2014年7月26日土曜日

「21世紀の資本論」に関する東洋経済の記事を読んで


楽天証券のセミナーで堀古氏がアメリカで話題沸騰中の「21世紀の資本論」という本について少し話しておられましたが、東洋経済の726日号でその特集が組まれており、読みました。

 

私は該当本「Capital in the Twenty-First Century」を読んでいません(英文で700ページはちょっとゴメン)ので、東洋経済の記事からの感想になります。

 

本の趣旨は、フランス人著者のピケティ氏が欧米先進国(含む日本)約20か国の200年分のデータをさかのぼって、富と所得分配の歴史を分析したものであり、その歴史上、経済成長率が高かった時期は貧富の差がそんなに広がっていないが、経済成長率が低い時期は貧富の差が広がっていく傾向にある、というもの。

特に、資産収益性(株、債券など)のリターンは経済成長率や所得の伸びより大きく、今後の低経済成長率を前提とした場合、資産を保有するものがますます富める者となり、持たざる者との差が広がる。

したがって、所得中心に課税するのではなく、資産残高を目処に課税すべきであり、そうすれば富の公平な分配ができる。そのためには国際間の協調関係が必要だ。

 

ざっくり言えば、こんな感じか。

 

東洋経済の記事の方は、この趣旨(や著者へのインタビュー)を紹介した後、識者の意見を交えて、この本の評論を行っている。さらには、日本の格差の実態や、実際に貧困に陥ったサラリーマン・サラリーウーマンの実例を交えて紹介し、(比較的中間層以上の読者が多いと想定される週刊東洋経済の読者層が)いつ何時貧困層に転落するかもしれないという警笛を送っています。

 

私もこの本に興味があったが、よく考えると、私も含め、このブログの読者層は、自分の資産をどうやって効率的・効果的に増やそうかを熱心に考えていて、なおかつ、脱日本目線でそれが実行できうる人が多く、投資リテラシーもそれなりにお持ちの人だと思う。

したがって、経済成長率や自分の所得の伸び率より、株式投資のリターンの方が絶対よい、ということは、200年の統計分析をせずとも、感覚的に理解できている人ばかりだろう。

 

だから株式投資に時間と資本を投下するんですよね(笑)。アメリカ株のリターンは年率平均67%、プラス配当金が22.5%でトータルリターンは89.5%、そこから円高率で-23%あるので、円ベースの実質リターンが57.5%、40歳を過ぎると、自分の給料が年率5%以上上昇することなんて、想定できませんわなあ(笑)。

 

連続増配株に投資していれば、受取配当金も年率7%~9%の増配を期待できます。これも自分の所得の伸び率を上回る可能性が高い(その確実性も高い。なぜなら、経営者は雇用をリストラしても、配当をカットすることがないからだ!!! IBMP&Gを見れば一目瞭然!!)。

 

それよりも、彼が資産の保有残高に応じた課税システムを提唱していることにビビってしまった。

ピケティ氏は、フランスの社会党支持者らしいので、まあ、結局はプロパガンダが混じっている可能性も否定できませんが、この本が圧倒的な支持を受けると、ストックに課税する世論が大きくなって、配当金課税の強化や保有資産に応じていろんな負担が増やすような仕組みが増えることが問題だ。

(注:週刊東洋経済では、議論が一方的にならないようなバランスのある議論を配慮していると思う。これは一般的な日本の単純ジャーナリズムにはなく、この特集の良かった点だと思う。某経済新聞だと、たぶん議論が一方方向に偏っているだろう。さすが「東洋」、「日本」より上手!!

