自分のまとめの意味もあって、保有株式に付いてまとめてみようと思います。今回は第一弾、第一位銘柄のフィリップモリス・インターナショナル(PM)です。以下の枠組みは暫定的で、今後変更を加えるかもしれません。言うまでもなく、投資は自己責任で。
私の場合は、財務を細かく分析するよりも、投資ストーリーに重点を置いています。経営戦略とその実行状況に比重を置いていますね、結果論ですけど。財務分析に重点を置くと、PMなんて買わないでしょう。
項目
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コメント
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会社名(ティッカー)
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フィリップモリス・インターナショナル PM
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本社所在地
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ニューヨーク(財務上)、スイス・ローザンヌ(業務上)
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何をやっている会社?
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① タバコの製造販売。中国・アメリカ合衆国を除き、マルボロ、パーラメント、ラーク、フィリップモリス、L&Mなどのタバコの製造販売。
② アルトリアグループ(MO)からフィリップモリスの国際部門が2008年に分社。米国内のたばこ訴訟から株主のリスクを分離する目的で分社。したがって、PMは米国外で、MOは米国内でフィリップモリスたばこポートフォリオを製造販売することとなる。
③ 現在、上場しているタバコ会社では販売数量ベース世界1位。
④ ちなみに、スイス・ローザンヌのレマン湖の畔に本部があり、湖を挟んだ向かい側のジュネーブには皮肉にもあのWHO(世界保健機構)の本部があります(グーグルマップで確認すると約60キロ、車で45分の距離にあります)。健康問題でいつもWHOから文句を言われています。CEOルイス・カミレリは経営はおもっきりアメリカンなスイス人です
⑤ 昨年ぐらいまで、欧州での売上と利益が最も多かったのですが、アジアがついに逆転しました。インドネシア、日本、フィリピン、フランス、ドイツ辺りがドル箱マーケット。
マルボロといえば、かつては「マルボロマン、マルボロカントリー」の埃っぽいイメージや最近でも、F1レース、マルボロ=アイルトン・セナのイメージがありました。しかし、1950年代に初めて米国で販売されたときは、貴婦人向けのブランドだったようです。女性向けはその後バージニアスリムに変わってしまいました。
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投資時期、平均購入価格
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2009年冬から2010年春にかけて。約$43 「株式投資の未来」では過去最もトータルリターンに優れていた銘柄というデータになっている。今なお実感しています。
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現在の株価、バリュエーション
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以下、Yahoo! Finance USAより
通貨は米ドルベースです()はドル=80円とした場合
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株価
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7月16日 $90.8
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2011年EPS
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$4.85
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2012年予想EPS
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$5.18
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予想EPS成長率
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6.8% (ドル高により、約5%下方修正された)
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時価総額
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$155B (約12.4兆円) 参考:(JT:4.7兆円+キリン;0.9兆円+アサヒ;0.8兆円)×約2倍です。
国内の食品たばこセクターではJT、キリン、アサヒは時価総額1.2.3位です。
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実績PER
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18.1x
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予想PER
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15.9x
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DPS
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$3.08
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配当利回り
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3.4%
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過去の増配率
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2010年9.6%、2011年20.3%
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EV/EBITDA
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11.56
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年初来暴落率
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+15.6%
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投資ストーリーは何か?
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新興国に広がるたばこ需要。先進国での収益性改善により増益を確保。徹底した配当収入狙い。どこまでも長期保有を想定。
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経営陣の投資家へのコミットメント
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買収を除いて、年平均1%程度の数量増加、年平均5%程度の売上高の成長、年平均10%程度のEPS成長。ただし、為替中立ベース。今季もドル高なければ+12%程度のEPS成長率だった。
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今後何を期待するのか?
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持続的な年率10%程度のEPS成長と、EPS成長率並みの増配、つまりコミットメントを実行してくれればOK!
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強みは何か?
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① マルボロのブランド力。グローバルにバランスよくシェアがある。
② 最近はインドネシアで好調。同国で35%程度のシェアがある。
③ タバコ会社共通だが、価格決定権はメーカーが握っているため、値上が通り易い、Pricing Power。
④ 何といってもFCFの創出力。FCF/売上高の割合(FCF Yieldという)は食品・たばこ業界屈指。これをテコとした自社株買い能力。
⑤ 中国を除き(中国はたばこへは未だ外資規制の鎖国中)、ほぼ全世界に展開しているが、どの地域でも一定以上のシェアを獲得しているそのグローバル展開力もすごいと思う。
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弱みはあるのか?
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① あまり思いつかない。業務は単純だと思う。
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リスクは?
