日経新聞に面白い記事があった。
(電子版をリンク、記事を読むには会員登録が必要。但し紙面でも掲載されていたはず)
要するにアメリカ企業が日本企業よりも株主還元に熱心だ、という内容。
バフェット氏は株主還元に積極的な企業の株を買うので、株主還元が多くなれば、日本株も買うかもしれない、という期待を持たせている。
ワロタ
まず、アメリカ企業が株主還元に熱心なのは、それがCEOの重要な役割であるという意識があるからです。企業価値向上というのは管理本部や財務部といったIR担当部署だけの仕事ではないのです。
経営戦略の一環なんですよ。なぜなら、企業の評価の最重要指数はEPS(一株当たり当期利益)なのであり、これを如何に持続的に成長させるかが、経営者の最大の役目なのです。
その観点に立つと、純利益の成長は当然のことであり、さらに、分母に当たる発行済み株式総数を削減させることも、EPS成長の大きな部分となるわけです。
純利益の伸びが鈍化するなら、自社株買いで株数を減らせ、ということになります。
そのためには借金で自社株買いをする、という手段も当然に戦略としてありえますし、たくさんの企業が社債を発行して自社株買いを行っていました。
一方、日本企業のIRには、売上高、利益額をいくらにする とか、事業の営業戦略や技術戦略などが事細かに記載されていますが、肝心の株主還元については全く記載されていない企業も散見されます。
記載があっても、判で押したように配当性向30%をメドに・・・と言っているだけだったりします。
但し、自社株買いなどしなくても、十分投資家の期待するEPSの成長が出来る場合は、無理に配当も自社株買いも行いません。Googleを見ていればわかります。
そして、何より重要な前提が抜け落ちていますが、米国企業の方が日本企業より、圧倒的に利益率が高く、設備投資は効率重視なので、同じ売上高の企業でも、フリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)のレベルがケタ違いに多いのです。
(経済産業省の資料から)
要するにアメリカ企業の方が儲かっているから、株主還元できる余力がある、というのが大前提です。
アップルの営業利益率は26%もあるんですね。iPhone、iPadの部品を作っている日本企業の利益率っていくら?
(但し、営業利益率という指標は、M&Aののれんの償却費を含んでいるので、のれんを償却しない米国会計の企業とは比較の前提も違ってくるので、本当はEBIDAマージンなどで比較したいところ)
(注:アメリカの法人税は、海外現地法人の利益をアメリカ本国に還元する場合、配当金に課税をするので、二重課税となって、かえってコスト高になるリスクが大きい。したがって、マイクロソフト、アップル、ジョンソンエンドジョンソン、シスコといった企業は海外現地法人の現預金残高が巨額でバランスシートに眠っており、投資家からは有効活用を常に指摘されている点を念のため申し上げておく。そして、日本は海外現法からの受取配当金は確か益金不算入ではなかったか?課税されてもかなり低い税率だったような記憶があります。それが株主還元の大きな原資になっているはず)
利益率の違いは、経営者が株主目線なのか、「ステークホルダー」に広くあまねく気を配らなければならない日本独自の慣行なのか(経営の焦点がボヤける)、ソフト化の時代にしつこく「ものづくり」に固執する「抜けられない過去の栄光のしがらみ」なのかわかりませんが、事実として差がありますね。
あと、バフェットが日本株を買うのか、買わないのかについては、議論がアホらしいので省略します。
こういった比較で日本企業がダメに見えてしまう理由は、経営者の目線が違うためです。経営結果は優先順位は高い様で実は高くない。なぜなら、株主の人事権行使はまれだから。
日本の経営者は、「この事業は先代社長の肝いりの事業だった。俺は彼に育ててもらった。だから撤退できない。それは先代に失礼だから」、とか、「この子会社を売却すると、出向先が減って肩たたきがやりづらくなる」とか、「地域社会の反発を考えるとリストラ出来ない。結局会社の評判が落ちてしまいかねない」とかウジウジ考えざるを得ないのでしょう。
単純に「(長期的に)株主の利益になるか否か」だけで考えると答えはシンプルでしょうね。
ジョンソンエンドジョンソンだって、「患者が第一、従業員は第二、株主は第三。それが長期的な成長のため」と言っていますよ。
日本の経営者は、「この事業は先代社長の肝いりの事業だった。俺は彼に育ててもらった。だから撤退できない。それは先代に失礼だから」、とか、「この子会社を売却すると、出向先が減って肩たたきがやりづらくなる」とか、「地域社会の反発を考えるとリストラ出来ない。結局会社の評判が落ちてしまいかねない」とかウジウジ考えざるを得ないのでしょう。
単純に「(長期的に)株主の利益になるか否か」だけで考えると答えはシンプルでしょうね。
ジョンソンエンドジョンソンだって、「患者が第一、従業員は第二、株主は第三。それが長期的な成長のため」と言っていますよ。
マイクロソフトは別に赤字になったわけでもないのに、CEOの交代などで、経営戦略を抜本的に見直そうとしていますよね。CEOはマイクロソフト色が薄い人(外部候補者が一次有力だった)を持ってこようとしていますよね。
インテルも赤字になったわけでもないのに、大きなリストラをやりましたよね。
投資するなら米国企業、勤務するなら日本企業???(これを言ったらおしまいか?)
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