「アベノミクスの真実」静岡県立大学教授・内閣官房参与、本田悦郎著、幻冬舎
副題は「安部総理公認」と書いてあったので、思わず買って一気読み。
なぜ買ったか?
著者が「内閣官房参与」という地位にあり、安部政権の中枢にいる方であること
これに尽きる。
安部総理が何を考えているのかが分かる(注:副題は「安部総理公認」と謳ってあるが、著者は「あくまで私の目で見た、私の理解しているアベノミクスです。誤解などの全責任は私にあります。」
と個人で出版している点を2・3回記載されています。
(この辺が出版社のアレですね。日本経済出版社とか東洋経済とかだとここまで書かないだろう)
内閣官房参与と言えば、Yale大学名誉教授の浜田宏一氏の「アメリカは日本経済の復活を知っている」(講談社)の浜田氏も同じ肩書き。こちらは黒田日銀総裁誕生前のもの。こちらも読みました。
デメリットとしては、アベノミクスについてFavoriteなことしか書いていないのではないか、という点。報知新聞に巨人軍の悪口は書いていないのと同じ。
この本の内容は、アベノミクスを平易に書いてあることでしょう。一般読者向けにアベノミクスをわかりやすく書いている。
そして何より、安部総理のリフレ経済への理解度を知るに良いと思います(どこまで本気なのか)。
一般的なアベノミクス批判への回答も網羅されているので、新聞やアンチ派のさまざまな批判で疑心暗鬼になっている人にもお勧め(ただし、反論の論理は入口程度にとどめてある)。
私がこの本で得た知識
安部総理は若いころから経済に対する造詣が深かったこと(安倍さんへの印象は拉致問題ぐらいしかなかったので)。
ハイパーインフレは、戦争の空襲や破壊で生産供給能力が大きく落ち込んだ時にしか起こりえないこと(よく考えれば、需要はあるのに、生産能力がないからハイパーインフレになる)。
政治経済に対する考え方は各国の歴史や文化に根差しているので、簡単に変えられないこと。
需要を上げて、市場全体を成長路線に持っていかないと、改革は進めづらいこと。
などです。
疑問点は
著者は長年のソ連東欧生活で、各国には歴史・文化などが深く根ざしているので、経済政策も外国が干渉しても変えるのが無理、と言っている点。日本はどちらかと言えば、変革よりも現状維持・問題先送り体質の国民性であり、緩やかなインフレが実現しても、変革への意識が継続するのだろうか? (「いつか来た道」、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」)
市場全体が成長すれば、古いものに固執しなくても、安心して新しいものを受け入れやすい素地ができる、というのは、新しいおもちゃを買うと、古いおもちゃを忘れてしまう子供の様に見えますが、案外そんなものかもしれませんし、かつての郵政問題の様に、西川元三井住友銀行頭取が官僚と一部の国会議員にはめられて追い出されてしまうような、「保守反動」事件もありうるような気がしています。
(郵政グループはまた民間元経営者が社長に就くそうですが、三井住友の西川さん、伊藤忠の丹羽さんの様に、最後はポストを妬む官僚とスキャンダル好きのマスコミの餌食にならないか、心配です。せっかく「お国」に尽くそうとしているのに)
最後に、アベノミクスは緒についたばかりで時期尚早かもしれませんが、私は安部総理を完全に誤解しておりました。安倍さんの第一次政権時代の印象は、お坊ちゃん内閣で、「小遣い帳」のような政治団体の収支記録もろくにつけられない「会計バカ」ばかりを大臣に据え、郵政造反議員の復党を認めてしまう暴挙に出て、最後は政権を放り投げてしまって、二度と表舞台復帰はないだろう、と思っていました。
しかしながら、インフレターゲット宣言を行い、とりあえず、日銀をある程度コントロールすることに成功したので、この功績は大きいと思います。彼の決意を再評価しなければなりません。
自分の見る目のなさを恥じる思いです(副総理に対しては以前と変わらない思い)。
インフレ率2%が継続するのかはまだわかりません(住宅家賃が「持続的に」増えていく、というのがなかなか腹落ちしない。これに腹落ちできれば、どう考えても不動産投資にメリットがある)。
第三の矢がやや失速気味なので、何とか踏ん張ってほしいものです。
アベノミクスを批判するマスコミや学者・エコノミストは澤山いますが、解決策や対案を出す人は皆無です(評論するだけでいい人だから当然かもしれませんが)。しかし、やってみる価値のある政策であること、(妨害勢力等が跋扈しなければ)成功確率も比較的高いのではないかと思います。
デフレでジリ貧になるより、マイルドなインフレでモノの価値が上がった方がモノづくり立国である日本に都合がいいのは明らかなんですけどね。
モノづくりを称賛するくせに、そのモノの価値が下がる円高デフレがいい、とかいうやつは論理矛盾を起こしているとは思いませんかね?
応援よろしくお願いします!
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