たまたま覗いた大和証券のレポート。米国企業のキャッシュ残高がすごい。従来はドル安だから比較的多めに出ているのだろう、とタカをくくっていたが、最近の推移もものすごい。
バランスシートに占めるキャッシュ比率は何と15%とのこと。ITバブルのころから残高で7から8倍に膨れ上がっている。上記キャッシュとは、日本のBSで言えば、「現金及び預金(現金同等物)」。
リーマンショックのあった2009年から2010年にかけてグンと上がり、14年に入ってさらに上がっている。リーマンショックで逆に増えた、というのがすごい(その分従業員のクビが飛んだのですね)。
(注:この数値に、いわゆる短期有価証券が入っているのかは不明。米国企業のBSにはCash and Cash Equivalentsという科目とMarket SecuritiesやShort Term Investmentsという科目が別建てである。後者がもし抜けていれば、さらに実質的な現預金残高は膨れ上がるのではないか?)
アップル、グーグル、JNJ、アムジュン、シスコ、コカ・コーラ、マイクロソフト、バークシャー・ハザウェイなどキャッシュリッチ企業が澤山ある米国市場をよく表しているような気がする。
既に強固な競争基盤を築き上げてしまったことと、投資家からムダ金を使うな(要するにリターンの低い投資をするなということ)というプレッシャーも強い。
また、海外で稼いだキャッシュは本国に送金すると、本国でも課税されてしまうので、海外現地法人のキャッシュを送金したがらないという税法的な問題がある。
日本の場合、海外現地法人からの配当は国内の本社で益金不算入になる割合が高い(要するに国内で2重課税されにくい)ので、日本本国に送金させるインセンティブが働く(それでも日本企業もキャッシュを貯めこんでいると批判されている)。
アメリカの場合、海外現地法人の配当を米国本国に還元すると、また米国本国で課税されてしまう(だから借金で配当や自社株買いをするインセンティブが働く)。
シスコやJNJなどでも、いつもテレカンでバランスシートの現預金残高のうち、7~8割は海外にある、というようなことをCFOは語っている(この時の会話では、Short Term InvestmentsはCashに含まれている前提となっている)。
海外にあるので、本国還元しにくいという点と、リターンが乏しい投資案件には手を出せない、となるとキャッシュを何に使うのですか? という話になる。株主還元ですね。
S&P500企業の配当は右肩上がり、自社株買いもリーマンショックの直前に迫る勢いです。
特に自社株買いは金融業界では、いまだ自己資本規制云々で本腰が入っていないので、JPモルガンやゴールドマンサックス等がその気になれば、サクッとリーマン前を更新すると思います。
配当のほうは、グローバル大企業の連続増配が続く限り、右肩上がり傾向が続くと思います。
さて、隣の家の芝生は益々青くなっていくので、自分の家(日本株)も、放っておくと投資家がそっちに逃げてしまいます。私のように明らかに(全体感では)アメリカ株のほうが投資はやさしい、と思っている層が増えているように思いますので、日本企業もこれに追随せざるを得ないと思います。
したがって、社外取締役がどうだとか、無意味な議論をしているより、放っておくと日本の投資家が海外に流れてしまう、という危機意識でガバナンスを改善してもらった方が、近道ではないかと思います。
既に、日本企業でも業績が比較的安定的に成長できそうな企業では増配は非常に重要なテーマになりつつありますね。
そうなれば、他の日本企業も無視できなくなるでしょう。
個人投資家を増やしたいという日本企業は会社説明会で、必ず株主還元の質問を受けているように思います(当然ですね)。意識せざるを得ないでしょう。
大和のURLおしえてください
返信削除わたしも大和証券のレポートのURLを知りたいです。hpを探したのですが見つけられませんでした(ToT)
返信削除大和証券に口座を持てば見れるはずです。
返信削除初めまして。
返信削除アメリカの企業もキャッシュを貯め込んでいるんですね。
日本だけじゃなかったんだ。
従業員クビにしてキャッシュ貯め込んだって凄い話です(@^^)/~~~
世の中間違ってんじゃねえかって思いますが、その流れについていくしかないですね。
結局、株主であれ社員であれ、世の中に還元はして欲しい。
そうしないとお金が回らないですからね。
日本企業も最近は増配が続いていて、いい環境にはなってきていますね。