2013年6月29日土曜日

6月および2013年上半期の投資状況


2013年の前半戦が終わりました。今月はダウンしてしまいましたが、6ヶ月の成績としては十分です。私の場合はベンチマークを設けるとすれば、S&P500 ± ドル円レート の各々増減率が妥当かもしれません。TOPIX比で負けてしまいました。

外国株PFはドルベースではアンダーパフォーマンスで不満です。上位のPMIBMS&P500よりかなり下なので、リターンが良くない。タバコのパフォーマンスが良くないのは金のパフォーマンスが良くないのと同じかも知れませんね(金と違って、年初来プラスで、かつ、しっかりした配当があるけど)。

 

日米とも市場が中央銀行に振り回された、そんな感じですね。経済のファンダメンタルズが踊り場にある昨今、ネタを「そこ」に求めたということなのでしょうかね。

FOMC後のFRBの発言を見ても、マーケットを気にしていると思いますので、今から出口戦略のための、「免疫」を作っておいて、マーケットに織り込みたいんでしょうね。

たぶん、政策的には、インフレ率+GDP成長率=長期金利にしたいのでしょうね(ということは、ゆくゆくの長期金利を5%~6%という風に示唆されると思います)。

短期金利はFRBの胸突き八丁で決まりますが、長期金利が上がる、すなわちイールドスプレッドが拡大する。

イールドスプレッドが拡大されると、実は銀行融資が増えて、投資が盛んになって、インフレ率も上がりやすいというのがセオリーだったような気がしましたが、果たして?これはうまくいけばの話。

日本ではちょっと金利が上がって株価が下落したから、アベノミクスが失敗したとか言ったりしてアホじゃないのかと思いましたね(株価が上がっても、「庶民」には関係ないとか言っていたくせに。これを主導するのが、平均給与ランキングでいつも財閥系総合商社とならんでトップクラスのマスメディアっていうのだから、あなたたちが「庶民面」する資格なんてないですよ)。

個人的にはアベノミクスは始まったばかりだし、日本の場合は景気回復局面もまだスタートしたばかりだと楽観的に考えています。法人税減税が重要だ、とか言っていますけど、消費税増税を先送りして、需要の喚起を促してほしいですね。需要がないからデフレだったんじゃなかったのでしょうか??? 全ての政策の焦点を消費者に当ててほしいなあ。霞が関の役人ではそういう発想にならんのでしょう。マスコミも。

法人税減税で外資を呼び込みたい、という話ですが、外資の方から申し出のあった投資にはほとんど嫌な答えを出しているくせに、何を言いたいのか、わけがわかりません。法人税の税率の問題ではないと思います。

会社更生前のJAL(アメリカン航空とかデルタとか統合話ありましたね)、ルネサス、今のソニーとか。

ちなみにアメリカは日本並みの法人税率ですが、世界中から投資マネーが集まっていますね。高くても、それに見合う価値があれば、だれでもお金は払いますね。

こんなことを言えば、証券会社や御用学者といった「識者」さんたちから、「よい外資」と「悪い外資」がある、なんて馬鹿げた解説話になると思いますが、社員だって「よい社員」と「悪い社員」がいても、よい方に目を向けて、待遇その他を決めているくせに、解説が無茶苦茶になるのが目に見えています。このブログをお読みの方は、そんなアホな話に引っかかってほしくないですね(これぐらいのことはとっくに見抜いている人の方が多そうですが)。

都合がよすぎますね。保身に焦点を絞るのか、成長に絞るのか、根本的な軸がぶれるからこうなるんですよ。識者さんたちもお金がかかっているので、「色者」化している人も多いので気を付けたいものです。

中国?金融システムがマヒしても日本経済が大丈夫とか言う人もいるようですが、サブプライムローンの時も同じようなことを言っていましたよね。あの時は円高もあったけど、まずメーカーが半年間ほど生産調整で、現場労働者を週休3日とか副業許可とか、外国人労働者を帰国させるとか、いわゆる派遣切りとか、 ありましたね。中国の金融は基本的に鎖国されているので、そこまでいくか、とも思いますが、何が正しいのかわからない国、中国ですので…。中国人自身が金持ちほど国を見限っているという話しもある。「今度ばかりは違う。といいながら、いつも同じ結果になる」(確かジョン・テンプルトンだったと思う)。


