2013年6月8日土曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 9 エネルギー価格の高騰リスクと個人の生活防衛


北米の「シェールガス」や「シェールオイル」といった供給過剰、あるいはBRICSやユーロ圏の経済不振といった需要の伸び悩みのおかげで、最近ではエネルギー価格の頭打ち説も囁かれていますが、仮に前回のような政府や電力会社・商社の努力(?)が気泡になったり、さらに円安が進んで(ドルベースで価格が安くなっても円安になれば同じでしょ。貿易赤字の解消困難)、結局はガス代・電気代が値上がってしまうことに対して、個人で何か対策を講じられないのか?

これは電力会社・ガス会社と同じことをやればいいのです。例えば、Chevronの建設中の天然ガス田であるGorgonプロジェクトは年間1500万トンクラスの大型LNG生産拠点を西豪州のバローアイランドという無人島?(ビデオで見る限り、従前は無人島にしか見えない)の様な所に建設しています。総工費は日本円で何と約5兆円!完成・稼働するとChevronの営業CF2,0003,000億円増加すると期待されています(2014年末までに生産開始、2015年から出荷開始の予定)。ガス田は40年ほど持つと言われています。

こういった資源プロジェクトはゼネコン的に言えば、JVになっており、権益を数社にわたって分散して保有する習慣があります(生産者から見ればリスク分散)。GorgonにはChevronShellExxon Mobil以外に日本の東京ガス、大阪ガスそして中部電力が出資しています。

プロジェクトのビデオを・・・(英語がわからなくても、何やっているのかはわかるでしょう。残念ながら日本企業は建設資材の受注はできていなかったようですね)。

 

東京ガス、大阪ガス、中部電力の立場に立てば、出資分に見合うLNGの優先調達権利を得て、その後LNGの価格が上がって、調達コストが上昇した場合、プロジェクト全体の採算は好転しますので、プロジェクト単位で配当を受け取ることが出来たり、あるいは、営業外利益として持ち分法利益がPLに計上できます。仮に消費者に価格転嫁できない場合には、これらの利益で売上原価の悪化を相殺できます(だからLNGの調達価格の削減に取り組むインセンティブがあるのかやや疑問ですけど)。

総合商社のビジネスモデルはこの権益からの配当や利益が大半になっていますね。

したがって、我々個人も、ChevronShellあるいはExxon Mobileといった資源メジャーの株を買えば、エネルギー価格が上がった場合は、株価上昇で恩恵を受けますし、こういった企業は配当がしっかりしていますので、長期的には増配で報いられます(Chevronは実質無借金であり、財務内容も鉄壁ですよ)。

もちろん、将来のことは誰にもわかりませんし、投資は自己責任でお願いします。

証券会社が「シェールガス関連銘柄」として推奨する日本銘柄も悪くはないと思いますが、そういうのは装置というハードを売る会社が大半で、インフラそのものを提供するわけでないので、いわばワンタイムの収益に限定される点が、長期投資を前提とした場合、どうかなと思います(個人的な好みとして、業績の安定成長が見込めそうな企業がいいのです)。

 

つまり、電気代・ガス代の値上げ分を株価上昇、配当・増配で一部を打ち消しにする、という格好になります。元々株式投資はインフレ対策の側面がありますが、目には目をではありませんが、紐付きで対策を立てるとわかりやすい。

Chevron(シェブロン)やExxon Mobile(エクソンモービル)は、あのロックフェラーが経営していたという歴史と伝統があり、政治力もあるダウ平均構成銘柄であり、こういったヘッジ保有は意味があると思います。

Shellなんて、オランダの東インド会社の流れをくんでいたロイヤル・ダッチ社と英国のユダヤ商人の合併企業ではなかったか?

もちろんBPでもTotalでもいいと思います。

BPはメキシコ湾原油流出事件で、オバマ大統領から、メッタ打ちにバッシングされましたけど(失業や社会保険改革で、大統領に対する国民の不満が爆発していたので、ちょうど良い吐け口に使われたと思います)、今や元に戻った感がありますね。BPは旧アメリカのアラムコだったか、石油会社を吸収合併しているので、アメリカ企業の血も流れていたんですけど、「外国企業がうちのメキシコ湾を汚したな」みたいな感じでバッシングされていました。CEOがすぐに英国人からアメリカ人に代わりました。

要するに経営基盤が盤石なのです(だからと言って、将来も絶対安心とは保障できませんけど)。


ちなみにChevron社の株価は、1株現在約121ドル、配当は年間4ドル、配当利回りは3.3%となっています。ちなみに予想PER9.8倍です。100株買うと、約121万円の投資額で、年間配当が税引き前で4万円です。

1株配当は2004年以降、年率平均11%で増加しています。25年間連続増配を継続中です。

経営者の株主還元の第一選択は増配であるとIRの度に繰り返し言っています。

株価はダウ平均同様に過去最高値圏で推移しています(株価、配当とも将来は保障できませんが)。

留意点として、昔買収した旧テキサコ社が南米のエクアドルで油田探索を行っていたときに、環境汚染をしたかどで、同政府に訴訟されています。但し、Chevronによると、汚染原因となっているのは、テキサコ社がエクアドルを撤退した後のことで、Chevronに関係ないと主張しています。仮にこの訴訟に全面敗訴すれば、2兆円程度の賠償金の支払い可能性があります。個人的には大丈夫だと思っていますが。

電気代が10%上がると、我が家の場合年間1万円程度の負担増になりそうです。
Chevron株の上昇と増配で相当程度打ち消すことが出来ます。

Chevronの長期株価チャート(対数目盛)
2000年からの年平均株価上昇率は10.2%となっています。バイアンドホールドに向いている典型的な銘柄の一つだと思います。



ちなみにExxon Mobilも載せておきます。こっちは7.9%の株価上昇率でした。



次の10年のリターンはどちらが良いかわかりませんけど…。基本的にExxonの方がChevronよりも、PERは高い傾向にあります。
 
 
応援よろしくお願いします!


 
 

2 件のコメント:

  1. 北米エネルギー投資の方法はいくつかありますが、エネルギー先物も面白います。原油だけでなく、天然ガス、ガソリン、灯油等々非在来型の増産の影響が出ていたりします。エレメンツキャピタルがその話題に触れています。 http://www.facebook.com/EleCapJapan

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    1. コメントありがとうございます。
      先物は予定しておりません。

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