池田信夫氏のブログなどで散々攻撃を食らっている朝日新聞。同氏はNHK時代から、「あの報道(慰安婦問題)は怪しい」と思っていたそうなので、今回の一連のねつ造記事には、鬼の首をとったかのような感じになっているが、ちょっと彼を見直した感じもした。
ここ約1か月で、慰安婦問題、吉田調書、任天堂の社長への「インタビュー」など3つも続けてねつ造記事が出てきました。誤報ではなくねつ造ですからタチが悪い。
「ゴキブリを1匹見つけたら20匹いると思え」
と言われます。
3匹も見つかってしまいました。60匹はいるのかな?
自分が専門的に知っている分野で何かが起こって、新聞やTV報道されると、その内容に多少の疑問を持つ人が大半ではないだろうか?(私の場合だと、外資系M&A脅威理論ですね。最近の例でもすかいらーくの上場などの一方、パナソニックのサンヨー電機買収後のサンヨーの末路や革新機構のルネサステクノロジーへの出資などを見比べると、内資に買収されたほうが悲惨な末路をたどっているでしょ?けど人々は外資に買収されるとなると嫌悪感を示す)。
私は、彼らに専門性がないので、正確に情報を把握できていない、あるいは結論ありきで記事を書く習性、そういったものが記事を読んだ時に疑問を感じる根っこにあるのかな?と思っていました。
しかし、0のものを10と言うとは思いもよりませんでした。スポーツ新聞等で、1の出来事を10のように取り扱うのは日常茶飯事ですし、決して「ウソ」ではないので、割り引いて読んでいますが、日刊紙がスポーツ新聞以下の記事を書くとは思いもよりませんでした。
一方、マスコミ、特に大衆紙には日刊新聞法というものがあり、法律で株式の譲渡制限がかけられるようになっている。これが経営のガバナンスやコンプライアンスが欠落する要因になっているとも指摘されている(大手新聞社は非公開企業)。今回も「チェック機能」が働かなかったのでしょ? 他人への「チェック機能」へは厳しいのですけど。
第1条 一定の題号を用い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社にあつては、定款をもつて、株式の譲受人を、その株式会社の事業に関係のある者に限ることができる。この場合には、株主が株式会社の事業に関係のない者であることとなつたときは、その株式を株式会社の事業に関係のある者に譲渡しなければならない旨をあわせて定めることができる。
つまり、第三者が買収することは法律で禁じられている。「報道の中立性」を守る大義名分があるからだそうです。新聞社自体が定款変更して(現株主の2/3以上の賛成を得て)、この条項を取っ払えば可能だと思います。
報道の中立性を守るための法律が、その中立性を揺るがす元凶だったのではないでしょうか?
3匹の「ゴキブリ」が発見され、たぶんいろんな人が4匹目、5匹目を見つけにかかっていると思うので、朝日新聞の信用は失墜していると思います。安倍政権からも慰安婦問題への「説明責任」発言も飛び出していますね(自民党の立場からすれば、そりゃ当然でしょ)。
それでも朝日新聞を購読する人はまだまだいると思いますが、広告収入はかなり厳しいと思います。
明日すぐにでも経営が傾くようなことは起こらないと思うが、抜本的な改革をしないときわめて厳しい未来と言わざるを得ない。経営陣を刷新することだと思います。そのためには外部の株主が取締役会を支配して、「まとも」な人に経営させる必要性があります。つまりM&A。
しかし、M&Aには上記のような壁がある(朝日新聞の大株主は経営に携わらない個人だったと思う。これを機に安値で買いたたかれることを良しと思わないのではないだろうか?むしろ朝日新聞の株主は経営陣に株主訴訟を起こしたい心境かもしれない)。
しかし、「事業に関係のある者」の定義づけはちょっとわかりづらい。ただし、ソフトバンクが買収することはできないと思います(孫さんも今更買わないでしょうね)。ましてや「新聞王」のウォーレン・バフェットも日本の新聞社を買収しようとは考えないでしょう(たぶん上記の法律上できない)。
今どき新聞社の事業を魅力に思う人はそんなに多くないような気がしますし(広告収入はFacebookやGoogleにやられっぱなし)、いても上記のような法律のおかげで妨げられる可能性があります。
仮に、他の日刊紙ならどうでしょう。毎日や産経は経営状況があまり良くないように聞きますし(毎日は赤字)、読売も朝日を買収してもメリットはない(日本の日刊紙は、朝日がなくなったほうが、パイの分け前に授かれるので、都合がよいはず)。
そもそも、プライドは高いけど、記事の信ぴょう性が低い朝日新聞の記者を抱えるメリットは小さい(朝日の記者も読売のナベツネに支配されるなら・・・と考えるのかな?)。
新聞を取らないと世間の動きがわからないので、取っている、そんな人が多いと思う。
消費税増税が待っているので、これを機に新聞購読をやめる人も出てくるだろう。
私は8%に上がるとき、それを口実に妻を説得して、新聞購読(日経)をやめてしまった。今、新聞を再購読してほしいとは家族からは聞こえてこない。新聞がなければないで案外やっていけるものなのです。
新聞報道の信頼性は大なり小なり完全でもないので、読者も「ゴキブリ」は読売や毎日にもいるんじゃないの?という疑問を持ってもおかしくない。
また、インターネットでも大半の記事は無料で読めるし、もっと突っ込んだ解説をしてくれる人はいくらでもいる。
必要悪のような新聞から「必要」がなくなると、ただの悪でしかない。
今回の一連のねつ造騒動が朝日だけの「特殊要因」なのか業界全体の「普遍的要因」なのか知る由もないが(注:各社(特に読売)自社の発行部数すらも「ねつ造」疑惑のある状況である)、従来から付加価値の低い日本の新聞業界へのカンフル剤となるかどうか注目してみたい。今なら「うちにもゴキブリが居ました」と白状しても、被害は最小限に食いとどめられそうですが。
最もテレビで顔と名前が一致するような場面で説明する現場記者や編集委員は、優秀でまともなことを言っている人もいる。個人としての新聞記者は優秀だけど、会社として組織で見ると、正直物足りないように見えてしまう(TVでまともなことを言っていても、新聞で読む記事がつまらん)。これは、優秀な技術者が在籍しながら、経営パッとしない日本のカイシャと酷似していて面白い。
0 件のコメント:
コメントを投稿