今月の売買

売り:なし

買い:HSBC(買い増し)、KDDI(新規)、Enbridge(新規)、Thomson ReutersTRI:買い増し)

TRIはずっと買い増しを検討していました。配当利回りが4%まで上がったので、買い増し。最大のライバルであるブルームバーグが自滅しそうなので、ある程度シェアアップが期待できそう。

経営陣が最も重視する経営指標はフリー・キャッシュ・フローの持続的増加です。収益構造は金融端末や弁護士等への判例検索システム等の使用料で、いわゆるストックビジネスがメインです。成長率は低いですが、CFは安定しています。確か7080%が年単位で継続する手数料収入。

 

象徴的にロイター通信社がありますが、収益に占める割合は大したことがない。フィナンシャルタイムズを買収か、という噂も流れましたがどうかな? 当社の最大商品EIKONFTの記事が載ると、凄い価値があるようにも思いますが、ロイターの買収で、経営統合が上手くいかなかったので、ちょっと積極的になりにくいような気もします。

 

経営戦略的には、(比較的小規模の)M&Aを繰り返し、サービスメニューを拡大していくことがメインとなっています。日本の金融機関や弁護士事務所でも、同じリーグテーブルでも、トムソンというブランドは強いようです。19年連続増配中。

 

当社の業績を見ていますと、やっぱりM&ALBO、ストラクチャードファイナンスといった金融が盛んにならないと、金融機関も弁護士事務所も仕事が少ないような気がしますね。

カナダのトムソン家がオーナーだが、経営は「一応」分離されている(しばし口出しするらしい)。

 

予想受取配当金増減率



久々に円高になりましたねえ。影響を受けました。今月も増配発表はなかったようです。

(キヤノンは上記計算にはすでに織り込んでいました)

下半期はIBMPMの頑張りに期待したいですね。
 
 
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2013年6月23日日曜日

サッカー日本代表を考える


株式相場はあまり書くこともないので、サッカーのお話。技術的なことは書けませんが。

 
コンフェデレーションカップが終わりました。3連敗です。

私はブラジル戦、イタリア戦の敗戦で、監督を解任すべきか、考えるべき時期、とツイートしたら、「負けるとすぐ監督解任論が出る」と批判されました。

まず、Wカップで日本は何を目指すのかはっきりしないといけないと思います。本田選手がいうように優勝なのか、グループリーグ突破なのか、ベスト8ぐらいなのか。

さすがにコンフェデの結果を見て「優勝」を口にすることは憚れるでしょう。

ザッケローニ監督就任後の日本代表の成績表をサッカー協会のHPから拾ってみました。

 


 
単純に数値だけを総括すると、41戦、2588分けで、得点71、失点34という数値が残りました。1試合の単純平均は1.7得点、0.8失点です。

ちなみに、ハイライト部分はアジア代表を決めたオーストラリアと韓国で、それ以外のハイライト部分はWカップ出場が予想される、いわゆる強豪国です。

ハイライトされた部分(ブルー+オレンジ)では(つまりWカップ出場国)
12642分けとなり、得点15、失点17となります。さらに、ここからブルーの部分(Wカップで対戦する可能性が予選では確実にない)を除くと、

734敗となります。得点7、失点13となります。つまり、Wカップ強豪国との対戦成績は1試合平均1得点2失点なのです。

(フランスに勝利した金星???も含まれるが、南アフリカW杯直後のあまり意味のないパラグアイ、アルゼンチン戦の結果も含んでいる)

もっとも2度のブラジル戦で0-40-32試合合計で0-7と大敗していることが非常に大きい(しかし、2戦合計で12-0と圧勝したタジキスタンも全体の成績に含んでいる)。

キシコとは(選手が違うのであまり参考にならないが)ロンドンオリンピックでも完敗しています(1-3)。

ブラジルとはドイツワールドカップともグループ予選で当たっている(1-4)。この時も3試合目は事実上ガス欠状態でしたね。3試合をどう戦うのかという点も考え直さないといけない。

