2012年2月28日火曜日

楽天証券、初めてのアセアン取引セミナー

225日土曜日に行われました。ちょっと古い記事ですね。

私の外国株のメイン証券会社である楽天証券でアセアン諸国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)の個別株等の取り扱いを開始する、ということで、行きました。

会場はTKP赤坂ツインタワーのカンファレンスセンターで、会場は7割程度(200人ぐらいかな)の入り。

当日はシンガポール証券取引所(SGX)のシンガポール人2名のPRと日本人アナリスト2名による各国の代表銘柄かつ有望銘柄(とご本人が推奨する銘柄)の紹介があった。リクソーETFの説明はパス。

中国企業を調査して、嫌だったのは、資本関係が複雑で、結局社長は共産党の顔を見て仕事をしている(国営企業の場合)ことだった。またはヘッジファンドのポールソンも引っかかった決算粉飾、要するにガバナンス不全がボトルネックで、その辺がある程度なんとかなればなあ、という感じで聞いていました。シンガポール株はテマセクが大株主って、なんとなく同じ印象。

シンガポール人のPRは非常にきれいな英語でかつゆっくりとしゃべってくれて、通訳なしで十分かもしれません。私は一昔前の「シングリッシュ」的なシンガポール人英語しか知らなかったので、ちょっと新鮮。

個別銘柄は、興味深そうな銘柄が結構あった。個人的な「興味」というのは、その国ならではの業種で、既存ポートフォリオにない部分を満たしてくれる、というイメージの企業です。そんな「ならでは」企業があればなあ、というのが参加目的だった。

パークウエイライフ:シンガポールのREITですが、投資資産は日本の病院や老人ホームが中心という変わりダネ。SG$建てでガンガン配当が増加しているが、これって円高だからかなあ?(円の家賃をSG$に交換すると…)もう少し調査が必要。日本のREITの分配金の下落傾向に辟易としていますので、興味はあります。

バンコク・ドゥシット。メディカル:タイ最大の私立病院。病院を買収して大きくなった上場企業。珍しい。富裕層向け医療が専門とのこと。新興国の成金が最新鋭医療を受けるところとなれば、がぜん注目。

アイオーアイ:マレーシアのパーム油、天然ゴムのプランテーションを行っているそうです。農業系ですね。パーム油は石鹸等で使用される主要原材料で、花王やP&Gの必需品原料となっています。パーム油は原油に価格が連動する模様で、こういった消費者独占的ブランド企業は、原材料価格の高騰に難儀しています。ちょうど良いヘッジ銘柄として追加調査したいものです。

インドフード:インドネシア「ならでは」といった感じの企業は見当たらなかったものの、誰でも中国、インドの次に期待するこの人口大国。アジア通貨危機でボロボロになったのは遠い過去の様です。即席めんやジャンクフードの国内ドミナント企業とのことです。プランテーション農業もやっているそうです。

とりあえずはタイの病院やIOIそしてパークウエイハウス等の企業は引き続きトレース調査していく予定です(現時点では完全な第一印象程度)。あまり間口を広げ過ぎると、手に負えなくなるものの、さりとて、有望銘柄に指をくわえて見ているのもバカらしい、こっちも投資バカかもしれないが予算が豊富にあるわけでもないので、イマイチな奴から乗り換えていくしかない。

応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

2012年2月25日土曜日

「官報複合体」(講談社)を読んで改めてマスコミを考える

気候も株価も春めいて?来ましたので、ブログも少しイメチェンしました。

話題?の一冊。著者は元日本経済新聞社の金融・証券の記者の牧野洋氏。
彼の著作は3冊目となります。前2作は
  1. 「世界最強の投資家、バフェット」
  2. 「不思議の国のM&A」ともに日本経済新聞出版社

です。特に「不思議の国のM&A」が印象的でした。これは私の印象に残る本のかなり上位になると思います。したがって「官報複合体」を迷わず買った。

この本の「イイタイコト」は、新聞社は「ジャーナリズム」を持って欲しいと言うことでしょうか。日本の新聞社には、読者目線で正確に調査・分析した独自の記事を書くことで、読者にもっと世の中に発生した重大な事件で、ほうっておくと誰も取り上げないことを深く報道して欲しい。マスコミは「権力の応援団」ではなく、「権力の番人」であって欲しい、そんな風に感じました。

