2014年8月17日日曜日

Richard Kinderさん、動く



発表があって、1週間も経過してしまいましたが・・・。

という記事を4月12日に書いて、約4か月。Kinder Morganがついに動きました。
当時から、事業ストラクチャーがややこしいので、簡潔にしろ、という投資家やアナリストの声が大きく、何らかの動きを予想させる会社側の文言もありましたが、この時期に来ました。

結局、KMIKMPKMREPBを買収して、KMI1社にすべての資産を集約させることになるようです。上場企業はKMI1社のみ。

KMPKinder Morgan Energy Partners)、EPB(El Paso Pipeline Partners)MLP(Master Limited Partnership)形態を破棄するようで、株式会社形態のKMIに包含されます。
私は元々日本人であり、MLPに投資をすると、将来アメリカに確定申告するのが嫌だったので、その必要性のないKMIKMRしか保有していなかったので、MLP議論にはあまり関心がありませんでした。

しかし、ストラクチャーがややこしいだけでこんなに株価が割り引かれていたのか、と思うぐらい、株価はみな一気に跳ね上がってしまいました。
私はKMRのリターンのおいしさに気づきはじめていたので、やや残念でしたが・・・。
しかし、KMR株は全株KMIに株式交換してもらえますので、余計な税金がかかりません。

統合後のKMIは年率10%の増配を予定している模様です(今なら配当利回り4%、2015年度の予想配当利回りに換算すると4.8%前後)。

しかし、留意点として、
l  統合後のKMINet Debt/EBITDA倍率が5.0~5.5倍とガイダンスしている点(現在3.8倍程度)。
l  引き続き、成長資金を増資と負債で調達する可能性が高い点(株式会社形態でMLP形態の資金調達の可能性)。この点と絡めて、必要な更新投資・修繕費のねん出と配当の関係(従来同様の懸念は残る)。
l  統合後のMLP買収戦略に対し、MLPの株主には税務メリットが薄いため、その分を上乗せした買収価格提案を強いられる可能性、即ち、払う買収プレミアムが高すぎる懸念。
l  更に、旧KMPEBPKMRの株主(Unit Holder)は株式交換でKMI株をもらいますが、彼らはMLPだから投資したのであって、株式会社の株を好まない可能性。
等が考えられます。
2015年はいよいよ利上げムードとなることが必定でしょうから、統合直後に負債比率のやや大きいKMIの株や、上記のMLPだから保有している人たちが嫌気をさして、株価が軟調に推移する可能性は十分あり得そうですね。

但し、こういったテクニカルな点を除けば、2015年ごろから、次々と既受注済み案件が完成し、資金回収が始まりますので、業績はそんなに心配しておりません。2017年ごろには日本向けLNG案件もKMIグループ内でパイプラインなどを請け負っているので、長期的には日本とも関係してきそうです。

Pros & Cosを十分に考えましょう。

ちなみに、オーナーのRichard Kinderさんは、この統合で持分が22%11%に希薄化されるようです。その本気度合が伝わってきますね。

彼は、あのエンロンで確かCOOをやっていました。しかし事業戦略で経営陣と対立してしまったために、COOを解任されました。

Richardさんの訴えた、エンロンの戦略とは、天然ガスパイプラインの運営など、CFの確かな事業に集中すべし、というもので、当時の経営陣は金融エンジニアリングを活用したビジネスがよいというものでした(そうです、デリバティブです)。

そこで彼は1998年ごろに、自分で天然ガスパイプラインの会社を買収して興しました。当時天然ガスパイプライン会社は誰も見向きもしないようなビジネスだったようです。したがって、M&Aを繰り返して、大きくなったようです。

Richardさんを解任したエンロンのその後の運命はみなさんご存知の通りですね。
彼は、米国エネルギー業界のバフェットと言われているそうです。

Kinder Morganの会長として彼の報酬は1ドルのみだそうです。彼の収入の大半は、22%保有するKMI株からの配当金です。株主目線で経営するんだ、という彼の強い気持ちの表れと考えられています。

オーナー企業はあんまり好きではありませんが、投資家向け資料の中で、オーナーの強い決意を感じるような文言をよく見かけるので、ちょっと尊敬してしまいます。

こんなことを言っています。



大体の意味ですが
l  北米エネルギーインフラをコア資産とした安定したフィービジネスに特化しろ
l  コストコントロールは、金は投資家のものであり、経営者のものではない、そのように扱え
l  自社努力と買収の両方で魅力的な投資案件を探せ
l  バランスシートの健全性を保持しろ
l  投資家に透明性をもって説明しろ
l  簡潔を旨とせよ

といった感じでしょうか。サラリーマン経営者では出てこなさそうな感じの文言と感じました。

COOCFOもテレカンを聞いている限り、頭の切れそうな人に感じたので(タダのイエスマンなのかもしれませんが・・・)、人もいると思います。

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6 件のコメント:

  1. KMRを持っていますが、月曜日に突然20%を超える上げをしたのでびっくりしてました。
    安定してCF稼いでくれるとありがたいですね。

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    1. テロや事故でも起きない限り、業績は安泰だと思います。

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  2. はじめまして。

    素朴な疑問で申し訳ないのですが、KMIに限らずパイプライン会社(MLPの持ち株会社)はPERが異常に高く、決算の数字を見るとフリーキャッシュフローや純利益を大きく超える配当を出しているように見えますが、これはどういった理由で可能なのでしょうか? タコ足配当ではないのでしょうか?

    ご教示いただけると幸いです。

    http://financials.morningstar.com/ratios/r.html?t=ENB

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    1. KMIは配当可能なCFのほとんどすべてを配当に回しています。それは四半期決算で開示されています。ただしNon-Gaapです。
      http://www.kindermorgan.com/investor/4Q_2013_KMI_Earnings.pdf
      それ以外の会社はちょっとわかりません。資産売却損などが混じっているのではないでしょうか?


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  3. KMRはいけると判断し大量に買った3-4月でしたがその矢先でした。ちなみにKMIは数年前からまだ25ドル前後の頃から買っていました。KMRの課税先送り効果をもっと味わいたかったところですが、KMIの株式に交換されるということですので満足はしています。

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    1. KMRのホルダーはそんなに不満はないかもしれませんね。
      KMPとかEBPのホルダーは現金交換があるので課税されそうですね。

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