2012年3月31日土曜日

3月の投資状況


今月も堅調な一月でした。月末に少し円高に戻ってしまいましたが、先月と比較した場合、引き続き円安効果にも恵まれました。

初めて米国株を買った2008年から直近まで、ドルを買った為替レートの単純平均を計算してみたら、まだ89円台で、為替差損があるようです。
証券会社、銀行等への投入資金合計(含む外為手数料、送金手数料等諸費用)÷ 両替直後のドル資金合計=89.88
20086月に最初に買ったときは107.64円でした。めげずにドルを買い下がっていきましたが、振り返ると90円台前半が多いですね(諸費用込み)。

しかし、アメリカの失業率が7.0%を割ったぐらいではないとドル円90円台回復は難しそうですね。その辺が現時点における「フェアバリュー」と思われますので、もっとドルを「ナンピン買い」する必要がありますね。

さらに、FRBと日銀が目指すインフレ率の差は依然1%の開きがありますので、将来もゆっくりとした円高は続くことが理論上は予想されます(日銀さんは「本気」で1%目指すのかなあ?)。

ポートフォリオは今月も売買無しで推移しています(DRIPを除く)。

とグダグダしている間に、「世界景気回復不透明感」な~んて言いながら円高、株安の調整局面に陥って、含み益も飛んでしまうのでしょうね。中国の党大会は下半期だし、そこまで政策出動なしでしょ?


日本でも連続増配株の話題が増えてきたように感じます。日本企業が今後どこまで増配を繰り返すのか、見ものですね。英米では、従業員の首を切ってでも配当を増やしていますので、そこまで覚悟があるとは思えない日本企業では、高望みは出来ないなあ。

ちなみに米国では25年以上連続増配をする企業が100社以上存在します。日本では花王が最高で21年だったと記憶しています。

連続増配が出来るような企業は、基本的に勝ち組企業なので、潤沢なFCFを活用して毎年のようにごっそり自社株買いを行います。発行済み株式総数を毎年減らすことが出来るので、通年の総支払配当額の増加率<一株配当の増加率 とすることが出来るので、効率的かつ効果的な株主還元が出来ます。

例えば、営業利益が前年度と全く同額でも(営業利益以下の数値は中立とする)、発行済み株式総数の3%を自社株買いして、配当金の総額を前年度と同額とした場合、一株配当金は3%アップ出来るはずです(たった3%でも、この「コツコツ増配」が連続増配のコツ(・・))。

増配や自社株買いが進むと、株価も自然とアップしますし、メタボリックな株主資本のシェイプアップも出来てPBR1倍割れなんていう不名誉なバリュエーションも昨日の話になるでしょう。

ちなみにドイツ人が社長になって話題となった我がPF第二位のIBMPBR12倍です(ドイツ法人の社長からの転任なので、日本法人のほうが一応格上なのでしょうね)。最近不調のジョンソンエンドジョンソンでもPBR3.2倍です。

大体一株当たり利益に無頓着なIRをやっている会社はこういう意識は多分ゼロでしょう。

個人的にはNTT辺りは、私が期待する範疇にはいるような気がします。ただ、調べてみたら、連続増配ではなく、増配する年には結構一気に増配していますね。個人的には年平均で5%程度増配できるのなら、毎年連続する必要性はないと思います。ただし、心理的に毎年増配発表を聞くと、経営は正しい方向を向いているなあという安心感を覚えますね。「マメさ」も大事な様な気がします。経営者の株主に対する愛情表現みたいなものですよ。

「好きよ~、好きよ~」と小まめに言われる方が、クラっと来ませんか?(俺だけかな?)

