2013年6月12日水曜日

最近買った株 Enbridge Inc.など


6月の7日に、結局出動しました。

KDDI9433)、HSBCHBC)、EnbridgeENB)の3銘柄。今週に入って、やっぱり株価は軟調なので、早まったかな?

KDDIは、LTEの障害があった時に偶然日経平均の大幅調整がマッチして、たたき売られていたので拾いました。
既に沖縄セルラー電話(9436)を保有しているので、どうかな、とも思いましたが、配当性向も低いし(28%ぐらい)、向こう23年はケーブルテレビ局買収にかかる業績が貢献しますので、利益の2ケタ成長が可能、また、NTTグループと比較しても、配当引き上げ圧力を受けているので、中期的な増配傾向が見込める(過去は連続増配しているし)、と思いました。配当利回りは2.85

HSBC(買い増し)。

金曜の夜に買って、土曜に中国の経済統計がイマイチと判明し、ちょっと「しまった」という感じ。配当利回りは依然4.3(第4Qの配当を実績ベースで計算)。

旧大英帝国植民地銀行として、英国旧植民地(香港、シンガポール、マレーシア、インド、南ア、ドバイetc)向けプレゼンスの高さがいいと思う。また、旧香港上海銀行でもあり、中国当局の信頼も厚く、人民元の国際化(元建て社債の発行など)に貢献?している。その影響からか?アメリカではコンプライアンス関係でボロボロに叩かれており、ワシントンには嫌われているようです。北京になびくとワシントンに嫌われ(HSBC)、ワシントンになびくと北京に嫌われる(今の日本政府)といった感じでしょうか?

Enbridge (ENB;新規)。私はずっと、パイプライン会社なら、Kinder MorganKMI)かENBだ、と言っていました(MLPの個別銘柄投資は税金が複雑だから)。

Tapering懸念により、こういった配当株(借入金を活用して設備投資を行い、高配当利回りが売りのREITMLPあるいは公益株)は株価が下落していましたが、一方で、ENBに対してはMorningstar社が業績見通しを引き上げたので、つまり、見通しが明るくなっているのに、株価が下がっていたので、ついに、買ったというわけです。ちなみに、Economic Moatは“Wide”と評価されています。配当利回りは2.9


ENBはカナダ、アルバータ州カルガリーに本社があります。メインビジネスは、アルバータ州で採れるオイルサンドを米国にパイプラインを使って運ぶことです。Main Lineと呼ばれる太いパイプラインがエドモントンからアメリカ・カナダ国境にまたがる五大湖の工業地帯に敷設されています。このパイプラインがいわゆる「有料ブリッジ」の役割を果たします。
 


オイルサンドは(本当に簡単に説明すれば)アルバータ州の北部にフロリダ州と同じ面積ぐらいの巨大な原野に油が混じった土が存在しており、土から油(ビチュメンと呼ばれています)を取り出して、精製することで、重油質の原油(原油というのは表現が正確ではなく、英語ではSynthetic Oilと表現されています)を生産します。

オイルサンドの埋蔵量は莫大で、これが商業化出来たことで、カナダの原油埋蔵量がサウジアラビアに次いで世界2位になったぐらいのインパクトがあります(注:ベネズエラにも重油層があって、彼の国が本気で取り組めば、オイルサンドより埋蔵量が多いそうです)。

 

したがって、アメリカ国内からは中東の「危ない油」より、カナダの「安全な油」の人気が高く、当初は注文が相次いでいました(また原油価格も割安)。ENBの既存パイプラインの延長や新規案件の受注残は順調に積み上がっていて、向こう3年~5年はEPS2ケタ成長が見込まれています。


オイルサンドの留意点

このオイルサンドの成長機会は、当然アジア向けの輸出になります。上図でも、太平洋岸に抜けるパイプラインがありません。現在計画はあるのですが、地元住民の猛反発を受けており(アルバータ州とブリティッシュコロンビア州の州同士の口論にまで発展しているようです)、難航しています。

過去10年間に数回、パイプラインが破裂して、地域に原油漏れ事故を起こしてしまい(ENBに限らず、他社も含めて)、当時の原油まみれの黒い住宅や道路の映像を見ている人々のトラウマになっているようです。また、輸出港はバンクーバーの近郊の港を拡張する計画となっていますが、タンカーの事故が起こったらどうするとか、原油積載の油が漏れて、海が汚染されるとかいう懸念も持ち上がっているようです。
 
 

パイプライン会社は事故に対しては保険でカバーされるので、業績への影響は最小限に食い止められますが、社会的なダメージを受ける可能性があります(既にあまりいいイメージで報道されていない)。
大半の資源エネルギー会社は、開口一番「安全第一」を経営方針に掲げていますが(これ本当です)、確率的にこういった事故にあうことは避けられません。ENBの事故率は0.01%とのことです。ガソリンを運んでいるタンクローリーの交通事故率のほうが高いのです。
 
しかしながら、カナダの国家戦略として、資源の輸出による外貨獲得は大変優先順位の高い政策である点も疑いありません。カナダは資源政策においては米国一辺倒で、米国に足元を見られている現状、何としてもアジア向けのオイルサンド、シェールガスの輸出を実現させたいと考えているはずです。

まだ時間はかかりそうですが、経済成長と環境・地域への配慮という点で、今後の推移を待つしかありません。そうなれば当然、ENBKinder Morganにも恩恵に授かれることでしょう。


3社の株価が市場平均をアウトパフォームするかしないかはわかりませんが、当面の一株利益と一株配当の増加が見込めるものと、期待しています。


(当然のことながら、投資判断は各自のご判断で行ってくださいね)
 
 
応援よろしくお願いします!
 
 

2 件のコメント:

  1. 前にSBI証券のNISA口座でNLYが買えるかもしれないと書きましたが、SBI証券では米国REITの新規購入を停止したようですので、無理そうです。失礼いたしました。

    あと、初歩的な質問で恐縮ですが、以前Market HackのSuncor Energyの記事で、オイルサンドの生産は高コストで、Suncor Energyの場合、損益分岐点が80ドルくらいで、原油価格が低迷すると採算が悪化すると書かれていましたが、Enbridgeには同様の懸念はないのでしょうか?

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    1. 私もSBIのHPでその件は確認しておりますので、了解しております。

      現在オイルサンドは確か50ドル近辺で取引されていると分析されているはずです。
      シェールオイル増産の影響と輸送手段がないからです(鉄道やトラックで運ぶとコストが割高で原油から引かれる)。
      詳細は存じませんが、Suncor EnergyのAnual Reportを見ても最近の業績に大きな影響はないように見えます。

      ENBに影響があるとすれば、契約更改時やパイプラインの流通量が減少することが懸念事項でしょうか?
      今のところ、アメリカからの引き合いが非常に強いにもかかわらず、パイプラインの建設許可が下りないこと(そのために業績が予想に届かない)のほうが懸念材料となっているようです。
      あとパイプラインの事故ですね。


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