2013年2月24日日曜日

さらば、MID-REIT


J-REITポートフォリオの一角であるMID-REITを売却しました。

投資時期 200810

EXIT   2013221

投資期間 約44カ月


当リートへの投資理由としては、
  1. 何と言っても安かった。当時の配当利回りは20%台だったんですよ!!!
  2. 旧松下興産なので(大口テナントもパナソニックであり)、なんだかんだ言っても銀行が潰すことはないだろう、とタカをくくっていた。
  3. 関西出身者として、投資物件が「ああ、あのビルか」とわかりやすかった
なぜEXITしたのか、と言えば
  1. 大口テナントである肝心のパナソニックが一部退去することになり、分配金が大幅減額)。
  2. 投資直後の分配金(リーマンショック前の契約に基づく)は約12,000円、先日の決算で、来期(7月以降)の分配金が約5,700円まで下がり、もう「堪忍袋の緒」が切れた
  3. さらに、スポンサーである関西電力も原発問題で台所事情は火の車なので、不安感もあった。当初関電にスポンサーが決まった時は「親方日の丸」と思って安心していましたが、まさかこんなことになるとは(本物の日の丸も大丈夫かなあ)。

とまあ、投資理由だった割安感が薄れたことと、当REIT最大のリスクファクターであるパナソニックリスクが顕在化し、私の投資スタイル(配当金を積み上げていく)というのに反しているため、売っちゃいました。

 しかし、

なかなか売却判断は難しく、今回の判断が正しかったのかはわからない。昨年、朝日インテック【7747】を売却しましたが、あの時売却せずにホールドしておけば、株価は2400円→4,100円となっており、自分の馬鹿さ加減を思い知った銘柄でした。

 
MIDREITも、この後、起死回生のテナント誘致があるかもしれません…。神のみぞ知る。

売りも買いも、投資当初の理由と紐付けで、規律を持ってやる以外になさそうです。


気になるリターンは

410カ月で、投資リターンは、IRR22%+分配金となりました。トータルリターンはIRRベースだと20%後半台といったところ。
 
REITがバブルか否か、今の段階では早計だと思います。家賃収入が改善されるか否かを見極めるべきでしょう。そろそろフリーレント期間も終わるでしょうし。


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2013年2月21日木曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 その7 日本が採るべきエネルギー戦略の雑感

当ブログの人気シリーズです。検索キーワードにMLPとかシェールとかが上位に来ます。
その7を書くには勇気が入ります。但し投資には直接役に立たないかも?

今回は大胆にも日本が採るべきエネルギー戦略を「北米非在来型エネルギー」を活用することで述べてみたいと思います。

某大手町経済新聞社さんの記事で、シェールガスの記載がない日が無い、ぐらい最近頻繁に取り上げられるようになったシェール関連。
記事の多くは、米国では天然ガスが安いから、日本に輸入すれば電力料金の値上げを防止することが出来る、という趣旨のものです。
以下は別会社さんの記事ですが、見出しと中身がこんなに違うのに、なぜ煽るように書くのかわかりません。
一部抜粋
ただ、LNG取引の実務担当者は、シェールガス輸入による燃料価格圧縮に懐疑的だ。電力中央研究所(東京都千代田区)が都市ガスや商社など14社のLNG取引担当者31人に聞き取り調査したところ、米国でのシェールガス開発コスト上昇や、北米の好調な内需、他のアジアの買い主との競合などから、調達価格の大幅な引き下げは難しいとの意見がほとんどだった

(どこが「本腰」やねん? これじゃ、電力会社が値上げしたいがゆえんに、意図的に否定的に回答しているかのよう。アメリカが日本にシェールガスを「解禁」するか否かは、まったくわからないです。エネルギーの輸出はアメリカの外交上の戦略ツールと言ってよい)

しかし、同新聞社さんたちの主義主張に反抗して、私は戦略的にカナダと仲良くなる道を提案してみたいと思います。

理由
カナダと日本では、「アメリカを牽制する」という政治的利害関係で一致出来るから
特にカナダのオイルサンドを輸入することは経済的にも政策的にもメリットがあるから(勿論天然ガスでも良い)
カナダにもにもアメリカ一辺倒ではなく、「分散投資」にもなる
北米産原油は中東産その他の原油より、ディスカウント状態にある(割安)