予想受取配当金増加率(税込)

今月は売買なし、増配発表なし、と平和な月でした。
DRIPで自動買い付けしたものと円安分だけ増加しました。この結果、年初来で予想受取配当金は+9.2%となりました。

目標年間1215%増ですが、第1四半期で早くも9.2%の増加となっています。内訳は新規購入3.3%、DRIP0.4%、増配1.6%、減配-1.0%、為替4.9%が各項目の寄与度となっています。円安が大きいですね。

Yield on Costは何もしていませんから、5.03%に上昇しました。時価でのYield3.63%となっています。

しかし、為替の変化とは、もらえる通貨量には変化が無く単なる評価ベースなので、株が一杯買えるわけでもないので、なんと言うか・・・。だんだん贅沢な要求になってしまう。

さて、4月の注目点は、雇用統計でNFP+20万人台を継続できるのかと言う点と、企業決算および月末のGDP速報第一弾でしょうか。銀行や一部のシクリカル産業およびアップル以外の企業は収益伸び悩みや業績下方修正あるいはストリート予想を外すなど「波乱」を予想しています(皆「波乱」を予想すると、「波乱」でなくなってしまうけど)。

株価はfacebookIPOまで持ちこたえるのかなあ? 証券会社も、石にかじりついてでも、強気を演出するのかな??? 一旦調整して、facebook前後でもう一回盛り上げるのかな? もう少し様子を見てみよう。サッカーバーグさん、ネクタイしていましたなあ、ちょっとがっかり。

GDPは昨年第4四半期から大きく後退すると言う説と、個人消費が堅調で案外イケルと言う説がありますので、これも見もの。


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2012年3月25日日曜日

株高、円安、あれこれ雑感

昨年の9月ごろの悲観時点から、あれこれ資産残高は30%近く上昇した。当時は悲観過ぎると思っていたが、やっぱりそうだった。
株価の上昇と円安のダブルで効いているのでなおさらだ。

しかしながら、株価が回復すると割安感が薄れ、同じお金で買える株数が減ってしまい、配当金の元手となる買い付ける株数が減ってしまう。

株価が回復するのはうれしい反面、金の卵を産むガチョウの値段も高くなるため、痛し痒しってところか?

もちろん本当に株価が上昇しなければ、悶悶とした日々になるので、それも精神衛生上あまりよくない。

増益による増配を繰り返す企業で、PER10から15倍以内に収まっていれば、いつか株価に反映されるはずなので、出来れば株価は低いほうが望ましいなあ、などとも思ったりもする(今でもPER15倍以内の銘柄はたくさんあるが)。

しかしながら、4月からの第一四半期決算は米国株にはちょっとした山場かもしれない。これまでのような2桁増益の快進撃から息切れするはずであり、原油をはじめとするコモディティ高の影響はまったく衰えていない。消費者に価格分だけ転嫁できたようでもないと思われるため、利益率の悪化や将来売上高の伸び悩みに直面する可能性がある。
さらにはドル高が少し進んでいるので、売上高にも影響があるかもしれない。

自分は従来、ドル高になればコモディティの上昇は収まると考えていたが、ドル高というより、ユーロ安の状態であり、過剰流動性資金は商品相場にまだまだあふれているようである。これは計算違いでした。

ドル高、コモディティ高、人件費増(オバマ医療制度改革のおかげ)および、デフレ回避のためのQEシリーズによるインフレなどを考えると、目先はそれほど穏やかではない。

もちろんそれより長期では、雇用回復、貸出金回復、製造業回復などまだまだ期待は出来そうだ。ただ、目先の個人消費の勢いが失せてしまいそうな気がする。

日本株は少し期待できるが、日銀のインフレターゲットへの「本気度」が試されるだろう。
日本では消費者心理というものを軽く見ているのだろうか? あまり話題にならない。米国のニュースでは「Confidence」という単語が連呼されていて、消費者心理の回復を非常に重要視している。

夏過ぎに原油相場がいったん暴落して(米国の夏のドライブシーズンによるガソリン需要の大勢が判明しそうな8月過ぎ)、株価が調整してくれたらなあ、などと思う反面、その場合は総資産残高が大きく影響を受けるだろう、と、いったいどうなったら自分にとってベストなのか、アホな考えを悶々としてしまいます。

関西弁でツッコミを入れると、「お前、ほな、どないせえっていうねん」と言うことになる。



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2012年3月21日水曜日

機関投資家と個人投資家の違い


日米欧IRの相違を考えるに、日本ではIRに対し、「個人投資家向け」と「機関投資家向け」を分けているのは日本だけであると思われる。
英国やフランスの企業のIRサイトをいくつか見たことがあるが、やはり投資家の性質による開示の区別はなかった(USADRを保有する人への配当について説明がある程度)。中国企業でもこのような区分はないと思う。

なぜこんな区別をするのだろうか?