 
ブラジルとは今回同じ組にあたる可能性は十分あります(ちなみに過去10試合の対戦成績は02分け8敗です。ちなみに6得点28失点

ブラジル代表との対戦成績)2006年の玉田選手のスーパーゴールが直近獲得した唯一の得点になる。

願望や精神論で気安く「優勝」を口にするより、現実的な予選突破が課された目標となるのではないでしょうか?ブラジルに勝てなくとも、この辺の第一シードの国との対戦では、0-1ぐらいにしておかないと、得失点差などにも影響すると思います。

仮に本番の組み合わせが、ブラジル、メキシコ、欧州国(例ブルガリア)、日本だと心理的に絶望感がありますね。

 
ポイントは、何がダメで、どうすべきであるのかを工夫している点が見られないところです。先発と控えの差が大きい、というのは監督自ら招いた事態であり(確かに本田不在のパフォーマンスの差が大きいが)、そういった点も含めてザッケローニにこの能力があるのか否か、ない場合代替案があるのか、真剣に考えておくべきだと思います。

ザッケローニは、「準備期間が少なかった」と言っているようですが、ブラジルは別として、イタリアやメキシコと準備期間は変わらないはずであり、選手のコンディションは他のチームも条件が同じなので、言い訳にしかならない。むしろ、吉田や清武はクラブチームでは終盤戦の出場をコンフェデに備えて控えていたという話だったと思う(それでも吉田は万全ではなかった)。

普段から新しい選手を試していないためチーム内競争がないツケとも取れよう。来年のワールドカップでも同じようなスケジューリングなので、これを敗戦の弁にしてほしくない。


なぜか海外のマスコミが日本の健闘をたたえる記事が目立ちますが、言い換えれば「日本がそこまでやるとは思っていなかった」ということの裏返しであり、戦前の日本代表はブラジルかイタリアのいずれかから少なくとも1勝したかったはずであり、主観と客観のギャップがあったことを言っているにすぎません。ただしこれはイタリア戦のことです。

ソニーやパナソニックのように大赤字になってから再建するのは容易ではなく、多少黒字で余裕のある時からリストラしておかないと、企業も競争力が維持できません。最近のプロクター&ギャンブルの社長交代劇(別に赤字になったわけでもなく、単に市場の期待値以下の業績だったことが原因)など見ても言えそうです。今回も期待以下の成績ですね。


ドイツワールドカップの時は、コンフェデでまあまあの成績だったことがかえって災いした可能性がありますので、過去の失敗を生かしてほしいと思います。

ザックジャパンはドイツの時のジーコジャパンのイメージに近いですね。ジーコの時は、川渕チェアマン肝いりのジーコ監督容認だったので、解任を言えない雰囲気がマスコミにあったのですが、政治のみならず、スポーツでも 権力のポチ に成り下がっていますね。盛り上げて視聴率と新聞が売れればそれでよいと短期的な売上高にこだわっており、長期的成長を望むジャーナリズムの視点が欠落している。

 
ザックは同じチームで2.3年以上監督を継続していなかったはずでもある。政権末期には大敗を喫する傾向がある。

岡田さんのように、本番で奇跡的に快進撃するケースもわずかながら残っているので、判断が容易ではなさそうですが、コンフェデの総括をしっかりしてほしいですね。同じブラジルに2試合合計0-7が象徴的な気がします。


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2013年6月16日日曜日

「稼ぐ経済学」を読んで

稼ぐ経済学
稼ぐ経済学
著者:竹中正治
価格:1,575円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

この春に何冊か読んだ投資関連本の一つ。著者は現在、龍谷大学教授の竹中正治氏。

竹中氏の著書はこれまで以下の3冊を読んだ。これが4冊目。

  1. 今こそ知りたい資産運用のセオリー
  2. なぜ人は市場に踊らされるのか
  3. 外国為替はこう動く

本人が記載する通り?本書は上記12の続編に位置する。しかし、それプラス竹中氏が週刊エコノミスト他雑誌のコラムで記載したことの総集編といった感じだろう。

この本をマスターすると、どんな効果があるか?

