2012年12月27日木曜日

長期投資で受取配当を効率よく増やそう その7 さあ、やってみよう。





2012年のラストエントリーです。当シリーズもラストです。

この数式に従うと、どうなるのか。実際にモデルケースでやってみよう!!!
X=A+B+C-D-E±F

モデルケースとして、わかりやすくするために、投資開始時の種銭を1000万円、毎年の追加投資に要するニューマネー(Aに相当)を100万円、買収する株式の配当利回りを2.5%に固定するものとします。税金は考慮しないものとする。

したがいまして、スタート時点では、1000万円×2.5%=25万円の受取配当(すなわちX)が予想できるものといたします。

配当利回りは、インデックスベースだと2%程度だと思いますが(無配の銘柄が含まれる)、連続増配が期待できる配当株に投資を集中させる観点からは、2%では少し小さいと思います。2.5%といたします。

翌年以降は、方程式を当てはめればいいと思います。

まず、Dはゼロを基本に考えたいと思います。「完封勝ち」が前提(その2をご参照)。Buy & Holdを前提にするので、Eの売却もゼロといたします。

次に、Cです。私の場合をおいてみます。
米国株で連続増配株の過去10年間の年平均増配率は7.5%となっています。私は銘柄選択をうまく行えば、米国株の場合10%は可能性がある、と思いますが、現在の低金利下では、7~8%のターゲットをおいています(その3を参照)。

一方、日本株の場合、アメリカとのインフレ格差を考えると(=円高の進行率を考えると)、米国-2-3% とするのが論理的(つまり4~5%)だと思います(その6をご参照)。
別途J-REITを保有していますが、これは正直予想不可能です。私は、アドバンスレジデンスやユナイテッドアーバンを活用することで下落リスクをある程度ヘッジしています。0%で十分です。

したがいまして、
私の場合Cの増配率の期待値は
米国株ポートフォリオの期待増配率 8.0% × 米国株PFの比率 70
日本株のPFの期待増配率      4.0% × 日本株のPF比率 17
J-REITの期待増配率           0% × J-REITPF比率13
を加重平均すると
6.3となりました。

いろんなミックスの中で、配当利回り2.5%以上で、期待増配率が6.3%を上回ることが出来そうな銘柄をチョイスしてポートフォリオを組んでいく、というのがこの場合では目安です。

外国為替(ドル/円レート)のリスクをどのように考えるのか? マイナス2.5%で置いてみました(1992年以降のバブル崩壊後の日米インフレ格差が約2.4%、米国のインフレターゲットゾーンが2%~2.5%。日本はとりあえず「安部ノミクス」の象徴であるインフレ率2%は織り込まない。仮に日本でインフレが実現されると、将来の円高進行は限りなく限定的となりますが…。日本で通貨の需要がそんなに増えるのでしょうかねえ?)。



受取配当Xの増加率は、10年間平均ですと、年率1112%程度ですが、長期的には10%前後に収れんされそうです。時間が経過すればするほど、継続投資資金から得られる配当金よりも、増配率が重要になってきます。
モデルケースだと、6年目には増配による増加が継続投資による増加を上回ります。10年目には継続投資資金+配当金の再投資以上に増配による配当金増加が貢献するようになります。

そして、この投資の良いところは・・・・



11年目に定年退職して、夢の??年金生活に突入したと仮定します。従いまして、継続投資資金は11年目以降、ゼロになります。配当は消費しますので、再投資による配当もゼロになります。
保有PFが増配を継続する限りにおいて、Xの値は、Still4%増え続けます

多くの「投資のプロ」による資産運用アドバイスは、勤労所得が無くなったのちの、年金生活下においては、それまで積み立てた資産を取り崩すことが前提になっています。

しかし、本事例では、そのままBuy & Holdを継続して、なおかつ、「年金」が増え続ける計算になっています。長生きリスク?を超えることが可能です。これまで通りのゼロインフレを前提としても、毎年4%のインカムの成長は妙味があると言えそうな気がします。

もっとも、このケースはあくまで理論値ですが、所詮、「プロ」の資産運用本も理論ベースです。
必要なXの資金を逆算しながら、種銭と継続投資資金を決めることで、戦略的に「自分年金」を形成することが出来ます
継続投資資金をもっとねん出する必要性がある場合は、①もっと稼ぐ、②もっとケチる、③では、どうやって?など具体的に私生活に落とし込めばいいのです(落とし込めば落とし込むほど、現実性が増すというもの)。

日本でインフレが起こったらどーするんだ?という声がありそうですが、その場合円高率のマイナス幅が小さくなる(場合によってはプラスになる)点、増配率が上方修正される(日本株の名目的な成長性が高まる期待)点などが勘案されるため、今話題になっている主要先進国並みのインフレターゲットが実現された場合、基本的には良い方向に進むと思います(インフレ率を超えるEPSの成長期待が持てない企業は連続増配の可能性も低いので、PFから外れていくでしょう。けど個人的に2%のインフレ率の実現はやや懐疑的)。

