以下、赤字は原文にリンクを貼ってあります。
ニュース①
オリンパス公募増資、調達額は1126億円 海外勢の人気集める 7/18日 日経新聞電子版
記事の要旨
1126億円で増資を引き受けてくれる海外投資家を募ったそうだ。
「販売を担当した証券会社などによると、投資信託や年金基金など既存の株主も含めて幅広い投資家が購入意欲を示し、調達金額の4倍の需要が集まったという」
「今回、全額を海外から調達したのは「医療事業を高く評価してくれる投資家が海外に多かった」(同社)のが理由。」
ニュース②
元社長ら3人の有罪確定 オリンパス粉飾 7/18日 日経新聞電子版
菊川元会長、森元副社長ら事件の当事者に有罪判決がでて、控訴しないということで、有罪が確定。
私見:昔の経営者にはお咎めがないのかと思いました。根っこは古くからあったのでは???
確かにM&Aの処理はひどかったけど。
ニュース③
オリンパスに168億円賠償請求 欧米投資家が提訴 7月17日 日経新聞電子版
抜粋します
オリンパスは16日、欧米の機関投資家などから、過去の有価証券報告書の虚偽記載などで損害を受けたとして、計168億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起されたと発表した。提訴は6月27日付で、原告は欧米の年金基金や運用会社など計43社。
オリンパスによると、今回も含め、これまで同様の訴訟を国内外で計21件起こされ、請求額は計519億円となった。まだ判決が出たものはないという。
抜粋終わり
ニュース(記事)④
オリンパス、カメラへのこだわり 6月26日東洋経済オンライン
株主総会を開催、撤退促す質問も…
ポイントを抜粋
――ジャイラスの買収にともなうのれん代の会計処理は正当なものか。
藤塚専務 ジャイラスののれん代の計上について、当社としては不正計上という認識はしていません。株主から決議取り消しの訴訟があり係争中の案件なのでこれ以上のコメントは差し控えさせていただきます。
――(ブラジルでの贈賄に関連して)米国捜査当局から課徴金が課される可能性がある。重大な影響があるのではないか。
竹内康雄専務 現実的にしばらくの間、米国当局からコンタクトがありません。将来的に課徴金等が課せられるリスクは認識していますが、具体的な金額がわかりませんので財務諸表に具体的な数字を織り込むことはできません。わかり次第、適時開示するとともに財務諸表に反映させます。
――過当競争のカメラ事業から撤退し、好調の医療事業に特化した方がいいのでは。
竹内専務 多くの利益が医療事業から生み出されており、将来も医療事業に重点投資をしていく方針です。しかし、医療事業以外のデジカメの映像事業、顕微鏡などライフ産業事業を継続しているのは、単純に損益や財政状況だけの観点からではありません。医療事業の光学技術は映像事業、ライフ産業事業との相関が強い。複数の事業をやっていくことで医療事業に好影響をもたらします。
3つの大きな柱の事業を今後も継続してやっていきます。
抜粋終わり
以上の記事だけで、最近のオリンパスの状況をまとめてみますと、
1:1126億円を自社株売り出しや公募増資で調達した。資金の出し手は海外投資家である。
2:損害賠償請求の累計額が519億円で、合計21件にも上る。いずれも係争中で判決は1件も出ていない。
3:元経営者には有罪判決が確定した。
4:米国から課徴金を課せられるリスクが残っている。
5:医療機器は高い評価を得る一方、カメラ事業は苦戦している模様。
こんな感じかな。
以下は私見。
519億円+αの偶発債務を抱えているのに、1100億円も出した投資家の腹がわからん。自分の出したお金の半分(またはそれ以上)が、事業の成長ではなく、昔の株主に返還されたり米国政府に支払われるリスクがあるのですから。アメリカ政府の財政赤字になぜ使われなきゃならんのだ。
また、苦戦が続いていて、どう考えても負け組としか思えない、デジカメ事業を継続すると言っているのに、お金を出すのか? HOYAはとっくにペンタックスを売却しましたね。 出資したお金が赤字補てんにつながりかねない。
増資に応じた中には、投資信託や年金基金が混じっているというが、機関投資家にも出資者への説明責任があるはずで、粉飾決算・500億円以上の偶発債務、不採算事業の処理がある、というなかで、まともにリスクを取るとは。単なる物好き?それとも?