決算説明会でもわざわざ「アナリスト・機関投資家向け」あるいは「個人投資家向け」と銘打って行われるケースも多い(個人向けは年1回程度のお披露目会の様な感じだが)。

売買の数量や頻度では差があるのは理解しますが、だからと言って、情報開示やIRに差があっていいのでしょうか?

まさか、アナリスト・機関投資家と個人投資家では理解力に差があるから、個人にはちょっと手加減した書き方じゃないと。という「ご配慮」を当局が指導しているのだろうか???

両社の資料の違いを見ていると、
「個人投資家向け」というのは、会社の説明資料であることが多く(わが社はこんな会社ですという程度のもの)、
「機関投資家向け」というのは、戦略や業績報告であることが多い。
(しかし、結局資料の内容を読み比べると、大きな差がない。当然ですけど)

しかし、株主平等の原則、というのは法律上の事ではなかったか? 1株の株の財産権と議決権は誰が株主でも平等に扱われなければならない(但し普通株式の場合)。

実際にリターンを得る場である株式市場では、個人も機関投資家もガチンコ勝負をするはずである。

にもかかわらず、開示方法に差があるのはなぜなのだろう?もちろん個人投資家が機関投資家向けのサイトを見ることが出来ずに、シャットアウトされていると言うことはない。

IR資料なんて読まない人は法人(証券会社のトレーダー)や個人(デイトレ)で同じことだと思いますし(もちろんトレードでも読む人もいると思うが)。

個人投資家でふつうに個別銘柄をやっている人は、決算短信ぐらいは読むでしょう。株主通信というのも送られてきますし(これで確認しているようでは時期を逸する可能性が高いけど)。

企業側も、最近では外国人投資家向けに世界中を飛び回る必要性もあるので、余計なコストになっているような気もします。

もちろん個人株主を増やしたいという企業が「自主的に」機関投資家と個人である程度の差をつけるのはいた仕方のないことか?(プロ向けの説明会のQ&Aと個人向けのそれでは質問の質も違うかもしれない)

日本の「何でも過保護行政」の一環でしょうか? 

単なる素朴な疑問でした。





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2012年3月15日木曜日

ホッタラカシ投資のパラドックス


インデックスに積立投資して放置していれば一財産…。よく投資のプロが初心者向けに唱える投資方法です。

忙しいし、なんだか難しいから、簡単で市場と同じ程度のリターンが低コストで出来る。というのが投資サイドのメリットです。

インデックスを積立で長期に継続するという投資方法は、かなり正解な投資方法だと個人的には思います(個人的には資産の増加ではなくインカムの増加をメインにしているので、インデックスは目的に沿わないのでほとんどやっていない)。

しかしながら、本当にこれでリターンを上げることが出来る人って

  1. 本当にホッタラカシに出来る人
  2. 金融経済に精通しているがゆえに、インデックスや投信等が最も効率的な商品と理解している人
  3. 相場が暴落の日も暴騰もひたすら我慢強く積立抜いた人


ぐらいではないだろうか?(単なる推測で済みません)

「本物の」投資のプロ(ウォーレン・バフェト、ピーター・リンチ、ジム・クレイマーやジム・ロジャーズ)が口を酸っぱくして、「投資対象を理解しろ、理解できるものだけに投資しろ」と言っています。

にもかかわらず、何となくうまくいってしまう、と言うのはビギナーズラックではありえると思いますが、長期でそれなりの成績を収めるためには本当にホッタラカシが絶対に一番いい!と確信できるぐらいでなければ容易ではないように思います(確信できるころには、何に投資しているのか理解できていると思う)。

ホッタラカシ投資が一番いい、と確信できるぐらい理解してからホッタラカシにすることがコツだと思いました。

我慢強く積立抜いた人は、当初の「時間がなく」、「手軽に」という目的に合致したのか再考しましょう(恐らく、積立期間の中では気が気でなかったはずだ)。

結果的に「金融経済が勉強できてよかったです」という『副作用』があった人はおめでとうございます。

初めからホッタラカシで成功できそうな人は、神経が図太そうな人???(図太いことをネガティブにとらえる必要性は全くないと思います、念のため)

投資の初心者には、甘い投資方法なんてないから、しっかり色々勉強して、失敗しながら成長してください、とか、雨の日も風の日も我慢強く継続するのですよ、感情的にならずに規律を持って対処するのですよ、などズバリアドバイスしてあげるのが、本当の親切ってもんではないでしょうか?

