Kinder Morganグループのパフォーマンスはよくありません。
原因は
FRBの金融緩和が終わり、テーパリングの開始が始まったこと(金利が上昇すると高配当株は相対的な魅力を失うし、借入金が多い企業の金利負担も増えるという思惑)
Hedge Eyeなどのアナリストのネガティブレポートの影響
バロンズによる大々的なネガティブ記事の影響
Morningstarでもついにバリュエーションダウンで、Dividend Investorである某Directorが、従来はStrong Buyを推奨していましたが、Morningstar社内による、見直しの結果、売却してしまった。
等が挙げられます。
KMIはS&P500との相対では、ボロボロになっています。掲載しませんが、KMPも同じような感じです。
特に批判されている内容は
*修繕費が過少であり、本来パイプライン等を維持更新していくためのCFまで配当に回しているのではないか?(Hedge
Eye、バロンズ誌)
*ストラクチャーが複雑であり、特にKMIはKMPなどのGPなので、Incentive
Distribution Right(IDR)を持っているが、その権利が大きすぎて、KMPの株主は著しく不利益を被っている。
(CFの半分近くをKMIが持っていくような感じになっています)
*ポートフォリオの一部に、油田があって石油の生産を行っているが、配当可能なCFをすべて配当に回すため、生産力を維持・強化するための投資ができなくなっていて、パフォーマンスが悪くなるのではないか(Morningstar)。
会社側は疑問に丁寧に回答しています。
すべてを掲載するわけにもいかないが、重要なものをKinder Morganグループのアナリストミーティング資料からひっぱってきた。
*1枚目は維持更新費の今年の予算と昨年の実績です。維持更新費を過少計上して、配当をひねり出しているのでは、という疑問に答えたものです。
予算をあらかじめ示すことで、批判にこたえようとしています。
*2枚目は成長投資に関しては、既に契約を結んでいる新しいパイプラインや貯蔵庫などの建設予算といった感じで、M&Aは入っていません。
現在、2017年までの新規のプロジェクトの受注残が148億ドルあるようです。
*3枚目は、14年度の成長投資予算、36.48億ドルをどのように調達する予定なのかを示しています。ざっくり18億ドルずつ、新株発行と借入金で賄うことにしています。
*4枚目は、加重平均資本コストが、現在8.1%で、2008年が9%だったといっています。一方、目標とするRI(Return of
Investment)を12~15%と設定しています(ちなみに過去の平均は12~14%)。調達コストを3%以上上回るリターンを上げる、と言っています。
(148億ドル×13%と試算すると、約20億ドルの利益になる)
さらに、GP(KMI)は業務運営母体であるKMPに対し、必要とあらば、IDRの一部を控えてM&A資金をサポートしたり、KMPのLP(株主)に、魅力的なリターンを提供できない場合は、Other Optionを考えるといっています。
最後の
If we cannot deriver attractive return to
LP investor, we would consider other option
の部分の解釈が謎で、最近Credit
Swiss からいろんなアイディアが提供されて話題となっています。
それは、①KMPがKMIを買収する、②KMIのIDRの権利だけをKMPが買収する、というものです。今の2段階ストラクチャーがややこしい、という事でしょう。
個人的には、KMRとKMIを今の価格ならもう少しだけなら買ってもよい、と考えており、タイミングを計ってるところですが、最近セクターローテーションで、あまり株価が下がりにくくなっている傾向があり、底値か否か、思案のしどころです。
そもそも、上記の疑問は従来から投資家の間では、賛否両論の分かれていた話題であり、その都度立ち消えになっていた、という経緯があります。今に始まった話ではありません。
たまたま、FRBの超金融緩和も終焉を迎え、高配当株が狙われやすい時期に、タイムリーにレポートを書いた人がいて、売りさばかれてしまったような感があります。
シェールガス、オイルの生産は始まったばかりであり、2017年~2020年ごろまでは、イケるんじゃないかと思っています。
将来的に、カナダのガス・石油を西海岸から中国ほかに輸出するのは確実で(時期は遅くなると思うが)、さらにメキシコへの輸出も期待できます。
米国産LNGの輸出も、今認可がどんどん出ていますが、2017年ごろから本格化します。Kinder Morganも増産される天然ガスの運搬を受注したり、ターミナルを建設しています。
WTIで80ドルになるのではないか、という説がリスクファクターではありますが、原油関連の収益は全体の20~30%程度しかなく、基本的には天然ガス(50%)の会社です。
名前の良い金融機関のレーティングが一斉に下がる中、大丈夫だと言い張っていたMorningstar社がターゲット株価を引き下げ、どちらかと言えば売りを推奨してしまったことには、非常に失望感を覚えました。
特に、Dividend Investor
のJosh Peter が売ったのは話題になりました(会社のアナリストがダウングレードしたから売らざるを得なかったんだろうね)。
バロンズがダメだししたのが、14年の1月から2月、Morningstar社は3月、まさに底値ですね。
これ以上売るやつもいないような状況だと思います。
投資される場合には自己責任でやってくださいね。
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