合弁会社を作ったソニーには相談しなかったのでしょうかね(ソニーにもお金がなかったと思いますけど)。ソニーとは医療機器の分野で合弁を作っていて、今回の「海外投資家」さんも医療機器に期待を寄せて、投資しているとなれば、その辺の交通整理はどうなっているんでしょうか? これはソニーとの株主間契約などによると思いますけど、ソニーの株主から見ても、「我がソニーは医療機器で再生・成長すると思っていたのに、なんだよこれは」、ってことにならないのかな?
あの時ソニー(あるいは他社)が出資しなかったら、オリンパスの会社自体が信用面でも財務面でも厳しい状態にあったと思います。
医療機器メーカーといっても、MRI、CTや内視鏡などの診断系と心臓ペースメーカー、インプラント可能な人工骨、人工心臓などの治療系と大きく2つに分かれます。
オリンパスは当然前者に入り、前者には東芝、日立、富士フィルム、GE、シーメンス、フィリップス、ロッシュ(ダイアグノスティックス部門)などの世界の一流メーカーが参入しています。
後者には、日本ではテルモ、海外ではJ&J、メドトロニック、ST.ジュードメディカル他米国勢が独壇場となっています。アボットも両方やっていますが、主力は後者です。
医療機器全体では、治療系の方が付加価値は高いと思われています。医療現場では、診断系はFact Findingで治療系はSolutionですから(もちろん、しっかりとFactを突き止めないと、治療はできないので、すべてではありませんが)。
こういった企業を見ていて、研究開発にお金はかかるけど、設備投資にそんなにお金がかかったっけ? と思いめぐらします。事実オリンパスもこれまでは営業CF見合い部分の投資で十分今日の医療事業の基盤を作ってきたはずです(研究開発は営業CFに含まれる)。
オリンパスが5月に発表した2017年3期の中期ビジョンでは、純利益が850億円を目指すといっています。また、そこでは大きな投資を予定しているようには読めませんね。
むしろ、投資家に「自己資本比率」の目標を提示しているところが???ですね。
以下は全くの偏見ですけど
メガバンクが証券を支配するようになって来ています。
オリンパスの会長は「緑の狸」で専務は確か「赤いきつね」のはずです。
アベノミクスで株価も上がったので、傘下の証券会社にプレッシャーをかけて、増資で募ったお金で借金を返済させる・・・・。増資のフィーはたんまり連結決算としてメガバンクの業績に寄与する。
経営者は独立が維持できるので、大喜び
銀行の不良債権は最悪、税金処理、かつ、株主も金融庁もうるさい。
一方、株式投資は自己責任ですからね。
そんなことを考えてみたりしました。
そんなことを考えてみたりしました。
最後に
株式投資ブログとして、オリンパス株を買うのか、と言われると、
Are you kidding ? と答えざるを得ないですね.。だから「海外投資家」が買ったのだと思いますが、この「海外投資家」ってのは、日本では非常に便利な存在ですね。
ある時は、「海外に日本の技術が流出されてしまう」といって、警戒したり、日本経済活性化の切り札として持ち上げられたり、日本の株式市場を荒らしまくる不健全な輩(ヘッジファンドの空売り等)、場面場面に応じて、都合よく使い分けられている。
もちろん、いろんな投資家がいるわけで、いろんな解釈があってもいいと思いますけど…。
特にオリンパスに限れば、昨年の増資話の際は、「海外に日本の技術が流出する」といって外資を警戒したり、欧米投資家に損害賠償を訴えられたり、「医療機器を評価して」増資に応じたり、都合が良すぎ???????
技術・技術と言いますけど、優れた技術者はたくさんいますが、投資家にリターンをもたらすような優れた経営者は数少ないですね(By フレデリック コブリック)。
応援よろしくお願いします!
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