2012年7月28日土曜日

ポートフォリオ概況 第二位 International Business Machine Corp. I.B.M.


現在第二位の御存じIBMです。バフェットさんの投資で投資先としても脚光を浴びるようになりました。

項目
コメント
会社名(ティッカー)
 International Business Machine Corp. IBM
本社所在地
ニューヨーク州Armonkというところ。NYから多分30キロ程度
何をやっている会社?
①  これが意外と難しい。率直に申し上げてよくわかっていない(爆笑)。
②  企業のIT部門のアウトソーシング引受、ソフトウエアの著作権収入、メインフレームの製造・販売・メンテナンスなどが主だが、顧客の経営課題に対しITを活用して一緒に解決しましょう、というソリューション営業が基本スタンスらしい。「お客様の成功に全力を尽くす経営」(ダイヤモンド社)などを参照。
投資時期、平均購入価格
20112月から10月にかけて。約$165 
現在の株価、バリュエーション
以下、Yahoo! Finance USAより
通貨は米ドルベースです()はドル=80円とした場合

株価
727日終値 $193.6
2011EPS
$13.06
2012年予想EPS
$15.13
予想EPS成長率
15.8%
時価総額
$223B (17.6兆円) マイクロソフトは$2,440B
実績PER
14.27
予想PER
11.7
DPS
3.40 (配当性向約25%)16年連続増配中
配当利回り
1.8%  
増配率
201015%、201113
EV/EBITDA
9.2x
年初来暴落率
+6.8%
投資ストーリーは何か?
徹底した配当収入狙い。どこまでも長期保有を想定。
経営陣のコミットメント
①   2015年にOperating EPS(ストックオプションや特別損益を排除した一株当たり税引き後当期利益)をAt Least$20にすること。年率平均13~15%EPS成長率が必要になる。
②   売上高3~5%、粗利率2%改善、利益率5%、自社株買い3~5%が達成のためのイメージで、売上高にはM&Aによる増収が含まれる。
③   業績は計算されたような正確さで安定している。
今後何を期待するのか?
当然、コミットメントの達成。増益率並みの増配
強みは何か?
①     古くからの優良顧客基盤
②     ミドルウエア市場でのシェアとソフトウェアの利益率(粗利率80%以上)
③     中長期契約(3~5年)に基づく、アウトソーシング契約等が主なので、収益・CFは安定しているし、予測し易い。
④     IBMのブランド力。Business Analistic とか、Smarter Planetとかネーミングもうまい(けど中身はわかりにくい)
弱みはあるのか?
①   あまり思いつかない。
②   強いて言えば、日本IBMの業績回復!IBM全体の売上高の約1割を占める最大海外法人なのです!PC事業売ったからなあ~。ドイツ人によりリストラ中。
リスクは?
①     現時点では大きなものはない。
②     株式市場では決算発表に一喜一憂し易い銘柄なので、朝目が覚めると10%マイナスってこともありえる。しかし一時的なもの。
成長機会
①     新興国での業務拡大。インドやアフリカにガンガン事務所を開設している。
②     プライベートクラウド分野
③     ソフトウエア企業のM&Aなど盛りだくさん。
業界の成長キーワードは、ソフトウエア、クラウド、新興国の3本柱です。それを網羅しています。
競合先
①     オラクルと独SAP。 ヒューレットパッカードも最近はIBMと同じようなビジネスモデルも模索している。ビジネス部門のITサービス業というくくりで見ればNTTデータなども日本で競合。
②     競合先は多く、マージンの圧迫などが脅威材料。
売るとすればどんな時?
①     現時点では考えたこともない。
②     想定外の不祥事が発生して、会社がボロボロになった時か?
その他
①     株価は相対的にNormal Valueだと思います。
②     決算では、市場予想がEPS、売上高、受注残、契約済み残高などの指標のうち、一つでも予想以下だった場合、激しく売り込まれる傾向がある(必ずしもそうであるとは言い切れませんが)。受注残か契約済みの案件残高か、その時の相場の雰囲気で注目するKPIが変わる。
③     しかし、激しく売り込まれたその時が絶好の買い場だと思います。それぐらいしか割安で買えそうな機会はめったにない。

株価チャート




業績推移
過去10年間の業績推移です。



売上高は年率3.1%平均でしか成長していませんが、営業利益は年率平均約13%で成長しています。粗利率がざっくり毎年1.5~2.0%改善しているのが特徴的です。
また、純利益が18%平均で増加し、一株純利益は実に年平均22.8%という成長になっています。年平均約4%も自社株を買い集めています。10年間で3割ほど株数が減っています。