まず、政治的利害関係の一致について。
もちろん、日本の外交政策は、アメリカにひたすら忠犬ハチ公のようにシッポを振って、ワシントンに撫で撫でしてもらって、にっこり「ワン」と吠えることが最優先に来ます。このご主人さまと飼い犬の良い連携を見せつけることが、ジコチューの赤い国への最大の武器になるからです。
しかし、ワシントンはハチ公の忠義を懐疑の眼差しで見ており(というより、短命政権ばかりで、本気に相手にしてもらえない? TPP問題然り)、ご主人さまの気を引かせる必要があります。

カナダ経済はアメリカ経済と一蓮托生のような状態にあります。しかし、カナダではアメリカほど住宅ローンバブルは発生していません。彼らはアメリカ経済への依存度は高いものの、なんとか一線を保っているような存在です。
アメリカでシェールガス革命が発生し、すっかりカナダ産の天然ガスは下火になっています。勿論、オイルサンドがあるので、アメリカはジャンジャン輸入してくれます。

しかし、そのオイルサンドも雲行きは万全ではありません。私はたまたまTransCanadaというカナダのパイプライン会社の株を持っていた時期がありました。当社は従来から、カナダのオイルサンドをはるばるヒューストンまで直結する「Key Stone」というパイプラインを計画していましたが、オバマ政権が民主党らしく振舞いたいがために、パイプラインが漏れたときの環境を懸念して、建設許可を渋っている、という事件?が大統領選挙前の2011年秋から12年にかけてありました(注:未だに建設許可が下りていないらしい)。

そうやって、TransCanadaおよびカナダ政府をイジメテいる??間に、アメリカのシェールガス各社はシェールオイルの開発に全力を注ぐようになりました。
したがって、アメリカ国内で採取できる石油の量も増え始め、天然ガス同様に原油価格も下落気味だそうです(WTIと実売価格は違うらしい)。

オバマ政権は国内の石油業者のために時間稼ぎをしたのちにKey Stone計画を許可する可能性があります。腹黒いですな、アメリカは(私はバフェットさんも一枚かんでいるのではと思っています。バフェットが富裕層への増税を主張して、オバマさんがKey Stoneの計画凍結を言い渡すという美しい連携プレーがありました。バフェットはカナダ国境付近のシェール油田の増産で、傘下の鉄道会社ががっぽり儲けていますから)。

したがって、カナダ政府も米国依存症から少しでも「分散投資」をしたいと思っています。カナダ政府の分散投資の本命は資源がぶ飲みジコチューの赤い国だと思います(英国の中国に対する香港返還時に大量の香港人の移民がカナダにいる)。しかし、日本でも十分歓迎してくれると思います。

日本はアメリカに「いいわよ、カナダからガス・原油を分けてもらうから」と言えるようにすることで、結果的に天然ガスの輸出許可認定への圧力がかけられます。アメリカの気を引く行動に出ることです。原油の輸入ならアメリカをそこまで刺激しないでしょうし、「アメリカからも買え」と言ってくるかも。

日本は原油の輸入の80%以上を湾岸諸国に依存しているため、地域紛争になると、供給ラインが常に脅かされる状況になります。自衛隊の派遣は徐々に抵抗が無くなっていますが、余計なコストをかけたくないのは財政状況を見れば一目瞭然のはずです。
(エネルギー白書2011から)

おそらく日本の商社辺りがカナダ側に、原油・天然ガスの輸入について、かなり働きかけていると勝手に思っていますが(私程度の者が思いつくのですから、万年人気就職ランキングトップクラスの財閥系商社の人ならとっくに考えているはず)、日本のマスコミの人たちはどういう思惑があるのかわかりませんが、シェールガス・アメリカ・官民一致協力という筋書きがお好きなようです。
おそらく経産省あたりの記者クラブが役人経由でそのように既成事実化したいのかもしれません。