1000万円を1億円にするための投資(そこまで出来れば、配当金も年金並みにもらえるので、同じ目的は達成できる)と、配当金にフォーカスした配当を「自分年金」とみなすこのケースと比較して、かける時間、相対的なリスク(実現可能性)を勘案して、私はこちらの投資方法を選択しています。投資の最終目的がインカムゲインの極大化なので(しかし、実は増配と同じペースで理論上はキャピタルゲインももたらされる。EPSの成長=DPSの成長、PERは一定という考えが根底にあるから。ヴァンガードの創業者の人が、「EPSの成長は投資リターン」、「PERの変動は投機リターン」って言ってたな)。

本ケースはあくまでモデルケースですが、そもそも自分の投資法が理論的にどの程度のリターンが期待できるのかを知っておくことは、メルクマークとして十分活用の余地があると思います。羅針盤を持って航海をしたいものですね。

2013年もこのスタイルは継続します。米国のDividend Growth Stock に関する本も数冊読んだことがありますが、ここまで具体的に書いていないので、自分でもどうなるのか楽しみでもあり、不安でもあるというのが正直ベースですが、2013年もよろしくお願いします。


応援よろしくお願いします!

 




2012年12月24日月曜日

長期投資で受取配当を効率的に増やそう その6 ドル/円レートと米国株投資について






X A + B + C – D – E ± F

X=受取配当金の総額

A=ニューマネーで買った株式のもたらす予想配当額
B=受取配当金を新株購入に再投資した場合の予想配当額

C=保有株式の増配
D=保有株式の減配
E=保有株式を売却した場合の予想配当額の減額部分
F=外国株における為替影響額

6番目は為替問題です。これもブログで繰り返しになりますが、米国株の場合、長期的な株式の年率リターンは長期的な円高に勝っている、という事実があります。ドル安になっても、それ以上に米国株の一株当たり当期利益(EPS)が成長しています。

基本的にEPSの成長と同じだけ増配をする、という前提に立てば(配当性向を一定とみなす)、配当金も円高に勝つことが出来ます。





   
 国際通貨研究所のHPに掲載されているドル円月中平均レートを197312月から20128月までの推移です。1973年から2006年までは各年の12月のレート、2007年以降は月次レートとなっています。

期間通算39年では年率平均3.2%、1992年からの直近20年間(バブル崩壊後)では年率平均2.2%の円高となっています。

 
一方、S&P500の年率平均リターンは1973年以降では6.7%1992年以降でも6.4%となっておりました。配当利回りは概ね2%で見て良いと思います。




S&P500は過去40年でも20年でもトータルリターンのスイートスポットは8.5%6.5+2.0%)程度と考えてよさそうです(ちなみに過去30年とすれば、米株の超強気相場の出発点になった1982年が起点となるためS&P500の年率換算リターンは8.6%まで上がる)。


8.5%-円高率=円ベースのS&P500の実質トータルリターン

一方、アメリカでは、だいたい年平均3%程度のインフレが継続しています。



1980年以降の場合は3.5%(第二次オイルショック時の1980年、81年の2年が大きい)、インフレが沈下した1982年以降の過去30年平均だと3.0%、1992年以降の過去20年平均だと2.5%となっています。

 最近話題の日本のインフレ率は・・・



1980年以降の場合、1.02%、1982年以降は0.7%、1992年以降の直近20年では0.1%となっています(ちなみに直近10年間では▲0.1%)

 
まとめると…(配当利回りは省略させてください・・・データが見つからなかった。Add onすればいいだけですね。2%ぐらいでいいんじゃないか)



 

米国株の日本人実質利回り(自称)とアメリカ人の実質利回りを比較してみてください

(安部さん、本気で日本のインフレ率を2%にするのかな? 水風呂からいきなり熱湯になるような感じがしました。しかし、インフレターゲットが政策導入されると、円高進行率は理論的に小さくなる一方、日本のインフレ率も上がるので、実質リターンは大きく変わらないと思料)

アメリカ人でも日本人でも、アメリカ株に投資した場合の(実質)リターンが大して変わらない(1992年以降だと日本人の方が低インフレと円高進行の落ち着きでリターンが上になっている、1982年以降の年率0.7%程度のインフレを気にした日本人も少ないはず)、ということになれば、世界最大の市場で、より効率的で(ゾンビ企業は市場が駆逐する、経営者の株主意識が他の世界市場と比較して高い等)、銘柄の質が圧倒的によい米株式市場で投資した方が成功の確率は高くなるのではないでしょうか?