胸に手を当てて、自分が社会人でどうやって成長してきたのかを例にとっても、苦労して失敗を重ねて、運や上司・同僚に恵まれて、これまでやってきたはずです。
趣味や特技も初めからうまくいくようなことはなかったはずです。
個人的には投資だけ最初から簡単に行くと考えるのは虫が良すぎるような気がします。
(投資のプロだって失敗や挫折が澤山あるんですし…)

と偉そうに言いながら、自分も未だに失敗が絶えないので、これぐらいにしておこう。


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2012年3月12日月曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 その2 「シェール革命」とは何ぞや?

「その1」で、結局投資スタイルに適合し、業界見通しも概ね良い、という結論になりました。定番長期銘柄として、石油メジャーのシェブロン株を買いましたが、更に北米で話題沸騰中の「シェール革命」関連銘柄にも目を付けました。

米国経済見通しや米国のエネルギー政策、株の期待リターンなどを考えると、ここに落ち着きました。ちょっと最近高くなりすぎた感がありますが、中長期展望です。

背景・経緯・見通し(ざっくり簡単に言っているだけですが)

「シェール層」と言われる地層にある石油・天然ガスを採掘して、資源化するというもので、資源の存在は昔から指摘されていたのですが、それを採掘するには格段にコストがかかるということで、これまで放置されていました。

しかし、911テロ爆破事件以降、アラブにエネルギー政策を依存することは潔しとしない風土が高くなりました。

2000年代に入ると、中国・インドといった新興国の台頭が著しく、原油価格は次第に上昇し始めました。また、IT革命により水平掘削が出来るようになり、原油価格の高騰とともに水圧破砕法がクローズアップされてきました。

(この「水圧破砕法」の普及に一役買ったのは、当時アメリカ副大統領のディック・チェイニ-で、彼は一時期ハリバートンという石油・ガスサービス会社のCEOをやっていて、同社が保有する水圧破砕法で用いる化学薬品を自由に使える(薬品の使用を開示しなくてもよい)法案を副大統領時代の2005年に可決させたことがきっかけとなりました。


(石油ガス鉱物資源機構の資料から)
これが水平掘削・水圧破砕法と呼ばれる工法です。上の図は主に水圧に使う水の処理を説明するための図ですが、イメージしてもらえればと思います。ここでは技術的な話は省略しますが、最近ではより深く、より長距離に水平に掘る技術が実用化されるようです。

次第に水圧破砕法によるガス田開発が進むようになりました。それはアメリカでも天然ガスをLNGとして輸入しないと自給出来なくなると言われていたからでした。

さらに、当時アメリカは住宅バブルが高原状態に差し掛かり、利下げを始めたことなどから、短期マネーの流入で相対的に原油価格や資源価格が急騰し、水圧破砕法で採掘しても、十分リターンが出るようになってきました。この低金利・資源インフレが、さらに資源開発に拍車をかけ、資源開発コストが更に資源価格に上乗せされるという、消費者から見れば悪循環、生産者から見れば好循環な状況が生み出されてくるようになりました。

そして水圧破砕法によりシェール層から採れる天然ガスで、アメリカは天然ガスを全て自給できるほどの埋蔵量が増加したと言われています。したがって、アメリカの天然ガス相場は「豊作貧乏」による下落と言う皮肉な結果になりました。