日本の電力会社のLNG購買関係者は、たとえシェールガスが輸入出来ても、価格の劇的な下げには懐疑的だ、とインタビューに答えているのに、この書きぶり・・・・。
なぜでしょうね。

西海岸へのパイプラインは是非、Kinder Morganで(と最後は自社の宣伝)。


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2013年2月20日水曜日

上場企業の非公開化

デルコンピュータが非公開化されることになりそうです(正確にはTOBが成立しなければならないはず)。
非公開化となると、いつも、なぜ?とか、株価が安い、とか取り沙汰されます。
なぜ非公開化するのでしょうかね?
短期的な構造改革のために株価下落を伴う可能性があるから、というのがお決まりの文句になっています。ホンマカイナ?
もしそれが正しかったら、ソニーとかパナソニックの様な企業こそ非公開化するべきじゃないでしょうかね。

株価が安いから。多分それはある。安値で放置され(注:株式価値向上を常日頃からやっているにもかかわらず、割安で放置されていることを指しています。ロクにIRもせずに万年安値放置株を意味しません)、だったら経営者が買い取ってしまおう、というのは動機としては有だと思う(そういった動機は社会的に認知されにくいと思いますが)。

放っておくと敵対的買収に晒されてしまうので、非公開化で逃げるという手もある(しかし、TOB時に敵対的買収候補者がカウンターTOBするリスクが残る)。

一般論ですが、企業が非公開化するためには、株を買い集めなければなりません。非公開化するためには最低でも3分の2以上の株を買い集めなければなりません(実際は90%以上いると思う)。そのようなお金をどうやって工面するのか、これを知らなければ非公開化の考え方をミスります。

原則借金で集めます。さすがに手元資金のない人に、100%株を買い占めるカネを貸す銀行は存在しないので、特別目的会社を作り、投資ファンドなどが資本を提供し、それに銀行などが融資したお金で、発行済み株式を買い集めます。この際、経営者も出資するケースをManagement Buy OutつまりMBOと呼びます。出資しなければタダのLBOLeverage Buy Out 吉本興業はこの例だと思う)。

LBOMBOは言葉は似ていますが、要するに、企業を買収する資金に経営者が出資するか否かで、融資の形態はいずれもLBOになります。テクニカルなのでこの辺でやめておく。
(出資する経営者の資金をバックファイナンスで借りる人も中にはいる)

オーナーの出資比率が3割近くあると、多分、投資ファンドの資金がなくともMBOが出来ると思う。神戸のアパレル会社であるワールドとかはこの例だと思います。

経営者から見た場合、非公開化後は、借金を背負った経営を行うことを意味します(もちろん公開していたころも借金がある企業はたくさん存在しますが、借金比率は確実に高くなると思う)。たくさん借金を負った企業ほど慎重な経営が望まれますし、たくさん借金をした企業ほどレバレッジ効果でその後の株主価値が大きくなることは容易に想像がつくでしょう。

(注:企業価値を高める方が望ましいが、高まらなくてもよい。レバレッジの中で、借金と株主価値の割合が変わることで十分リターンになる。買った値段で売却を想定する不動産投資のようなもの。5000万円で買った投資不動産を5年後に5000万円で売却するとします。投資時の自己資金が1000万円、借入金が4000万円。毎年200万の借金返済を行い、5年後に5000万円で売却すれば、手元に2000万円が残るはず。1000万円が2000万円になりますね。年率約14%のリターン。ダウ平均より良い可能性が高い。税金・経費は考慮せず)

また、非公開化で抜本的な事業構造を改革する、というのは債権者から見ればリスキーであるはずです。ゆえに、そんな抜本策は取りづらいということになります(簿価以下で工場を売却して売却損が多額に発生するとかそういうのは、売却代金で借金を返済できるので、むしろ銀行・投資家に歓迎される。銀行は元々当該工場を時価で評価したうえで融資判断するから。しかし当初価格通りに売れないリスクがあるので、やはり慎重姿勢になりがち。しかし、非公開化後に何か目玉施策がないと融資倫理上引っかかるようなこともあると聞いたことがあるので正確には個別の銀行判断でしょう)。