(たぶん)あなたもプチ・ヘッジファンド・マネージャーになれるだろう!!!(注:筆者の意図とは違うと思います)。


学者には経済や資本市場に対して、あーだ・こーだ言っていて、投資をやったことが無い人は沢山いる(そういう奴ほどマスコミ受けするから始末が悪い)。しかし、竹中氏は、

  1. 経済学者として、数々の景気の局面をしっかりした分析に基づき、当てている(エコノミスト
  2. 東京銀行の為替ディーラーと言えば、プロ野球でいえば、巨人でレギュラーだったと言っているに等しい)。外国為替の元プロ
  3. ディーラー出身のエコノミストとして、ドル円相場に関する理論は一貫していて、しかも大局的に当たっている。FXもお手の物(ご本人はディーラー業と長期の為替見通しは関係ないと言っているが、素人が見れば、なんとなく説得力がある)。
  4. 米国債投資経験があり、債券投資の読みは当たっている
  5. 株式投資経験があり、成果が出ている
  6. 不動産投資経験があり、成果が出ている。


つまり、複数のアセットクラスに、経済の大局的な流れを把握しながら、正しく投資して、それなりの成果を出している。なおかつ、円安局面で、ドルを売って円を買う、というヘッジ取引でも実績がある。

つまり、ヘッジファンドプロフェッサー と言っていいような感じの人です(但し、不動産以外の正確な投資リターンは非公開である)。

もっとも、アメリカの破たんしたLTCBM(ノーベル賞をもらった学者のヘッジファンドで98年に破たん)の様に、誰にもわからない複雑な理論ってことはなく、ある程度のサラリーマンなら理解可能な範囲内のロジックなのでご安心を。

こういった実績から、各所で評価されて、出た著作であろう。しかし、このタイトルはぴったりですね。手に取った瞬間思わず、「おおっ、まさにぴったり」、と唸った。

さて、ヘッジファンドプロフェッサーの教えは、資産の正しい評価を行い、当該資産の割安局面で買って、割高局面で売ることでリターンを得なさい、というもの。

いつ、割高で、いつ割安なのか、という点については、行動経済学的になりますが、そこは元プロのディーラーであり、市場の行動原理とその盲点を詳細に教えてくれています。

そして、ここが最大の付加価値だと思いますが、日本人の資産運用に今や不可欠となったドル円レートの理論的な考え方は他の投資本では、まずお目にかかれない(為替だけを専門的に語る人はいるが、ドル円レートの変動を利用して資産運用を安定化させようというアドバイスには出合ったことがない)。

最も筆者は、長期スパンでの投資しか教えてくれないので、短期の鞘抜き志向の方は直接的には役立たないでしょう。但し、ドル円レートの考え方は知っておいて損することはないと思います。

尚、ちょっと不満があるとすれば、ご本人の経験なのだろうが、株式投資はインデックス派なのに、不動産投資は個別物件にこだわっておられ(注:REITへの投資経験もあるが、不動産は原則、都心・駅近・中古ファミリーマンションへの限定)、株式投資の個別銘柄派の私には賛成できない面も残った。

不動産はこだわりのある立地・条件の物件を悲観局面で買って、楽観局面で売るという前提なのに、株式投資はインデックスを長期の年平均IRRで評価している。不動産投資についてはなかなか透明性のあるリターンの統計がないのは事実だ。

ちなみに掲載されている不動産投資モデルにおいて、売却するときの不動産価格の経済耐用年数分の減損を織り込んだリターンでは、外国株の株式投資のインデックスとあまり変わらない結果となっている(不動産投資がうまくいけばIRR9%台でダメな場合は6%台となっている)。


株式投資は個別銘柄で投資しても、市場平均にはどうせ勝てない、というのは(悔しいながらも)わかりますが、個人の資産運用は個人の目的に沿っていればいいはずであり、気にする必要性はないと思う(もちろん、市場平均に勝ちたい誘惑は常にあるし、勝ったほうがいいに決まっている)。

また、株式は市場のボラティリティが激しく、資産価値が不安定である、というのは理解できるが、まさにその凹んだ時に投資しなさい、という教えではないだろうか?

