これについては賛否両論があります。私はどちらかと言えば、投資の専門家筋からよくない意見を言う人が目につく印象があります。これは意外でした。
大事な年金をリスクにさらすのはよくない、株価を公的資金で「操作」すれば必ず罰が当たるので将来が怖い、というのがざっくりとしたネガティブ派の意見です。
一方、肯定派の意見は、先進国の年金運用の割合は株式が圧倒的に多く、日本はまだまだ小さいので、これぐらいでも不十分だ、という意見や年金資金が株に流れると経営ガバナンスも正されて、企業経営にもプラスになる等の意見もあります。
肯定派は、日本経済は成長するし、日本企業も成長するし、株価は歴史的に安値だったので、これからは恩恵を受けるはずだ、というのが根っこにあるような気がします。
アメリカでも1970年代後半から80年代にかけて「エリサ法」Employee Retirement Income Security Act(従業員退職所得保障法)という法律ができて、従業員の退職金の保護を名目に受託者である年金基金が、最大限な運用責任を課されたことなどが要因となって、資金が株に流れ始めました。
ピーターリンチさんの初期のころは年々年金基金から資金がマゼラン・ファンドに流れ込んでいましたね。彼のパフォーマンスも要因ですが、こういった流れも大きかったのだと察しています。
まあ、年金資金がアメリカ株式市場のすべてを変えた、とは言いませんが、インパクトは大きかったような気がしますし、レーガノミックスのいろんな規制緩和やITやバイオのイノベーションも相まって、アメリカ経済は復活しましたね。
日本で同じようなことが期待できるか、できないか、期待ではなく実行できるのか、等いろいろ議論されていますね。
ソニー等従来型のダメ企業では相変わらずイマイチな将来しか見えませんが、サービス業界の海外進出など良い兆候もたくさん見られますし、全体としては正しい方向に進んでいるんじゃないかと感じます。
やはり株式会社はGPIFの投資にかかわらず国際競争が激しくなっていますし、今までのように島国根性では通用しないことを経営者は理解していると思います。
(問題なのは理解できても、しがらみ等で実行・解決できない点かもしれませんが)
最近の成長企業は、あまり本業から離れた多角化をしないですし、本業でグローバル展開を図ろうとする良い兆候が見られます。
また、株主還元にもプロアクティブなのか、右に倣っているのか、分かりませんが比較的前向きな企業が増えてきたように思います。
日本経済や株式の将来を楽観するか、悲観するかでGPIFの株式運用積極化の評価が分かれてしまうような気がします。
もし、GPIFの株式運用に消極的なご意見があるのなら、「株でもうけたやつ」にねたみ嫉妬を抱いたり、「金持ち・格差社会は反対」などアンチョコなマスコミ理論に迎合するようなことは辞めてくださいね。
GPIFの株式投資がうまくいった場合の恩恵は、一般庶民に広くあまねくいきわたることになりますから。今回、国内・海外の株式、海外の再建に幅広に「アセットアロケーション」をセットしたので、大損するリスクはそう大きくはないような気もしますけど・・・。
ちなみにGPIFで運用されている資金は、過去の好景気の時に徴取し過ぎた余剰金です。
年金の基本的な仕組みは、現役世代(およびその勤務先!!!)から一定金額をカンパして、年金世代に仕送りする、仕送りの仲介業者が日本年金機構(だったか)ということになっています。
現役世代の仕送りが不足すると、GPIFから取り崩す、というロジックです。
最近のデフレ経済面化で、年金のデフレ調整を政府ができなかったので、おかしなことになっていますが、基本的には中長期な観点で徴収額と仕送り額を均衡させる仕組みになっています。
日本株式市場がこれから長期的にどうなるのか、それは誰にもわかりませんが、あんまり投資していないくせにえらそうに言えませんが、個人的にはそこまで悲観していません。
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