抜本的な事業構造改革がとん挫すると、かつてのすかいらーくの様な悲劇もありえます。この時は経営者の首を挿げ替えるのに、銀行の同意が必要だった、という事実が発覚したので、銀行の影響力の大きさが分かるでしょう。

不動産投資の例でいえば、まず200万円の元金返済を確実に出来なければ、非公開化後には大変な苦労が残ってしまいます。

非公開化が何を持って成功したか、というのは当初の目的に合わせて判断すべきことで、一概に言えないような気がしますが、アメリカでは目一杯借金して、土俵際から盛り返して(たくさん借金を返済して)、それなりの価格で売却又は再IPOを行って、経営者はストックオプションでその後一生安泰、というのが一時期流行ったようです(ミット・ロムニーの投資ファンド社長時代の過去がかつてWSJで暴露されていた。それによると、時代がITバブル崩壊後の不景気と重なったので不運もあったが、借金が重たすぎて経営破たんした企業もいくつかあった。ITバブル崩壊前はIRR100%というウルトラリターンの企業もあった)。

一方、従業員目線と投資家目線が混同した議論にもなりがちな点に留意しよう。従業員と投資家はある程度利益相反するので、「俺の職場を無茶苦茶にするな」という日本的従業員ロジックが表に出やすいが、冷徹に言えば、「俺の会社」ではなく「株主の会社」であるのが正論。しかし、会社が破たんすれば、株主はゼロ、従業員の労働債権は一応銀行債権より優先して支払われるので、株主側も、そのようなバカなことを普通は避けるはず。

企業価値が上がれば、従業員の待遇も改善されるし、基本的にはそれを投資家も望むはずなので、実際は同じ舟に乗っていると言えよう(但し、企業価値を見出す従業員という範囲に留意しよう。客観的に見ても「社畜」だと株主と利益相反するかも?)。

一般の投資家は自分の投資先が非公開化された場合、特にバリュー投資家はプレミアム次第でしょうねえ。引っかかったらサッサと次の獲物を探すのが精神衛生上も健全だと思います。あまりにも安値だった場合、多少むかつきますけど。多分価格の是非を議論するのは時間の無駄だと思う。株価は企業の努力以外に、ミスター・マーケットのご機嫌次第な側面もある(しかし誠実に株価向上の努力をしない人にはミスター・マーケットも微笑まないと思う)。別の人に任せましょう。

ところで冒頭のデルの場合、経営者はもの凄い実績の持ち主なので、本気で構造改革する可能性は残されています。しかし、MBOしなければ出来ないことはないと思います。かつてのIBM10年近くでハードウエアからソフトウエアの会社に変身しました。
やっぱり、かつての成長株、今や低迷株ということで投資家がうるさいのでしょうかね。デルぐらいになれば、多分株式市場に帰ってくると思いますが、どんな会社になるのか楽しみですね。

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2013年2月16日土曜日

第4四半期決算や経営者の発言から見た経済雑感


各企業の12月期の決算がおおむね出そろいました。全般的には、こんな感じといったところ。あまりサプライズはありませんでした。

株価はマクロ経済を反映しているのでしょうか、ディフェンシブ系が高く、シクリカル系は安くなっていると思います。

P&Gは予想外に収益力が回復しており、株価も年初から+12%の急上昇を見せています。はじめてP&G株を買ったのは約3年前で、ドルベースだと過去3年で約25%の株価上昇率にもかかわらず、この1.5か月でその半分近く上昇していることになります。これはよかった。

通期見通しが市場予測より少ないというだけで、ダウケミカルやフォードは10%近く株価が下落するなど、相変わらずです。この2年ほど我慢し通しの銘柄達。

ハイテク系は今一つですね。IBMなんてよい決算だったのに、決算直後以外ほとんど株価が動いていません。個別銘柄より企業のソフトウエア投資動向などに反応するのでしょうか。

インデックス全体を見れば、PERの絶対値基準ではS&P500の実績ベース約18倍、予想ベース13.8倍、ダウ平均同15.312.8倍であり、まあまあの水準だと思います。

