2013年8月17日土曜日

ポートフォリオ概況 第13位 Chevron(シェブロン、CVX)





しばしご紹介するこの銘柄。詳しく取り上げたいと思います。

シェブロンとは紋章の形の一種を指すそうです。1911年に独禁法によりロックフェラーのスタンダード石油は解体されました。その際、CVXはスタンダード石油・オブ・カリフォルニア(Standard Oil Of California:ソーカル)に分社され、しばらくして、石油メジャーの原型であるセブンシスターズに数えられていました。

その後、テキサスの石油会社テキサコと合併し、現在シェブロンと名乗っています。

CVXは西側民間石油会社では、石油・天然ガスの生産量はエクソン、BP、シェルに次いで第4位ですが、時価総額では第2位です。規模の経済がモノを言うこの世界で、堅実なバランスシートで効率的な経営が身上です。

ダウ平均採用銘柄30銘柄の1社です。

個人的な印象にすぎませんが、エクソンと一味違う戦略を取っている様に思います。エクソンは昨年撤退しましたが日本に大きく投資していました。CVXは韓国にかなり投資しています。

エクソンはロシアに肩入れしていますが、CVXはポーランド・ルーマニアなどアンチロシア諸国に進出しています。またカザフスタンで巨大な油田を操業しています。




項目

コメント

会社名(ティッカー)

Chevron Corporation (CVX

本社所在地

カリフォルニア州サンラモーン

何をやっている会社?

  石油・天然ガスの採掘・生産・精製・流通販売会社で、バリューチェーンを垂直統合していることら統合石油会社と言われています。但し、利益の9割はUpstreamと言われる採掘・生産部門です。

投資時期、平均購入価格

201110~20137月まで

現在の株価、バリュエーション

以下、Yahoo! Finance USAより(8/16)

通貨は米ドルベースです()はドル=円とした場合

 

株価

119.88 (8/16終値)

2011EPS

 12.34

2012年予想EPS

 12.06

予想EPS成長率

 -2.0%

時価総額

 232.4Billion (22.5兆円)

実績PER

 9.71

予想PER

 9.82

DPS

 4.00

配当利回り

 3.30%

増配率

過去10年平均:年11.1% 26年連続増配中

EV/EBITDA

 5.36

年初来暴落率

 10.0%(ダウ平均15.09%)

投資ストーリーは何か?

     長期保有。インフレ率より効率的な経営を行うことで実質的な利益成長の果実を配当で得る。

     西海岸の企業であり、主要マーケットを米国と東アジアにフォーカス。アジアの発展を取り込む。

     アルゼンチン、ポーランドといった大国の隣国でシェール開発を行っているので、長期的にはそれらの取り込み。

経営陣のコミットメント

   株主還元の第一は増配である、と明言している。

   2017年までに、生産量を今より30%以上増加させると言っています。

今後何を期待するのか?

     株主へのコミットメントの着実な実行。

強みは何か?

     経営効率が良い。1バレルあたりの利益額は石油メジャーではトップ。

     やっぱり政治力かな。ブッシュ政権の辣腕の側近だったコンドリーザ・ライス元大統領補佐官・元国務長官は当社の元社外取締役です(切れ者女性でしたね。ブッシュ親子2代に渡ってアドバイザーを務める)。

弱みはあるのか?

   会社内部で課題と思われるところは、特段見当たらない。最近操業事故が多いので、少し気になる。

リスクは?

     現在、西オーストラリアの巨大LNGプロジェクト、GorgonWheatstoneが建設中です。これらのおかげで毎年の設備投資額が3兆円を超えています(12年度の純利益は約2.7兆円)。ここ数年の豪ドル高で建設費が高騰して、投資採算悪化を招くリスクがあります(但し、成功すると全社の生産量も15%以上アップします)。

     エクアドルから訴訟を受け、182億ドルの損害賠償を言い渡されています。国際裁判所に控訴する予定で、おそらくこんな巨額は支払わなくともよいと思いますが、不利な判定を受けるリスク。CVXの話を聞く限り、私はCVXがシロだと思っています。大半の投資家もそのように考えていると思います。

     エネルギーの供給過多による値崩れリスク。OPEC諸国は今では裕福なので、無理に増産するリスクは小さいが、ないとは言えない。

     ナイジェリアなどアフリカでの操業は地元ゲリラの邪魔にあって、生産が計画通りに進まないことがある。

成長機会

     西オーストラリアのLNGプロジェクト、カザフスタンの油田の増産、アルゼンチン、ポーランドのシェールガス等、石油・天然ガスの開発パイプラインは充実している。

競合先

     エクソン・モービル、BP、シェル、トタル、コノコフィリップスなどの西側石油会社に、ペトロブラス等の新興国の半官半民メーカー。

     Tier2会社としてスタットオイル、Eni、日本の国際石油開発帝石など数は多い。

売るとすればどんな時?

     今は思いつかない。永久保存とまで言い切れないが、この世に石油・ガスがある限り??? 配当をゼロにしたら売る。

その他

     株価は割安とも言われていますが、ここ数年の上昇を考えると、もう少し下がってから買いたいところ(といってこれまでは買い時を逸していた)。

ファンダメンタルズと株価チャート(Morningstarより)



 ジム・クレイマーが「株式投資大作戦」にて、「長期投資するならポートフォリオの1社に石油株を入れるとよい。配当利回りがいいから」と書いていて、石油株を調査し、シェブロンを買うに至りました。

石油会社は西側では、かなりグローバルな展開を行っています。CVXもナイジェリア、アンゴラ、カザフスタンなどに生産拠点があります。これらはまず、米政府の外交圧力で、石油等の採掘権を入札させ、そこに入っていくという形が多い。最近はイラクで採掘権を得ました。

 なぜなら、BRICsのような新興国では、自国の国営石油会社に採掘権を優先的に渡して、メジャーはなかなか埋蔵量の確保に苦心させられているからです。

 ただし、ペトロチャイナなどまだまだ技術力はメジャーに追いつかない国営企業には、高い技術力(大深海採掘、シェールで有名になった水圧破砕など)で対抗する形になっています。技術供与のために国営企業と合弁するという形も多い。

 
お金さえかければ、石油・天然ガスはいくらでもある、と考えられるため(採算に合わなければ生産しませんが)、将来的な供給過多がちょっと不安ですね。

 
個人的には日本のメタンハイドレードの試掘にも、シェルやエクソンといった日本で貢献したメジャーに技術供与を受ければ、もっと効率的な開発が出来そうな気がしていますが、「日の丸」にこだわっているのが残念です。



 
石油を1バレル生産すると約24ドルの純利益になるそうです(現在ブレント価格は111ドル前後ですから、21%も利益になる計算)。

現在、日量石油天然ガスの生産量が2.5百万バレルですが、これを2017年までに3.3百万バレルに伸ばすといっています。日量80万バレルの純増ですが、仮にこれらもバレルあたり24ドルの純利益を生むとすれば、計算上は70億ドルの純利益増加になります!!!

2012年度のCVXの純利益は237億ドルでしたので、約317億ドル、+34%の純利益増加になります(これにあと精油部門の利益も加わる)。



過去10年の増配ペース、自社株買いおよび、実質無借金のバランスシートを意味しています。

 
当社のリスクは石油価格が下がることです。北海ブレントが100ドルを下回ると、黄色信号になると思われますが、なんだかんだ言っても、中国でもインドでも自動車の販売は成長していますし、天然ガス(LNG)の需要も増加する予想になっているので、長期的には楽観しています。




家庭の電気代・ガス代の上昇に対抗するには、その元栓である石油会社の株を保有することがリスクヘッジになると思います。
 

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