 

普段は嫌いで、ほとんど見向きもしない、池田信夫氏が「資本収益はリスクに対するリターンであって、これに課税すればリスクテイクするインセンティブを阻害するので、反対」と言っている意見には、大賛成です。

 

多分読んで得ることは、それほど多くないような感じがしたが、話題性のある本なので、和訳されると、買ってしまうのかなあ(しかしその行動が、資産課税への危険な道を招きそう)。


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2014年7月14日月曜日

楽天証券セミナー






昨日、行ってきました。年2回開催されるこのセミナー、夏はお決まりの両国国技館。冷房がちょっときつかった。

今回の講演者は、発表順で書くと、

竹中平蔵氏、藤巻健史氏、リチャード・クレアモント氏、窪田真之氏、石原順氏、堀古英司氏であった。

私のお目当ては、竹中氏と堀古氏だったが、オープニングとトリで、日中の時間つぶしが課題であった。したがって、藤巻氏も聞くことにした。

同じ人の話を半年に1回聞き続けていると、講演者のネタがそんなに増えるはずもなく、まあ、同じような内容になってしまうのは、正直仕方がないと思います。所詮、人間の専門性というのは1つからせいぜい3つ程度ぐらいまででしょうから。

むしろ、さまざまなトピックスにあれこれ喋ることができる人は、あまり信用できません。


さて講演内容の概略

竹中平蔵氏

安倍内閣の成長戦略の産業競争力会議のメンバーであり、成長戦略の内容を講演。成長戦略については、報道等で取り上げられているが、わかりやすく説明していたと思う。すなわち


岩盤規制の打破・・・特区による突破

法人税改革・・・主要先進国並みの税率にし、企業の国際競争力の強化に寄与

女性・外国人労働者の積極活用…潜在成長力を高めるための労働力確保

126兆円のGPIFの活用による効果的な経済促進


個個の内容はみなさんご存じでしょうが、竹中氏が強調していたのは、政策にもイノベーションが必要だ、という点でしょうか? 過去の常識やモノサシでできない理由ばかり並べても国は一向に良くならない。もっと広い常識で物事を考えたり、時には常識を覆すことが発展につながるし、日本はそれぐらいのことをやらなければ、行き詰っている。

彼は既得権益者、既存メディアや霞が関がイノベーションの芽を摘んでいる、と指摘。国益より自らの権益が優先される、今の日本には私もウンザリです。安倍さんも国益優先か自らの利益が優先されるのか、まだ個人的には半信半疑です。経済政策の大部分は支持できますが、原子力政策は不透明感が強い。

ちょっと聞いていて、あれ? と思ったのは、竹中氏が9月頃に日本株上昇のカタリストがあるかもしれない、という発言。拉致問題の早期解決や内閣改造などが考えられ、それが相場を後押しするかもといった趣旨だった。こんなこと言っていいのか? どうせその時のニューヨークの話題に勝てないのに。


かなり安倍政権に食い込んでしまったからか、以前は消費税を増税しなくてもやっていける、と増税反対論者だったが、今回8%10%に対するコメントはなかった。


藤巻健史氏

ゴメンナサイ。途中寝てしまいました。内容は、日本国債の大暴落が来るかもしれない、といういつもの自説を、今回はあれこれ資料を交えながら客観的に説明(資料の説明で寝てしまった)。

外貨建て資産(特に米ドル)をもつことは、国債大暴落に対する火災保険のようなものであると。

いつもの「ガラガラポン」というフレーズは聞けませんでしたが、そんな内容でした。

なかなか憎めないキャラの人で、堀古氏まで時間がたっぷりあったので、聞いた、という感じ。


堀古英司氏

1月に、S&P5002014年末には2200ぐらいまで、20%程度上昇する、と言った内容の補足説明がメイン。

堀古氏によると、アメリカ経済は2013年から新たな局面に入ったばかりで、本当の意味の強気相場は始まったばかりなのだそうです。2009~2012年はポスト金融危機の時代で、今は金融危機が終わって、「フツー」の状態に戻ったとのこと。

つまり、今回の強気相場が20093月から始まっていると考えるのは違っていて、20093月から2012年末までが、金融危機後の回復にすぎず、新たな米経済の成長が2013年以降始まったのだ、とのことです。この説は初耳だ!!

