第三四半期決算の前半戦。自分のPFでいつもドキドキさせられるのがテクノロジー関連株、IBMとシスコです(内容が悪かったら一晩で10%程度の株価が吹き飛ぶ)。そのIBMの決算はひどかった。そしてやっぱり2日で10%がとんだ。
実は、そろそろ業績の下げ止まり感をひそかに期待していただけにちょっとショック。
しかし、ハードウエア部門は1年前からひどかった。
私はIBMがハードウエアのローエンドをレノボに売却したことと、半導体製造部門に追い銭を払ってでも売却したことは、経営戦略的には正しい判断だと思っています。半導体事業については、ずいぶん前から売却交渉があったことをニュースで知っていました。
ハードウエアからソフトウエア&サービスに、よりハイバリューなビジネス分野に投資する、という方針に沿っています。
しかし、アウトソーシングサービスとソフトウエアも減収減益になってしまったことは懸念すべきことかな、と感じてしまいました。
会計的、CF的には将来、出血が止血された印象を受けますが(今回売却した半導体事業は2013年は約700億円の赤字事業)、業績をけん引しそうな成長分野もまだ見られないというのが心配で、肝心なのは今後のことですね。
そもそもIBMを保有した理由は、①ソフトウエア&サービスでのSolidな成長が見込めること、②たとえコケても自分で自分を変えられる能力がある会社だと思ったこと、です。
現在前者の見通しがぐらついてしまったものの、少し時間がかかるかもしれない。決算発表では、ITバックオフィスのアウトソーシングといったどちらかと言えば、ローマージンなビジネスはクラウドと競合するような感じになっているそうで、価格下落のプレッシャーがあるといっていました。
一方、IBMはクラウドがダメだといわれていますが、そのIBMもクラウドはやっていて、まだまだ規模は小さいながらも同分野の前年対比売上高増加率は50%に達するそうです(2014年度は現在の売上高を年換算した場合、$3.1Bになるそうです。四半期の全社売上高は$22.4B)。
昨年クラウドベンダーのSoftLayerというベンチャーを買収し、アマゾンなどの追撃態勢を整えています。
元々顧客基盤はしっかりしていますので、しっかりした技術が手に入れば、同分野でもまだまだやれると思います。
IBMの買収戦略はメガファーマのそれと同じで(米国の大企業のM&A の大半はこのパターン)、優れた技術や製品力をもつ事業を買収し、自分たちがすでに築き上げたグローバルなチャネルで拡販していく、というものです。
したがって、今後は落ちていくアウトソーシングのローマージン事業とクラウド事業・アナリスティック(ビッグデータ)、セキュリティ、モバイルといった彼らにとって成長分野の売上高と利益を相殺しあうような状況がしばらく続くと考えられます(初めのうち、売上高は伸び悩むはず)。「しばらく」がどの程度の期間かはわかりませんが。
ただし、五月雨的に人員削減を行っていて、なんとなく営業的にガタがきていると思われるようなコメントも見受けられた点が心配です。また、今後も成長分野で必ずしも良いパフォーマンスが得られるか否かわかりません。
ソフトウエアは、ミドルウエア部門は堅調な伸びでしたが、Information Management部門が少し悪かった。コメントでは単なるパッケージソフトが伸び悩んでいるようだった。
会社側は2015年の利益目標を1月に発表するといっていますが、EPSの$20という目標は撤回してしまいました。半導体製造部門の譲渡関連の費用やリストラ関連が来年まで続くからだそうです。
さて、今後のIBMへの投資方針をどうするか、という点ですが悩ましい。とりあえず再成長できそうな感触がなければ、買い増しはない。
IBMへの投資テーマは、継続増配、たとえコケても自己改善能力がある、という点です。今のところ来年の減配や増配据え置きの懸念は小さい(自社株買いが少なくなるけど)。
自己改善能力はまさしくこれから検証しなければならない。
1:ソフトウエア&サービス(コンサル部門)が安定成長路線を今後も取れそうか?
2:成長分野の伸びが本物か?(他社比較、たとえば、オラクルと比較してもこれまでは見劣りすることは事実だと思う。アナリストもアクセンチュアと比較して弱いと指摘していた)
これらが、2015年の、たぶん5月ごろに開催されると思われる、Investor’s Dayにどのように織り込まれているかを確認することとする。いつも投資家にはクリアな説明をする会社なので、そこで成長性を再評価することとする。
Struggling(「もがく」とでも訳すのか)していることは確かだが、CEOは変化への対応スピードを加速化させる、と言っているので、巨象がまた踊ってくれるか、当面見守ることとする。
赤字部門は売却したので、ソニーやパナソニックのような大幅な赤字に陥ることはない代わりに、しばらく一進一退かもしれない。NTTやAT&Tのような感じかも(固定電話の落ち込みをワイヤレスでカバーしていますね)。
現状では、悪材料出尽くし感がまだないので、株価は非常に軟調さが予想される(空売り天国)。
しかし、株式市場では今や誰も期待しなくなったIBMの業績にちょっと火がつくと、株価は急転するはず。アップルとの提携はこれから売上高に反映されるなど前向きな話も残っています。
売りの規律を守るのも難しいものです。したがって、売らなくてもいい銘柄を買ったつもりだったんですけどね。まあ、売らなくてもいい、というのはあり得ないかな。しばし辛抱。
フィリップモリス:こちらもIBM同様に、ドル高に悩まされていて、会計的な決算はあれだけ自社株買いをやっても減益だった。しかし、現地通貨ベースの各国のビジネスは持ち直しつつあり、トンネルの中に光がさしたような感じがした。すなわち、西欧(特にスペイン)、ロシア、日本、インドネシア等の主要マーケットで下げ止まり感が見えてきました。
北アフリカ、東欧は堅調で、11月にはついに電子タバコがテスト販売されます。テスト第一弾は日本の名古屋のようです(なぜ名古屋だったのかは不明。こういうのって、日本でやるのなら新しいものが好きな大阪でやるのがマーケティングの定石だったような記憶がある)。
しかし、マクドナルドの中国問題(ロシアも政治的な問題を抱えるが)、原油価格の急落によるシェブロンの決算(春先からある程度予想していたが)、EUの景況感減速で新車販売台数の伸び悩みに直面するフォード(想定外)、香港の混乱でちょっと気持ち悪いHSBC(想定外)などポートフォリオ銘柄に問題が山積していて、相場上昇ほど気分は上昇できません(もちろん自分のパフォーマンスも上昇していない)。
P&Gとかはそろそろトンネルを抜けてくれることを期待していますが、どうかなあ。
うまくいっている銘柄(JNJ、MO、DOW、ENB、KMI、KDDIなど)と上記のうまくいっていない銘柄が相殺しあって、市場平均かちょっとその下、という感じですね。
一喜一憂しながら決算時期を過ごす、いつものパターン、と言ってしまえばそれまでだが。。。しかし、その一喜一憂が個別銘柄投資の面白いところなんですね。
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