2013年3月5日火曜日

ピジョン2013年1月期決算と中国での成功

対前年比
売上高+10
営業利益+40.5
当期利益+43.7
EPS   +41
DPS   +31

と久々にかっ飛ばした、という感じ。
ここ2年ほど中国における代理店の取り扱い等で在庫整理に追われていたが、それも終わり、中国に建設した新工場の稼働率も高まったと見えるため、踊り場を脱し、サッカー日本代表、本田圭祐流に言えば、「ケチャップが出た」、ような決算になりました。

この銘柄を買ったのは、20103月ごろ、ちょうど中国での代理店対応に追われていた時期でした。
その後、なよなよした決算を迎えながら111月決算前辺りから、徐々にその課題が整備され、前期は早々と上方修正も出し、株価もアベノミクスにも乗ったようだ。ちょっと割高感があって、なかなか買い増しできない銘柄。

成長ストーリーは中国・アジア市場の開拓によるものである。成長イメージとしてはユニチャームに似た感じだが、私のピックアップポイントは違っていました。

  1. 主力商品が国内チャンピオンであること(哺乳瓶シェア70%。乳首は「母乳実感」と言い本物の乳首をくわえている感触が得られるとのこと。どうやって実感を試したのだろう?)
  2. 強力なブランド力を持っていること(我が家でもピジョン製品はよく買っていた。だから、ブランド力を「実感」していました)
  3. 利益率が相応にあること(営業利益率10%前後。せめてこれぐらいは欲しい)
  4. 株主還元意欲が高いこと(還元性向50%をメド)

国内での安定した競争環境(シェア)、キャッシュフローがあってこそ海外で戦えるのではないか、というのがグローバル日本企業の選択で重きを置く部分です。
ボクシングでいえば、国内無敵になって初めて世界チャンピオンに挑戦できるような感じ。
経営的に言えば、日本で稼いだCFをドンドン海外に投資するイメージ。

海外進出は、その圧倒的国内シェアから成長先を海外に求めたものと、その技術力がシンガポール等華僑系の国に認められたことから、バブル期から細々と進出し、2000年代に一気に中国本土に拡散したというストーリー。

今回の尖閣騒動でも影響を受けていない模様です。電化製品やクルマはわかるような気がしますが、資生堂は影響があって、ピジョンはない、というあちらの日本ブランド選択基準も私にはよく理解できていない。

中国のセレブママには、原則一人っ子たるほかならぬ我が子に自分の乳首以外にくわえさせることが許容できるのはピジョンの乳首だけ、というほどの評判のようです。

これも、中国政府の要請に応じて、産婦人科で出産教室のようなものを開催したり、地道な努力の積み重ねのようです。

中国では、信頼できるのは、自分が良く知っている人の評判(つまり口コミ)である、というのは有名な話で、ピジョン製品も口コミで広がって言ったようです。

やっぱり鄧小平の解放期にうまく潜り込んだ企業は洋の東西を問わず、今中国で成功している大きな要因だと思います。このころの中国は、国家主席が外資に学べと言ったので、外資を熱烈歓迎していたようでした。

90年代ではありませんが、コカコーラは中国にボトリング工場を作って、工場を丸ごと政府に寄付して、その恩でマル秘のシロップ工場を自社保有として中国で拡販することに成功しました(コカコーラが中国に進出した一度目は第二次大戦前、革命後は米中国交正常化の直後)。

ネスレは、多分80年代後半、中国の酪農家に牛乳の作り方を教えて、中国酪農家から安定した品質のミルクを調達することに成功しました(当時中国酪農家は牛乳を作って、政府に納品しても、いつ代金がもらえるのかマチマチな状態だったそうです。

ネスレは「必ずこの日に支払うから、牛乳を作ってくれ。欲しい牛乳の作り方はタダで教える。」と言ったそうです。実際約束の日にお金を支払ったので、ネスレに牛乳を納品する農家が激増したそうです。そこでネスレはネスレ向けに納品する酪農家のために道路を建設して政府に寄付したそうです。そしたら地元ではヒーローとなって、その後の中国での成功の基礎となったとのこと)。

サクセスストーリーには色々なエピソードがありますね。特に中国では「恩を売る」パターンで成功する確率が高くなっているようです。本気で中国に貢献したい、という意思表示を如何に効果的にアピールできるか。

確か、80年代末か90年代初頭に、アメリカが不況に陥った際、ブッシュ(パパ)大統領がアメリカの経営陣を連れて、日本にトップセールスに来たことがありました(GM、クライスラー??あるいはトイザラスなど。同時にトイザラス日本一号店が開店したことを覚えている)。

この時、CEO達は確か、その足で中国にも赴き、やはり同じように売り込んだと思います。その時期に売り込んで、90年代の経済開放時期の波に乗って2000年代を迎えた米国大企業は今、中国である程度の成功を収めているんじゃないでしょうか(GMの中国販売台数等)。

もちろん、理研ビタミン、資生堂、パナソニック等の中国である程度の成功を得た日本企業も同じような時期(あるいはもっと古い)から乗り込んでいたと思います。タイミング、時間、努力が重なって初めて、新興国市場で成功できるのでしょう。



ピジョンでは中国での成功を元にインドを開拓中です。もっと成功して欲しいものの、もう少し株価が安くならないか妄想中です。


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