それを裏付けるために、長期国債利回りとSP500の益利回り(PERの逆数)をヒストリカルに見ていると、おおむね接近している。これまでは、益利回り>国債利回りの差が、あまりにも大きかった、これが仮に一緒になったとしても、相場はまだ+50%の上昇余地がある、それに加え、EPSの成長があるので、仮にEPSが毎年+10%上昇し、益利回りの低下が年10%としても、年20%の株価上昇が5年、益利回りの上昇が年5%の場合は15%の上昇が10年続く可能性があると示唆していました。

PERについては、ヒストリカルな平均値が15~16倍というのは、長期国債金利が10%を超えていたインフレ期(PERは一けた台だったと思う)を含んだ平均値で、長期国債金利が8%以下の時期だと20倍ぐらいまで平均値は上がるとのこと。

ちょっと強気すぎんじゃない?と思う反面、金利と株式相場の相関性は同じ意見だと思うこともあるし、ケン・フィッシャーもPERが高くても株価は上がるので、PERは必要以上気にするな、と言っていますので、納得感もある。

個人的には、今後のアメリカ相場には慎重ながらも楽観視しているという従来スタンスを確認した。

但し、米企業のEPS成長率を毎年+10%と見るにはやや無理がある(+7~8%ぐらいじゃない?)と思う(私の保有株に成熟企業が多いせいかな?)。


過去数年間、話題の中心だった金(ゴールド)は、今回も全く出てこなかった。 






彼は講演の度に言っていることがあります。リスクを取ったものが報われるのがこの世の中であるという趣旨です。経済成長率が低下すると、資産運用益が国民所得全体に占める割合が高くなってくるので、持てる者は益々富、持たざる者は益々貧しくなる傾向にあると。

アメリカはこれが顕著ですが、今の日本だと、「取れる奴から税金をぶんだくる」という感じがしないでもなく、金融リテラシーが貧弱で出る杭を打ちたがる(イノベーションが嫌いともいうべきか)わが国で、どこまで報われるのか、少し心配です。

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2014年7月4日金曜日

2014年上半期 ポートフォリオ、資産運用状況

半年に一回更新しています。


Yieldについては、外国株は米ドル建て。
過去の状況





基本的には一旦買った株はBuy & Hold(時々買い増しadd on)なので、あんまり変化はありません。上記で一番古いのは多分、MOPMFDowHSBCJT、辺りです。各々初めて買ったのは2009年の1~6月頃です(HSBCは一回損出しのために売却した後買い戻している)。MOは当時から配当利回りが9%近くあって、Jim Cramer Buyを連呼していましたね。

上半期は車買い替え需要というお家の事情もあって、かなりいじってしまったので、中下位の日本株を中心に変化がありました。

車買い替え資金は、売却して得た金額の半分にケチったので(5年落ちのトヨタWISH)、残り資金がキャッシュポジションの中心となっています。

売るときに、その時点で割高だったものや今後5年・10年保有する気があるかなどを念頭に検討した結果、J-REITを全部売却し、一部の中下位日本株を売却しました。
米国株は残り5年・10年は保有できる可能性が高い銘柄と、まだ売りたくない銘柄ばっかりでした。

ポートフォリオの中心はやはりたばこ関連ですね。全体の20.3%を占めています(PMMOJT)。期中にJT1単元買い増ししています。

タバコの次に大きいのが、エネルギー(CVXKMIENBKMR)で、15.7%。北米シェール・オイルサンド関連が中心。CVXはオイルメジャーでオールラウンド。

3位は通信で15.3%を占めています(AT&TNTTKDDI、沖縄セルラー電話)。
この3つのセクターで51%となっています。通信はスマホが一巡したので、データ通信料の競争がどうなるのかちょっぴり心配。特に、NTTKDDIは移動と固定のセット販売で議論が白熱しており、どうなるのか様子を見ているところです。

タバコはPMの説明では、豪州で低価格競争があるというニュースが気になりますね。3Qのテレカンでアナリストが突っ込んで聞くでしょうから確認しよう。

エネルギーは、CVXがちょっと手の届きにくい株価になりました(下半期の業績はふたを開けてみないと今の状態は株価が楽観すぎるような気がする)。

ENBKMIはカナダ西海岸の石油パイプラインのプロジェクトが計画通りに進まなくても(ブリティッシュ・コロンビア州やFirst Nations等の猛烈な反対運動)、別の新しいプロジェクトが埋め合わせしてくれるんじゃないか、とやや楽観視しています。それだけ、パイプライン関連投資が盛んであるということです。