こうした彼のジャーナリストとしての理念と大手新聞社の新聞記者という「サラリーマン」のギャップに嫌気がさして、独立と言う感じでしょうか。何となくわかりますねえ。

個人的な感想ですが、マスコミも官僚も経営者も、戦前の体質を引きずっているようで、進歩がないようにも思いました。これは日本では、上からのお達しを無条件で受け入れさせる詰め込み型の「金太郎飴製造法」とでもいいましょうか、そういった型にはまった人を育成させやすい教育システムや価値観にも究極的には連動するのであろうと思いました。

銀行だけが金太郎飴とは思えません、日本の社会!(と珍しく銀行を擁護) 
例:
  • 朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の1面トップは同じような記事が多い
  • 大手電機メーカーだって雁首そろって大赤字。赤字要因も横並び。
  • 公務員の抵抗は霞が関も大阪市も同じでしょ。ボスは違うけど。
  • 自民党も民主党も政権変わって何が変わった!  …etc.

さらに、牧野氏はアメリカ型ジャーナリズムを手本として日本のそれを比較されているが(何でもアメリカが良いとは思わないですが、アンチアメリカンな人はこの本に反発を覚えるかもしれないがこのブログも読まないだろう)、個人的には、日本的プロダクトアウト型思考と欧米的ともいえるマーケットイン型思考の違いが、ジャーナリズムの世界にも当てはまるのではないかと思いました。

つまり、日本の新聞社では、「報道先取り型」(他社よりも記事を早く伝える)ことが重要で、内容の正確性や真実性は二の次になっているケースが散見される(例:最近では鉢呂元経済産業大臣の「放射能つけちゃうぞ」発言、けど結局、内容は「横並び」)。

また、報道姿勢が権力寄りで、読者側にならない点(例:TPP参加可否議論では、農業か産業かという対立軸で報道されることが非常に多かったが、我々読者は真っ先に個人消費者であり、消費者目線で自由貿易論を論じるような記事はかなり少数派ではなかったか)。

なぜ「報道先取り型」になるのかと言えば、新聞社では「他社より早く伝える」ことが記者の人事考課に大きく影響するのだそうです。そういった人事考課や評価体制はプロダクトアウト型(いいもの作れば必ず売れる的な発想)と言えるのではないだろうか。要するに独りよがり。読者は事実に対する深い分析や洞察も早いこと以上に期待している。真実や本質を知りたいのだ。

日本のGDP60%は個人消費で占められると言われているにもかかわらず、農業か産業かで論じる政府や官僚に対し、「消費者目線」で論じることのできないマスコミの体質はマーケットイン型(利用者側に立って物事を考える)とはとても言えない。

更に牧野氏は権力寄り報道の諸悪の根源は記者クラブだ、と指摘しています。この指摘は上杉隆氏に共通するところがあります。私は、上杉氏があまりにも記者クラブ批判を行っているので、「ちょっと逆恨みがあるんじゃないか?」と思っていたほどでした(けど官房機密費の話はショッキングだった)。

しかし、牧野氏のこの本を読んで、上杉氏の主張とほとんど同じであると知り、「ああやっぱり、新聞ってそんなもんか。」とあらためてDisappointmentしました。

ただし、実際は新聞には官僚批判な論調も混在しますので、この辺ウケ狙いがマスコミの行動原理であり、その時売れる記事を優先しながら、最後には「社内的に微妙だから」権力寄りでお茶を濁す、そんな報道姿勢を個人的には感じます。

そういった報道姿勢を牧野氏的には、「理念がない」とばっさり切り捨てています。つまり新聞社各社に対して、何に価値観を置いて報道を展開していくのか、というポリシーが欠落しているので、「早ければいい」とか、「ウケればいい」という安直で、手のひら返しも平気になってしまうのでしょう。

牧野氏、上杉氏は記者クラブを徹底批判されていますが、元記者クラブにいた方で「いま、知らないと絶対損する年金5050答」(文春新書)を出版された太田啓之氏、彼は朝日新聞の元記者で、厚生労働省の記者クラブにいた人です。彼は例外的に厚労省の記者クラブ在籍年数が長かったため、じっくりと年金問題を理解し取り組んでいたそうで、結構しっかりした本を出されています(但し、どちらかと言えば官僚を肯定し、政治を批判しているが年金の仕組みを理解するにはおススメの本です)。

その彼が言うには、記者クラブに在籍する記者は「権力との馴れ合い」を防ぐために、通常は23年でローテーション的に転勤するらしく、結局、じっくり政策を勉強して記事を書くと言うよりは、どうせ短期間の担当だからと言って、スキャンダラスなものに走り易いという主旨のことを記載されていました(しかし、系列TV局のF館氏の番組では、「100年年金は嘘だ」と騒いでいますねえ)。

