2012年1月21日土曜日

中国の成長と中国株投資


個人的には中国を一歩引いた目で見ているのですが、先日たまたまクレディスイスの「Global Wealth Report 2011」という冊子を眺めていると、中国人の富の蓄積のスピードに目を見張った。

これがその抜粋ですが、2000年から2010年あるいは2011年のザックリ10年間で約3倍に膨れ上がっています。ちなみにWealthとはクレディスイスの定義では、金融資産+不動産-負債とのことで、個人の純資産に相当するようです。(ちなみに日本はconstant exchange rate ベースで同期間中▲10%)



上記はストックベースの富の話。今度はフローベースでの富の測定を行ってみたところ、何とフローでも直近約10年間で3倍に伸びていました。





上海市のサラリーマン・あるいはウーマン(でいいのかな?)の平均賃金のオフィシャル数値(したがって、非公表の収入等を入れるとこれ以上の可能性が高い)も約3倍、年率約11%で成長しています。
と言う方のブログのデータに上海市統計局の生データを1年足して作成)



いや~、我々の株式投資もこのような「複利効果」を得てみたいものですねえ~
1980年からの31年間は平均14.7%、2000年からでも平均11.7%の「強気相場」。

毎年、自分の給与が10%も増えるって、日本では毎年会社で出世しているような錯覚を覚えてしまいますね。

なんて暢気なことを言っていても仕方がないですが、今後も実質GDP7~8%にインフレ率が4~5%と仮定した場合、やはり賃金も2桁成長すると考えるのが、恐らく過去の先進国の例を取れば妥当なのかもしれません(最近のアメリカはそうでもなさそうだ)。

日経ビジネス「中国ビジネス2011」に掲載されているボストンコンサルティンググループが分析した世帯別所得水準の推移予想においても、2020年には中間層が激増すると言われています(P&Gとかはこのあたりの予測を軸に積極的に新興国展開を行っている)。





そして、仮に元高となればUSドルベースの富の換算額は跳ね上がるかもしれません(が、元高になると名目の富の伸びも抑制されると言うのが日本の円高の教訓なので、そうは簡単に行かないかもしれませんね)。


しかし、過去5年で全く給与が上がらなかった人も23%に上るそうです。



で中国に投資するのか、と言うことですが、保守的な私はなかなか踏み切れないでいる、と言うのが本音です。

1:バブル崩壊説:う~ん、わからん。地方政府が土地使用権を売却してお金を手に入れる「錬金術」がいつまでも続くわけがない。とは思う。いかなるバブルも崩壊前は「今回は別」と言って、別にはならなかった。歴史的に証明されている(オランダチューリップバブルから日本のバブル、アメリカのITバブルと最近の世界的な住宅バブル)。しかし、そんなにレバレッジが大きいわけでもなさそうだし、株価は既に割安圏内。やっぱりわからん。

2:中国企業への理解不足:過去に投資した先(国営と民営の両方)の経験がイマイチ。情報開示が遅すぎたり(中国中鉄:6月過ぎても前年のアニュアルレポートがHPにない)、経営戦略が行き当たりばったりだったりで、何を考えているのか理解できない。何期も連続して平気でウオールストリートの予想を外す(予想屋さんの精度にも問題がないわけではないが、一応中国系アメリカ人アナリストが多かったりする)。

3:おいしい会社は国が大株主なんでしょ?:2に関連しますが、少し前、英豪リオ・ティントという鉱山会社に、すったもんだの末に第三者割当増資を引き受けることに成功した中国アルミという国営上場企業があります。第三者割当の契約にこぎつけたCEOはその後、共産党か政府の要職に「ご栄転」されました。エネルギー・資源確保には手段を選ばないあちらの状況から考えると「お手柄」だったんですね。お国には。けど一般株主にはどうでもいいじゃん。

生命保険会社や医薬品会社はそのマーケット規模・国家政策や経済の成熟ステージから考えて、面白そうな気がしていますが、当面静観予定。HSBCP&Gのように中国でうまくやっている先進国の「株主至上主義企業」へ素直に便乗しています。


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2 件のコメント:

  1. >個人的には中国を一歩引いた目で見ているのですが

    文春新書「中国の地下経済」By 富坂 聡(さとし)2010年9月20日発行、を読み始めています。P84によれば:QUOTE
    では、どんな人々が中産階級なのか。広東省の医科大学の田衆一(仮名)教授は、定期的に中産階級のランチミーティングを主催しているが、「少なくともこの広州では、資産(不動産を除く)が500万RMB(約6,500万円)程度、高学歴で持家が条件」と言い切った。資産6,500万円とはあまりに大袈裟な、と驚いている私に、「その程度なら広州市(流動人口を除く都市戸籍者)の30%弱くらいはいるんじゃないかなあ。ここは中国で一番金持ちが多い土地なんだから」と笑顔で答えたのだった。
    さらに、田教授は、「収入に関する質問について。中国で成功した者は、何より嫉妬と犯罪を恐れるので、本当のことを答えない。少なめに言うのが習慣になっているから」と首をすくめた。UNQUUOTE リッチ以外の日本人として、複雑な心境です。

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  2. 確かに、「非公式」の収入源を持つ人(例:役人)はたくさんいると聞きました。それでも公式数値の倍ぐらいかと。

    経済指標の数値そのものの信用性が無い国ですので、何を信じるのかわかりませんね。そういった意味でも、投資には一歩引いている上体です。

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