフレ(そもそも日本はエネルギーに対する国家戦略が欠落している)を、外国株で補完する、と言うのは有益かもしれません。私はセクターへの分散投資の観点と日本人であるがゆえに資源インフレヘッジへの観点の両方が強い方です。

また個人的に、比較的業績やCFが安定的な成長を示す企業を好みとしていることもあるので、お含みおきを。



なお、北米においては歴史的暖冬(先日、カナダの知人から「本当に暖かかった」というメールがあった)と生産過剰気味であるため、天然ガス相場が暴落していることには留意する必要性があります。

「非在来型」エネルギーへの投資を考えるに、まずは恩恵を受けそうな業界をざっと見てみました。

1.      石油・ガスの生産会社
2.      石油サービス会社
3.      パイプライン会社
4.      日本の総合商社
5.      石油化学産業
6.      アメリカ全体 など

ちなみに日本株でニッチな技術を持っていて、「使えそうな」会社はあるのだろうか、という観点ではほとんど探していません(わからない)。

結論から言えば、上記の中では今回、3のパイプライン会社に投資対象を絞りました。1はシェブロンを、5の石油化学はたまたま(シェールと騒がれる直前に)ダウ・ケミカル社を買ったので、もう投資済みとなっています。以下各業界について私見を述べてみたいと思います。

1:石油・ガスの生産会社
「非在来型」への投資は、エクソンモービル、トタル(仏)、スタットオイル(ノルウエー)など欧米大手は力を入れています。中国企業でもいくつかプロジェクトに投資しているはずです。しかし、「非在来型」にフォーカスすると、デボンエナジー、アナダルコ、アパッチ等の米国中堅石油・天然ガス企業があります。こういった企業は基本的に米国・カナダ内での生産活動が中心で、「非在来型」の売上高全体に占める割合が大手より大きくなる収益構造です。

しかし、石油・ガスの相場に収益が大きく左右されるボラタイルな収益構造です。
大手の場合は、世界中に生産拠点を保有しているので、リスクがある程度分散されています。メジャーがいいか、中堅がいいかは、投資にたとえると、分散投資か集中投資がいいのかと言う観点に似た選択になると思います。

各社の保有する埋蔵量も重要なファクターです。従来資源会社では、埋蔵量の現在価値が事業価値と測定する評価方法があるようです。埋蔵量を常に増やすためには探索・試掘活動や開発などの巨額投資が必要になります。メジャーであるシェブロンでは2012年の設備投資額予算が約2.5兆円にも上るようです。

収益構造がボラタイル、巨額の設備投資が必要であり、CFは「消費者独占型企業」から見ると小さくなります。相対的に低いPERはこのせいではないかと思っています(それでも低すぎるような印象があるけど)。
ただ、オイルショック以降の最近の2030年に限って言うと、比較的うまく経営されています。特に、エクソン、シェブロンの両ロックフェラー系の企業は手堅い経営で有名です。

2:石油サービス会社
私はこの分野はちょっと苦手でして、知識が薄いのですが、実際に掘削サービスを請け負う会社、リグの操業を下請けする会社、油井を作ったりエンジニアリング指導する会社などがあります。日本の三井海洋開発はこの分野に入るでしょう。ただし、同社は海底油田専門なのか?
ハリバートンは水圧破砕の生みの親でこの分野に入るでしょう。

この分野も、やっぱり生産量が伸びて投資活動が活発にならないと、潤わない印象が強いですね。生産量が伸びると、埋蔵量が減少するので、生産会社側は常に新しい油田の開発に取り組むインセンティブが働く。そうすれば必然的にお呼びがかかる企業群。生産会社の投資予算に注目しながら投資すべきか? ボラタイルな印象が強い。

3:パイプライン会社
これは日本ではほとんどお目にかかれません。小規模のものはあるようです。原油や天然ガスを運ぶタイプや製油、つまりガソリン・航空機燃料などを運ぶものなど様々なタイプのパイプラインがあります。また、在庫目的の貯蔵タンクの運営もこういった会社の事業です。
石油・天然ガス業界では、採掘・生産活動をUpstream、製油やGS小売をDownstreamと呼ぶのに対して、パイプラインやその貯蔵タンクなどはMidstreamと呼んだりしています。

北米では網の目の様に天然ガス、石油および石油製品等のパイプラインは敷設されています。鉄道やトラックと比較してコストが最安値だからです。

さらに、ギャザリング(集油)と言って、生産された石油・天然ガスを集積して、不要な物質を取り除いたり、顧客向け配送前の準備作業を行ったり、中には顧客向けに成分調整のための加工を行っている会社もあります。