ただ、新聞社そのものが権力と馴れ合っているので、ローテーションも意味がないような気がしました…。

また、立ち読みしただけなので、書名は覚えていませんが、産経新聞の元常務が語っていたのは以下の様な事でした。
例えば、アメリカの新聞社で大統領の記事を書く人は、その道のベテラン記者がずっと追いかけて、一挙一動から大統領ニュアンスを読み政治動向を分析する、とのことですが、日本の首相を追いかける記者は「何か変なことをしゃべらなかったか」という一点にフォーカスしているそうです。そのため、ベテランを配置せず、新米に担当させるそうです。
(ああ、なんて軽んじられた国家元首)
ちなみに、失言を血眼になって追いかけられたのは自民党の森元首相だそうです(な~るほど)。

牧野氏は理念を持って、読者目線で、独自取材と徹底調査された記事こそがジャーナリズムであると説いています。単なる事実報道は通信社の記事で埋めればいいと。経営不振にあえぐ新聞社も選択と集中ですね。

個人個人で見れば優秀な記者さんは多いと思いますが、集団となると…といったところでしょう。これは日本の社会に共通するところでしょう。個人では優秀な人が多いが組織ではダメになった日本人。学校で学んだ「集団生活」とはこんなことのためなのでしょうか??? 

次作にも期待したいと思います。

応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

2012年2月23日木曜日

日経平均を捨ててこの日本株を・・・

「日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい」

この本、人気があるようですね。私は本屋で立ち読みしただけです(ちょっと釣ってますね)。

しかし、このようなニュースが相次ぐと、筆者のおっしゃるとおりだと思います。


30%希薄化増資、というのがリーマンショック直後に野村證券を始め、日本の大手金融機関や重電メーカーではやりました(欧米ではどひんしゅくな希薄化水準)が、それを超えていること、マツダって2009年にも1000億円を増資して、3年で2回目ですよ。またまた「構造改革」ですか。

投資に使うのは結構ですが、構造改革=リストラはどうするのでしょうかね。円高抵抗力をつけるのだったら国内工場に大ナタを振るうのでしょ?えっ?地域の雇用??

この会社の役員にはメインバンクさんはどう関与するのか?

オリンパスには関与するそうですが。

オリンパス
東京電力

そして、多分

マツダ

どれもこれも日経平均採用銘柄に留まるのでしょ???

ケーキよりも甘い日経平均採用基準だ!!

筆者と趣旨は違っても「日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい」と言わざるを得ません(具体的な推奨は控えますが)。

一方、IPOはなかなか審査基準も難しく、上場企業数も上がりません。
ゆるい基準でIPOさせた後のガバナンス不全を批判するより、こういったゾンビ企業の姿勢のほうが市場を歪めてしまいかねません(入試に厳しく、留年基準に緩い教育と同じ感じ)。

さらに、もっと言えば、オリンパスに増資したい人はまあ、わからないでもないが、マツダの増資に応じ「ざるを得ない」投資家って、このために有望な何かを売って、買うのでしょうから、株式投資の原則から大いに外れていると思います。

1000億円もあったら、中堅企業のIPOが15社以上は賄えるはずです。そういった企業の成長ポテンシャルに賭けるほうが、ゾンビを作るより経済の活性化になるはずです。

こういった銘柄を組み入れている投資信託を買っている人は(TOPIXのインデックスは回避不能だが)、よくよく考えたほうがいいでしょう、自分の運用会社のダメさ加減を。コストが安いとかそんな問題ではないと思います。

株式投資は儲ければそれでいいと思いますが、それでも(普通に考えられている)市場原理を逸脱したようなダマシが通用し、それが国を代表する「指標銘柄」に残るというのは、なんか残念ですね。株式市場の「建設的発展」には程遠い。

応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

2012年2月19日日曜日

「非在来型エネルギー」と投資戦略 その1 なぜ天然ガス・石油セクターに投資するのか?

