2015年1月24日土曜日

原油価格の下落とその影響

私の保有するPFでエネルギー関連株はすべて原油と天然ガスにかかわっています。

Kinder Morgan Inc. ポートフォリオ1
Chevron        同5
Enbridge        同12
ポートフォリオ全体の約18%を占めています(12月末現在)

これらについて、当面の株価上昇を見込んでいないのは言うまでもありませんが、当面の業績が気になります。
いろんな(タダで読める)調査書などを見たところ、

l  WTI50ドルレベルならシェールオイルは採算に乗っているリグが半分ちょっとありそうだ。

l  一方、在来型はその半分程度ではないか(ロシアでは一部4ドル台というすごい数字もあった)。

l  採算とは損益分岐点で、損益分岐点とは、企業として利益が取れる水準。

l  シェールオイルは、リグの設置が承認されてから実際の生産まで5か月ほどタイムラグがある。アメリカでリグの数が減ってきたのは10月ごろ。したがって、実際の生産に影響が出始めるのは、2015年第二四半期だろう。

l  しかしながら、リグの数が3割ほど減っても、生産量は契約もあるので10%程度の減少にとどまるだろう。

l  これが30ドルを切るようなことがあると、世界的にリセッションになる。

l  ロシアもOPEC5060ドルレベルなら当面の減産の必要性がない。

l  一方、石油サービス関連のコストは確実に下がるので、悪い話ばかりでもない。

l  シェールオイルの採掘に使うケミカルや水の利用が高度化・効率化できれば、採掘コストはまだ下がるだろう(アメリカではこの頁岩を割くための化学品とリグから流す水の確保がコストのボトルネックとなっているので、改善のための対策が練られている)。

l  当面、石油関連投資は3割ほどカットが見込まれそうだ。このカットは今の生産には影響がないが、数年先(2018年ごろ?)には、供給量の低下となって表れてくるだろう。
l  したがって、劇的に原油価格が回復するとは見込みにくいが、シェールオイルの生産量がピークアウトし始める第2四半期あたり(以前にも書きましたが、アメリカのドライブシーズンに当たる)で、原油価格がボトムアウトあるいは底をつける形になるのではないか。
l  その後は、今投資を削った分が(埋蔵量の)ツケとなって、2017年~2019年ごろに顕在化し、7080ドルぐらいの価格を形成するのではないか。

マイナス面として
l  石油関連投資で雇用されていた人に、一定のリストラ圧力がかかってくる。

l  また、シェールガスの生産で、Liquid Richと言われる水分が多いガス田では、従来から天然ガスと天然ガス液【Natural Gas Liquid: NGL】を分離し、NGLからブタン、コンデンセートなどを更に分離して転売していた。これらブタン他は石油からも一定量が取れるが、石油より天然ガスの方が圧倒的にコストが安く生産出来ていたので、石油由来のものより価格競争力があった。

l  しかしながら、原油価格が大幅下落したので、これらの成分の価格競争力が失われ、シェールの天然ガス田も採算割れが出る可能性もある。

以下は私見
技術の進歩とは恐ろしいですね。シェールオイルの採算ポイントは60ドルとも70ドルともいわれていましたが、さらに20から30ドル以上も削減余地がありそうです。そんなに下がると、供給過剰の状況が修正されないんじゃないか? と思ってしまいました。

もっとも、もっと石油をガブ飲みするような方向性になれば別でしょうが、世界的に二酸化酸素排出抑制の動きがありますので、原油を非効率にじゃんじゃん使うってのは難しそう。新興国の経済成長による需要増に限定されそう。

一昔前まで、忌み嫌われていた中国の存在感がまたクローズアップされるかもしれませんね(ベネズエラなどの資源があっても、金がない国などに中国が援助を申し出て、政治力もコントロールするのではないかなど言われています)。

これは、天然ガスにも影響が及ぶような気がしました。原油価格連動性の今のLNG価格体系だと、LNGコストも大幅に下がってくるので、シェールガス由来のLNGを輸入するのと、従来通りカタール辺りから輸入するLNGも差がない(どころか、従来LNGのほうが面倒な投資も手続きもいらない)ので、またいろいろ変化がありそうです(すでに契約した分は引き取らざるを得ないけど)。

ロシアからの天然ガス輸入も、パイプラインは魅力が薄くなったかもしれない。


上記ポートフォリオの当面の不透明感としては、

カナダのオイルサンド由来の原油の動向。シェールオイルについては情報量も多いですが、オイルサンドはそれよりコスト高だったはず(これも最近、露天掘りから地上から水圧をかけて絞り出すような工法が主で、こっちの方がコストは安いそうだが)。

