2013年7月31日水曜日

消費税の増税議論

個人的には増税は仕方ないと思うが、その時期の問題。とりあえず言いたいことを自分のブログに記すこととする。

来年春から増税すべきと言っている人の議論の中心は、国際公約のようなところに集中される。
既に外国に約束してしまっている、破ると市場が荒れて、嘘つき呼ばわりされるというもの。
(注;約束といっても、いつ、誰に、どのように約束したか曖昧であり、サンフランシスコ条約のような大儀式で調印したわけでもない)

「来春に」増税を実施すべきではない、と言っている人は景気の腰折れを懸念することが理由。

さらに、増税は全く不要と言っている人もいる。これも景気腰折れ懸念が理由だと思う。

私見は中段であり、景気回復を確実にしてから増税ならOKです(8%でいいような気もしますけどね)。

国際公約の観点からいえば、海外の関係者が日本に期待していることは、持続的な経済成長が出来て、(出来るだけ外資の参入障壁を低くしてくれて)、日本が世界経済にとって魅力のある存在になってほしい、ということだろう。そうなれば日本の財政は好転するはずだ。
消費税を増税して、景気が腰折れして、財政悪化を招けば、何のための増税なのだろうか?

リンクしている産経新聞の田村氏の英国の事例分析では、明らかに増税後英国の税収は減少している。英国は今や移民で欧州随一の人口増加率を誇る国である。


アベノミクスがアメリカの投資番組で盛んに取り上げられているのも、そんなところからだ。日本が経済成長に「今度こそ」目覚めると期待するから投資先として魅力に映るのだ。

結局は経済成長&デフレ脱却という結果を出したもの勝ち、であり、消費税の増税はその後の議論で十分だ、ということです。日本がしっかり経済成長して、世界経済のプラス要因となっていれば、だれも嘘つきなんて言わないと思いますよ。「(嘘つきの)日本に投資だ」って話で盛り上がるだろう。

ちょっとくらい行動が生意気でも、稼ぐ営業社員には中間管理職の人は文句言えないでしょう?

逆に「公約」を守って、デフレ逆戻りになれば、世界から後ろ指どころか、呆れて無視されると思います。

特に今は、世界は米国と日本が世界経済のけん引役になってほしいと思っているはずです(EUと中国や新興国は今ダメですよね)。その期待にこたえることの方が国際貢献でしょう。

手段と目的の問題がごっちゃになっている。
私は一個人として、日本の財政・経済が良くなって欲しいという目的のためなら、消費税増税は賛成です、という極めて一般的な立場だと思う。マスコミ、官僚、族議員を含めて消費税増税が目的化しているような雰囲気が嫌ですね。

(消費税アップ分が各省庁にばら撒かれそうであるという現実も許しがたいと思いますが)

消費税を引き上げる分、法人税を引き下げろという人もいますが、企業が投資する・しないの最大要因は、そこに需要があるか否かである、という単純な関係をどう考えるのでしょうか?(法人税を減税した分、経営者は賃金を引き上げるとでも思っているのだろうか?甘すぎる)

製造業の空洞化議論がありましたが、自動車メーカーの人は円高も移転理由に挙げていましたが、「地産地消」を工場の移転理由に挙げていましたよね。
世界一高い法人税率のアメリカにいろんな国から、直接投資がなされるのはなぜでしょう?

医薬品の研究機関が海外に逃げた、とか言われますが、税率ではなく日本の薬価制度が非効率だからでしょう(国内トップの医薬品会社である、武田薬品工業が研究開発本部の世界本部を日本から米国に移したのを知っていますか?)。

法人税率の問題ではないと思う。如何に需要を喚起するかだと思います。もちろん法人税率を引き下げること自体、株式投資家としてNOなはずがありません。Yesに決まっています。消費税増税の交換条件のように議論されるべきでない、と言っているに過ぎません。

経済が上向いて、賃金上昇が起こってから、消費税の増税に踏み切っても十分間に合うと思う。
ブログの読者はご存じだと思いますが、可処分所得はずっと下落しっぱなしです。所得が減っているのに増税して、GDPの60%を占める個人消費が盛り上がるはずがありません