アメリカ・カナダで「シェール革命」と呼ばれている石油・天然ガスの増産状況は益々拍車がかかっていきそうです(最近天然ガスは「豊作貧乏」となったことから減産気味の様ですが…)。

かねてから、資源・エネルギーセクターへの投資を考えていたことと、比較的興味をもてる分野としてもう2年ぐらい知識を積み重ねてきました。未だに投資中のこのセクターですが、少し把握したことを書いてみたいと思います。

この道の専門家ではありませんし、個人のブログですので、ありきたりな点や(ひょっとして)事実誤認あるいは抜けている点、推測が間違っている可能性があります。また証券アナリストでもないので、定量的な分析はちょっと粗くなっていますので、あくまでご参考に。また、当然のことながら投資自己責任の原則をお忘れなく。

1.      なぜ石油ガスセクターに投資するのか(投資テーマ)
2.      シェール革命とは何ぞや(背景・経緯・見通し)
3.      投資対象の選択

(ア)  石油・天然ガスの生産会社(西側企業と新興国の国営上場企業)
(イ)  石油・天然ガスのサービス会社
(ウ)  パイプライン会社
(エ)  総合商社
(オ)  石油化学産業
(カ)  電力・ガス会社、その他 など

4.      リスクファクター
5.      投資戦略と期待リターン、EXIT戦略等

等について書きたいと思います。ただ長くなりそうなので、今回は「その1」とします。

Q:なぜ石油・天然ガスセクターに投資するのか?

A:自分の投資目的を達成させる手段になりえるセクターだから。
当たり前の答えで申し訳ない。

個人的な全体観として、長期的には安定的な成長が期待できる(連続増配)と言う点と政治力(簡単に潰れない)と言う点はProsで、商品価格の相場変動が激しいという点と環境汚染と言う面はある意味Cosかもしれない。

1.  「ジム・クレイマーの株式投資大作戦」(日本経済新聞社出版)という本に、長期投資の場合は石油株を一つ持て、というくだりがあります。相対的に低いバリュエーションと高い配当利回りで、かつ緩やかに長期的に株価は上昇しています。下記は西側では最大の民間石油会社、エクソン・モービル社の株価チャートです。長期的に右肩上がりですね(チャートは対数メモリです)。

1970年から40年間に5回の株式分割で、株価は47倍になっています。現在は過去最高値94ドルにあと10%【85ドル】と10%弱まで迫っています。

19701月の株価約1.8ドル(分割調整後)×360円=648円 20112月の株価約85ドル×79円=6,715 円ベースでも約10になります。

ちなみに昭和シェル石油の19831月の月足ベースで株価は237円(分割調整後)で、2011217日終値ベースでは538円と2.3倍に過ぎません(ヤフーファイナンスの日本版とUS版でそれぞれ調べました)。

さらに時期を昭和シェルに合わせると、19831月からエクソンは株価22倍、為替調整後で約7(ドル円を234円:国際通貨研究所の198312月の月中平均を採用)と円ベースのリターンでも圧倒的にエクソンに分があります

1970年から2011年までドル円は360円→79円と4.6倍に上がりました。2050年に17円になるのでしょうか???(ちょっと想像付きませんが…)

2. ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」と言う本で、IBMとエクソン・モービルの過去53年間にわたるトータルリターンの比較があり、エクソンのリターンが良かったという事実が記されており、株式リターンは皆が良いと期待する銘柄を保有するのではなく、良い会社だがあまり期待されていない銘柄(なおかつ配当利回りが高いもの)を保有したほうが高リターンの可能性が高くなると記されています。このセクターは業績が少しボラタイルな側面、装置産業、バカでかい時価総額等の理由で相対的に低いPERでずっと放置されています

 ちなみに、私が保有するシェブロン社(ダウ平均採用銘柄)は実績PER7.9倍、予想PER8.0倍に過ぎません(ヤフーファイナンス)。ダウ平均の実績PER14.45倍、予想は12.35倍(WSJより)です。配当利回りはシェブロン3.1%、ダウ2.5%となっています。

つまり、ファンドマネージャー、学者ともこのセクターは割安だが、着実なリターンをもたらし、長期投資向きだとトラックレコードを用いて説明しています。

(私はIBMも持っているので、偉そうに言えませんが…。しかしIBMは今やバフェット氏も保有するバリュー株ということで…)

  石油は将来枯渇するという「ピークオイル」論がしばし話題になりますが、ちょっと事実を調べると、馬鹿げたことで、石油は私たちの子どもの代でも十分な量があると推測できます。ちなみに70年代に埋蔵量はあと30年、と言われましたが、30年経過した2005年ごろの推計では、確認埋蔵量はあと40年になっていました!!10年も増えているじゃない!!

