2012年2月1日水曜日

決算発表の中間感想 QE2の後遺症


昨年の6月に終わったアメリカのQE2の後遺症にポートフォリオの各企業は悩んでいる。
P&Gやフォードというコンシューマービジネスを営む企業では、原材料の価格上昇を最終消費者に(全てを)転嫁できずに、企業業績は明らかに踊り場に差し掛かっている。これらに限らず減益あるいは利益の伸び悩みを訴える企業が相次いでいる(日本の花王などでも同様の傾向)。

それじゃあ、コモディティの総本山?である石油会社さんはどうかと言えば、持ち株のシェブロン社では、結局ガソリン価格が高止まりしていることや(ガソリン需要が減っているそうだ。低燃費車の影響というより、クルマに乗る距離が減ったと言うべきだろう)アメリカは今年暖冬というのもあるが、ダウンストリームと呼んでいる製油部門が赤字に転落し、第4四半期は対前年比で減益となってしまった。

景気が悪く、政府の財政も悪いので、医薬品・医療機器などは値下げのプレッシャーと戦っている(日本は公的薬価ですけど)。ジェネリックでさえ価格競争が激化しているそうだ。

QE2とは関係ない電話会社もiPhoneという「毒まんじゅう」(契約者数の増加や解約率の抑制に寄与するが、アップルに払う販促費のおかげで利益率が悪化するから)のおかげで増収減益(または利益率の悪化)等に悩んでいる。

ざっと見ているとアップル独り勝ちの感じですね。

要するにパッとしないなあ。

これからの見通しだが、ドル高になると原材料が値下がるのか、といえばCEOさん達はそんな見通しは立てていないし、実際原油価格は1バレル100ドル前後を行ったり来たりで高止まりとなっている。

値上しようにも、この失業率と実質賃金の緩やかな伸びでは、そう簡単に行かない。

QE2のおかげでデフレスパイラルは逃れられたが、スタグフレーションとまではいかないが、企業業績的には水平飛行になりつつある。こういったときはキャッシュリッチ企業がさらに自社株買いで防戦する、と言うことになりそうな気がしている(しかしP&Gでは自社株買い予算が昨年比減っている)。

下手をすると追加リストラということもありえる。P&Gは明らかに、成長するところに投資すると宣言していて、北米でテクニカルセンターを2か所閉鎖して、北京のそれを倍に拡張し、シンガポールに新設すると言っている。


北京の巨大センターが新興国向けマーケティングの総本山的な位置付けになるそうだ。P&Gの若い中国人女性がインド人の女性に洗剤についてヒアリングをしているビデオを少し前に見たなあ。

あちらの企業は人件費も変動費のように扱い、最終損益から逆算してリストラするのでせっかくの雇用拡大基調に水を差す可能性もある(もっとも昨今の雇用創出は中小零細企業の貢献度が大きいはずだが)。

ただし、当面低金利を継続すると中央銀行が言っていること、去年の株価の乱高下である程度悲観的なことを織り込んでいるはずだから(ユーロのこと)、「想定外」なことが起こらない限り(中国バブル崩壊とか)、インフレ率の落ち着きを待つことになるのかなあ。ただし、このミクロの動きと株価が連動するか否かは全く分からない。そんな感じです。

中長期的な見方に変化はありませんが、ちょっとがっかり。

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2 件のコメント:

  1. <エネルギー政策:日独による戦略の違い>
    このレポートは「衝撃的」です。ドイツは、エネルギー消費を削減しながら、経済成長を持続している。一方、日本は、20世紀型パターンを継続して、ムダを繰返していると:

    http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/research/2011/report-380.html

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  2. 日本のエネルギー政策って、単に経済産業省の利権をいかに増やすかって観点しかありませんので、しっかりした国と比較すると見劣りすることは仕方が無いでしょう。
    縦割り行政の弊害もあって、バイオマスとか、安上がりで、農家にも恩恵がありそうな政策も出せないでいる、情けない国家だと思います。

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