配当利回りでみると、ジョンソンエンドジョンソン、マクドナルド辺りは未だ3%超あるので、まだ買える水準ではないかと思います。

地域別では

米国内は堅調、アジアは日本が足を引っ張っているケースが多く軟調、東南アジアは絶好調、欧州がダメ、といった感じです。

経営者の西・南欧州に対する見方は、最悪期を脱し、下半期から回復を期待する、というものですが、欧州地域の業績予想は2012年度並みとする企業が大半でした。目先はまだ流動的なので、予断を許しませんが、ECBがこれ以上利下げしなさそう、という点を見ておく必要性があると思います。


東欧はフィリップモリスの決算を聞く限り、絶好調のようです。ロシア、ウクライナ、トルコあたりは調子が良かった。

米国経済の回復基調が継続しそうであること、欧州経済が底入れしつつあること、中国経済も最悪期を脱していそうなこと、日本の経常収支が悪化していることなどを考えても円安要因なので、目先のアホな政治家の発言やアベノミクスだけが為替の要因ではないと考えた方がよさそうだと思います。もちろんこの先さらに円安が進行するのか否かはわかりませんが…。

言いたいのは、ガラパゴスな見方だけで為替を追いかけるな、という点ですね。


個人的には年後半から、(米国その他の)経済成長率がやや増すのではないか、消費環境もよく、インフレも安定しているのではないか、経営者の現在の業績予想は慎重すぎるのではないか、すなわち株価に追い風ではないか、と勝手に思っています。目先、難癖つけて調整してくれると、シメシメという感じです。


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2013年2月10日日曜日

どんな投資本を読むのか お勧め書籍 その1 「株式投資の未来」


いろんなブロガーさんが書かれているので、二番煎じになると思って、あんまり気乗りしなかったのだが、一遍ぐらいはやってみようと思います。

通り一遍な概要を紹介するだけですと、他のブログとの差別化になりませんので、出来るだけ実体験を交えながらご紹介することで、「なぜこの本が役に立ったのか」ということがメッセージとして伝わるのではないか、と思ったりします。


第一段は「株式投資の未来」について書いてみたいと思います。
(株式投資の未来 ジェレミー・シーゲル著、日経BP社)

(私の好きなページです)
なんといっても、長期投資、コアにアメリカ株、配当、バリュエーション重視、という今の投資スタイルの原型を教えてもらった本なので、やっぱりトップバッターでしょう。

この本の素晴らしいところは、株式投資を超長期にわたって徹底的にデータ分析した点と思います。そのデータに基づいて、アドバイスしている点です。

株式投資のリターンをトータルリターンで測定する、というのはアメリカでは常識になっています。トータルリターンに何が最も寄与するのか、というのはシーゲル以外の学者でもいろんな角度で分析しており、配当が非常に大きな役割を示すことが証明されています。すなわち、配当を重視することが長期投資の基本である、ということを教えてくれた本です。たぶん5回は読んでいる。


以下概要です。

Q:長期的にバイアンドホールドを前提とした場合、どのような銘柄を持てばいいのか
  1. 最高の運用成績を示したのは、生活必需品と医薬品セクターで強力なブランドを築き上げた企業である(ちなみに1957年~2003年の46年間でトータルリターンの第一位はフィリップモリス、第二位はアボットラボラトリーズであり、今、2社とも私の主要ポートフォリオになっている。特にフィリップモリスはPF第一位)。
  2. 卓越したリターンをもたらす企業は、実際の増益率と市場が期待している増益率の差できまる。つまり、市場期待以上の成績を残す企業。配当がこの差を増幅する(コメント:あまり期待されていない企業が期待以上の成績を残すことを意味する)。
  3. 運用成績の良い企業は、PERは市場平均よりやや上、配当利回りは平均並み、ただし長期的な増益率が市場平均を上回っている企業(コメント;業績が安定して成長できる企業を意味していると思う)。
  4. いい企業には高い価格を払う価値はあるが、いくら払ってもよい、ということは決してない(ITバブルの時期の様に、成長株に過大なプレミアムを決して払ってはならない)。
  • 長期における資産のトータルリターンで株式に勝るアセットクラスは他にない。いつの時代も一貫して年率平均6%~7%の成長を維持している。10年で2倍のペース(コメント;債券や金などと比較して言っています)。