業績の優等生ぶりは米国企業でもピカイチの部類だと思われます。
ただし、IBMよりも利益率の低いヒューレットパッカードのようなハードからソフトに転換したい企業やソフト業界の巨人独SAPやオラクルあるいは、コンサル系のアクセンチュア、さらにはVMウエアといった新興企業まで、B to B系の業界競争は激しい点に留意する必要があるでしょう。
IBMが買収するのでは?といううわさがある企業もありますが)

ときどきデカイ(といっても数千億円程度だと思いますが)M&Aをやりますが、小さくこまめにソフト会社を買って、その機能を自社の顧客に展開する、というのが一つのモデルになっているようです。

毎年15%程度の利益成長ができるのであれば、むやみにデカイM&Aをやるより、自社株買いをやるほうが株主価値に寄与するという好事例かもしれません。

やたらと資産を増やすより、せっせと自社株買いで株主に報いています。

営業CFのうち、20%ちょっとしか設備投資をしないので、Cash Cowになっています。純利益と同じぐらいFCF(営業CF-投資CF)がある点に注目してください。2011年度のFCFは約1.3兆円にも上ります。


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2012年7月17日火曜日

ポートフォリオ概況 第一位フィリップモリス・インターナショナル






自分のまとめの意味もあって、保有株式に付いてまとめてみようと思います。今回は第一弾、第一位銘柄のフィリップモリス・インターナショナル(PM)です。以下の枠組みは暫定的で、今後変更を加えるかもしれません。言うまでもなく、投資は自己責任で。


私の場合は、財務を細かく分析するよりも、投資ストーリーに重点を置いています。経営戦略とその実行状況に比重を置いていますね、結果論ですけど。財務分析に重点を置くと、PMなんて買わないでしょう。




項目

コメント

会社名(ティッカー)

フィリップモリス・インターナショナル PM

本社所在地

ニューヨーク(財務上)、スイス・ローザンヌ(業務上)

何をやっている会社?

     タバコの製造販売。中国・アメリカ合衆国を除き、マルボロ、パーラメント、ラーク、フィリップモリス、L&Mなどのタバコの製造販売。

     アルトリアグループ(MO)からフィリップモリスの国際部門が2008年に分社。米国内のたばこ訴訟から株主のリスクを分離する目的で分社。したがって、PMは米国外で、MOは米国内でフィリップモリスたばこポートフォリオを製造販売することとなる。

     現在、上場しているタバコ会社では販売数量ベース世界1位。

     ちなみに、スイス・ローザンヌのレマン湖の畔に本部があり、湖を挟んだ向かい側のジュネーブには皮肉にもあのWHO(世界保健機構)の本部があります(グーグルマップで確認すると約60キロ、車で45分の距離にあります)。健康問題でいつもWHOから文句を言われています。CEOルイス・カミレリは経営はおもっきりアメリカンなスイス人です

     昨年ぐらいまで、欧州での売上と利益が最も多かったのですが、アジアがついに逆転しました。インドネシア、日本、フィリピン、フランス、ドイツ辺りがドル箱マーケット。

   マルボロといえば、かつては「マルボロマン、マルボロカントリー」の埃っぽいイメージや最近でも、F1レース、マルボロ=アイルトン・セナのイメージがありました。しかし、1950年代に初めて米国で販売されたときは、貴婦人向けのブランドだったようです。女性向けはその後バージニアスリムに変わってしまいました。

投資時期、平均購入価格

2009年冬から2010年春にかけて。約$43 「株式投資の未来」では過去最もトータルリターンに優れていた銘柄というデータになっている。今なお実感しています。

現在の株価、バリュエーション

以下、Yahoo! Finance USAより

通貨は米ドルベースです()はドル=80円とした場合



株価

716日 $90.8

2011EPS

$4.85

2012年予想EPS

$5.18

予想EPS成長率

6.8% (ドル高により、約5%下方修正された)

時価総額

$155B (12.4兆円) 参考:(JT4.7兆円+キリン;0.9兆円+アサヒ;0.8兆円)×約2倍です。

国内の食品たばこセクターではJT、キリン、アサヒは時価総額1.2.3位です。

実績PER

18.1x

予想PER

15.9x

DPS

$3.08 

配当利回り

3.4% 

過去の増配率

20109.6%、201120.3

EV/EBITDA

11.56

年初来暴落率

+15.6%

投資ストーリーは何か?

新興国に広がるたばこ需要。先進国での収益性改善により増益を確保。徹底した配当収入狙い。どこまでも長期保有を想定。

経営陣の投資家へのコミットメント

買収を除いて、年平均1%程度の数量増加、年平均5%程度の売上高の成長、年平均10%程度のEPS成長。ただし、為替中立ベース。今季もドル高なければ+12%程度のEPS成長率だった。

今後何を期待するのか?

