日米欧IRの相違を考えるに、日本ではIRに対し、「個人投資家向け」と「機関投資家向け」を分けているのは日本だけであると思われる。
英国やフランスの企業のIRサイトをいくつか見たことがあるが、やはり投資家の性質による開示の区別はなかった(US-ADRを保有する人への配当について説明がある程度)。中国企業でもこのような区分はないと思う。
なぜこんな区別をするのだろうか?
決算説明会でもわざわざ「アナリスト・機関投資家向け」あるいは「個人投資家向け」と銘打って行われるケースも多い(個人向けは年1回程度のお披露目会の様な感じだが)。
売買の数量や頻度では差があるのは理解しますが、だからと言って、情報開示やIRに差があっていいのでしょうか?
まさか、アナリスト・機関投資家と個人投資家では理解力に差があるから、個人にはちょっと手加減した書き方じゃないと…。という「ご配慮」を当局が指導しているのだろうか???
両社の資料の違いを見ていると、
「個人投資家向け」というのは、会社の説明資料であることが多く(わが社はこんな会社ですという程度のもの)、
「機関投資家向け」というのは、戦略や業績報告であることが多い。
(しかし、結局資料の内容を読み比べると、大きな差がない。当然ですけど)
しかし、株主平等の原則、というのは法律上の事ではなかったか? 1株の株の財産権と議決権は誰が株主でも平等に扱われなければならない(但し普通株式の場合)。
実際にリターンを得る場である株式市場では、個人も機関投資家もガチンコ勝負をするはずである。
にもかかわらず、開示方法に差があるのはなぜなのだろう?もちろん個人投資家が機関投資家向けのサイトを見ることが出来ずに、シャットアウトされていると言うことはない。
IR資料なんて読まない人は法人(証券会社のトレーダー)や個人(デイトレ)で同じことだと思いますし(もちろんトレードでも読む人もいると思うが)。
個人投資家でふつうに個別銘柄をやっている人は、決算短信ぐらいは読むでしょう。株主通信というのも送られてきますし(これで確認しているようでは時期を逸する可能性が高いけど)。
企業側も、最近では外国人投資家向けに世界中を飛び回る必要性もあるので、余計なコストになっているような気もします。
もちろん個人株主を増やしたいという企業が「自主的に」機関投資家と個人である程度の差をつけるのはいた仕方のないことか?(プロ向けの説明会のQ&Aと個人向けのそれでは質問の質も違うかもしれない)
日本の「何でも過保護行政」の一環でしょうか?
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