非常にしばしば目にする記事に、「高配当利回り」、「安定的な利回り」 というフレーズがあります。
「専門家」と呼ばれる方々ですら、普通に使っています(誰とは特定しませんが)。
しかし、我々投資家がIncome Gainの確保のために配当金(または分配金)に注目する場合、利回りではなく、一株配当金(一口分配金)の実額の推移に注目すべきです。
典型的な例は、REITの分配金利回りです。詳細は以前の記事「J-REIT ETFへの投資方針をStrategic Reviewする」で詳しく書きましたので、そちらをご参照いただきたいのですが、たとえば、「配当利回り5%で安定している」 という記事があった場合、
2年前に、年間 500円の一口分配金で、投資口一口価格10,000円のREITがあったとしましょう。
しかしながら、長らく続く円高・デフレや少子化・経済縮小(または外資を嫌う鎖国政策もあって)、さらにはデベロッパーのサガでしょうか、常に新しいビルを建ててしまう供給過剰疑念などもあり、空室率はなかなか収まりません。単位当たり賃料もソフトな傾向が続いているようです。
したがってリーマンショック後、ほとんど4年を経過しても分配金は減り続けています(銀行のREITイジメは収まったようですが)。
現在、それが、投資口一口価格が9000円とした場合、一口分配金が450円ぐらいに下がっているのが現状なのです(注:銘柄によっては、一口配当金の希薄化を伴う悪増資もありますけど、一般論です)。
投資一口当たり分配金が500円から450円に下がり、株価も10,000円から9,000円にそれぞれ10%近く下がった状態であるにもかかわらず、「専門家」さんは、いずれの時点においても「配当利回り5%で安定した投資商品」 と言っている、という現状を迂闊に見逃してはなりません。
市場は単に収益力に見合った評価を下しているだけなのです。そういった意味では最終的には合理性があると言えるでしょう。さすがミスターマーケット!!
我々が欲しいのは、5%の(安定した)利回り商品ではなく、分配金(配当金)500円の安定性と成長性なのです。
もちろん、たとえばREITなら、本当に単位当たり賃料や空室率が下げ止まって、持続的に長期的な反転上昇の兆しがあるのなら、「鳴くまで待とうホトトギス」 作戦でもいいかと思いますが、450円が400円になるかもしれないリスクが潜んでいるのなら、いっそのことNTT株のほうがよほど一株配当のダウンサイドリスクとアップサイドポテンシャルに見合っているのでは、と依然考えています。
株式に投資する場合でも、まったく同じことが言えます。簡単に減配しないような企業に投資すべきでしょう。
当然ながら持続的に増配を繰り返す企業に、比較的割安株価で長期間投資することが、最も効果的であると思います。その前提で、「高い配当利回り」で参戦することには意義があると思います。
一次スクリーニングに配当利回りを用いることはやぶさかではありませんが、投資決定には配当の絶対額のトラックレコードや安定性、将来性に注意すべきです。
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