したがって、Enbridgeの業績が気になる。同社のビジネスはパイプライン通行料をもらうフィー・ビジネスなので価格とは連動しませんが、生産者が経営破たんするとかのリスク(そうすれば必然的に「通行量」が減るのでフィーも減る)。

さらに、Kinder Morganも基本的にフィー・ビジネスなので、資源価格が直接業績に影響を与えないが、現在投資が決まっているプロジェクトが本当に実行されるのか、という将来の成長リスクは拭えません(これも天然ガスプロジェクトが多いけど、1件デカいオイルサンドのカナダ西海岸への運搬というのがある)。

121日のテレカンでは、2015年については、DPS2ドルの原資を確保しているといっていました。その後、2016年~2020年までは、1バレル70ドルの前提で、毎年10%の増配は大丈夫だといっていました。

また、上述の様に、シェールガス田の採算悪化が及ぼす悪い意味での波及効果は気になります。
Richard Kinderさんの原油価格のイメージも、2016年以降は、6070ドルレベルに戻る、という楽観的なもの。
ちなみに、一部油田を持っていて、石油の生産もやっていますが、2015年は80%分価格をヘッジしているとのこと。
この原油安に、Bakkenで買収なんてやるもんだから、投資家は不安になりますね。

Chevronについては、前回見ました。

まあ、向こう数年の配当成長率の鈍化はやむないですね。

肝いりの巨大プロジェクト、西豪州のLNGプロジェクトである、GorgonWheatstoneが、高値掴みになる懸念が残念ですねえ。しかし、キャッシュフローの増加には確実に寄与するようですので、あとはじっくり配当をいただくこととする。

当面保有株を売却する予定はありませんが、WTI100ドルってのは、需要と供給と技術革新などを考えると、夢物語かもしれません。

(穿った見方をすれば、オバマさんの後の大統領が共和党出身者で、また中東で軍事行動を起こせば、ギュッと原油価格が上がりそうですが、イランはおとなしくなっているので、「敵」もいない)

願わくは、私もみなさんがおっしゃるように60ドル~70ドルぐらいに回復すれば、まあ、ナントカやっていけると思います。

サブプライムも、最初は皆楽観していたのですが、ふたを開けるとひどいことになっていたので、油断は禁物ですが、、、。

但し、東アジアを中心としたガスの需要増加路線は間違いないトレンドだと思っていますので(これらの国の成長率が鈍化したので、ちょっと落ち込むかもしれませんが)、天然ガス関連には依然強気です。


1年以上前から、原油価格は長期的に80ドル~90ドルぐらいかなあ、と思っていました(やや供給過剰)ので、100ドルは高いと感じていましたが、40ドル台まで下がるとは思っていませんでした。しかし、投資家が思っていないことが起こるのが、マーケットである、と改めて感じてしまいました。
しかし、想定外のことを想定して、用意するってのは、どうやってやるんだ?


石油、天然ガスセクターは依然ホールド路線を貫く予定です。長期投資は我慢の連続ですね。

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2015年1月22日木曜日

楽天新春セミナー その3(最後) 堀古英司氏 米国株 S&P500は2400へ+17%上昇

2日連続で雨ですね。雪が降らないので、やっぱり今年は暖冬というべきなのでしょうか?

最後は堀古氏。
主催者側も最後まで引っ張って、会場の来客数を確保したいのでしょうが、「待たされている」身には正直、不便である。

楽天セミナーでは、ずっと堀古氏がしゃべっているようで、あの広瀬氏は今まで見たことはない(過去はあったかもしれないが)。
専門がかぶってしまいますからねえ。

個人的には、(当たるか否かは別として)年齢も出身も出身大学のレベルも堀古氏のほうが近いので、親近感がある。広瀬氏は、年齢もあるが、時折上から目線な点がありますね。

さて、
端的に言えば、相変わらず米国株には強気でした。
EPS+9%伸びて、PER7%上昇するので、S&P500は約2400まで上がると予想していました。
彼は、あれだけメディアに出ているのですが、その割にメディアに対して、かなり批判的です(この点でも親近感がある)。

私見では問題は、そのメディアを見て、我々がどう判断するか、ということでしょう。こっちがバカだからメディアにバカにされるのか、メディアがかしこくならないのか、分かりませんが、、、。

テレビ・新聞・雑誌といった既存メディアの最大の顧客は我々読者ではなく広告主です。しかし、その広告主は、広告宣伝費の予算を既存メディアからfacebook Google Twitter Yahoo!などインターネット企業に移しているからです。

とまあ、能書きはこれぐらいにして、彼がほかに言ったことを
今回も前回に引き続き、米国金利(10年国債)とSP500の益回り(PERの逆数)および配当利回りの長期的な推移のグラフを提示。