私は「埋蔵成長率」なる言葉を初めて知りました。埋蔵量が年々増加するのです!!(専門的なので省略しますけど)

3. アメリカで「シェール革命」と呼ばれる、一種の技術革新が起こり、さらにオイルサンドやオリノコ重油質層などの「非在来型エネルギー」の開発で石油・天然ガスの埋蔵量が急拡大しています。非在来型エネルギーを考慮した場合、石油埋蔵量の世界1位はサウジアラビアですが、2位はベネズエラ、3位はカナダと言われています。BP2030年、アメリカは天然ガスと石油のエネルギーが自給自足出来る、と分析しています。北米では石油・天然ガスに対するパラダイムがシフトしつつあります。この点は北米での石油・ガス産業への巨額の投資を呼び込んでいます。日本の総合商社も積極的に投資しています。

BPのおかげで少し開発スピードが落ちましたが、メキシコ湾の深海油田開発もアメリカは力を入れています。

陸と海と、アメリカは脱アラブに動いています。

BP2030年までにアメリカは石油の自給率が100%になると予測しています。当たるか否かは別として、そういう可能性があると言うことですね

U.S. to Be Free from Foreign Oil by 2030: BP

ここでは、アメリカ大陸全体では、自給自足の可能性が高いと解説されています。
省エネによる効率化、シェールオイル、カナダオイルサンド、ブラジルの開発などにより、その可能性が高い点が指摘されています。
また、雇用創出と貿易収支へのインパクトという経済波及についてもコメント。
再生可能エネルギーについてもコメントされていますが省略

4. 一方、かつての原油大国である、イランとイラクは戦争や西側の経済制裁に疲弊しており、80年代以降、まともに石油開発をやっていません(むしろイランは核開発に積極的ですね)。サウジアラビアもほとんど(意図的に)油田開発を行っていません。安価で良質な「在来型石油」の埋蔵可能性の高い国々の土地がほとんど手つかずの状態で残っているので、石油は潜在的にいくらでもある、と言われています(にもかかわらず、なぜこんなに高いのでしょうね?)。

5. 天然ガスは、掘れば出てくるぐらいにあっちこっちに存在します。日本近郊でもハイドロメタンというガス層が深海にあります。そのガスをめぐって中国が尖閣列島でフライングしています(経済性がまだ出ないのでこれからの資源)。

6. 東アジア経済圏の成長で石油・ガスの需要は今後とも増加が見込まれています

要するに需要も供給もそれなりにあるので、経済成長とともに安定的な成長が期待できるということです。下記はIEAが予想する現時点の中期的な需要供給の予想です。
 ここでもOPECには生産能力の拡大期待をせず、それ以外の国が需要を満たすような図なっています。


世界経済が約4.5%年率成長するとした場合、需要は1%未満で増えると予想されています。(IEA2011年時点の世界の石油の需給予想)

7. 天然ガスはCO2排出量が石炭の6割程度であり、火力発電には天然ガスが良いと言われています。つまりエコ。ガスの大量発掘で、石炭との競合が予想されるぐらいです。そして、東京電力さんのおかげで、原子力開発は特に環境にうるさい欧州で盛り上がっています。

8. そして何より、資源株はインフレヘッジになり易いです。加工産業がインフレで減益でも、資源セクターは儲かっているケースはありえます。分散投資の一環です。ブランド力のある消費者独占型企業の弱点を補完してくれます。また、日本が貿易赤字になって、インフレ圧力が強くなった時、儲かっているのはこの辺の会社ではないでしょうか???

上記の記述は大手石油会社の業界環境が中心ですが、持っていて損はないセクターで長期投資向きだと思います。インデックスの上位銘柄の常連ですが、配当と言う観点では、個別で保有する方が圧倒的に有利だと思います。エクソン、BP、シェル、シェブロン、トタル、コノコフィリップスなど何でもいいような気がします。

このシリーズは間隔をあけて継続する予定です。

応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

2012年2月15日水曜日

将来の配当利回りを見る もうひとつの複利効果

連続増配株の投資リターンを具体的に示して見ます。

当たり前ですが、あくまで理論上のことであり、なおかつ投資自己責任であることを前提といたします。

これから20年間、P&G株と関西電力株にそれぞれ投資したとします。
現在、P&G株の配当利回りは3.3%、関西電力株は4.5%の配当利回りがあります。

(注:関西電力は、原発運転停止のあおりを受け、大幅業績下方修正で、今期末の配当がなかなか予想しづらい状況ですが、ここでは話をわかりやすくするために、この配当利回りが実現可能であると仮定をおくものとする。なお、本当に期末配当や今後の配当も現状維持が可能であれば、もっと買いが入るので、配当利回りが低くなる可能性もありますが、それもちょっと置いておきます)

