4月のS&P500はプラスで終わっています。今月の集計は雇用統計終了後のものです(日本時間深夜2時ごろの暫定値ですけど)。
雇用統計はなんとか16万人プラスとこれまでのペースに回復しましたが、それ以外の経済指標が落ち込んでいるのは明らかなような気がします。FRBが金融緩和の継続にためらわない程度にゆっくり回復している感じで、やっぱりソフトパッチ感がぬぐえません。しかし、これが金融相場を引き延ばしていますね。
ちなみに米国債10年物金利は去年とほぼ同水準まで下がっています。
EUが予想通り利下げを行いましたが、1回程度の利下げで十分なのかを見極めるのでしょうか?個人的には第4四半期か来年の1月ぐらいからボチボチ前年比がプラスに転換するかもしれない、と期待を抱かせますが、どうでしょう?米企業のCEOの話を聞いていると英国とロシア・東ヨーロッパはそんなに悪くなく、スペイン、ギリシャ、イタリアが悪く、フランス、ドイツは微減という印象ですね。
日本の方は、黒田バズーカのおかげで同じ数だけ販売しても、軒並み2ケタ増益が期待されるような感じでしょうか。その黒田バズーカは本当にざっくりですけど、決算を読む限り、米国企業の連結売上高を1%程下げる威力があるようです。もちろん企業によって影響度はマチマチですけど、各CEO・CFOは円安を理由に売上高の見通しを慎重においています(IBM、P&G、フィリップモリス、アボット、JNJ等)。
不気味なのは相変わらず中国ですね。経営者が未熟なのか雇用を維持するための国の圧力なのか、需要がないのに、生産調整がうまくいっていないような記事をよく見かけます。コモディティの暴落の引き金を引かなきゃいいのですけど。一説ではGDPはゼロ成長だとかも言われています。
4月の売買
売り:プレミア投資法人(残りすべて)、ピジョン
買い:NTT、プラネット
プレミア投資法人は結局残り単位も売却。投資期間4年弱で約3倍のリターンでした。戦闘力の弱いREITはこの辺が潮時かなと思いました。アドバンスレジデンスとユナイテッドアーバンは引き続き保有方針。REITは2銘柄になってしまった。
ピジョンは、株価の上昇が激しく、今この時点で8,000円は高すぎると判断し、売却。投資期間3年程度で3倍のリターン。その売却代金で、倍近い配当が得られる株数が確保できるだろうと判断。つまり、より配当利回りが良い銘柄に変えようと。業績も投資ストーリーに沿った形で進んでいるため、その辺は安心できるのですが、なにぶん適正価格の上限を超えているのではないかと思った。
プレミア投資法人(NTT都市開発がスポンサー)を売却し、NTTを買っているので、意味不明な印象を持たれる可能性がありますが、プレミアとNTTの配当利回りが同じかNTTの方が少し上だったので、中長期的な配当(増配)の安定性から考えて、NTTに切り替え。
通信会社のキャッシュフローと不動産賃貸業のキャッシュフローとどちらがより安定性が高いのか、ということですね。前者の方がより小口分散されていて、なおかつ不況抵抗力が強い。また、デフレ経済にあっても、スマホとかLTEとか言う理由で、通信代が値上がっても消費者の抵抗は少ない。あとはNTTデータのグローバルクラウド戦略に少し期待。
プラネットは子供名義で3年近く保有していて、自分も3年前には一時期保有していたことのある銘柄で、Economic MoatはWideなんじゃないかと思います。創業経緯もあって主要顧客が軒並み大株主である点と、流動性の点は留意しなければいけませんが、顧客基盤がしっかりしていて、ネットワーク効果が大きいので、長期で配当を狙う分には適した銘柄だと思います。
予想受取配当金増加率
今月の増配発表:4月は例年増配発表が多い。
Cisco
Systems:+21.5%これは3月の終わりごろに発表されていますが、先月見落としていたらしい。増配ペースが思ったよりも早い。
沖縄セルラー電話:+2円増配(+2.6%)。来期あたりからもう少し増配ペースが上がるんじゃないかと思います。
Procter
& Gamble:+7%増配。57年連続増配中。但し、そのペースはやや落ちてきている。欧米の消費回復が遅いのが要因だが、ユニリーバ辺りに少し苦戦している。一方、株価は今年に入り、跳ねあがった。
Chevron:+11.1%増配。27年連続増配。毎年3兆円以上の設備投資を実施しても、しっかり増配するところはさすが。ダウ平均採用銘柄で、経営力はさすがです。これも天然ガス関連銘柄(但しLNG)と言ってよいと思う。もう少し安くならないかな?