需要がないのに設備投資するアホな日本の経営者はバブル崩壊以降はさすがにいないだろう。

アベノミクス、インフレターゲットは、(実質)賃上げのある経済再生を掲げたはずであり、それを実現してから増税する、というのであれば、文句のいいようもないし、政策としても筋が通っているし、現実的に負担が可能であろう、というものだと思います。

もちろん、経済成長の勢いが増税のマイナスを呑みこむ可能性も残ってはいますが、それに賭けるのはリスクが大きいと思います。単に、(先に増税するのと後に増税ずるのと)どちらがよりリスクが小さいか、と言うだけの話だと思います。

経済再生なくして財政再建なしです。ましてや増税して補正予算を組むなんて、まったく無意味の族議員のばら撒きでしかない。

アメリカのFRBがあれだけ慎重に金融緩和の出口を探っているのは、何のためでしょう?
日本は「えいやっ」で、消費税増税をするの???(一応、4-6月のGDPを見てからってことにはなっているが、企業決算はイマイチですね)

消費税増税の判断基準がちょっと曖昧だった(4-6のGDPより、やっぱりインフレ後、さらに賃上げだと思うけどなあ)ような感じがしました。
4-6のGDPが何%だったら、どうなのだ?

FRBの様に、失業率6.5%とかあれば透明性があった(この基準の善し悪しは別として)。


しかし、そんな自民党を選んだのも(私は違うところに投じたが)、我々国民ですね。安倍さんと菅さんのツートップに期待するしかない。

しかし、延期する場合は延期するための法案を国会で可決する必要性があるとなると、・・・ですね。(これじゃ、「国際公約」ではなく「国会公約」じゃない?素直にそう言えよ)

(債券市場が荒れるって、国債のほとんどが国内で消化され、今はバズーカ期間中なので、流動性の7割が日銀が買っているのだったら、ホンマに誰がカラ売りなんて仕掛けるんだよ??)


とまあ、あれこれ負担の大きい一サラリーマンのつぶやきでした。


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2013年7月27日土曜日

李下に冠を正さず? 三木谷氏の楽天株式の売却

別にオーナーが自分の会社の株を売ることに何ら異論はありません。

また、個人的には、以前は楽天ブログを、今は楽天商店、楽天証券あるいは楽天トラベルを活用させていただいているので、楽天グループの利用者です。
楽天株を保有していませんし、当面購入の意思もありません。

以前、楽天を担当していた三菱UFJモルガン・スタンレーの証券アナリストが、楽天から出入り禁止処分を楽天のプレスリリースで通知されるという異例の措置がありました。



この時は楽天の対応の横柄さやアナリストの分析の稚雑さが取りざたされていました。

 
しかし、こちらの大量保有報告の変更届とこれ以上株は売りません、というこのニュースを見て、ハッと思いました。


(ちなみに株式は昨年12月頃から少しずつ売りに出されていたようです。7月では最終局面だったようなので、三木谷社長の資金計画への大きな狂いはなかったように思います)

 

三木谷社長、楽天株の売却終了 (日本経済新聞電子版)


アナリストを批判するプレスリリースは三木谷社長名で出されているので、いくらなんでも、って思ってしましました。


それとこれとは違います」

たぶんそういう返事が200%想定されますけど、さまざまな意味において「李下に冠を正さず」だと思います。


三木谷氏は産業力競争会議の委員でもあるので、アベノミクス叩きのしっぽにならないようにしていただかないと、国民経済への影響も・・・、ってくらいの自覚も欲しかった。

(自社株の売却時期などアベノミクスで最も儲けた男 とかあれこれ言われやすい。医薬品のネット販売解禁とか反撃を受けそう)
 

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2013年7月20日土曜日

オリンパス:ニュースを組み合わせると、どういうことになるのだろう?

