昨日、行ってきました。年2回開催されるこのセミナー、夏はお決まりの両国国技館。冷房がちょっときつかった。
今回の講演者は、発表順で書くと、
竹中平蔵氏、藤巻健史氏、リチャード・クレアモント氏、窪田真之氏、石原順氏、堀古英司氏であった。
私のお目当ては、竹中氏と堀古氏だったが、オープニングとトリで、日中の時間つぶしが課題であった。したがって、藤巻氏も聞くことにした。
同じ人の話を半年に1回聞き続けていると、講演者のネタがそんなに増えるはずもなく、まあ、同じような内容になってしまうのは、正直仕方がないと思います。所詮、人間の専門性というのは1つからせいぜい3つ程度ぐらいまででしょうから。
むしろ、さまざまなトピックスにあれこれ喋ることができる人は、あまり信用できません。
さて講演内容の概略
竹中平蔵氏
安倍内閣の成長戦略の産業競争力会議のメンバーであり、成長戦略の内容を講演。成長戦略については、報道等で取り上げられているが、わかりやすく説明していたと思う。すなわち
岩盤規制の打破・・・特区による突破
法人税改革・・・主要先進国並みの税率にし、企業の国際競争力の強化に寄与
女性・外国人労働者の積極活用…潜在成長力を高めるための労働力確保
126兆円のGPIFの活用による効果的な経済促進
個個の内容はみなさんご存じでしょうが、竹中氏が強調していたのは、政策にもイノベーションが必要だ、という点でしょうか? 過去の常識やモノサシでできない理由ばかり並べても国は一向に良くならない。もっと広い常識で物事を考えたり、時には常識を覆すことが発展につながるし、日本はそれぐらいのことをやらなければ、行き詰っている。
彼は既得権益者、既存メディアや霞が関がイノベーションの芽を摘んでいる、と指摘。国益より自らの権益が優先される、今の日本には私もウンザリです。安倍さんも国益優先か自らの利益が優先されるのか、まだ個人的には半信半疑です。経済政策の大部分は支持できますが、原子力政策は不透明感が強い。
ちょっと聞いていて、あれ? と思ったのは、竹中氏が9月頃に日本株上昇のカタリストがあるかもしれない、という発言。拉致問題の早期解決や内閣改造などが考えられ、それが相場を後押しするかもといった趣旨だった。こんなこと言っていいのか? どうせその時のニューヨークの話題に勝てないのに。
かなり安倍政権に食い込んでしまったからか、以前は消費税を増税しなくてもやっていける、と増税反対論者だったが、今回8%→10%に対するコメントはなかった。
藤巻健史氏
ゴメンナサイ。途中寝てしまいました。内容は、日本国債の大暴落が来るかもしれない、といういつもの自説を、今回はあれこれ資料を交えながら客観的に説明(資料の説明で寝てしまった)。
外貨建て資産(特に米ドル)をもつことは、国債大暴落に対する火災保険のようなものであると。
いつもの「ガラガラポン」というフレーズは聞けませんでしたが、そんな内容でした。
なかなか憎めないキャラの人で、堀古氏まで時間がたっぷりあったので、聞いた、という感じ。
堀古英司氏
1月に、S&P500は2014年末には2200ぐらいまで、20%程度上昇する、と言った内容の補足説明がメイン。
堀古氏によると、アメリカ経済は2013年から新たな局面に入ったばかりで、本当の意味の強気相場は始まったばかりなのだそうです。2009年~2012年はポスト金融危機の時代で、今は金融危機が終わって、「フツー」の状態に戻ったとのこと。
つまり、今回の強気相場が2009年3月から始まっていると考えるのは違っていて、2009年3月から2012年末までが、金融危機後の回復にすぎず、新たな米経済の成長が2013年以降始まったのだ、とのことです。この説は初耳だ!!
それを裏付けるために、長期国債利回りとS&P500の益利回り(PERの逆数)をヒストリカルに見ていると、おおむね接近している。これまでは、益利回り>国債利回りの差が、あまりにも大きかった、これが仮に一緒になったとしても、相場はまだ+50%の上昇余地がある、それに加え、EPSの成長があるので、仮にEPSが毎年+10%上昇し、益利回りの低下が年10%としても、年20%の株価上昇が5年、益利回りの上昇が年5%の場合は15%の上昇が10年続く可能性があると示唆していました。
PERについては、ヒストリカルな平均値が15~16倍というのは、長期国債金利が10%を超えていたインフレ期(PERは一けた台だったと思う)を含んだ平均値で、長期国債金利が8%以下の時期だと20倍ぐらいまで平均値は上がるとのこと。
ちょっと強気すぎんじゃない?と思う反面、金利と株式相場の相関性は同じ意見だと思うこともあるし、ケン・フィッシャーもPERが高くても株価は上がるので、PERは必要以上気にするな、と言っていますので、納得感もある。
個人的には、今後のアメリカ相場には慎重ながらも楽観視しているという従来スタンスを確認した。
但し、米企業のEPS成長率を毎年+10%と見るにはやや無理がある(+7~8%ぐらいじゃない?)と思う(私の保有株に成熟企業が多いせいかな?)。
過去数年間、話題の中心だった金(ゴールド)は、今回も全く出てこなかった。
彼は講演の度に言っていることがあります。リスクを取ったものが報われるのがこの世の中であるという趣旨です。経済成長率が低下すると、資産運用益が国民所得全体に占める割合が高くなってくるので、持てる者は益々富、持たざる者は益々貧しくなる傾向にあると。
アメリカはこれが顕著ですが、今の日本だと、「取れる奴から税金をぶんだくる」という感じがしないでもなく、金融リテラシーが貧弱で出る杭を打ちたがる(イノベーションが嫌いともいうべきか)わが国で、どこまで報われるのか、少し心配です。
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