たった今現在は、米国債金利とS&P500の益回りの差が4%でこれはここ数十年で最大だった2012年ごろの5%に次ぐ大きさである(つまり国債金利との比較において割安)。
また、配当利回りが米国債金利を上回っているのも、数少ない。

こういった国債金利と株の益回りや配当利回りが高かった時期はその後、株価は上昇している、と。

では、その国債金利がなぜそんなに低いのか、と言えば、「運用難」である、という点。イタリア国債よりも米国債のほうが金利は大きいのです!! ⇒イタリア金利1.5~1.6% 米国金利 1.8~1.9%

このブログでも何度か触れましたが、欧州投資家を中心に、相対的に金利が高く、かつ格付けも高い米国債のほうを選考して投資するようです。

(確かリーマンショック前は、日本の為替介入によるドル債買いと中国による「為替操作」があったのと状況が似ているような気もするが、アメリカの住宅ローン審査が厳しいので、今回はそっちのほうは安心できそう)

私見ですが
「益回り、配当利回りが国債金利より大きいから株は買い」、というロジックは国債の金利が上昇すると一気にその前提が崩壊しますので、米国債が低位安定するという確からしさを得るのに、意見が分かれそうですね。

ただし、堀古予想によれば、この原油安で今年の利上げはないかもしれない、とも言っていました。したがって、上記前提を彼は安泰とみているようです(期待インフレ率が1.3%ぐらいしかない)。

さて、彼が現在想定する市場リスクは、以下のようです。「8つのE」とうまいこと言っていました。ただし、昨年10月時点ですが、今もある程度同じのようです。

1.      Ebola   エボラ熱
2.      Earnings 業績
3.      EU     欧州
4.      Economic 景気
5.      Energy   エネルギー(原油)
6.      Election  米中間選挙
7.      QE     金融緩和終了、利上げ
8.      East    中東他地政学リスク

このうち、6は終了。1は織り込み済み。5は現在進行形。8は2015年でなくとも、いつでもどこでも起こりうる。3はギリシア問題。

原油価格は、5月以降持ち直す(と言っても70ドルがせいぜい)と言っている点は、同じような意見です。この時期はアメリカの大学生が夏休みに入って、社会人と共に、ドライブシーズンになるのでガソリン需要が季節的に大きいのです。現在の急落も秋以降でしたね。

ということで、最大の関心はやはり7となるようです。

市場参加者の皆さんは、やっぱり中央銀行の金融政策に注目しているということのようですね。
あとはドル円レートにも言及していました。

今年はあまり円安にならないと思う、と。彼のロジックでは為替は日米実質金利差で決まる、と。
(これは同じ意見)

それでいけば、今は1ドル113円程度だ。円安になってもせいぜい125円どまりであるが、金融政策の差が大きいので、今ぐらいでもまあまああり得る、という感じ。

購買力平価や実質金利差を用いるレート評価は理論では正しいのですが、「いつから」それを推し量るのか、スタート時点で答えが違ってくるので、悩ましいですね。彼は1990年スタートでした。

さて、国債金利がどう動くか、今のところ世界的にディスインフレデフレ懸念になりつつあるので、そんな感じかもしれませんね。ということは円高バイアスがかかるかもしれませんね。

ちなみに
昨年の予想は外れていますが、これは昨年冬の大寒波が想定外だったから、とのことです。
まあ、上昇傾向は当たっているので、こういう時はあまり気に留めないものですね。

(上がるといって暴落したら、総スカンを食うだろうが)

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2015年1月20日火曜日

楽天新春セミナー その2 窪田真之氏 2015年日経平均は2万円


楽天セミナー、備忘録その2

窪田氏は昨年から楽天のチーフストラテジストとして、大和証券から移籍された方。

夏も講演があったようだが、その時は聞いていなかった。秋に別の楽天のセミナーがあって、話を聞くと、ためになりそうだったので、楽天証券のHPでアップされる「3分でわかる今日の投資戦略」を欠かさず見るようになった。

ストラテジスト、エコノミストあるいはアナリストなど「~スト」と呼ばれるスペシャリストの人のいうことは当てにならない、というのが個人投資家の間では、通説のようになっている。

しかし、彼らは基本的に過去の事実を振り返って、その延長線上で物事を推測するのが生業である。

想定外のことを想定するのも無理ですからね。

言い換えれば、過去の事実の整理整頓は聞いていて、必ず役に立つはずだ。

あっちこっちでいろんなことが毎日のように起こって、それを体系的に頭に整理するのは大事なことではないかと思う。

(しかし、過去の事実の整理が非常に上手なので、聞いていると将来もそうなるのかなあ、と引き寄せられていく点をどうやってコントロールするかが、難しい)