天然ガスのみならず、石油もある程度同じ工法で採掘出来るため、今アメリカでは、シェールガスよりもシェールオイルに熱視線が注がれています。

ノースダコタ・モンタナ・カナダのアルバータ州に広がるバッケンシェールと呼ばれる北米最大のシェール油田地帯では生産が始まり、周辺地域は大変潤っています。

アメリカは土地の所有者は土地に眠る鉱物資源の所有権があるらしく(一般的に普通の国では資源は国家に所属するらしい)、土地所有者が採掘に協力するインセンティブが働き(多くは採掘権等をレンタルし、生産期間中に生産会社から一定金額を受け取る、家賃を受け取るような感じ)、ちょっと可能性があると、採掘、試掘のドリルが撃ち込まれており、北米は世界でもっとも地層が把握されている地帯と言われています。

また、パイプラインや消費地である人口、工業力がそろっており、要するに水圧破砕さえうまくいけば、「地産地消」できる環境が整っていると言われています(普通は資源が取れるところって、アラビアの砂漠とか経済的に開発が進んでいませんよね)。したがって、低コストかつ効率的な採掘環境にあります。

更に、カナダでは(シェールとは関係ありませんが)オイルサンドと呼ばれている重油層(文字通り砂に混じった重油層から石油成分を取り除いて活用)が眠っており、2000年代半ばの原油価格高騰により、採算に乗るようになったことから採掘が進んでいます。

こういったシェールガス・オイルやオイルサンドは従来の採掘方法(穴を掘って垂直的に吸い上げる)と違うため、「非在来型」と呼ばれることがあります。

ダメ押しで、北米石油産業への追い風は、イギリス・ノルウエー沖に広がる北海油田の枯渇化です。最近新たな油田の発見が少なく、埋蔵量が減少気味のため、「アラブの春」とは関係なく慢性的に北海Brent価格がテキサスWTI価格より高くなっています(欧州の石油価格が米国のそれより高い。したがって、米国の石油関連産業は川上から川下まで価格競争力で欧州の競合より有利になることを意味します)。

こういった一連の動きが米国での石油・天然ガス産業およびその川下産業で喚き立っている背景になっています。
アラブに依存することなく、自国とカナダで十分な石油とガスの調達が出来る目処が立ちつつあるのです。
アメリカ国内の石油生産量は矢印の2009年ごろから反転増産に動いています。
カナダの石油生産量は2000年から2010年で40%程度増産され、2020年までにさらに4050%増産されるという予想があります。


(いずれも石油天然ガス・金属鉱物資源機構の資料から)

そして、これらの資源の活用で、アメリカの石油化学産業は価格競争力を回復しつつあるのです(持ち株のダウ・ケミカルのCEOの鼻息が荒いです)

アメリカ以外にもシェール層は存在しますが(世界最大のシェールガス埋蔵可能性のある国は中国と言われています)、インフラの未整備や消費地等が遠いため、アメリカ以上にコストがかかると言われており、当面はアメリカの独壇場の様です。

一方では水圧破砕に利用する水の保存方法が稚雑なため、土壌汚染を引き起こすようなことや、水圧破砕に利用する化学薬品が人体に影響を与えるのではないか、とか、ガスが水道水に混じって水が飲めなくなる、等の環境被害もクローズアップされており、アメリカではエネルギー政策と環境政策のバランスが求められていますが、現状「見切り発車」で、何かクレームがあれば対応して、住民と妥協するという流れになっています。

現状では住民がたくさん住んでいる地域では水圧破砕を行わない、とか、使用した化学薬品を開示するとかで解決が図られようとしています(しかし、一部の薬品は「企業秘密」で開示不要とするなど完全ではありません)。

ただし、新たな投資が行われる→雇用を生み出す、という点は今のアメリカには背に腹変えられないメリットがありますので、妥協せざるを得ないと言うのが現状の様です。

国家のエネルギー政策、経済成長、雇用創出と環境保全のバランスなどまだまだ議論は続くと思いますが、私は最終的に資源を活用する方向で決着すると思っています。経済競争力を維持拡大させることはアメリカの国益で、国家エネルギー政策上、資源は持っているものが勝ちだからです。湾岸地域にカネも神経も使うことも辟易しているはずです。

ありきたりですが、環境とうまく折り合って欲しいと思っています。

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2012年3月10日土曜日

震災から1年経ちました

1年です。
ここ新浦安では表面上は平和になっています。
未だ液状化防止や復興は市議会で議論がされています。
首都圏直下型大地震の想定震度が震度7に「上方修正」されてしまい、梯子を外された気分ですが…。

