2012年2月15日水曜日

将来の配当利回りを見る もうひとつの複利効果

連続増配株の投資リターンを具体的に示して見ます。

当たり前ですが、あくまで理論上のことであり、なおかつ投資自己責任であることを前提といたします。

これから20年間、P&G株と関西電力株にそれぞれ投資したとします。
現在、P&G株の配当利回りは3.3%、関西電力株は4.5%の配当利回りがあります。

(注:関西電力は、原発運転停止のあおりを受け、大幅業績下方修正で、今期末の配当がなかなか予想しづらい状況ですが、ここでは話をわかりやすくするために、この配当利回りが実現可能であると仮定をおくものとする。なお、本当に期末配当や今後の配当も現状維持が可能であれば、もっと買いが入るので、配当利回りが低くなる可能性もありますが、それもちょっと置いておきます)

P&Gの一株配当(DPSDividend Per Share)は過去55年間連続して増加しており、その間の平均増配率は9.5%であると同社のアニュアルレポートでは記載されています。



1956年に1セントだったDPS55年後の2011年には$1.97197倍になっています。1998年からでも4倍弱になっています。配当にも「複利効果」は存在するのです

一方、関西電力のDPSHPに掲載されているAnnual Reportでは一番古い1996年の50円から2006年に60円に増配され、以降60円と「安定配当」で推移しています。計算できる17年間で10円の引き上げなので、単純に年1.1%の増配と言うことにしておきます。

仮に、今後ともP&G株のDPSが年率9.5%で増加し、関西電力株が同1.1%で安定的に推移するとした場合、時間が経過するとどうなるのか見てみましょう。



DGRDividend Growth Rate)を意味します。
100単位分それぞれ買ったと仮定し、10年経過した場合、当初のコストに対し、P&G株は7.5%配当利回り、関西電力は5.0%で逆転します。
(この当初コストに対する配当利回りをよく、Yield on Costと呼んでいます)

20年経過した場合には、P&G株は18.5%のYield on Costになります。

これが連続増配株を長期で保有する最大のメリットです。
このメリットを知ってしまえば、外国債券への投資は選択肢にならなくなりましたP&G株のほうが長期的には、利回りがよくなる可能性が高いからです。また、債券と違って、ペナルティー等なしでいつでも売却可能です。債券は期日が決まっています。

仮に両社の株を10,000円分買ったとします。
為替についてですが、仮にY-1のときのドル円レートが100円とします。
Y-1はたとえば3.3ドル=330円とします。関西電力は451円です。
ドル円が年間3%ずつ円高になると仮定します(過去の単純な円高進行率の平均値)。

Y-10のレートは76円で570円、この時点で関西電力(500円)を上回ります。
Y-20のレートは56.1円で1,037円、関西電力(560円)の約倍になります。

つまり、理論上は為替レートを克服できますP&Gの配当金は円ベースでも20年で3.3倍になります。
(本日、日銀は1%のインフレ目処を明示しました。FRB2%と言いました。仮に日米中央銀行が公約どおりのインフレを達成した場合、これまでより円高圧力は幾分緩和されることになるが、果たしてどうなるのか?もし、円高率が1%程度になるのなら日本株も理論上は上昇・増配余地が出てくるので、影響はニュートラルかもしれない)

P&Gはたこ配をするわけではなく、年率8から9%の一株利益(Earnings Per Share)の成長を伴うはずです。過去はおおむねそのようになっています。利益成長を伴う健全な増配です。したがって株価の上昇余地もあると言えます(PERが毎年一定ならば)。

目先の配当利回りではなく、長期的な配当利回りに注意して投資する点は配当の複利効果を期待しているといえます。

米国の経済成長率はかつてのように行かないかもしれませんが、米国各企業は中国やインドで相当売り上げを伸ばしています。P&Gは中国の売上高だけで6,000億円ぐらいをたたき出しており、ユニ・チャームの連結売上高の1.5倍以上差があります。

新興国向けの売上高が連結売上高に占める割合は、2006年が28%で2011年は35%になっています。今年はさらに38%になると予想しています。売上高が約6.5兆円なので2.3兆円を新興国でたたき出しています。

将来はどっちに転ぶかわかりませんが、新興国の成長を着実に取り込んで、先進国の低成長をカバーする、そのための地盤はしっかりしていますので、今後もSolidな成長を期待しているところです。

CEOは、中国人はかつて1週間に1回髪の毛を洗っていて、現在は平均週に2回程度になったと言っています。並みの先進国のように週に3から4回髪の毛を洗うようになると、シャンプーはまだ倍売る余地があると言っていました(かつ内陸部でも未開拓の地域があるようなこともチラホラ)。
インド人が楽しそうに髭をそっている写真などを見ると、需要は無尽蔵にあるように思えますねえ。

なお、P&GのようにDPSが毎年連続して増加する企業がゴロゴロしているのが米国株式市場です(ダウ平均ですとコカコーラ、マクドナルド、マイクロソフト、インテル、ジョンソンエンドジョンソン、3Mなどなど)。みなこれと同様のことが言えます。


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