タバコの販売本数は、中国と米国を除き、世界1位のシェアを持っています。
その利益率の高さは目を見張るものがあり、また、製造コスト等も低く、ブランドロイヤリティ、嗜好品であるため、キャッシュフローは非常に分厚く安定しています。
したがって、経営者の仕事は、持続的なスピードで事業を成長させ、余った資金は株主還元することにあります。
過去5年間の業績を振り返ります。
(Morningstar社から一部修正)
表示は百万ドル単位です。百の位が1億ドル(約100億円)と考えるとわかりやすいと思います。
2009年度から2013年度までの5年間です。
私がPMの株を最初に買った時期が2009年の2月~3月(ちょうどS&P500が底値付近で1株40ドル台だったと思う)頃だった。5年以上保有している。
その間、売上高は年率換算で5.7%(タバコ税 税引き後)、営業利益は7.7%、EPSは12.2%成長したことになります。EPSの成長には、年間約4.5%の勢いで買っていった自社株買いの存在は見逃せません。
その強力な自社株買いを支えているのは、強力なCFです。最近は電子タバコなど少し設備投資をしていますが、100億ドル近い営業CFがありながら、投資CFは10億ドル前後で推移していました。営業利益率が40%を超えるハイマージンでありながら、維持コストがかからない。
嗜好品、ブランドロイヤリティ、高い参入障壁(いまさら各国政府の規制に沿った販売を行うノウハウは新規業者では無理)、これらがもたらすPricing Power(値上げ能力)などが強みです。
残りは財務CF、自社株買いと配当の支払いに充てています。
過去5年間で約2.8兆円を自社株買いに充てています! 時価総額5,000億円といったら日清食品HD並みの会社を毎年買収できることになりますし、2.8兆円と言えば、キリンHDとアサヒGH(アサヒビール)を足した時価総額より大きくなります。
年間の配当金も5,000億円以上ありますね。
自社株買いが大きく、株主資本の部はマイナスになっています。しかし、だれも気にしません。したがってROEは異常値になりますね。
この間、Net Debtがほぼ倍増し、EBITDA/Net Debt(ネットデッドカバレッジレシオ)が大きくなりましたが、依然1.7倍です。
但し、この2年ほど米国経済の持ち直しとFRBの金融緩和政策の見直しなどによるドル高が影響していることと、新興国経済が停滞気味、そしてアベノミクスによる円安などで業績は足踏み状態となっています(日本での営業利益が連結に占める割合は6~8%ぐらいあると思う)。
2012年~2013年は減収減益になってしまいました。2014年も昨年より減益が見込まれています。理由は上記と同じで、特に日本を含めたアジア地域におけるドル高がまだまだ響くようです。
また、EUではユーロ危機で経済が停滞し、失業率も高止まりとなっていて、愛煙家は価格に敏感になっています。電子タバコの影響を受ける国も出てきました。
新興国でも、これまで快進撃をしていたインドネシアで伸び悩んでいます。
ロシアでは、JTと共同で流通業者の株を買いましたが、その後にウクライナ情勢が悪化したりしています。
これらの要因で株価は伸び悩んでいます。
しかしながら、ドル高は今年で一段落すると思われ(新興国経済が崩壊すれば、わからないが)、各国のたばこ増税も一段落し、2015年以降は徐々に5%程度の売上高成長、7%程度の営業利益の成長、10%前後のEPSの成長路線を取り戻すと個人的には思っています。
やっぱり成長要因はアジア諸国(インドネシア、フィリピン、ベトナム、パキスタン)やエジプト、モロッコをはじめとする北アフリカ(この地域は有望!イスラム系はタバコ吸う人多い)、トルコ、今話題のウクライナなど東欧といった新興国群だと思います。
アメリカと中国(中国は昔の日本の様にタバコは鎖国されている。開国されれば、莫大な市場になる)を除く、大半の地域で販売しているので、世界人口の増加とともに、まだ成長余地はあると思います。日本やEUの下落を補ってくれると考えています。
こんばんは。
返信削除中国が将来開国になるってどういうことですか?
今でも中国では売っていますよね?