1年前は、「帰宅難民」と言っている場合ではなく、自宅まで徒歩で帰りました。6時間かけて丸の内から新浦安まで。葛西橋の上が無茶苦茶冷えたことを思い出します。

あれから・・・

断水
計画停電(県知事の無力さを改めて知る)
世間にはザマアミロ的な記事を書かれ
罹災証明が発行され
NHKでは東京湾が2年後にセシウムに犯されると報道され

る、と言うことがありました。

周辺の戸建て住宅の方はもっと苦労されたように思われます。
今も近くの小学校ではヒドイ地盤沈下の後が残っています。

被害比べをしても仕方がないのですが…。

非常に住み心地がいいし、住民の方もいい人が多く、家族も馴染んでいるので、地震とどのように向き合うのか、一度棚卸する時期かもしれません。

あと、東北地方の復興が進んで欲しいと思います。


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2012年3月6日火曜日

アメリカのものづくり、なう


いつも覗いているMorning Star USAのビデオクリップ。
シカゴ連銀のシニアエコノミスト、William Straussにインタビューしている。Mr. Straussさんによる分析をご紹介(鋭い分析の割に、ジョッキでビールをがぶ飲みする優しいドイツのおじさんを想像してしまう親近感が沸いたので、聞いていました)。

以下は私の慨訳ですが、参考程度に(Transcriptもあります)。








フラッシュの調子が悪そうなのでリンクも貼り付けて起きます。

Recovery Missing Normal Expectations


景気見通しや消費者動向や経済指標など色々述べていますが、製造業の生産性改善に焦点を当てて以下をまとめています。


アメリカの製造業の出荷額(Out put)は2007年に最高に達した(この時はアメリカのOut putは中国より多かったそうだ。多分付加価値額が大きいのだろう)。
しかし、その直後のリーマンショック(The Great Depressionという表現)ではGDP5%ダウンしたのに対し、製造業はOut put20%もダウンしてしまった。

更にこの間、230万人の雇用が製造業から失われたが、これはリーマンショック期間中に失われた雇用の約1/4にも達する(合計八百数十万人が職を失っている)。

(アメリカ経済に占める製造業の従業員数は10%前後で、如何に製造業が失業者に占める割合が多いのか、と言うことを意味しているのだと思います。ビデオでは製造業従事者は10%未満と言っていますが、これはリーマンショック後のことでしょう)。

2009年の景気底打ち後、製造業では失った雇用の約1/4に相当する40万人程度の職が生まれたに過ぎない。

出荷額は70%程度回復したが、職は25%しか回復していない。

というすさまじい生産性の回復を述べています(もちろん、今後更に30%のOut putの回復で職がどっと回復する可能性もあるが、それはちょっと不釣り合いだろう)。

一方、ピークから20%落ち込んだOut putは、現在年率6%の勢いで回復しており、今後4%台程度に落ち着くもののGDP全体の成長率を大きく引き離す景気のけん引役になるだろうと言っています。やはり自動車産業が大きい模様です。

2012年の全体のGDP成長率は2%程度と慎重に見ていますが、未だ住宅市場が停滞することを前提にしているようです。

さて、経営者はなぜ雇用しないのか、と言うことに対し、雇用要件のミスマッチを上げています。「21世紀型製造業従事者」はなかなか見つからないのだそうです。

日本と同じだなあ、と思いました。しかし、2013年~2014年には2007年を超えるOut putを生産するだろうと予測しており(ドル安のおかげもあるのかもしれませんが)、その生産性の改善は留意しておく必要性があると思いました。

さて、

日本も相当改善していると思いますが、雇用に関してはなかなか経営者も深く切り込めないですからねえ(労働者派遣とかもうるさいし)。しかし、日本を一歩外に出れば同じ条件で競争です

既存の製造業よりも、新しい産業が出てきて(すべての人がホリエモンとは言いませんが、起業家のお行儀ももっと正さなければならないと思いますが)、活性化が欲しいものです。リスクマネーはゾンビ企業ではなく、明日の日本に注がれるべきです。