持続的な年率10%程度のEPS成長と、EPS成長率並みの増配、つまりコミットメントを実行してくれればOK!

強みは何か?

   マルボロのブランド力。グローバルにバランスよくシェアがある。

   最近はインドネシアで好調。同国で35%程度のシェアがある。

   タバコ会社共通だが、価格決定権はメーカーが握っているため、値上が通り易い、Pricing Power

   何といってもFCFの創出力。FCF/売上高の割合(FCF Yieldという)は食品・たばこ業界屈指。これをテコとした自社株買い能力。

   中国を除き(中国はたばこへは未だ外資規制の鎖国中)、ほぼ全世界に展開しているが、どの地域でも一定以上のシェアを獲得しているそのグローバル展開力もすごいと思う。

弱みはあるのか?

   あまり思いつかない。業務は単純だと思う。

リスクは?

     世界中でソブリンリスクが巻き起こり、財政立て直しのためにたばこ税増税が好まれる傾向。

     しかし、無秩序かつ目先の利益を追いかけるような増税はかえってタバコの「密売買」(違法販売;政府未公認の売買のため、たばこ税を控除した価格で販売が横行する)が行われる土壌を養成している。結果的に、PMの様なタバコメーカーの売り上げが落ちて、政府の税収も落ちるという結果を招くケースが国によっては横行している。

     豪州・英国・カナダで議論されているプレーンパッケージ問題(全社のたばこを薬のように、統一したパッケージで販売すること。そのようなパッケージにすることが各社の商標権の侵害に当たるか否か、さらに、タバコの喫煙率の低下につながる合理的な根拠があるのか、という点が争点になっているようです)。

成長機会

     当然、新興国での成長余地。筆頭有望格は東南アジア。インドネシア、フィリピンを始め勢いがいい。フィリピンのシェア90%超!!!

     インドネシアにも該当するが、実はイスラム圏国家でシェアを伸ばしている。イスラム人はたばこ好き(トルコなどは葉タバコの名産地らしい)。中東戦争後に生まれた世代の人口が多いので、購買力もついてきている。原油高も後押し。

     M&A期待。M&Aで買収した企業をテコに各国市場に深くシェアを浸透させている。見事なマネジメント。

     たばこに関して中国は鎖国状態。しかし、いつかは解放されるだろう。世界最大のたばこ消費国である。

競合先

ブリティッシュ・アメリカンタバコと日本たばこ産業。JTとはロシアで激しく競合、JTやや有利。一方、日本ではPMJTを追い上げモード。

売るとすればどんな時?

考えたこともないが、健康キチガイの団体や政治家に徹底的にいじめられて、タバコがこの世から撲滅することがはっきりしたような時

個人的な今後の方針

現状、買い増しは考えていないが、ポートフォリオ中エース格で、今後ともわがポートフォリオのダルビッシュか香川のような存在。

その他

現在の株価は相対的にやや高めだと思います。えっ?売るわけないでしょ。



株価チャート


過去の業績推移


(単位;百万米ドル)

タバコ銘柄はディフェンシブだ、という下馬評とは裏腹に、新興国でのM&Aなどをうまく織り交ぜて、しっかりと売上高・利益とも成長している点を見逃してはいけないと思います。ボストンコンサルティンググループの「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」で言うところの“CASH COW”(カネのなる木)です(競争が激しくない成熟市場で、これと言った技術開発のための投資が必要なわけではないのでFCFがジャブジャブ溜まる残存者利益の様なもの)。

当社は08年にアルトリアグループから上場しましたが、0512期以降(0712月まではプロフォーマベースのもの)、その後売上高は7.6%、営業利益(Operating Income)は9.5%で年率平均ベース成長しています。

営業利益率(Operating Margin)は実に40%を超えており、強力な収益力を誇っています。マルボロというナンバーワンブランドを抱えているため、低コスト、プレミアム価格で販売できます。

リーマンショック後の世界不況の中でも、値上を実施しています(地域によってはトレードダウンで苦戦していますが)。

更に、その収益力をフル活用して、自社株買いを強力に推進しています。発行済み株式総数は年率4.5%で減少しています。上場後、たったの4年で17%ほど株を買い戻しています。

結果、一株当たり当期利益(Earnings Per Share)は年率14.2%の成長を果たしています。

一株配当(Dividends)も年率平均22.3%で増加しています(注:2012年の一株配当は$3.08)。






配当株が流行っており、当社のような企業は格好の投資対象となっているような気がします。株価はちょっと高いように個人的には思います。

「たばこなんて」とかこだわりなく投資できる人には、ポートフォリオに1つあれば重宝するような気がします。


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