2012年4月26日木曜日

マイケル・ウッドフォード氏、「解任」を読んで 二重人格国家・日本


オリンパス事件では思うところが色々あったが、このブログでは株式の話題を優先してあまり取り上げませんでした。多分、これが最初で最後だと思います。

元オリンパスCEOが書いた自らの解任劇。小説の様な描写で引き込まれるように一気読みしました。

オリンパス事件は世間では、バブル時代の財テクの失敗した損失の飛ばし、いかがわしいケイマンファンドを活用した粉飾決算、証券会社の悪知恵、外国人経営者が独断専行して日本の文化に合わない、そういった報道のされ方だったように思います。

しかし、社内の首謀者?たる元代表取締役や取締役および監査役は逮捕されました。にもかかわらず、臨時株主総会は株主の意向?によって、茶番劇の様にあっさり終わってしまいました。

本では一連のM&Aおよび不透明なキャッシュの支払と反社会勢力の関係が示唆されています。内部告発者や「FACTA」の記事もそれをウッドフォード氏に上げていたようです。

もし仮に、バブルの飛ばしだけの話なら、オリンパスを立て直すのにはウッドフォード氏と債権者が協力するのが最もいいと考えるのですが、最大債権者たる「メインバンク」が(著者の認識では)ウッドフォード氏を嫌っていたそうです。

日本人得意の玉虫色決着で終わった本件、なぜ・誰が玉虫色の決着でメリットを得るのか、と考えて行くと、やはりまだ痛い腹を探られたくないグループが存在し、腹を探りまくっていたガイジン経営者を排除したかった、と考えるとスムーズにオリンパス事件全体が流れるような気がしました。

このメインバンクの旧大阪方はバブル期に「向こう傷を恐れるな」と大号令をかけて、大阪の繊維商社を舞台に、反社会的勢力等とも絡み、大きな向こう傷を負っていますね。

この本では、メインバンク、持ち合いの日本株主などの「もたれあい、事なかれ主義、秘密主義」の日本人と「民主的で、高潔で、やさしさと思いやりにあふれた世界に属する」日本人が登場します。残念ながら前者の力が大きかったようでした。

この構図は東日本大震災・福島原発においても見られたように思います。

『二重人格国家・日本』(と私が勝手に呼んでいます)がここにあり、本件は日本人の二重人格性が如実に表れていると思います。

同じ過ちを繰り返さないために、一個人が出来ることは何でしょう?「清き一票」を投じるほかありませんが、「民主的で、高潔で、やさしさと思いやりにあふれた世界に属する」日本人が「もたれあい、事なかれ主義、秘密主義」の日本人をリーダーに選出してしまっている、という事実も頭が痛いものです。

曖昧にせず、徹底的に物事を議論する、そんなところから初めていかなければ、いつまでたっても事なかれ主義は続きそうです。

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