株主総会が終わるや否や、増資ラッシュの日本。中でも気になる動きがあった(あちこちで論じられていますけどね)。特にオリンパス。

以下、赤字は原文にリンクを貼ってあります。

ニュース①


記事の要旨

1126億円で増資を引き受けてくれる海外投資家を募ったそうだ。

「販売を担当した証券会社などによると、投資信託や年金基金など既存の株主も含めて幅広い投資家が購入意欲を示し、調達金額の4倍の需要が集まったという」

「今回、全額を海外から調達したのは「医療事業を高く評価してくれる投資家が海外に多かった」(同社)のが理由。」

ニュース②

 菊川元会長、森元副社長ら事件の当事者に有罪判決がでて、控訴しないということで、有罪が確定。

私見:昔の経営者にはお咎めがないのかと思いました。根っこは古くからあったのでは???
確かにM&Aの処理はひどかったけど。


ニュース③


抜粋します

オリンパスは16日、欧米の機関投資家などから、過去の有価証券報告書の虚偽記載などで損害を受けたとして、計168億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起されたと発表した。提訴は6月27日付で、原告は欧米の年金基金や運用会社など計43社。
 オリンパスによると、今回も含め、これまで同様の訴訟を国内外で計21件起こされ、請求額は計519億円となった。まだ判決が出たものはないという。

抜粋終わり

ニュース(記事)④

オリンパス、カメラへのこだわり 626日東洋経済オンライン
株主総会を開催、撤退促す質問も…

ポイントを抜粋

――ジャイラスの買収にともなうのれん代の会計処理は正当なものか。

藤塚専務 ジャイラスののれん代の計上について、当社としては不正計上という認識はしていません。株主から決議取り消しの訴訟があり係争中の案件なのでこれ以上のコメントは差し控えさせていただきます。

――(ブラジルでの贈賄に関連して)米国捜査当局から課徴金が課される可能性がある。重大な影響があるのではないか。

竹内康雄専務 現実的にしばらくの間、米国当局からコンタクトがありません。将来的に課徴金等が課せられるリスクは認識していますが、具体的な金額がわかりませんので財務諸表に具体的な数字を織り込むことはできません。わかり次第、適時開示するとともに財務諸表に反映させます。

――過当競争のカメラ事業から撤退し、好調の医療事業に特化した方がいいのでは。

竹内専務  多くの利益が医療事業から生み出されており、将来も医療事業に重点投資をしていく方針です。しかし、医療事業以外のデジカメの映像事業、顕微鏡などライフ産業事業を継続しているのは、単純に損益や財政状況だけの観点からではありません。医療事業の光学技術は映像事業、ライフ産業事業との相関が強い。複数の事業をやっていくことで医療事業に好影響をもたらします。 3つの大きな柱の事業を今後も継続してやっていきます。

抜粋終わり


以上の記事だけで、最近のオリンパスの状況をまとめてみますと、

11126億円を自社株売り出しや公募増資で調達した。資金の出し手は海外投資家である。

2損害賠償請求の累計額が519億円で、合計21件にも上る。いずれも係争中で判決は1件も出ていない。

3:元経営者には有罪判決が確定した。

4:米国から課徴金を課せられるリスクが残っている。

5:医療機器は高い評価を得る一方、カメラ事業は苦戦している模様。

こんな感じかな。

 

以下は私見。

519億円+αの偶発債務を抱えているのに、1100億円も出した投資家の腹がわからん。自分の出したお金の半分(またはそれ以上)が、事業の成長ではなく、昔の株主に返還されたり米国政府に支払われるリスクがあるのですから。アメリカ政府の財政赤字になぜ使われなきゃならんのだ。

また、苦戦が続いていて、どう考えても負け組としか思えない、デジカメ事業を継続すると言っているのに、お金を出すのか? HOYAはとっくにペンタックスを売却しましたね。 出資したお金が赤字補てんにつながりかねない。

増資に応じた中には、投資信託や年金基金が混じっているというが、機関投資家にも出資者への説明責任があるはずで、粉飾決算・500億円以上の偶発債務、不採算事業の処理がある、というなかで、まともにリスクを取るとは。単なる物好き?それとも? 
 
合弁会社を作ったソニーには相談しなかったのでしょうかね(ソニーにもお金がなかったと思いますけど)。ソニーとは医療機器の分野で合弁を作っていて、今回の「海外投資家」さんも医療機器に期待を寄せて、投資しているとなれば、その辺の交通整理はどうなっているんでしょうか? これはソニーとの株主間契約などによると思いますけど、ソニーの株主から見ても、「我がソニーは医療機器で再生・成長すると思っていたのに、なんだよこれは」、ってことにならないのかな?