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① 世界中でソブリンリスクが巻き起こり、財政立て直しのためにたばこ税増税が好まれる傾向。
② しかし、無秩序かつ目先の利益を追いかけるような増税はかえってタバコの「密売買」(違法販売;政府未公認の売買のため、たばこ税を控除した価格で販売が横行する)が行われる土壌を養成している。結果的に、PMの様なタバコメーカーの売り上げが落ちて、政府の税収も落ちるという結果を招くケースが国によっては横行している。
③ 豪州・英国・カナダで議論されているプレーンパッケージ問題(全社のたばこを薬のように、統一したパッケージで販売すること。そのようなパッケージにすることが各社の商標権の侵害に当たるか否か、さらに、タバコの喫煙率の低下につながる合理的な根拠があるのか、という点が争点になっているようです)。
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成長機会
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① 当然、新興国での成長余地。筆頭有望格は東南アジア。インドネシア、フィリピンを始め勢いがいい。フィリピンのシェア90%超!!!
② インドネシアにも該当するが、実はイスラム圏国家でシェアを伸ばしている。イスラム人はたばこ好き(トルコなどは葉タバコの名産地らしい)。中東戦争後に生まれた世代の人口が多いので、購買力もついてきている。原油高も後押し。
③ M&A期待。M&Aで買収した企業をテコに各国市場に深くシェアを浸透させている。見事なマネジメント。
④ たばこに関して中国は鎖国状態。しかし、いつかは解放されるだろう。世界最大のたばこ消費国である。
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競合先
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ブリティッシュ・アメリカンタバコと日本たばこ産業。JTとはロシアで激しく競合、JTやや有利。一方、日本ではPMがJTを追い上げモード。
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売るとすればどんな時?
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考えたこともないが、健康キチガイの団体や政治家に徹底的にいじめられて、タバコがこの世から撲滅することがはっきりしたような時
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個人的な今後の方針
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現状、買い増しは考えていないが、ポートフォリオ中エース格で、今後ともわがポートフォリオのダルビッシュか香川のような存在。
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その他
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現在の株価は相対的にやや高めだと思います。えっ?売るわけないでしょ。
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株価チャート
過去の業績推移
(単位;百万米ドル)
タバコ銘柄はディフェンシブだ、という下馬評とは裏腹に、新興国でのM&Aなどをうまく織り交ぜて、しっかりと売上高・利益とも成長している点を見逃してはいけないと思います。ボストンコンサルティンググループの「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」で言うところの“CASH COW”(カネのなる木)です(競争が激しくない成熟市場で、これと言った技術開発のための投資が必要なわけではないのでFCFがジャブジャブ溜まる残存者利益の様なもの)。
当社は08年にアルトリアグループから上場しましたが、05年12期以降(07年12月まではプロフォーマベースのもの)、その後売上高は7.6%、営業利益(Operating Income)は9.5%で年率平均ベース成長しています。
営業利益率(Operating Margin)は実に40%を超えており、強力な収益力を誇っています。マルボロというナンバーワンブランドを抱えているため、低コスト、プレミアム価格で販売できます。
リーマンショック後の世界不況の中でも、値上を実施しています(地域によってはトレードダウンで苦戦していますが)。
更に、その収益力をフル活用して、自社株買いを強力に推進しています。発行済み株式総数は年率4.5%で減少しています。上場後、たったの4年で17%ほど株を買い戻しています。
結果、一株当たり当期利益(Earnings Per Share)は年率14.2%の成長を果たしています。
一株配当(Dividends)も年率平均22.3%で増加しています(注:2012年の一株配当は$3.08)。
配当株が流行っており、当社のような企業は格好の投資対象となっているような気がします。株価はちょっと高いように個人的には思います。
「たばこなんて」とかこだわりなく投資できる人には、ポートフォリオに1つあれば重宝するような気がします。
私の場合は、PM、KFTをスピンオフする前のMOの時に勇気をふりしぼって買いました。当時たばこ訴訟全盛の時で、ずいぶんきもを冷やす場面もありましたが、おかげで今は、かなりの投資成果があがり、良かったと思っています。(^_^)
返信削除コメントありがとうございます。
削除>当時たばこ訴訟全盛の時で、ずいぶんきもを冷やす場面もありましたが
凄いタイミングで投資されたようですね。私はシーゲル教授の本を読んで、真っ先にMO、PMを買いに行きました。リーマンショック後の底値付近でしたが、私も結果的にうまくいきました。
この2銘柄はいまだにシーゲル教授の本と同等のリターンをたたき出していて、非常に頼もしいです。
返信有難う御座います。私のMOへの投資動機は、アメリカと言う国は、自分の国の優秀な企業を、ジャンク訴訟ごときで、絶対潰す様なバカな国でないと踏んだからです。それと、当時の9%超の配当利回りです。その後のタバコ訴訟の判決は、常識的な内容になってきているようです。
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