窪田氏のセミナーは、ちょっと面白い大学教授の講義のようでした。系統立てた金融市場知識と証券マン的な営業サービス精神が入り混じっている。


2015年末の日経平均を2万円と予測。これが結論。

しかし、リスク要因は多く、ボラティリティも大きい1年になると。

リスク要因として

1.      米金利上げ 

2.      逆オイルショック (ロシア・ブラジル経済の不振)

3.      EUの不安     (ギリシア)

4.      地政学的リスク  (中東、ウクライナ、その他いつでもどこでも)

しかし、1月から、ギリシア不安と逆オイルショックの一部が顕在化したので、ある程度マーケットは織り込みにかかっているはずだ、と言及。

原油相場の下落については、あまりにも急落したので、原油安で恩恵を被るプラスの側面よりも、「なぜそんなに下がるんだ。あれはどう2なる、これは大丈夫か」といった不安が先走って、マインドが低下したのだろう、と分析。

1980年代にも、70年代のオイルショックの後に逆オイルショックというのがあった。中東のプラント受注がキャンセルになった、とかそんな話で関連銘柄が売られた、とのこと。

市場では、不透明な点はまず売りから入って、徐々に「思い過ごしだった」とわかると、買いに転じるものだ。

原油相場の下落は、あきらかにOver Supplyが要因で、突き止めればシェールオイルだ、との認識でした。需要サイドは変わっていない。

原油安でメリットを受ける国として、米国、日本、ドイツ、インド、中国、トルコを挙げています。

逆にデメリットを受ける国としては、ロシア、ブラジル、豪州、ベネズエラ、ナイジェリア、OPEC諸国を挙げています。テロとかそんなやつを。

原油安は原油だけでもなく、鉱物資源にも及んでいるので(銅の急落)、ブラジルは注意とのこと。


EUについては、突き止めるとギリシアがEUを脱退するか、残存するかだが、現時点では残存見通しが大きい、との様子。EUについては、ギリシアがダメでも、今回はスペインやイタリアは比較的おとなしいので、波及リスクも小さく、あくまでギリシアの問題であり、騒ぎは大きくならないのではないか、とのこと。

 なんせ、アメリカ国債金利 > イタリア国債金利 という時代ですから。

日本の株式相場はどうなる?

日経平均が調整するときは、必ず先にダウ平均(米国株)の調整が起こっている。米国株の動きは、FRBの金融政策の一点に集約される。日本市場はヘッジファンドのリスク調整弁のようなところがあって、資金の流動性が大きいので、ボラティリティが米国株より大きくなっている、との分析。

これは米国株をやっていると、全くその通りと思う(というかいつもそう感じている)。

時折日本初の市場かく乱要因もあるが、株式市場の動きはサッカーに例えると、基本的には、ニューヨークがJ1で、東京はJ2といったイメージで、残念ながら正しいと思う。

但し、年末の日経平均予想は、彼らの予想企業収益に基づいたボトムアップ的なものになっている。20153期は対前年比+9%で163期末は同+11%と予想している。

一方、現時点では153期には+3%というのが企業の自己申告なので、そのギャップが6%程度あり、年末の日経平均から+17%程度を加算するとおおむね2万円に到達するはずだ、という感じでした。

年末の日経平均 17450×1.1720,416

たぶんこんな感じのことを言いたかったのでしょう。

円安、アメリカ景気便乗、原油急落でメリットをテーマに株を選別しよう、という提案がありました。具体的な銘柄はHPをご参照ください。私はこの銘柄にそれほど興味がなかったので(商社とかタイヤとか言っていました)。

円安がメリットなのかでメリットなのか、について。

メリットがあるのは、輸出競争力、設備投資の国内回帰、外国人観光客の増加の3点を、デメリットは原材料の輸入であるが、一次エネルギー類の市況急落で、それほどでもない、とコメント。

アメリカの金利引き上げが最大のテーマだ、という見方は、2015年のマーケットの最大のテーマであることは間違いないでしょうね。スイスの事例を見てもはっきりしましたね。しかし、サプライズはいけないですね。

さて、冒頭に戻って、年末日経平均2万円が、当たるのか、外れるのかについては、わかりません。確かFEB利上げもセオリー通り年央と言っていました。したがって、ファンダメンタル的にはそうかな、と思います。それ以上を予測するのは無理ってもんでしょ。どうせいろんな事件が起こりそうですし。

FRBの利上げがあと寄せになると、2万円は厳しいかもしれませんね。


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