  • 株主価値の源泉
  1. 配当は不可欠なものである。
  2. 含み益ではなく実現利益だから。
  3. 配当金を再投資し続けることは、下落相場のプロテクター上昇相場のアクセルである。

ちなみに私の今のPFにおいて、やはりフィリップモリス/アルトリアグループのリターンは安定的に良いです。株価上昇率はおおむね市場平均を上回り、配当利回りは常に市場平均以上です。他の銘柄のパフォーマンスが安定しない中、これらの企業およびJTも含めると、確実に株価も配当も上昇するので、ニューマネーを投下しないとPF全体におけるウエイトが上昇していく傾向にあります。


著者のシーゲル教授は、今なおブルームバーグやCNBCといった投資番組のインタビューをよく受けますが、彼の現在の投資家へのメッセージはほとんどこの本に書かれていることです。

今年129日のBloombergにご出演



ダウ平均は2013年、70%の確率で15,000ドルを付ける、という内容。タイトルはもっと刺激的に17,000ドルがターゲットという派手なもの(たぶん、ブルームバーグが「よいしょ」したのだろう。教授自身は15,000ドルのコメントが中心)

  •  ロジックの概要は株式相場のPERの拡大によるものである、という感じ。PERがなぜ拡大するのかと言えば

  • 株式相違場は歴史的なPERの平均値より未だ下にある。
 
  • 巨額の資金が債券に眠っている。それらは全くリターンを生まない。しかし、アメリカはマイルドながらもインフレが継続しており、さらにインフレ率は上昇する可能性が高い。
 
  • 一方、連続増配株(Dividend Paying Stock)は3%~4%の配当利回りにあり、なおかつトラックレコードはすこぶる良い。
  • 住宅価格底入れによる資産価格の持ち直し。
  • これらの流れから、実物資産である株式に資金が流入する環境が整いつつある。
  • 200年の株式市場のデータ分析より、株式相場は10年サイクルでアップアンドダウンのサイクルを繰り返す。2000年のITバブル崩壊から2009年の大底までは悪い10年(Lost Decade)、これからはよい10年になるという分析が出ている。
 ロジックの中心はPERであり、これは著書にしつこく書かれていることです。
 

あとはアマゾンの株高はなぜ正当化されるのですか、とか、バーナンキの金融政策をどう見ますか、といった内容ですが、割愛いたします。

アマゾン株については、IT[バブルの時代にシーゲル教授が高すぎる、といった他の銘柄で唯一(株価と高いPERが)生き残った?銘柄で、ノーコメントだといってかわしていました。

インテル、シスコ、マイクロソフトといったテクノロジー開発次第の成長ではなく、ショッピングという日常生活に密着しているからではないかと言ったきり。

私自身、「株式投資の未来」に沿った投資を実践しているつもりですが、本の中で、株価の成長が期待外れに終わった代名詞となっているIBMシスコを保有していますので、鵜呑みにしているわけではありません(もっとも両社とも、PERの期待値 持続可能な増益率 であると思って買っているわけですが…)。 


その2からは、他のブロガーさんがあまりお勧めしていないが、参考になった本、という目線を取り入れて差別化していきたいと思います。



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2013年2月2日土曜日

1月の投資状況


 
前回の記事と大きく変わりませんが、21日の雇用統計発表後の終値にしています。最初の1ヶ月で1年分の値上がり目標を達成してしまったので、ちょっとびっくりしています。調整局面が来るのか、横ばい推移するのか、正直わかりませんが、今年いっぱいは日米とも金融緩和が予定されているので、大きな落ち込みを想定していない、すなわち、強気、で見ています。国債の金利と株式益回りの差が依然大きいので、PERの拡大局面であると思います。

アメリカの10年物国債金利はやっと?2%台を回復しました。リーマンショック後、イールドカーブが前年比アップしたのは、久しぶりだと思います(今の金利-昨年同時期の金利差がプラス幅で拡大している。景気回復、インフレ期待がちょっとだけ上がった)。