あの時ソニー(あるいは他社)が出資しなかったら、オリンパスの会社自体が信用面でも財務面でも厳しい状態にあったと思います。

 

医療機器メーカーといっても、MRICTや内視鏡などの診断系と心臓ペースメーカー、インプラント可能な人工骨、人工心臓などの治療系と大きく2つに分かれます。

オリンパスは当然前者に入り、前者には東芝、日立、富士フィルム、GE、シーメンス、フィリップス、ロッシュ(ダイアグノスティックス部門)などの世界の一流メーカーが参入しています。

後者には、日本ではテルモ、海外ではJ&J、メドトロニック、ST.ジュードメディカル他米国勢が独壇場となっています。アボットも両方やっていますが、主力は後者です。

医療機器全体では、治療系の方が付加価値は高いと思われています。医療現場では、診断系はFact Findingで治療系はSolutionですから(もちろん、しっかりとFactを突き止めないと、治療はできないので、すべてではありませんが)。

こういった企業を見ていて、研究開発にお金はかかるけど、設備投資にそんなにお金がかかったっけ? と思いめぐらします。事実オリンパスもこれまでは営業CF見合い部分の投資で十分今日の医療事業の基盤を作ってきたはずです(研究開発は営業CFに含まれる)。

 
オリンパスが5月に発表した20173期の中期ビジョンでは、純利益が850億円を目指すといっています。また、そこでは大きな投資を予定しているようには読めませんね。


むしろ、投資家に「自己資本比率」の目標を提示しているところが???ですね。

 

以下は全くの偏見ですけど
メガバンクが証券を支配するようになって来ています。

オリンパスの会長は「緑の狸」で専務は確か「赤いきつね」のはずです。


 
アベノミクスで株価も上がったので、傘下の証券会社にプレッシャーをかけて、増資で募ったお金で借金を返済させる・・・・。増資のフィーはたんまり連結決算としてメガバンクの業績に寄与する。

経営者は独立が維持できるので、大喜び
外国人が買ったのだから、といって買うアホ?な日本人が受け皿????

要するに、不良債権の受け皿を株式市場で募っているのでは???
銀行の不良債権は最悪、税金処理、かつ、株主も金融庁もうるさい。
一方、株式投資は自己責任ですからね。 

そんなことを考えてみたりしました。


最後に

株式投資ブログとして、オリンパス株を買うのか、と言われると、

Are you kidding ? と答えざるを得ないですね.。だから「海外投資家」が買ったのだと思いますが、この「海外投資家」ってのは、日本では非常に便利な存在ですね。
 
ある時は、「海外に日本の技術が流出されてしまう」といって、警戒したり、日本経済活性化の切り札として持ち上げられたり、日本の株式市場を荒らしまくる不健全な輩(ヘッジファンドの空売り等)、場面場面に応じて、都合よく使い分けられている。
 
もちろん、いろんな投資家がいるわけで、いろんな解釈があってもいいと思いますけど…。
 
特にオリンパスに限れば、昨年の増資話の際は、「海外に日本の技術が流出する」といって外資を警戒したり、欧米投資家に損害賠償を訴えられたり、「医療機器を評価して」増資に応じたり、都合が良すぎ???????

1年前は外資は嫌だったんですよね??? 

技術・技術と言いますけど、優れた技術者はたくさんいますが、投資家にリターンをもたらすような優れた経営者は数少ないですね(By フレデリック コブリック)。



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2013年7月14日日曜日

どんな投資本を読むのか お勧め書籍 その4 富者の集中投資、貧者の分散投資

富者の集中投資貧者の分散投資
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著者:フレデリック・R.コブリック
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これはしばし、ブログでお見かけします。
もっとも、私は分散投資派です。
 
著者のフレデリック・コブリック氏はハーバードのMBAを卒業後、ウエリントンマネジメントという名門投資信託会社(バンガード創立前のジャック・ボーグルや逆張り投資家のジョン・ネフも在籍)に在籍後、もう1社投信会社を経て、独立。今は何をやっているのか、残念ながらちょっとわかりません。1971年にウエリントンにアナリストとして入社し、2004年ごろまでファンドマネージャーとして活躍されていたようです。したがって、オイルショックも強気相場もITバブルもみな経験されています。

