週末に読んでいました。久しぶりに本屋さんに行くと、投資本関係の新刊が数冊出ていて、やっぱりこれを優先的に買って読みました。
一言、面白かったです。
一言、面白かったです。
ジム・ロジャーズの著書を読むのは初めてです。過去2冊は立ち読み程度で結局買わなかった(古かった)。
本書は彼がこれまで何をやってきて、どのように感じたか・考えたかを書き下ろしています。自叙伝の様な感じかも。
個人的なハイライトはやはりウォール・ストリートで鳴らした70年代が一番面白く、投資に関する示唆が詰まっている。
ジョージ・ソロスと袂を分かった直接の理由に初めて触れたのではないか?(内容は本で確認してくださいね)
リーマンショック以降の最近の事象に関する彼の見解は、ブルームバーグやCNBC等に出演して繰り返し主張していることがそのまま書かれています(基本的に破壊と創造が資本主義のあるべき姿で、ダメな企業は潰せ、というもの。お金ばっかり印刷していたら通貨の価値が下がって、インフレを引き起こし、国をダメにするという筋書き。米国経済政策を批判しています)。
彼が今一番投資先として魅力的だと思っている国は北朝鮮とミャンマーだそうです。
投資家としての彼の成績は正直謎である。Forbes誌のビリオネアーに名を連ねているわけではありません。
彼のご推薦の中国も株式市場はさっぱりです。
ただし、ああやって好きなことをしても十分やっていける財力があるので、かなりの資産家であるだろうことは間違いなさそうだ。憧れますねえ、Financial Freedomを手に入れて、好きなことをやっても悠々自適…。これが彼の一番の魅力かもしれない。
ジム・ロジャーズの投資アプローチはクオンタム・ファンド時代と大きく変わりなく、グローバル・マクロ的な発想です。市場が歪んでいると思われるセクターに丸ごと投資するタイプ。アフリカのボツワナで上場している企業7社全部の株を買ったと言っています。
しかしながら、日本のサンリオやタカラ(こっちは売却しているかも)の様に、ピンポイントで買ったりしますので、変貌自在といった感じか。バフェットと違って、日本株や円も買っている辺り、日本人が彼を好きになる理由かな?
なおかつ、世界1周を2回もやっていて、現地を実際に知っている、というのが強み。正規の両替所とブラックマーケットと2回両替すれば、国の経済状態が分かりやすい、等は彼の様な投資家的目線を持った人が、ドサ周りをやらないと出てこない発想です。
今風に言えば、ウォール・ストリートのインディ・ジョーンズって感じか?(え?インディ・ジョーンズ自体が古い…。80年代に大いに流行った映画です)
本書には書かれていませんが、QE3前頃のインタビューで、これ以上金融緩和を行うと、アメリカ経済とドルは崩壊するので、絶対支持できない。といったことを言っていましたが、しかし、だからこそドルを買うのだ、なぜなら自分がこれだけ怖がっているのだから今が底値だろう、と言っていました(円も買っていましたが)。これぞ究極の逆張りですね。その後ドルは持ち直していますから、結局投機に勝ってしまいました。
ジム・ロジャーズ、ウォ―レン・バフェット、ピーター・リンチetc…。成功した投資家が共通して言うことがあります。
「投資対象のことをよく理解してから、投資すること」
です。
ほかにもジムとウォーレンの共通点といえば、
ほかにもジムとウォーレンの共通点といえば、
- 2人とも若いときは自分に自信がなかった(ジムは田舎者でチビだったのが劣等感だった。ウォーレンはディール・カーネギーの「話し方教室」に通っていた)。
- 好きなことをして成功している。
- 頭がいいから投資で成功するわけではない、と言っている(しかし、実際は2人とも若いころから相当な秀才であった。この意味ではピーターもMBAなんて投資と関係ないと言いながらもペンシルバニア大ウォートンスクールを出ているので同じかも)。
すごく当たりまえのことですが、ジムは(金は買いかとか、農産物は買いか、とかを)インタビュアーにあれこれしゃべったと、「最後は自分のホームワークをこなして、自分で決めて買うことだ。他人の意見なんかに従ってはだめで、勿論私の意見も鵜呑みにするな」とよく言っています(本書でも述べている)。