2020年10月8日木曜日

住宅ローンの平均完済年齢の件についての雑感





 

日経新聞の電子版 2020105日の記事

住宅ローン完済年齢上昇 平均73歳 年金生活不安定に 審査、老後リスク吟味必要

記事の内容はご多分に漏れず、将来のローン破産予備軍が増えているのではないか?という警笛を鳴らす類のものです。

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出所:日経新聞電子版より
20年間で1件当たり平均融資額は1200万円程度増加(1900万円→3100万円)、完済時年齢は5年増えて73歳となったそうです。

融資を受ける年齢も37歳~38歳だったのが、今は40代だそうです。

60歳を超えて住宅ローンの残高が1000万円を超えていると「老後破産予備軍」だそうです(笑)。

 当然これらのデータは「平均」で、各個人の人生観、価値観によって利用の仕方や見方は全く変わってくるはずです。

日経新聞の記事の前提は、「ローンは最小限に所得の無理のない範囲でつつましく借りること」「借りたローンは最後まで完済する」をといった価値観が「隠れた前提条件」になっているように思いました。

ちなみに私は2007年に住宅ローンを40歳で組みました。当初の完済時年齢は75歳でしたよ(最長35年で組みました)。

ローンは3900万円でした。今は半分以上返済しています(繰り上げとか使って)。

人生で最も高価な買い物である自宅なので、それなりのリテラシーはあった方がいいでしょうね。

仮に2000万円を金利2%で35年借りた場合(2000年当初の店頭レートがこれぐらいじゃないか)、35年の元利総返済額は2783万円となるようです。

一方、3000万円を金利0.5%、35年で借りた場合(昔と違ってネットが発達してこれぐらいで調達は可能ではないか)だと、3380万円程度となる。

もちろん全期間上記の金利で調達できるとは限らないが、それはいずれのケースでも同じ。

融資残高の違いは、金利の低下で半分程度は解消できる(だろう)。

融資残高が多くなった理由は、不動産価格の上昇によるものでしょう(都市部)。私の住んでいる街では新築マンションは私が契約したころ(2006年春ごろ)と比べて、坪単価ベースで1.7倍近くも上がっています!

金利が下がったから住宅価格が上がったのか、需要が強いから上がったのか、どうも前者のような気がしてなりません(東日本大震災では、軟弱地盤と相当叩かれましたね)。

完済時年齢も5年延びた、とか言っていますけど、政府も日経新聞さんも「70歳まで働け」運動を推奨しています1998年までは60歳定年、2000年で65歳まで雇用確保措置の努力義務、2013年以降は65歳までは雇用希望がある者は企業側に雇用義務あり、となっているようです。

2000年当時でも、定年後にローンが残る設定だったはずでは?つまり定年や実質的な労働年齢の高齢化とローンの平均完済年齢の伸びは相関性があるんじゃない?)

 

2000年当時と違って、

①住宅価格の下落に歯止めが(今のところ)かかっている、

②リバースモーゲージ(ローンのなくなった自宅を担保に銀行から生活資金を借りて、その代わり死んだら自宅は銀行に譲渡するようなイメージ。したがって一定の老後資金の調達が可能)などが可能、

③ネットの発達で住宅ローン利用者のリテラシーが向上(臨機応変な繰り上げ返済、借り換え、金利管理など)、

④税制面でも親からの無税贈与資金枠の拡大、

⑤共働き夫婦の増加による世帯収入の増加(連帯債務などとしている場合は除く)などのプラス面も考える必要があるでしょう。

 

ローン借入期間を長期で設定するのは、「期限の利益」という概念が借り手側にあります。

つまり、最終返済期限まではローンの貸し手(銀行等)は、自分の都合だけで「35年で契約したけど、やっぱり20年で全部返してください」とは言えない契約になっています(当たり前すぎて議論されていないが)。

一方、借り手は35年間の間、月々返済以外に、早めに返済したり多めに返済したり、返済の自由があります。

長期間の設定でライフステージに合わせた柔軟な家計が組めます。退職金で一定程度返済が可能ですね。

 

ローン、イコール、「返さなくっちゃ」と一辺倒に考えるのではなく、自分のライフスタイルに合わせ、戦略的に借りた資金の活用を考えるようなリテラシーを持ちましょう。

(えっ? ローンを早期繰り上げ返済せずに株式投資で稼ぐ?? 投資判断は自己責任でお願いします)。

 

いずれにせよ、住宅ローンというより自宅の取得は、時期・目的・将来設計・所得予想など戦略的で計画的な取り組みを行えば、決してネガティブなものではなく、ライフスタイルをより充実したイベントだと思います。

 ローンを払い終われば、それ以降の住宅コストは大雑把に言えば(維持費などは別途必要ですがとりあえず置いといて)、ゼロ円です。賃貸に住めば、死ぬまで家賃が発生します。年金で家賃を払うんでしょうかね?人生100年なんでしょ?定年退職が70歳としても、残り30年間家賃を支払うのか、73歳で完済して残り27年は住居費ゼロで計算するのか、どちらの方が「あんしん」できますかね? 多くの「老後必要資金」のアドバイスは住居費はほどんどかからない設計になっていたと記憶してます。家賃を加えると、それだけで生活費が年間軽く100万円~150万円ぐらいかかりますね。「おひとりさま」でも70万ぐらいはかかるんじゃないですかね。


この手の記事は、「定年過ぎてもローン払うんか?」という意見と、「70歳過ぎても働けるじゃないか」という意見、あるいは「人生100年を見据えた計画的な家計を」という意見が別々の記事でその各論だけが語られます

仮に人生100年、70歳まで働くのであれば、完済時年齢73歳でも問題ない気がしますね。70歳前後ではおそらくローン残高は相当減っていますから、仮に働かなくなった場合、自宅を売却して賃貸に住めば、自宅売却代金で余生を住宅費ゼロで済むじゃないですか? 持ち家と賃貸をミックスした生活設計もありますね。


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