2020年9月20日日曜日

総合商社への投資についての私見 バリュー株か万年割安株か






 

総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅を指します)への投資が再評価されているようです。

そう、あのウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウエイが各社の5%ちょっとの株主になった、ということからです。

 これら総合商社は日本人なら、感覚的に優良企業と思ってしまいます。

 何せ就職活動では、旧帝国大、早慶でもトップクラスの優秀な学生を採用しているから、平均給与ランキングも上位常連だからか、会社自体も優秀だと類推する部分が大きい。

 また、7つの海を股にかけ、諸外国の政府や企業と渡り合って、メーカーなどを先導してくれたり、権益投資を行ったり、世界を幅広く理解している部分が大きいでしょう。

 取り扱い業界も「ラーメンから宇宙」と言われるぐらい広く、日本企業や一部政府の海外取引に欠かせない存在です。

 90年代後半から2000年代初頭のバブル崩壊後の最終処理のころにやはり不良債権を出して経営基盤が揺らいだこともありましたが、その後の資源ブームに乗って息を吹き返し、リーマンショック後は「非資源」分野を強化しています(三菱商事のローソン子会社化、伊藤忠商事のファミリーマートの完全子会社化などが典型例)。

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ただ、この「多様性」が株式投資家から見るとネックとなっていて、コングロマリットディスカウントを引き起こしている、あるいは、海外投資家から見れば「資源関連株」とみなされ相場株扱いされているので、バリュエーションは低いはずです(ヒストリカルに低い。万年割安株)。

 バフェットは割安というより、適正価格でもいいのでEconomic Moat(経済の濠)のある企業に投資することがスタイルでした。

 総合商社にMoatがあるでしょうか? 「財閥の壁」ならあると思いますけど、、、。

 また、配当金はちょっと前まで配当性向縛りで、三菱商事などは減配した時期がありました(2013年と2016年)。

 今は累進配当でしたか、据え置きはあっても減配はない、と言っていますが、、、

 やっぱり事業的にも会計的にもわかりにくい、というのが割安理由じゃないでしょうか(米国会計基準ならそんなことないはずだが)?

 資源株に投資したければ、Rio TintBHBビリトンに、小売株に投資したければ、セブンアンドアイHD(良品計画の方がいいかも)、と専業に投資したくなります。

 業種の分散は経営者の仕事ではなく、投資家の仕事だ、というのが投資家の発想でしょう。

 もちろん、配当目的に保有するのはいいと思いますし、PERは低い方が安心、という考え方はわかりますが、今のPERひとけた台が20倍ぐらいまで上昇する(15倍でも)ことを期待するのは少々無理があるような気がしました。

 


 上のグラフは5大商社のPERの推移です(会社予想値に対するPER)。統計期間はアベノミクスが本格化する2013年から先週末で、アベノミクスをほぼカバーしているといっていいと思います。

 途中資源価格の暴落などで決算も揺れ動いているためだと推測しますが、PERに異常値も見られます。しかし、おおむね10倍以下、ちょっと贔屓目に見て12倍以下程度でしょう。

 ちなみに20131月から2020918日までの会社予想ベースPERの「中央値」(異常値が多いので)は、それぞれ、三菱商事8.58、三井物産7.93、住友商事7.12、伊藤忠商事6.84、丸紅6.51となっています。

5大商社間のPERの大小を見ると、やっぱり市場は「効率的」ですね)

 

この間、日経平均のPER14倍~16倍程度ではなかったでしょうか?

 



(コロナ禍後は、ご存知の通り、業績は悪化していますが、株価は戻っていますので、PERは高めに出ています。出所2013年~201710月は上段が東洋経済オンライン、下段201710月~20209月は投資の森;黒線がPER15倍)

 したがって、割安・割安といっても、商社株は、もともと割安なのですPER68倍は日経平均と比較すれば割安ですが、そもそも過去からそういう評価しか受けていなかった、ということになります。

 

私も菅総理が通信キャリアを攻撃しまくるので、通信株から商社株に少し投資先を変えようか思案していますが、決してPERの上昇を見込んでいるのではなく、安定増配(毎年連続増配でなくともいいので、3から5年単位でそこそこ増配してくれればいい)先として再検討してみます。

 

まとめると、バフェットの総合商社株投資は、PERのアービトラージを狙った投資というより、配当目的株として、私にも見直す機会を提供してくれた、という風にとらえています。

 日本企業と日本株、強いては日本経済の欠点は、銀行・証券・保険、商社、通信など株価的には全然評価されない企業に学生が殺到する点でしょうか?

サラリーマン偏差値?は高いけど、株式PERは平均以下、という風になりますね。

 アメリカだと、もちろん投資銀行も人気ありますが、GAFAや若いベンチャー、コンサル会社に学生の人気があるように思います(注:日本でもマッキンゼーなどのコンサル会社は人気が高くなっている)。

 取り留めなくなってしまいましたが、こんな感じ。

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