それ以外では、私の場合、我慢我慢のハイテク分野(IBMCSCO)の状態や、爆発しそうで爆発しないFord株など、しびれを切らしそうなイライラする銘柄が多い(言い換えれば、まだアップサイドの余地があるとも言えなくもない)。

相変わらずPMTop Pickですが、この1年間は株価が下落しているので、正直パフォーマンスに大きく影響を与えています。

NTT1単元売却しても、IBMより大きくなってしまいました。それだけIBMが不振を極めているという事です。
Dowは、少し売却しました。NTTDowなど売った株は上がりますねえ~
PF2位はNTTですが、仮にKMIKMRKDDIと沖縄セルラー電話を1銘柄と見た場合、それぞれ2位、3位となります。

これまでの反省としては、特定銘柄への思い切ったOver Weightから、バランスを取っていこうと考えています。2013年はS&P30%超も推移する中、20%程度しか上昇しなかったので、考えさせられます(PMIBMがほとんどアップしなかった)。

といっても今のPMのポジションを崩す気はなく、当面他の銘柄を買い増すことで対応予定です。

総資産の推移
証券投資のために振り込んだお金が投資資金(注:外貨両替手数料や送金手数料を含む)、証券会社における評価額が時価評価です。ドル建ては各評価時点におけるドル円レート中値で円換算しています。配当金も株式売買手数料も全部込です。

総資産の推移は、投資金額は、車購入資金が流出しているので、減っていますが、株価の上昇や配当金収入でその分をほぼ埋め合わせしました。下半期は増えるといいですね。

黒田日銀総裁はウォールストリートジャーナルへのインタビューで、(理論的にこれ以上の)「円が上昇する理由が見当たらない」と言っていましたね(日経新聞でも同じことを言ったんじゃないか)。

(ひょっとして、登録するか購読していないと読めない記事かも?)
目先どうなるかわかりませんが、バイアスとして円安傾向にあるというのが、世間の暗黙した一致事項に思われます。

ガラクタ銘柄(ゾンビ銘柄ともいう)がいっぱい入った日経平均が上がるか否かは知りませんが、まだ円ベースの資産価値があがる余地はあると思っています。



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2014年7月1日火曜日

2014年上半期・6月の投資状況


この6か月の運用状況は、よかった面と悪かった面がありますが、やや悪かった面の方の影響が大きかったと思います。全体の資産上昇率は3%程度でした。

良かった面:低金利環境が(当面)継続するとの思惑から、配当株が買戻しとなった。たとえば、Kinder Morgan関連は、私が記事を書いた頃(KinderMorganはオワコンか?l
412日)からKMIの株価が32ドル台から36ドル台へと10%超も回復しています(バロンズめ、ザマアミロ!!)。

悪かった面:低金利環境の継続思惑の裏返しですが、為替が円高に振れてしまいました。1ドル105円台から101円台へと-3.7%の円高になっています。これが円ベースの米国株評価に影響しています。もちろん、S&P500+6%を超える上昇をしているので、ある程度相殺されています。
6月下旬にポートフォリオで1位のPhillip MorrisPM)が業績下方修正を出して、全体のパフォーマンスに結構効いた。IBMの相変わらずの苦戦ぶりも響きました。
上位2社のパフォーマンスがS&P500と比較して、-9%ですから効きますね(昨年からずっとこの2社がrelatively underperformanceで我慢の展開が続いています)。

6月の売買
売り、買いともになし。

今月は何もしていません。

今月の増配
特になかったと思います。NISAを活用したBlack RockBLK)から初配当をもらいました。NISA口座で配当を受け取ると、少しトクしたような気分に「錯覚」を起こしてしまいますね。

7月に向けて
あらかじめ、①何が欲しいのか、②いくらぐらいで欲しいのか、を決めておき、その時が来たら、買う、それだけです。NISA口座はまだいっぱい空いています。

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