著書で書かれている実績は目を見張るものがある。ウォーレン・バフェットが買わなくて(あるいは利食いを早まって)後悔した銘柄を買って、大きな実績を上げている点は特筆ものだと思います(ウオルマート、マクドナルド、ディズニー、インテルなど。バフェットはインテルを後悔していないが、設立時に出資依頼があったのに断っている)。
 
また、ピーター・リンチはテンバガー(10倍株)がポートフォリオに1つあれば市場平均を上回る、と言っていたが、コブリックは10倍なんてチョロく、50倍、100倍まで上がった株を多数保有していた(転職や独立をしているので、何十年もホールドすることはなかったかもしれないが)。
 
NIKE、サンマイクロシステムズ、デル、シスコ、マクドナルド、フェデックス、アマゾンドットコム、ガースナーがCEOになったIBM、ギャップ、ホームデポ、アムジュン等。こういった銘柄がもっとも成長していた時期に(成長する前から)保有していたというのだから、素晴らしい、のただ一言。
 
業種は何でも来いで、特にITバブルで上手く稼げたようだ(もっともITセクターには80年代から注目していたので彼は、IT企業への目利きも確かなものがあった)。

IPO時にシスコの株を買って、ITバブルの前に売り抜けたという、多分こういった人は世の中に2人はいないだろう(但し、筆者もシスコ売却代金を他の小型IT株に分散投資した後にITバブルが崩壊して、結局かなり資金を失ったようだ)。
 
しかしながら、日本では?(アメリカでも?)その名声はウォ―レン・バフェット、ピーター・リンチ、ビル・ミラー、ジム・クレイマー、ジョン・ネフ、ジョン・テンプルトンといった面々よりも低いのがやや謎である(アメリカでは彼のマネージするファンドが何度も優秀賞を獲得しているが)。

もし、コブリックが、テンプルトンやネフの様に同じファンドでずっと運営を継続していたなら、その生涯リターンは彼らとよい勝負になるのではないか、と想像してしまいます。

(逆張り系と成長系では同じ土俵になりませんが・・・)
 
 
この本は、会社の経営を全体的に把握して、投資ストーリー重視の銘柄選択アプローチと売買に必要な心構えというか、ルールについて、自らの投資体験談を上述の「偉大な企業」を基にケーススタディとしてまとめています。銘柄を選択するための本です。成長株投資を志向する人に、化ける会社の見分け方を教えてくれます。繰り返しますが、IPO時にシスコを買って、ITバブル崩壊前まで保有していたんですよ!!! アムジュン、ホームデポ、デルもIPO時に買ったそうです。

 
彼の言う「偉大な企業」にはBASMのルールがあって、その選択基準をクリアした銘柄を保有し続けるそうです。以下は私の見方も混じっていますが、こんなことを言っています。
 
1;BBusiness Model(ビジネスモデル;どうやって効率的に利益を稼ぐ事業なのか)

2;A: Assumption(市場分析。特に経営者が市場をどう見ているか)

3;S:Strategy(その市場で効率的に稼ぐための方法)

4;M:Management(良いアイディア、テクノロジー、戦略を実行できる力。またそれらを再現していくことで、持続的な成長が実現できる能力。つまり、自分で自分の運命を決めることができる企業に育成できる経営者か?)
 
そして、知識、忍耐、規律を持って、シンプルなベンチマークで銘柄をモニタリングして、決して感情やマーケットタイミングにとらわれずに売買を行うべし、とアドバイスしています。
 
知識というのは、その企業で何が起こっていて、なぜそのようなことが起こったのか、それは彼らのBASMに照らして妥当な判断や結果だったのか、ということを常識に照らし合わせて考える、といった感じ。如何にその企業のことを理解できているかが問われる。

これは、成功した投資家(例:ジム・ロジャーズ、ウォ―レン・バフェット、ピーター・リンチ等)が皆、「投資対象をよく理解すること」と言っているのと表面的には同じだが、コブリックの知識はもっと奥が深い。