不動産投資のリターンはLeveraged Buy Outの原理と同じであり、賃借人のキャッシュで借金を返済し、はっきり言えば、賃借人の家賃の累積で返済した借金の総額がValue Up(投下資本に対するリターンの源泉)となる仕組みである(もちろん企業も借金で自社株買いをすることがあるので、似ている点があることは否定しない。不動産の賃貸派と所有派で、賃貸派にこだわっている人は不動産投資家に実はフリーランチを与えているともいえそう。所有派は帰属家賃で自分の借金を返済しているのに対し、賃貸派は他人の借金の返済のために賃貸を活用している)。

したがって、自分の期待できる賃借人を付けられるのか、が勝負になる。

株式投資は、賃借人にあたる部分が企業のCEOのようなものかもしれない(事業の競争優位性というのは不動産の立地条件にほぼ等しい)。

賃借人を連れてくる自分の能力とプロの経営者とどちらがうまく自分にバリューをもたらしてくれるかだろう。

しかし、何に投資するかは最終的に個人の選択であり、好みや目的の問題であるから、そんなことは大した問題ではなく、「悲観で買って楽観で売る」、「数年単位の長期で運用を考える」、「アセットの基本的な評価方法」、「長期のドル円レートの論理的な考え方」ということに興味がある人なら、是非一読をお勧めします。

そして、FXや不動産あるいは債券投資を上手に活用できれば、あなたもプチ・ジョージ・ソロスです(もっとも当面債券投資に適した時期は到来しないでしょうが…)。

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2013年6月12日水曜日

最近買った株 Enbridge Inc.など


6月の7日に、結局出動しました。

KDDI9433)、HSBCHBC)、EnbridgeENB)の3銘柄。今週に入って、やっぱり株価は軟調なので、早まったかな?

KDDIは、LTEの障害があった時に偶然日経平均の大幅調整がマッチして、たたき売られていたので拾いました。
既に沖縄セルラー電話(9436)を保有しているので、どうかな、とも思いましたが、配当性向も低いし(28%ぐらい)、向こう23年はケーブルテレビ局買収にかかる業績が貢献しますので、利益の2ケタ成長が可能、また、NTTグループと比較しても、配当引き上げ圧力を受けているので、中期的な増配傾向が見込める(過去は連続増配しているし)、と思いました。配当利回りは2.85

HSBC(買い増し)。

金曜の夜に買って、土曜に中国の経済統計がイマイチと判明し、ちょっと「しまった」という感じ。配当利回りは依然4.3(第4Qの配当を実績ベースで計算)。

旧大英帝国植民地銀行として、英国旧植民地(香港、シンガポール、マレーシア、インド、南ア、ドバイetc)向けプレゼンスの高さがいいと思う。また、旧香港上海銀行でもあり、中国当局の信頼も厚く、人民元の国際化(元建て社債の発行など)に貢献?している。その影響からか?アメリカではコンプライアンス関係でボロボロに叩かれており、ワシントンには嫌われているようです。北京になびくとワシントンに嫌われ(HSBC)、ワシントンになびくと北京に嫌われる(今の日本政府)といった感じでしょうか?

Enbridge (ENB;新規)。私はずっと、パイプライン会社なら、Kinder MorganKMI)かENBだ、と言っていました(MLPの個別銘柄投資は税金が複雑だから)。

Tapering懸念により、こういった配当株(借入金を活用して設備投資を行い、高配当利回りが売りのREITMLPあるいは公益株)は株価が下落していましたが、一方で、ENBに対してはMorningstar社が業績見通しを引き上げたので、つまり、見通しが明るくなっているのに、株価が下がっていたので、ついに、買ったというわけです。ちなみに、Economic Moatは“Wide”と評価されています。配当利回りは2.9


ENBはカナダ、アルバータ州カルガリーに本社があります。メインビジネスは、アルバータ州で採れるオイルサンドを米国にパイプラインを使って運ぶことです。Main Lineと呼ばれる太いパイプラインがエドモントンからアメリカ・カナダ国境にまたがる五大湖の工業地帯に敷設されています。このパイプラインがいわゆる「有料ブリッジ」の役割を果たします。
 


オイルサンドは(本当に簡単に説明すれば)アルバータ州の北部にフロリダ州と同じ面積ぐらいの巨大な原野に油が混じった土が存在しており、土から油(ビチュメンと呼ばれています)を取り出して、精製することで、重油質の原油(原油というのは表現が正確ではなく、英語ではSynthetic Oilと表現されています)を生産します。

オイルサンドの埋蔵量は莫大で、これが商業化出来たことで、カナダの原油埋蔵量がサウジアラビアに次いで世界2位になったぐらいのインパクトがあります(注:ベネズエラにも重油層があって、彼の国が本気で取り組めば、オイルサンドより埋蔵量が多いそうです)。

