2013年4月14日日曜日

会社は誰のものか? I.B.M.は何と言っているのか?


現在、ポートフォリオ第二位のI.B.MAnnual Reportを読んでいます。

Annual Reportには、必ずと言っていいほどCEOから株主にあいさつ代わりの手紙があります。

Letter to the Shareholders というものです(バークシャー・ハザウェイ社のそれは、「バフェットからの手紙」と邦訳され、投資家必見の書のひとつとなっていますね)。ただしI.B.MではA Letter from the Chairmanと言っていますが同じことです。

I.B.MChairman & CEO(正確にはChairwomenかな)は、同社100年の歴史で初めて誕生した女性CEOVirginia Romettyです。彼女の書き出しのこの文が、読む我々をスカッとした気分にさせてくれます。

I am pleased to report that in 2012, IBM achieved record operating earnings per share, record cash flow and record profit margins, with revenues that were flat at constant currency.

Operating earnings per share were up by 13 percent, putting us well on track to our 2015 Road Map objective of at least $20 of operating earnings per share. Importantly, we continued to deliver value to you, our owners.

抄訳

2012年、IBMは過去最高の1株当たり営業利益、フリー・キャッシュフロー、利益率を為替中立ベースでほぼ前年比と同じ収入で達成できたことを報告出来て、うれしく思います。

一株当たり営業利益は、13%アップし、2015年までに、最低でも一株当たり営業利益を$20にするという中期計画(Road Mapと称しています)に沿ったペースで進んでいます。

重要なことは、我々は価値を提供し続けています、あなたにです、そう、私たちのオーナーの。



 
  Virginia Rometty
 株主向けの報告書なので、当たり前の表現かもしれませんが、ストレートに明快に、株主がオーナーであると言い切っています。それは彼らの経営指標にも表れていると思います。

Road Map(中期計画)で、彼らが株主にコミットメントしている唯一の経営指標は、Operating earnings per shareというものです。上記では一株当たり営業利益と訳しましたが、正確には、特別損益、M&Aにおける暖簾、商標権の償却やストックオプション等の費用処理分を除いた利益を指しています。

一株当たりの利益を最大化するのが目標ですから、自社株買いは当然財務戦略の大きな柱になっています。

一株当たりの利益を最大化するのが第一目標ですから、売上高が伸びなくても、収益構造を改善することが目標になります。

株主は、年々一株当たりの価値と配当金が上がるので、結構なものです。自社株買いの勢いがすごいので、市中に出回る株数が減っていきますからね。

 
ご参考、
ポートフォリオ概況 第二位 InternationalBusiness Machine Corp. I.B.M.

この記事では、02年から11年までの10年間の財務を掲載しています。
売上高は年率3%程度の成長しかしていません(02811億ドル→111,069億ドル)。
しかし、フリー・キャッシュフロー(営業CF-投資CF)は8,313百万ドル→15,738百万ドルと約2倍に、Earnings Per Share(一株当たり当期利益ですけど)は同期間、2.0613.06へと6.3倍に増えています。
結果、発行済み株式総数(Shares Mil)は1,7311,214(百万株)と▲30%も減少しています。

経営がどこを向いて経営しているのか、きわめてわかりやすい例として取り上げました。
この間、日立や東芝はI.B.MLow Marginと言って売却した資産を買っていますね(日立はその後さらに売却しましたが)。
今後もI.B.MにはSolidな業績を期待しています。この辺の企業はアメリカ株式会社1丁目1番地1のような中核企業なので、現時点では非の付け所がありません。

411日現在
株価 211.38ドル
PER 11.53倍(来期予想、Yahoo! Finance USAより)
Yield 1.60
確実にEPS2ケタ成長させてくれるこの銘柄のPER12倍にも満たない(実績ベースで14.71)。高いか、安いか? ライバルでもあるOraclの決算がよくなかったことも影響しているのでしょう。
ハイテク関連は今は端境期と考えられています。
私はそれでも2011年に買って以来、ドルベースの累計で約28%のリターンがあります。EPSの成長に現時点ではおおむね沿っています。
今後とも安心して、ホールドできる10年保有銘柄です。
 
応援よろしくお願いします!

4 件のコメント:

  1. 会社は誰のものか?まさに資本主義の原点に返るような命題を日本では未だに結論が出ないままでいます。日本の大企業では会社は社員の共同体つまりムラであり業績が悪化したからといってレイオフしたり部門のスピンオフすることは社会の公器としてあってはならないといった風潮すらあります。
    他人資本をいかにして最大化するかといった視点が欠けており、自社株買いするにしても株主への還元というより行き当たりばったりで資金を使っている場当たり的なものが非常に多いのも事実です。
    アメリカ企業のように株主視点に立った経営者がいないのが問題なのでしょうがバフェットが未だに日本企業に投資し出来ないもの株主視点が欠落しているからでしょうね。
    CEOと名乗っても日本企業では現場まで意思徹底できるだけの権限がない、また現場の意見が強すぎてCEOと言えども強権が振るえないとなんとも情けない状況ですからバフェットのお目にかからないのも仕方ないのでしょうかね~




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    1. コメントありがとうございます。
      結論は出ているのでしょうが、そうと認めたくない勢力がことを難しくしているのでしょう。
      論より証拠と思って、今回のネタを記事にしてみました。

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  2. 立川です。

    いや~本当にスカッとした気分にさせてくれますね!
    現在米国株の組み入れ比率はIBMがダントツなのですが、もっと増やしたくなってしまいます。

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    1. こんばんは。
      今週決算ですね。決算に対する反応がクレージーなので、些細なことで暴落したらねらい目かもしれませんね。

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