ドルインデックスは、このところずっと80台を行ったり来たりしていますので、円独歩安のような気がします。急激に円安に振れたのでちょっとびっくりしています。当面は75円でも100円でもこれまで通り投資を継続していくつもりです。

 
今月の売買状況

売り:なし

買い:プロクターアンドギャンブル(PG;買い増し)、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ;買い増し)、キンダー・モーガン(KMI;買い増し)、セブン銀行(新規)

去年の投資予算の残りを使い切りました。大統領選直後にもっといっぱい買っておくべきでした。1月は繰越予算を全軍出撃させました。


PG(パンパース等家庭用品)はライバルである、ユニリーバの決算が良かったので、消費環境の改善を期待して決算前に買いました。決算が予想外に良かったので、いいタイミングでした。PG復活の兆しが見えたかな?1月だけで株価は11%も上昇してしまいました。株主になって3年ほどたちますが、こんなのは初めてです。

 
JNJ(ベビーパウダー、バンドエイド、コンタクトレンズ、整形外科用インプラントからバイオ薬までヘルスケアコングロマリット)は今年こそ、ノーマルな成長路線に復帰することを期待して買いましたが、13年度の業績ガイダンスは保守的でした。多分期中で上方修正する、と期待しています。医薬品の新薬が好調なことと、リコール問題で揺れた大衆薬部門の再販による売上高回復期待があります。インプラントの賠償問題が残りますが、CEOも若返ったので、フレッシュなJNJを期待しています。


結局、シェール関連銘柄は現時点でKMI(天然ガス等パイプライン運営)に集約しました。配当利回り4%で年間15%近い増配が見込めるのは魅力です。KMIは昨年買収したエル・パソのGPにもなっていますが、同社からのIncentive Distribution RightsMLPGPに対し、運営するMLPが目標利益を超えた場合に、GPがもらえるインセンティブ配当収入)が今後見込まれるので、向こう数年は10%~15%の増配は期待してよいと個人的には思います。

 
シェールガス関連でいえば、ガスの相場が暴落していて、儲からないのではないか、という懸念があります。アメリカでは天然ガスのうちドライガスとリキッドガスと俗に言われている2種類が存在します。取り出したガスに水分が多く含まれていればリキッドガス、水分が乏しければドライガスという風に分けられます。

リキッドガスは天然ガスの主要成分であるメタンを取り除くと、天然ガス液(Natural Gas LiquidNGL)になります。このNGLは化学産業の原材料(エタン等)や天然ガソリン(ガソリンへの添加成分)などに分解されるので、リキッドガス=ガス+化学原材料+コンデンセート等に分解して販売することが出来ます。ガスで儲からなくても、そのほかにも収入源があります。従いまして、リキッドガスが多く出るガス田は採算をクリアしているはずです(ペンシルバニア州にあるマーセラス堆積地等はリキッドガスが多いと言われている)。

ドライガス田はNGLが無い分採算的に厳しく、生産量が落ちているはずです。

ちなみに、日経新聞で毎日騒いでいるLNGLiquid Natural Gas;液化天然ガス)は、天然ガスを冷やして人工的に液状化したものを指しますので、NGLとは違います。この辺ややこしいですね。天然ガスは取り出したら気体なので、海を隔てて長距離を運ぶのに適していません。
 
そこで、わざわざ液化して、タンカーで運ぶことを日本人が考えただけです。液化するのに巨大な設備投資が必要なので、気体のまま購入するのに加工賃が嵩むことになります(輸入後、液体から再度気体に戻すのにも加工費が必要になる)。そのことをすっ飛ばして、シェールガスは他の国から買う天然ガスよりずっと安い、と盛んに書きまくっている同紙の姿勢は何を意味するのでしょうかねえ?(専門家の試算によると、北米で輸出用のLNG施設を新設すると、シェールガスをLNGにして日本に輸入しても、通常の天然ガスよりちょっと安い程度だった)。

