2012年11月28日水曜日

セクターアロケーションから見た世界市場

分散投資、何を基準に分散するのか、セクターの分散は最もそれを意味するのではないでしょうか?

私自身は強烈にセクターアロケーションを意識する、ということはありませんでしたが、Ken Fisherというアメリカのファンドマネージャーの教えもあり(「投資家が大切にしたいたった3つの疑問」の著者であり、お父さんはあのフィリップ・フィッシャーです。彼は父親と正反対で、個別銘柄選択はパフォーマンスに対して大きな影響を与えない。セクターアロケーションが重要だ、という考えの持ち主。市場平均を下回らないことをモットーとしているようです)、参考になったため、ある程度意識しながらポートフォリオづくりを行う、という感じです。

今回は世界市場におけるセクターアロケーションを見て思ったことを…。



この表は、大和証券の成瀬氏のレポートから拝借したMSCIの各市場における各セクターの分散を時価総額比率で表示しています。
MSCI Kokusaiは日本を除いています。

まず、見て驚いたのは、金融セクターは世界中で、トップ3に必ず入るセクターとなっている点です。なおかつ、日本を除くアジア市場では、金融が時価総額の半分を占めることになります(中国の巨大「地銀」(工商銀とか)と生保が大きいのでしょう)。
現在、世界的に金融業界は不況と言ってよいと思いますが(特に欧州)、それでもこれだけを占めるというのですから、景気が回復するともっと大きくなるかもしれませんね。

金融以外では、消費-ディフェンシブ が3地域あります。特に欧州では大きいセクターになっています。タバコ産業(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)、家庭用品(ユニリーバ)、食品(ネスレ、ダノン)などが上位を占めていると思われます。

テクノロジーはNASDAQを擁する北米のインパクトが大きいですね。北米は最もバランスがとれていて、かつ、付加価値の高そうな産業ほど大きいように見えます。

英国はエネルギーに特徴がありますね。英国自身は北海油田があるものの、BPShellBHPビリトン、Rio Tintoなどの強力な陣営なので、何となく納得。
シティーの影響か、金融も大きいですね。90年代に「ウィンブルドン現象」ということがよく言われました。これは、金融自由化を進めた結果、ロンドンでは外資が金融市場を席巻したことを、テニスの全英オープンで英国選手が活躍できないけど、大会は盛り上がっていることにたとえて言われたことでしたが、結果的に英国では金融がトップの時価総額になっていますね。これは特筆してよいかも知れません。我がHSBC Holdings plcも大きく貢献しているのでしょう。

日本は、産業財・サービス(多分三菱重工とか重化学系、機械系、あるいは自動車下請け的なものでしょう)、消費-シクリカル(トヨタ、ソニー他が該当すると思います)、そして金融で過半数を占めてしまいます。素材まで入れると約6割が「景気敏感産業」となっています。金融を除くと、どちらかと言えば資本集約的で、投資を必要とし、損益分岐点は高く、収益構造はボラタイルと言えると思います(注:米国のボーイング、キャタピラー又はユナイテッドテクノロジーズ辺りは、損益分岐点も低く、ボラタイルの幅が日本企業の競合よりずっと小さい点を念のため申し添えます)。たしかにものづくりの国の特徴が出ているともいえます。
一方、ディフェンシブ・ヘルスケアは先進国では最下位です。エネルギーに至っては壊滅的です(注:総合商社をどこに含めているのか、ちょっとわかりませんが)。

こうして見ていると、各国の特徴がセクターに現れていて、市場はある程度効率的なのかもしれません。

自分のセクターアロケーションがどの国に近いのか、また分析してみたいと思います。分散投資を目指すのなら、北米型がやっぱり最も分散されていると言えそうですね。

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