1970年代前半にマクドナルドを取材した際に「琥珀の間」という部屋に通されて、なぜこんな部屋を作ったのか、と問いただすと、琥珀色の空間の中で物事を考えると、想像的で斬新な考え方が出やすいと心理学者が言ったから、という回答が返ってきたそうです。それで、この会社は偉大な戦略を実行するための努力を惜しまない本物の会社だ、と思ったそうです。

当時のマクドナルドの戦略は今やチェーン店では当たり前になった、マニュアルに基づく業務運営品質を徹底的に管理して、大量出店で安いハンバーガーを届ける、というビジネスモデル・経営戦略でした(今もマクドナルドの基本戦略は同じですね)。それをどのように展開していくのかを琥珀の間で考えていたんでしょうねえ。

 
また、シスコやマイクロソフトでは、「顧客は最高の技術を望んでいるのではなく、最高でなくてもいいから、使い勝手のいい製品(適切なテクノロジー)を望んでいるはずだ」という顧客のニーズを突き止め、テクノロジー以上に顧客との信頼関係に重心を置いた経営戦略を高く評価していました(日本企業が聞くと、いまでも耳が痛い話ではないでしょうか?)。

こういった企業の戦略やビジネスモデルの根幹を理解したうえで、株を保有し続けているので、多少株価が下がったところでも、売らずに、出来ることなら買い増しを行って、利益を増やすことが出来たそうです。

また、こういった「顧客重視」の考え方で成功していた種子会社やコネクター会社の成功を80年代から知っていたので、成功する企業の共通事項(つまりBASM)をみつける成功体験をたくさん積んでいたことがITブーム時にうまく投資出来た基礎となっているようです。つまり、経験を積んで(成功や失敗を積み重ね)、学んだことを次に生かす、という長期投資のもう一つの側面を強調している様に思いました。
 
忍耐とは、いったんこれと決めた会社には数年(3から5年)は見守って、経営者が投資家と約束したことが出来るか見極めよ、というのが趣旨(もちろん、投資早々に経営者がダメとわかれば売ってもよい)。

NIKEに投資した際、あのマイケル・ジョーダンをCMで起用して、「エア・ジョーダン」シリーズを発表して大々的なマーケティングを行ったため、一次的に費用がかさみ、利益が落ちたことがあったそうです。しかし、NIKEはナンバーワン・スポーツシューズメーカーになる野望があるし、実行力もあると判断して保有し続けたら、ご存じのとおりの今のNIKEになりました。この時も株価は利益が落ちたので、一次的に40%ぐらい下がったそうです。逆に下がった時に買い増ししたようです。今なら、納得感がありますが(ジョーダンがどんな選手か知っていますからね)、当時の基準からすれば、どうだったのか、やはりリスクがあったのではないでしょうか?
 
規律とは、売買の時にあらかじめ原則を作っておき、その原則に抵触したら売買をとりあえず考えるというもの。原則である以上例外もあるのですが、例外を如何に採用するかは、経験次第なので、すぐに真似するのは難しそうです。
 
利益が落ちた時、成長率が低くなった時、経営者が言ったことを実行できなかったり、更迭された時が「売りの規律」で、原則株を売却する。
 
IPO時にどの会社が偉大な企業になるのかは、区別が難しいので、とりあえず少し買って、上記のポイントを基準に観測して、特に常識に照らし合わせて、これはダメだな、と思えば売る、という感じだそうです(基本は経営者が、自らの業績や経営方針をわかりやすい言葉で伝えることが出来ない、要するに投資家をけむに巻くようなことや、約束が果たせなかったら売る)。
 
したがって、知識・忍耐・規律がしっかりしていれば、決して一時の感情に流されずに売買が出来るはずである、と言っています。熱狂で買ったり、ヤケクソで売ったりするとお金を失う。
 
マーケットタイミングとは、相場はいつもボラティリティが激しく、いつ株価が上がるのか、下がるのかを事前に知ることは不可能なので、相場を読んで株を売買してはいけない、と言っています。ちょっと耳が痛いですね。
 