バフェットやピーター・リンチ等が実際に投資して成功して(その他多数の投資成功者がワンサカいる)、他の著名投資家や学者などが緻密に研究を重ねて、いろんな理論やデータの蓄積は非常に充実しており、敗者にならない確率は日本株より高いと思います。

世界大恐慌の悪夢が覚めない時期からベンジャミン・グレアムはコロンビア大学で株式投資理論を教えていたのですよ。今の日本の大学で株式投資の理論や実践を教えているところってどれぐらいあるのだろう? 少なくとも、学生がそういった講義のある大学を目指して日本の大学を受験するというのはほとんど聞いたことがない。

将来が過去と同じになるのか? これは永遠の課題で、誰にもわかりません。将来は円高の進行率よりも米国株のリターンが悪くなる可能性は残されています(ここ3年ではその傾向は見られませんけど)。

一方、中国・インドあるいはアセアン諸国の成長及び株式リターンの将来が約束されていると言えるのでしょうか?

日本株が復活・躍進する可能性もありえなくもない(個人的には懐疑的)。

 
いずれも将来はわからない、しかしながら過去の実績・ノウハウは米国株式市場により蓄積されており、株主還元意識の強さ、株主目線の強さは、相対的に計算できる対象と思います(Buy & Holdを前提とした場合)。

 
さらに、投資目的(将来の年金インカムリターン)に照らし合わせると、持続的成長を意識しながら経営を行う一部の先進国企業(特に米)は安心感が持てます。

 
したがいまして、結論としては、ドル/円レートは株式投資(米国株)においては取るに値するリスクと考えています。



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2012年12月23日日曜日

長期投資で受取配当を効率よく増やそう その5






配当を雪だるま式に増やすための方程式?

 X A + B + C – D – E ± F

 
X=受取配当金の総額
A=ニューマネーで買った株式のもたらす予想配当額
B=受取配当金を新株購入に再投資した場合の予想配当額
C=保有株式の増配
D=保有株式の減配
E=保有株式を売却した場合の予想配当額の減額部分
F=外国株における為替影響額
 
四番目は配当金を再投資に回すこと、すなわちBを大きくすることです。これも、Aの投資を継続的に実行することと、Cが大きくなれば(Dが発生せずに)、必然的にBの値は大きくなります

源泉徴収の税率が20%に戻ってしまう(+復興増税がある)ため、短期的には減少する可能性もありますが、税制なんてまたそのうち変更になりますし、日本版ISA制度が出来ると、いくらかは緩和される計算になります。

あまり税制を深く考えずに、全体を増やすことを考えていく予定です(しかし、税の使い道には文句を言いたくなりますね)。

配当金を再投資させることは実は実質的な安全性マージンの確保にもつながります。資産運用を単純に、投下資本に対していくらの評価額であるのか、だけで判断する場合;要するに証券会社にいくら振り込んで、それがいくらになったのか? というのが運用の初期的な損得評価だと思います。

仮に配当金が口座に10万円あり、130万円のA社株を買うと言う場合、必要投下資本は20万円です。出資20万円+配当金10万円でA社株30万円を買う、ということになります。A社株が20万円に下がった場合、±ゼロということになります。

配当金再投資の最大の理由は、キャッシュを生む資産(株式)の絶対数(株数)を出来るだけたくさん保有する、その株式が連続増配するという「雪だるま効果」(注:自称です)を最大限引き出すためだと思っています。

金の卵を産むガチョウが金の卵を産んで、そのヒナが成長してさらに金の卵をうみ続ける・・・。


この数値は年間でもあまり大きな数字になりませんし、そもそも買った株の原資が配当金だったのかニューマネーだったのかなど一々記録していないし、たいていの原資は配当金+ニューマネーの合計であり、管理が出来ない(容易ではない)と思われますので、概念的なものと私は考えています。

一方、私は米国のオンライントレード証券会社であるFirstrade証券で、DRIPDividend Re-Investment Program)を活用しています。

元々アメリカでは、古くから企業の配当を小切手等で受け取るのか、さらに株式で受け取るのかという選択ができたようです。今でも、米国企業のHPIR欄にDRIPサービスの取り扱いをするところがあります。


 
Firstradeの場合、受取配当から源泉徴収されたのち、その資金で端株を含めて、配当金を支払った企業の株を買うことになります。配当は端株単位で算出されます。源泉徴収されるので、正確ではありませんが、配当が複利で増えていくことになります。

弱気相場の時は、再投資で購入できる株数が増加するので、再び強気相場に戻った時の資産全体の増加額に大きなインパクトを与えます。

積み立て投資と同じ発想でドル―コスト平均法のように買い続ける仕組みですが、違う点は、企業が毎年増配を継続するため、積み立て投資資金が自動的に増加していく点です。増配の方程式のミニチュア版ですね。


配当金を再投資に回すか、消費に回すかは、各人の投資目的やその考え方次第だと思いますので、何とも言えません。私もローンの返済や消費に多少回すこともあると思います。
 
 
 
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