 

したがって、アメリカ国内からは中東の「危ない油」より、カナダの「安全な油」の人気が高く、当初は注文が相次いでいました(また原油価格も割安)。ENBの既存パイプラインの延長や新規案件の受注残は順調に積み上がっていて、向こう3年~5年はEPS2ケタ成長が見込まれています。


オイルサンドの留意点

このオイルサンドの成長機会は、当然アジア向けの輸出になります。上図でも、太平洋岸に抜けるパイプラインがありません。現在計画はあるのですが、地元住民の猛反発を受けており(アルバータ州とブリティッシュコロンビア州の州同士の口論にまで発展しているようです)、難航しています。

過去10年間に数回、パイプラインが破裂して、地域に原油漏れ事故を起こしてしまい(ENBに限らず、他社も含めて)、当時の原油まみれの黒い住宅や道路の映像を見ている人々のトラウマになっているようです。また、輸出港はバンクーバーの近郊の港を拡張する計画となっていますが、タンカーの事故が起こったらどうするとか、原油積載の油が漏れて、海が汚染されるとかいう懸念も持ち上がっているようです。
 
 

パイプライン会社は事故に対しては保険でカバーされるので、業績への影響は最小限に食い止められますが、社会的なダメージを受ける可能性があります(既にあまりいいイメージで報道されていない)。
大半の資源エネルギー会社は、開口一番「安全第一」を経営方針に掲げていますが(これ本当です)、確率的にこういった事故にあうことは避けられません。ENBの事故率は0.01%とのことです。ガソリンを運んでいるタンクローリーの交通事故率のほうが高いのです。
 
しかしながら、カナダの国家戦略として、資源の輸出による外貨獲得は大変優先順位の高い政策である点も疑いありません。カナダは資源政策においては米国一辺倒で、米国に足元を見られている現状、何としてもアジア向けのオイルサンド、シェールガスの輸出を実現させたいと考えているはずです。

まだ時間はかかりそうですが、経済成長と環境・地域への配慮という点で、今後の推移を待つしかありません。そうなれば当然、ENBKinder Morganにも恩恵に授かれることでしょう。


3社の株価が市場平均をアウトパフォームするかしないかはわかりませんが、当面の一株利益と一株配当の増加が見込めるものと、期待しています。


(当然のことながら、投資判断は各自のご判断で行ってくださいね)
 
 
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2013年6月8日土曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 9 エネルギー価格の高騰リスクと個人の生活防衛


北米の「シェールガス」や「シェールオイル」といった供給過剰、あるいはBRICSやユーロ圏の経済不振といった需要の伸び悩みのおかげで、最近ではエネルギー価格の頭打ち説も囁かれていますが、仮に前回のような政府や電力会社・商社の努力(?)が気泡になったり、さらに円安が進んで(ドルベースで価格が安くなっても円安になれば同じでしょ。貿易赤字の解消困難)、結局はガス代・電気代が値上がってしまうことに対して、個人で何か対策を講じられないのか?

これは電力会社・ガス会社と同じことをやればいいのです。例えば、Chevronの建設中の天然ガス田であるGorgonプロジェクトは年間1500万トンクラスの大型LNG生産拠点を西豪州のバローアイランドという無人島?(ビデオで見る限り、従前は無人島にしか見えない)の様な所に建設しています。総工費は日本円で何と約5兆円!完成・稼働するとChevronの営業CF2,0003,000億円増加すると期待されています(2014年末までに生産開始、2015年から出荷開始の予定)。ガス田は40年ほど持つと言われています。

こういった資源プロジェクトはゼネコン的に言えば、JVになっており、権益を数社にわたって分散して保有する習慣があります(生産者から見ればリスク分散)。GorgonにはChevronShellExxon Mobil以外に日本の東京ガス、大阪ガスそして中部電力が出資しています。

プロジェクトのビデオを・・・(英語がわからなくても、何やっているのかはわかるでしょう。残念ながら日本企業は建設資材の受注はできていなかったようですね)。

 

