2012年10月21日日曜日

ソフトバンクがスプリントネクステルを買収へ

これについては、立場によって様々な見方があると思う。

どちらかと言えばナショナリストな人や孫正義氏個人を崇拝する人からは、「すごい」、「よくやった」的な感想が多かった。野望や逆風に立ち向かう、たくましいアントレプレナー孫正義はまだ生きていた(LBOの制約が取れた瞬間、待ってました、と言わんばかりにあれこれ手を打っていますね)。

成長拡大路線を是とする経済記事は「売上高で第○位の通信会社の誕生」とか、「契約者数でドコモを抜いた」とか派手なイメージが多い。

私は、完全に投資家目線で関連記事を読んでいました。

まず、
ITバブルではない現在の通信会社への投資家の期待はベータ値の小さいディフェンシブポートフォリオである、という認識の下、「読めない展開」をすることに対する嫌悪感。
(もっとも孫さんが「読めない人」であることは、普通は認識しているはず)

「読めない人」孫正義さんは、無借金計画など過去の投資家とのコミットを反故。あ~あやっぱり(配当の約束も反故されるんだろうな。一応、SFBKは優先順位は低いけど、候補先には入れていた)

スプリント社に対する低評価。もともと「負け犬」通信会社であるスプリント社なんか買ってどーする?という買収ストーリーが読めない。せっかく日本のキャリア3強で一番元気な会社になったソフトバンク社の屋台骨を傾けさせない行為。リスクがデカイ。

日経新聞には1年前から検討開始と書いてあるけど、本当か?(鶴の一声ではないのか?)戦略的には思えない(まっ、「読めない人」ですから)。

70%TOBだと不成立のリスクがあるのではないか?(中途半端で既存株主は応じにくい)
また、スプリントの株価は毎日人目に晒されるので、TOB価格を下回ることが継続すると、失敗だと騒がれやすい。多分金がつかなかったのだろう。

個人的には、「孫正義あってのソフトバンクテレコム」であるという事実は動かし難いが、「孫正義だけのソフトバンクではない」という事実が日増しに大きくなって行くので、もう少し投資家目線に立った経営をしてほしいなあ、と思った(増資しない、と言ったのが唯一の救いか?)。

オーナー企業(特に創業者経営の場合)、「俺のものは俺の物」(これは当たり前)、「会社のものも俺の物」になりがちではないだろうか?

確かに創業者株主として30%前後を株式を保有していれば、仕方ないが、大企業ともなればせいぜい数%の「オーナー」に過ぎない(ソフトバンクの場合は微妙に20%ですね)。

もちろん、この買収が成功すれば、日本の経営者史上、トップレベルの軌跡を残すことは間違いない(松下幸之助や本田宗一郎のスケールを超えていると思う。またM&Aを有効に活用した創業者としては、インドのミタル氏と並んで世界的にも抜けているのではないか?)。

しかし、株式投資は一か八かの勝負ではなく、自分あるいは他人の資産を預かり、それを着実に増やすことが原則なので、そういった意味からは、(又通信会社への投資期待という観点も)期待に沿っているとは言い難いと思う。

既存の殻をブレークスルーしようとする孫正義という存在には期待したいけど、だからと言って、投資対象にソフトバンクを選択するのは躊躇せざるを得ない、ざっくり言えば、こんな感じ。

スプリントの業績を見ながら投資をしても遅くはないだろう。



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