こういった投資が出来ればいいなあ、と憧れるファンドマネージャーの一人です。
 
 
この本は何度読んでも、「ああそうだったのか」と思わされる本です。この本に書いてあることが自然に出来るようになるまで、さらに時間を空けて何度でも読み返していく予定です。私にとっては、そういった本です。つまり株式投資の教科書の一つ。

これをマスターするには、それなりの経験が必要になると思います。しかし、知っているのと知らないのとでも差がつくと思います。つまり、できそうなことは、できる範囲から真似ることかと。
 
彼は、投資家に大きなリターンをもたらす「偉大な企業」は、「初めての商品発売・初めてのテクノロジー」とか「最高のテクノロジー」を持つ企業ではなく、ビジネスモデル・経営戦略を適切な前提で、優秀な経営陣が実行し、その成功を再現でき、結局は自分の会社の運命を自分で決めることができる企業である、と何度も本書で述べています。

 
マクドナルドはハンバーガーを発明したわけではありません。スターバックスもコーヒーショップを初めて開いたわけではないのは、みなさんご存じでしょう。

NIKEはジョギングシューズ・スポーツシューズを発明していません(NIKEの創業者である、フィル・ナイト氏は、NIKEのビジネスを始める前はアシックスのアメリカ代理店を経営していたのだ!!! したがって、2社の差は商品とか技術ではないという日米企業の典型例なように思いました)。

 (日本にも、しまむら、とか、良品計画などいい企業はありますが、株価が高い・配当利回りが低い、など投資基準になかなか合致しない。よい会社はすぐにFull Valueされる)

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2013年7月11日木曜日

自家製の毎月分配金ファンドを作る

このところの株高や相次ぐ著名投資評論家たちの攻撃により、グロソブ系のいわゆる「毎月分配金ファンド」というのは一時の勢いが失せたように思われます(多分)。

毎月何らかのインカムが入金されるという点について、そのニーズはよくわかります。私も同じような思いがあります。だから配当金目当ての株式投資をしているということになります。

日本の場合、企業の決算が3月に偏っており(一部12月決算に移行する企業もある)、配当も6月と12月の年2回というのがお決まりのパターンとなっています。なかなか株式で「毎月配当金」を組むのも容易ではありません(配当の入金月をメインにポートフォリオを組む人もそう多くはないだろう)。

一方、米国株の場合(注:欧州株は一般的には日本同様年2回配当が多いようです)、年4回配当が一般的であり、配当される月も企業によってマチマチです。日本の場合、利益処分は株主総会で決定されることが一般的であり、米国の場合は取締役会の決議だけで配当が決められるので、何かと機動的になっています。

(日本でも定款を変更して、利益処分等の配当を取締役会決議で行う修正を株主総会の特別決議で行えば、取締役会で決議できますが、いまさら特別決議を取るのも簡単ではないケースが大半)
したがってアメリカ株を数銘柄持てば、簡単に「毎月配当金型」ポートフォリオが組めます。

私の場合ですと、一例ですが

1月、4月、7月、10
フィリップモリス、アルトリアグループ
2月、5月、8月、11
プロクター&ギャンブル、AT&T
3月、6月、9月、12
J&JIBM、マクドナルド

となっています。

極端な例ですと、フィリップモリス、AT&TIBM3銘柄だけで、「毎月配当金ファンド」が出来上がってしまいます(何となくセクター分散もされている)。

2回と年4回で配当の絶対額が変わるのか、といわれると、比較が難しく、結局は同じかも知れませんが、恋愛と同じようなものなのか、マメにCareしてもらっている、と実感できた方がいいですよね?

その程度の違いですが、案外それが大事なのかもしれません。そんなものなのです、だから毎月分配金ファンドが売れるのでしょう。


但し、こっちは正真正銘の利益処分による配当金なので、投資元本を食いつぶす様なことは、ありえません。連続増配株で、過去は皆素晴らしいリターンを投資家に提供しています。

マールボロ(フィリップモリス)、ジレットやパンパース(P&G)、バンドエイドやワンデイアキュビュー(コンタクトレンズ;J&J)、マクドナルドハンバーガーを知らない日本人はほとんどいないと思います。

シンプルな企業へのシンプルな投資で長期的には素晴らしいリターンの実感を味わえます。


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