東京ガス、大阪ガス、中部電力の立場に立てば、出資分に見合うLNGの優先調達権利を得て、その後LNGの価格が上がって、調達コストが上昇した場合、プロジェクト全体の採算は好転しますので、プロジェクト単位で配当を受け取ることが出来たり、あるいは、営業外利益として持ち分法利益がPLに計上できます。仮に消費者に価格転嫁できない場合には、これらの利益で売上原価の悪化を相殺できます(だからLNGの調達価格の削減に取り組むインセンティブがあるのかやや疑問ですけど)。

総合商社のビジネスモデルはこの権益からの配当や利益が大半になっていますね。

したがって、我々個人も、ChevronShellあるいはExxon Mobileといった資源メジャーの株を買えば、エネルギー価格が上がった場合は、株価上昇で恩恵を受けますし、こういった企業は配当がしっかりしていますので、長期的には増配で報いられます(Chevronは実質無借金であり、財務内容も鉄壁ですよ)。

もちろん、将来のことは誰にもわかりませんし、投資は自己責任でお願いします。

証券会社が「シェールガス関連銘柄」として推奨する日本銘柄も悪くはないと思いますが、そういうのは装置というハードを売る会社が大半で、インフラそのものを提供するわけでないので、いわばワンタイムの収益に限定される点が、長期投資を前提とした場合、どうかなと思います(個人的な好みとして、業績の安定成長が見込めそうな企業がいいのです)。

 

つまり、電気代・ガス代の値上げ分を株価上昇、配当・増配で一部を打ち消しにする、という格好になります。元々株式投資はインフレ対策の側面がありますが、目には目をではありませんが、紐付きで対策を立てるとわかりやすい。

Chevron(シェブロン)やExxon Mobile(エクソンモービル)は、あのロックフェラーが経営していたという歴史と伝統があり、政治力もあるダウ平均構成銘柄であり、こういったヘッジ保有は意味があると思います。

Shellなんて、オランダの東インド会社の流れをくんでいたロイヤル・ダッチ社と英国のユダヤ商人の合併企業ではなかったか?

もちろんBPでもTotalでもいいと思います。

BPはメキシコ湾原油流出事件で、オバマ大統領から、メッタ打ちにバッシングされましたけど(失業や社会保険改革で、大統領に対する国民の不満が爆発していたので、ちょうど良い吐け口に使われたと思います)、今や元に戻った感がありますね。BPは旧アメリカのアラムコだったか、石油会社を吸収合併しているので、アメリカ企業の血も流れていたんですけど、「外国企業がうちのメキシコ湾を汚したな」みたいな感じでバッシングされていました。CEOがすぐに英国人からアメリカ人に代わりました。

要するに経営基盤が盤石なのです(だからと言って、将来も絶対安心とは保障できませんけど)。


ちなみにChevron社の株価は、1株現在約121ドル、配当は年間4ドル、配当利回りは3.3%となっています。ちなみに予想PER9.8倍です。100株買うと、約121万円の投資額で、年間配当が税引き前で4万円です。

1株配当は2004年以降、年率平均11%で増加しています。25年間連続増配を継続中です。

経営者の株主還元の第一選択は増配であるとIRの度に繰り返し言っています。

株価はダウ平均同様に過去最高値圏で推移しています(株価、配当とも将来は保障できませんが)。

留意点として、昔買収した旧テキサコ社が南米のエクアドルで油田探索を行っていたときに、環境汚染をしたかどで、同政府に訴訟されています。但し、Chevronによると、汚染原因となっているのは、テキサコ社がエクアドルを撤退した後のことで、Chevronに関係ないと主張しています。仮にこの訴訟に全面敗訴すれば、2兆円程度の賠償金の支払い可能性があります。個人的には大丈夫だと思っていますが。

電気代が10%上がると、我が家の場合年間1万円程度の負担増になりそうです。
Chevron株の上昇と増配で相当程度打ち消すことが出来ます。

Chevronの長期株価チャート(対数目盛)
2000年からの年平均株価上昇率は10.2%となっています。バイアンドホールドに向いている典型的な銘柄の一つだと思います。



ちなみにExxon Mobilも載せておきます。こっちは7.9%の株価上昇率でした。



次の10年のリターンはどちらが良いかわかりませんけど…。基本的にExxonの方がChevronよりも、PERは高い傾向にあります。
 
 
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