スポーツ界では少子化にもかかわらず、我々の世代よりもたくましい若い人がたくさん出ていますので、経済界にも欲しいものです。

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2012年3月3日土曜日

2月の投資状況

雇用統計は来週末の様ですが、区切りが良いので32日締めです。

着実に株価が上昇し、おまけに円安に振れたこともあり、今月は好調な「既存店ベース」(ニューマネーなしのたとえ)の総資産の増加率となりました。ドル円は昨年同時期と同じレベルですね。

S&P500の上昇率+ドルの上昇率≒TOPIX上昇率となっていますね(YTDで見た場合、TOPIX15.0%はS&P500;8.9%+ドル/円上昇率6.3%=15.2)。

今月はニューマネーの投入がなかったので、グロスもネットも同じ増加率です。Yield on CostYTDの上昇率は0.43%です。先月の集計は間違っていたようです。訂正いたします。

昨年の第4四半期が少し過剰でこの1月・2月は反動減がある、と言われていた米国経済、小売売上高はそんな感じでしたが、新規失業保険申請者数の減少や自動車は強かったですね。第4四半期のGDP成長率は3%成長に上方修正。これが暖冬効果なのか本物か、う~ん、まだ微妙。

ただし、中期的には確実に改善の兆しがあるとすこしずつ手ごたえを感じています。
それは、1:製造業の好調さ、2:住宅市場底入れ、3:銀行貸し出しの伸びといったところにフォローの風が吹き始めています。リーマンの破綻により「フィナンシャル・アルマゲドン」と呼ばれた一連の金融崩壊劇の後、金融に絡むこの3つ落ち込みが大きかったので、回復しだすとそれなりに効き目が大きいのではないかと感じるところがあります。

まず、製造業ですが、これは自動車と航空機というすそ野の広い主幹産業が好調なことが挙げられます。自動車は巡航速度で新車販売台数が年間1600万台と仮定しても、今まだ1,4001,500万台程度にしか回復していません。

さらに、ペントアップデマンドと呼ばれる潜在需要の顕在化が始まりつつあるのでは、と考えています。ペントアップデマンドとは、「景気が良くなさそうだし、様子を見てみよう」と言って、購入を一時的に控えていたものの、景気も回復しだしたし「もう買ってもいいかな」と心理改善して、購買行動に踏み切るような感じのことを指しています。つまり買い控え層がかい出すことを指します。

また、自動車の平均保有年数が過去最長になっているというデータもありますので、この点を裏付けているものと思います。さらにダメ押しで言えば、アメリカでも燃費規制が本格化してくる点やスマートグリッドなどの再生エネルギーがらみでも電気自動車の出番は期待されていますので、買換え需要を促進する可能性があります。ガソリン代も高騰しています。

失業してクルマを買うお金がない人もいますので、定量的な線引きは難しいのですが、アメリカの新車販売の巡航速度需要が1600万台と仮定すれば、2011年の実績約1280万台との差320万台と今年の100200万台相当の合計約400500万台がペントアップデマンド候補台数となって、このうちのいくらかの台数はどこかで巡航速度に上ぶれするものと想定しています(2010年の販売実績約1100万台との差額も入れた場合、さらに膨らむ可能性もありますが、これは置いておきます)。

尚、アメリカは人口が増加していますので、巡航速度も1600万台以上になっている可能性がある点を指摘しておきます。つまり、201315年ごろに1600万台以上の販売台数になるのかな、と思っています。

航空機もボーイング社では、2012年以降、納入計画が毎期10%ずつ増加しているそうです。2012年の530機から2014年には760機まで増加する可能性があると見られています(MorningStar調査)。原油高により、先進国では低燃費飛行機の需要が高まっている点(全日空タイプ)、新興国での需要の高まりなどが背景だと言われています。自動車以上に裾野が広い産業ですね。

