2013年6月6日木曜日

NHKスペシャル 『密着 エネルギー争奪戦 ~日本の逆襲~』 

少し古い話になってしまいましたが、日曜日のNHKスペシャル 『密着 エネルギー争奪戦 ~日本の逆襲~』 を見ました。66日、5日深夜040から再放送がありました。今でもビデオオンデマンドで見れるようです)


やっぱり?売る方もそんなに簡単に天然ガスの価格を値引きなんてしませんよね。NHKの結論は「まだ時間もあるし、日本には選択の自由があるので、このチャンスを生かして、エネルギー調達価格の削減に頑張ってほしい」というもので、私はこの結論が現時点では関の山だと思います(抽象的ですけど…)。

内容は、
住友商事(関西電力)のシェールガスルートからの調達と伊藤忠商事-ガスプロムのサハリン沖ガス田による調達の2本を取材していました。
そして、コンバインドサイクルの導入による発電の際のLNG使用量の削減にも触れていました(私が燃費のいい車に乗り換えると言ってたやつですね)。
個人的には天然ガス価格が下がるとChevronに投資しているので、西豪州沖合のLNGプロジェクトの採算悪化を気にしてしまいますけど…(しかし、同プロジェクトには日本の東京ガス、大阪ガス、東京電力関連、中部電力など錚々たる日本の電力・ガス会社が出資しているし、半分ぐらいはパースなどの豪州国内消費なので、何とかなるとは思いますが)。

本件と直接の関係ありませんが、天然ガスの価格が下がると
国際石油開発帝石のやはり豪州沖合の「イクシス」プロジェクト(新聞で「日の丸LNG」と散々持ち上げていたやつ)なんて、Chevronのプロジェクトより単位埋蔵量当たりの投資額が高いと思われますので(豪州資源ブームの天井で工事開始。他の開発工事と重なっているので労働コストや資材調達コストがひっ迫しているし、豪ドル高)、同社のプロジェクト採算性にも影響するんじゃないのかなあ? 「日の丸LNG」とか言っているぐらいだから日本の電力・ガス会社をアテにしているんだろう? 経済産業省が筆頭株主ですね。 


なぜLNGをロシアや米国に依存しなければならないのか?
勿論、原発再稼働メドが立たない(無理)というのが前提にありますが、原発事故に関係なく、従来、LNGはマレーシア(ペトロナス)やインドネシアからたくさん輸入していたのですが、ご存じの通り、東南アジアの国々の経済成長のおかげと、そういった国では新規のガス田の発見が進まないことにより、日本に輸出する余裕がなくなってきたのです。

契約相手はそれぞれ国営エネルギー会社なので、日本に輸出した方がもうかるのは承知なのですけど、国内に安価で安定したエネルギー供給を行う義務もあるため、「日本さん、輸出する余裕が無いので、契約の更新には応じられません」とか、「契約更新の際は輸出量を減らします」と言っているのです。

そこで、オーストラリアだ、東アフリカだ、いや、今すぐならカタールだ、シェールガスだ、ロシアだ、ということになっているのです。原発代替LNGの多くはカタール産といわれていますが、従来の火力発電やガスの素になっている上記の様な東南アジアのLNGの調達先も(契約更新時期には)変更せざるを得ないという弱みがあります。

経済産業省と新聞社は日本の原子力政策の失敗、再生エネルギーではエネルギー戦略全体にとって即効性が無い(大して貢献しないくせに太陽光発電を補助金ばらまきで促進。それでもシャープはご覧の惨状)といった失政をシェールガスで誤魔化そうと躍起になっていますが、アジアの経済成長に追い出されているという側面もあるのです。

個人的にはガスプロムの天然ガス田をLNGではなくパイプラインで樺太-稚内で北海道から輸入したら一番安いのではないか、と思いましたが…(確か鈴木宗男氏が言っていた様な気がする)。ドイツだって、はるばるロシアからウクライナとかを経由して、パイプラインで引っ張っているんだし、樺太から日本なんて近いんじゃないの? 安さが大事なんでしょう???

シェールガス+シベリアガスがどちらも割安になると、中東からのスポットはいらなくなるので、電力会社・ガス会社の調達コストは安くなるとは思いますが、我々庶民の電気代・ガス代に直結するのか、注目したいですね(電気代は値上げが既に決定しているはず)。

次回は、国任せにできない場合はどうすべきか? も考えていきたいと思います。


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