P&Gの一株配当(DPSDividend Per Share)は過去55年間連続して増加しており、その間の平均増配率は9.5%であると同社のアニュアルレポートでは記載されています。



1956年に1セントだったDPS55年後の2011年には$1.97197倍になっています。1998年からでも4倍弱になっています。配当にも「複利効果」は存在するのです

一方、関西電力のDPSHPに掲載されているAnnual Reportでは一番古い1996年の50円から2006年に60円に増配され、以降60円と「安定配当」で推移しています。計算できる17年間で10円の引き上げなので、単純に年1.1%の増配と言うことにしておきます。

仮に、今後ともP&G株のDPSが年率9.5%で増加し、関西電力株が同1.1%で安定的に推移するとした場合、時間が経過するとどうなるのか見てみましょう。



DGRDividend Growth Rate)を意味します。
100単位分それぞれ買ったと仮定し、10年経過した場合、当初のコストに対し、P&G株は7.5%配当利回り、関西電力は5.0%で逆転します。
(この当初コストに対する配当利回りをよく、Yield on Costと呼んでいます)

20年経過した場合には、P&G株は18.5%のYield on Costになります。

これが連続増配株を長期で保有する最大のメリットです。
このメリットを知ってしまえば、外国債券への投資は選択肢にならなくなりましたP&G株のほうが長期的には、利回りがよくなる可能性が高いからです。また、債券と違って、ペナルティー等なしでいつでも売却可能です。債券は期日が決まっています。

仮に両社の株を10,000円分買ったとします。
為替についてですが、仮にY-1のときのドル円レートが100円とします。
Y-1はたとえば3.3ドル=330円とします。関西電力は451円です。
ドル円が年間3%ずつ円高になると仮定します(過去の単純な円高進行率の平均値)。

Y-10のレートは76円で570円、この時点で関西電力(500円)を上回ります。
Y-20のレートは56.1円で1,037円、関西電力(560円)の約倍になります。

つまり、理論上は為替レートを克服できますP&Gの配当金は円ベースでも20年で3.3倍になります。
(本日、日銀は1%のインフレ目処を明示しました。FRB2%と言いました。仮に日米中央銀行が公約どおりのインフレを達成した場合、これまでより円高圧力は幾分緩和されることになるが、果たしてどうなるのか?もし、円高率が1%程度になるのなら日本株も理論上は上昇・増配余地が出てくるので、影響はニュートラルかもしれない)

P&Gはたこ配をするわけではなく、年率8から9%の一株利益(Earnings Per Share)の成長を伴うはずです。過去はおおむねそのようになっています。利益成長を伴う健全な増配です。したがって株価の上昇余地もあると言えます(PERが毎年一定ならば)。

目先の配当利回りではなく、長期的な配当利回りに注意して投資する点は配当の複利効果を期待しているといえます。

米国の経済成長率はかつてのように行かないかもしれませんが、米国各企業は中国やインドで相当売り上げを伸ばしています。P&Gは中国の売上高だけで6,000億円ぐらいをたたき出しており、ユニ・チャームの連結売上高の1.5倍以上差があります。

新興国向けの売上高が連結売上高に占める割合は、2006年が28%で2011年は35%になっています。今年はさらに38%になると予想しています。売上高が約6.5兆円なので2.3兆円を新興国でたたき出しています。

将来はどっちに転ぶかわかりませんが、新興国の成長を着実に取り込んで、先進国の低成長をカバーする、そのための地盤はしっかりしていますので、今後もSolidな成長を期待しているところです。

CEOは、中国人はかつて1週間に1回髪の毛を洗っていて、現在は平均週に2回程度になったと言っています。並みの先進国のように週に3から4回髪の毛を洗うようになると、シャンプーはまだ倍売る余地があると言っていました(かつ内陸部でも未開拓の地域があるようなこともチラホラ)。
インド人が楽しそうに髭をそっている写真などを見ると、需要は無尽蔵にあるように思えますねえ。

なお、P&GのようにDPSが毎年連続して増加する企業がゴロゴロしているのが米国株式市場です(ダウ平均ですとコカコーラ、マクドナルド、マイクロソフト、インテル、ジョンソンエンドジョンソン、3Mなどなど)。みなこれと同様のことが言えます。


応援よろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