Kinder
Morgan Inc.:+2.7%。毎4半期ごと少しずつ増配しますね。天然ガスの価格が上がると、石炭の競争力が上がるので、米国で火力発電に石炭を使うか天然ガスを使うのかは、やや微妙になってきた(しかし、旧式の石炭火力が新式のガスタービン火力にスイッチする流れは環境問題もあるので継続すると期待はしている)。
Johnson
& Johnson:+8%増配。52年連続増配だったか?やっと増配率が回復傾向を見せ始めた。医療機器部門の単価引き下げ圧力が心残り。医薬品事業と消費者向け事業は好調。株価的にもやっと報われ始めた。平均買い付け単価は$60を切っています。
JT 日本たばこ産業:+32% またまた増配。年92円まで引き上げ。メビウス(旧マイルドセブン)を値上げするのかな?値上げするとインパクト大きいと思う。もうしばらく+5%~+8%のマイルドな増配が期待できそう。早く赤字の医薬品と旧加ト吉事業を処分して欲しい。
I.B.M.:+12% 17年かな、連続は。2ケタ増配が確実だと思われる銘柄。第2四半期の決算で不安な点を一掃してくれると思います。
日銀、米決算、ECB利下げ、米雇用統計、ときました。よい材料は何が残っているのでしょうか?FRBが緩和策を継続するという予想だけ? よくない材料は現状、あまり織り込まれていないようですが、結構出ていますね。
応援よろしくお願いします!
いつも有益な情報ありがとうございます。
返信削除私は元々インデックス投資家でしたがシーゲル赤本に衝撃を受けて以来(4回は読んでいます。笑)配当再投資家に変身してしまいました。ところで不躾で恐縮ですが、私もキャノンやNTTを保有していてADRを使っていますが貴殿はどうされていますか?
匿名さん、コメントありがとうございます。
削除私は日本株は日本の証券口座を通じて購入しております。
ADRのほうが、単位株とかめんどくさいことがなく、機動的な売買ができていいと思いますが、なんとなく日本口座を通しています。
投資方針が近く、いつも参考にさせていただいています。
返信削除さて、米国金利についてのコメントがありますが、ここまで株が高ければ金利が上昇してもよさそうに思いますが、そうはならず、株、債券とも新規には買いづらい状況になっているように思います。
見事なQE効果といえばそこまでですが、非常に気色悪く、QEが終わるときの市場のイメージが持てず、迷いどころです。
素直に高配当優良企業株を買っておけば、一時的に株が暴落しようが、金利が高騰しようがいずれ戻るだろうといった意味で、関係ないのかもしれませんが、この市場環境、レンジでの米株への追加投資はどう考えられますか?
なかなか難しい問題だと思っています。
削除ご貴殿がおそらく同じようなポートフォリオであれば、既にお気づきだと思いますが、米景気に前向きな指標なり状況が判明すると、ディフェンシブな連続増配株は下落するような日が多いように思っています。
したがって、EXITが見通せる場面では一時的な調整があると思いますが、金融緩和からのEXITということは、入院から退院して少しリハビリする様な状況なので、実は景気にとっては良いことではないかと考えています。PERが少し落ちるのなら、買い場ではないか、とぼんやり今は思っています。経済成長率が上がり、金利も上がるような状況は、「多分」増配率も今より上がると期待しています(利益成長率が上がるはず)。
米株はフェアバリュー並みと思っており、現時点では、出来れば少し調整して欲しいと思いますが、金融とハイテク等はまだ妙味があると思っています。特にハイテク(インテル、マイクロソフト、シスコ等一昔前の成長株)は事実上連続増配株化していて、CFもかなり安定しているのに、市場は以前の景気敏感株の反応をしているので、PERはかなり落ち込んでいるはずです。
後はメジャー系石油株などを依然考えています。
但し、いずれにせよ、追加投資で新規はあまり優先していません。押し並べて安全運転で行こうと思っています。そんな感じです。
匿名2013年5月6日 13:40です。
返信削除回答ありがとうございました。
そうなんですよね。昨日もしっかりやられていました。
但し、長く大きな調整が無いので買い場も少ないのが善し悪しですね。
やはり、ポジティブなソフトランディングを期待して、2007までの平時のように、金利が上がってくるまでは株を買っていくのが正攻法なのでしょうね。
ありがとうございました。