 
KMIは最近、英国・オランダのシェル石油とLNGの輸出基地の建設を提携しましたね。アメリカが日本に天然ガスの輸出を許可するのか、見ものですね。個人的にはロシアからパイプラインを使ったほうが安上がりではないか、と思っていますが、日経新聞は盛んにアメリカからの輸入をバックアップしていますね。

KMIにはドライガス田も、リキッドガス田もあり、強弱入り混じっている状況です。しかし、それでもなお、石油や石油関連製品あるいはターミナル貯蔵庫などMid-Stream Assetsが分散化されていて、(さらに先物の予約等のデリバティブも使っていて、価格のボラティリティに対し)リスクヘッジを行っています。

但し、天然ガスが豊富にあるということで、今後、価格上昇はそれほど望み薄かもしれませんが、それなら電力エネルギーだ、天然ガス車だ(私の街でも一部天然ガスを原料とするバスが走っています。これは環境PRのためですけど、アメリカの場合そろばん勘定でガスを使用するでしょうね)、と使い道はたくさんありますので、パイプラインはなくならないし、まだ必要とされると思います。アメリカが天然ガスを重用してCO2削減で環境だ、なんて言い出すと(一応オバマは言っていますが)、世の中ほんと変わるものだと実感しますね。

セブン銀行は、もっと早く買っていればよかった、とずっと思っていた後悔銘柄の一つだったのですが、思い切ってこの段階でエントリーしました。東証1部指定替えの頃から参入を考えていました。ずるずると株価が上昇してしまい、後悔していました。地銀ATMアウトソーシング分野はまだ伸びるでしょうし、インフレターゲット政策は金融機関が一番恩恵を受けるはずです(流通するマネーが増えれば)。
 

予想受取配当金増加率推移


今月の増配発表
 
増配の発表があると、一番うれしいですね。今月は4社です。

アボットラボラトリーズ&アブビー5.9%増配です。40年連続増配だと思います。会社分割直前に発表された2社の配当を合計すると5.9%の増配となります。増配ペースが少し落ちていますね。

KMI0.01ドル、1セント引き上げました(四半期ベース)。年間ではBudgetとして、まだ0.09ドルの引き上げ余地が残っています。

フォード0.05ドル(四半期ベース)から0.1ドルと倍増に引き上げました。欧州のリストラコストなどが残っている中での決断で、よく引き上げたと思います。強気の姿勢を示したかったのでしょう。

JT:期末配当を30円から35円に引き上げました。年間で60円から70円のインパクト(計算では+5円分のみ算入)。

ドル/円が86円台から92円台まで円安になったこともあり、1ヶ月で+11%と好調に推移しました。

Yield on cost6.15%とついに6%台に突入しました。外国債券並みになりましたね(株式には償還期限がありませんが)。いまいち疑問符のつく、変な商品設計の外国債券(信託報酬や販売手数料がかなり高い)とIBM、マクドナルド、ジョンソンエンドジョンソン、NTT、キヤノン等ブルーチップで固めたDividend Growth Stockで、どちらに信頼感がおけるか、よく考えましょう。

 

2月に向けて

さすがに玉切れなので、おとなしくしていると思います。

これまでの楽観雰囲気から少し変わるかもしれません。

 

最後に

相互リンク先の資産運用相談員のkaoruさんから何度もおすすめブログにご指定いただきました。ありがとうございます。これはものすごいインパクトがあります。

このブログはGoogle系ですので、通常の参照元はGoogle searchが圧倒的に多いのですが、この数か月はkaoruさんのブログがGoogleを差し置いてダントツ1位となっています。

また、日経ヴェリタス等でブログや私の投資法を何度か紹介をいただきました。その時と比較して、Kaoruさんに紹介していただくとブログのページビューは急増するので、その影響力に脱帽いたします。

つまり、

Kaoruさんのブログ>Google、かつ、Kaoruさんのブログ>日経ヴェリタス、なのです。これはブログの運営上ものすごいことだと思います。

 

人気の秘訣は手短に、さわやかに、なるほど、と思うことを継続的に書いていらっしゃるからだと思います。私の方は長々と毒舌満開で書いているのに、何がマッチするのかしばし不思議に思いますが…。


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