オバマさんの演説も、GEの航空機エンジン工場やGMやボーイングの組み立て工場だったりするシーンが多いように思いました。ドル安効果かなー。

住宅市場は今、戦後最悪の不況の底を打って反転の兆しが見えています。住宅バブル前の新築着工件数は年間150万件ぐらいのところ、今足元は年率換算で6570万件に過ぎません。住宅産業の雇用者数も増加傾向にあります。中古住宅の在庫も適正水準に近付いているようです(但し、今年に関しては暖冬効果の可能性も少し残っています)。

住宅価格はそのうち反転するでしょう。なぜなら賃貸相場では家賃が上昇しているからです。日本では長期的に住宅価格も家賃も並行して下落していますが、あちらはそうではありません。つまり、収益還元法等CFで不動産を評価した場合、どこかで均衡点が取れるはずなので(既に割安だと思うが)、「家賃払うより、ローン払った方が得」と考える層が増加するでしょう。抜け目ないアメリカ人がこのバリュー状態をそんな長期間放置するわけがないと思いませんか?? 債務超過を解消すべき層も残っていますので、もう少し時間がかかる可能性は残りますが、いずれ上昇に転ずると見ています。

自動車・住宅も持ち直してきたおかげなのか、確かJPモルガン、バンクオブアメリカ等の第4四半期決算では貸出金が増加していたんじゃなかったか? 中小企業向け貸出金も底打ち傾向にありますので、経済の「血」は行きわたりつつあります。

雇用も中小零細企業での増加が大企業よりも多いので、アメリカ経済のダイナミズムが戻ってきたような印象を受けています。現在の零細スタートアップ企業のうち、数年後には確実に数社がFaceBookLinked inあるいはSales Force.Com のような企業になるんでしょうねえ。ベンチャーキャピタル等そういう仕組みが出来上がっていますからねえ。

最後に、もし、さらに景気が足踏みすると、QE3という切り札がありますので、万全のバックアップ体制が考えられます。

原油価格がリスクファクターとのことです。しかし、イランを「おとり」にして、シェールオイルの開発を促進しているんじゃないの~?(原油価格は高い方が開発インセンティブも上がる)雇用創出が「次の選挙」の鍵なのでしょ~?オバマさん!! やり過ぎると消費が失速して、選挙も失速、なんてことにならないように!! 選挙前に外交で威張りたいという気持ちもわかるけどね。

さらに皮肉なのか、的を得ていると言うべきか、この原油高のおかげで、低燃費自動車や航空機に買い替えようという更新需要が顕在化しているというのもフォローですね。アメリカでハイブリッドが売れないというのはイニシャルコストが高いおかげでライフタイムバリュー(次回買い替えまでのトータルコスト)を計算しているのではないでしょうか(私もその口。それぐらい計算高いアメリカ人が今のような住宅市場をほうっておくとは思えません)

しかし、このまま一直線に景気・株価が上昇するとは、楽観過ぎるような気がします。
景気も株価も3歩進んで2歩下がる、そんな感じでしょうね。今は3歩進んだのか2歩目なのか、それはわからず。あちらでもtwo steps back, three steps forward,というような表現を半年ぐらい前はよく見かけました。人生も経済も株価もワンツーパンチですね。

売買
今月は売買なし。

予想受取配当金


2月は6社の増配発表がありました。
  1. JT:           +12.5% 98年連続
  2. Cisco Systems    +33.3%  過去1年で2回目
  3. Thomson Reuters +3.3%  19年連続
  4. TransCanada  +5.0%  12年連続
  5. Abbott Laboratories +6.25% 40年連続
  6. HSBC Holdings plc +13% 第4四半期分(増加率は過去4半期分を遡る)2年連続

ただし、REIT ETFNEXT FUNDMid REITの分配金が対前年比減で発表されました。

「待望」?の円安もありました。

これらの結果、前月比+4.7%、年初来+8.3%、指数は143.4となりました。Yield on Cost4.99%まで上昇しました(ちなみにYield on Costの私の目標は「10%」です。5%ではありません)。

5月頃までは増配発表ラッシュとなるでしょう。

3月に向けて
安くなったら買うだけです。GW明けまでは高原状態?? アメリカ経済の強さがどこまで本物か、為替とか中国やユーロなどの「雑音」もありますが、まあ、注目点はいつもと同じです(企業業績が現在は多少「踊り場」の可能性がありますが…)。

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