これについては別途詳細を書いてみたいと思います。

4:総合商社
日本の総合商社がアメリカ・カナダのシェール資産に積極的に投資している記事が目立ちますね。
ただし、総合商社は文字通り総合ですので、シェール資産が商社のBS総資産に占める割合はほんのわずかだと思います。

例えば、三菱商事を例にとってみても、MCさんが発表したシェールへの投資予定額は発表ベースで約3000億円から将来の事業費を込みで6000億円です(こちらのブログを参照しました)。一方同社のBS総資産は11兆円にも上ります。従いまして現時点ではこういった投資がもたらす会社全体への利益インパクトは限定的です。
もちろん、こういった企業のIRからシェール等の情報を得ることは有益だと思います。

5:石油化学産業
自分の外国株ポートフォリオ第3位はダウ・ケミカルです。同社では、リーマンショック直後にエチレンプラントをシャットダウンしましたが、今回それに修繕を加えて再稼働するそうです。更に、新しいエチレンプラントをメキシコ湾岸に作ると鼻息が荒いです。
天然ガスが安いので、動力コストも安くなりますし(天然ガスで自家発電)、ガスから抽出されるエタン・プロパンを原料としてエチレンを作るようです。エタンは石油からも採れるようですが、石油とガスの価格差が非常に大きく、ガスを積極利用するとコストセービングが出来るようです。

日本の信越化学工業なども米国に工場を持っているので、ある程度恩恵を受けるのでは、と言われています。
アメリカは現時点では天然ガスの輸出にどちらかと言えば消極的ですので(注カナダは積極的だが、LNG基地を作る必要性があり、実現されても2018年以降と言われている)、仮に天然ガスがアメリカで割安のまま推移するとなった場合、真っ先に恩恵を受ける産業だと思います。

6:そしてアメリカ全体
アメリカの今年の冬は歴史的暖冬(ちなみに去年は歴史的極寒だった)だったこともありますが、天然ガスが非常に安価になっており、逆に天然ガスを戦略的に活用しようと言われています。

石炭よりも天然ガスを使った発電の方が安いのでは、とか言われています(CO2削減効果も天然ガスのほうが大きい)。日本では原子力再稼働の判断について、グズグズしていることもあり、電力コストが高騰して、電気代に遅かれ早かれ跳ね返ってくるでしょうが、米国では低減見通しも出てきました。こういった差も日米産業力の基礎体力に影響を与えかねません。

ガソリン代が高騰しても、電気代やガス代が割安になれば、少しは可処分所得も助かると言うものではないでしょうか?
また、天然ガスを燃料としたトラックなどの輸送への転換も議論に上っており、電気自動車より天然ガス自動車、なんて事態もゆくゆくはありえるかもしれません。

北米以外では、天然ガス(特にLNG)は石油価格にリンクする価格動向となっていますが、アメリカは例外的に天然ガスが独歩安となっています。これを海外輸出すれば儲かりますが、そうするとアメリカの天然ガスが割高となって、元も子もないため、輸出慎重論が根強いです。
そこで、政治的に、アメリカと親密あるいはアメリカの国益に有利になるように動く国に安いLNGを限定的に輸出許可を与える、という構想があるようです。抜け目ないですな。

日本では全てが高騰しそうな感じですね。残念。

なお、日本が北米からLNGの輸入を受けることは、中東に偏重したエネルギー調達の分散化になる(LNGは比較的分散が進んでいるが)というメリットぐらいでしょう。アメリカから輸入できれば申し分ないですが、現状はハードルが高そうです(韓国はちょっとだけ輸入できるようです)。

カナダから見れば、輸出先がアメリカに偏重してしまうと、逆にアメリカに足元を見られてしまうので、「ヤンキーよ、いい気になるなよ」というけん制目的にアジア向け輸出は魅力があると思います。

ざっと見ましたが、天然ガス価格が暴落してしまいましたが、暴落すれば一般産業や消費者は恩恵を受けるので、実はアメリカ経済にとって良い、ということにもなるので、作る側と使う側の両方を見ておいた方が無難です。

物事メリット・デメリットの双方がありますので、本件についても、開発が進めば一定の環境汚染はありえると思いますが、恩恵を受ける側面もあるので、冷静な投資判断をしていきたいと思います。


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